つぎはぎだらけの一本槍   作:・オルト・

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第1話:器用貧乏の限界

 

 

これでも昔は本が好きだった。

 

剣と魔法の冒険の世界。

お姫様を魔王から救う勇者の話。

 

いつからだろう?

 

これらの話が嫌いになったのは?

 

 

「サウザー、右から来るぞ! 抑えろ!」

 

「任せろ! ――『土壁(ストーンウォール)』!」

 

カイルの叫び声に応じ、俺は地面を蹴った。

 

掌から放った魔力が大地へと潜り、突進してきた大型魔獣――オルガベアの足元から岩壁がせり上がる。

 

ドンッ!

 

進路を塞ぐように現れた土壁へ、オルガベアが真正面から突っ込んだ。

 

だが。

 

「ぐっ……!」

 

ミシミシと嫌な音を立てた直後、巨大な前脚が振り下ろされる。

 

バギィンッ!

 

土壁は、あっけなく粉砕された。

 

「ちっ……時間稼ぎにしかならないか!」

 

俺はすぐに次の魔法を発動する。

 

「『筋力強化(ブースト)』!」

 

全身に魔力が巡り、筋肉が一段階だけ軽くなる。

 

地面を蹴る。

 

一気に間合いを詰め、片手剣へ炎の魔力を纏わせた。

 

狙うのは――膝裏。

 

真正面から斬っても、あの分厚い毛皮と筋肉ではまともに通らない。

 

ならば、動きを止める。

 

「そこだ!」

 

滑り込むように踏み込み、関節へ刃を叩き込む。

 

ザシュッ!

 

鋭い手応え。

 

だが――浅い。

 

「……硬っ!」

 

刃は肉を裂いたものの、奥まで届いていない。

 

その瞬間。

 

オルガベアの巨体が傾いた。

 

「サウザー!」

 

「分かってる!」

 

咄嗟に飛び退く。

 

振り抜かれた爪が目の前を通り過ぎ、風圧だけで頬が裂けた。

 

「くっ……!」

 

「サウザー、怪我を!」

 

「ルミア! 頼む!」

 

「任せて! ――『中級回復(ヒール)』!」

 

背後から飛んできた青白い光が頬の傷を包み込む。

 

焼けるような痛みが引いていく。

 

その隙に、頭上から声が響いた。

 

「――ハァッ!!」

 

金色の髪が舞う。

 

カイルだ。

 

騎士の家系に生まれた彼は、幼い頃から剣を学んできた。

 

俺と同じ片手剣を使っている。

 

なのに――同じものには見えない。

 

一歩。

 

二歩。

 

三歩。

 

踏み込みから斬撃へ至るまでに、一切の無駄がない。

 

「『聖光斬』!」

 

白い閃光を纏った剣が、オルガベアの首筋へ深々と食い込んだ。

 

ズバンッ!

 

「グオオオオッ!」

 

魔獣が咆哮する。

 

そこへ。

 

「逃がさないわよ!」

 

赤い髪が翻る。

 

ディアナが杖を掲げていた。

 

「焼き尽くしなさい――『爆炎波(インフェルノ)』!」

 

轟音。

 

巨大な炎の奔流がオルガベアを飲み込む。

 

数秒後。

 

黒く焼け焦げた巨体が、地面へと崩れ落ちた。

 

「……ふう」

 

ディアナが杖を下ろす。

 

戦闘終了。

 

「仕留めたな」

 

カイルが剣についた血を払いながら、こちらへ歩いてくる。

 

「ナイスカバーだったぞ、サウザー。お前が足止めしてくれなきゃ、俺も一撃もらってた」

 

そう言って、爽やかな笑顔で俺の肩を叩いた。

 

「……役に立ったなら良かったよ」

 

俺は笑って、剣を鞘に納めた。

 

自慢じゃないが、俺は何でもできた。

 

剣も。

 

槍も。

 

体術も。

 

攻撃魔法も。

 

回復魔法も。

 

補助魔法も。

 

冒険者養成学校にいた頃は、どの分野でも同期より早く技術を身につけた。

 

先生たちからも期待されていた。

 

「君は将来、どんな冒険者にもなれるだろう」

 

そう言われた。

 

……その言葉を、当時の俺は嬉しく思っていた。

 

けれど。

 

今なら分かる。

 

「どんな冒険者にもなれる」という言葉は、

 

裏返せば、

 

「何者にもなれない」ということだった。

 

俺は、どの分野でも中級までは人一倍早く辿り着ける。

 

だが――そこから先へ進めない。

 

上級剣技。

 

上級魔法。

 

上級回復術。

 

上級補助術。

 

どれだけ鍛えても、どれだけ学んでも、そこには見えない壁があった。

 

カイルには剣がある。

 

ディアナには魔法がある。

 

ルミアには神聖術がある。

 

そして俺には――

 

その全部を少しずつ。

 

戦える。

 

魔法も使える。

 

傷も治せる。

 

仲間の補助もできる。

 

だけど。

 

何一つ、彼らには届かない。

 

俺は前衛と後衛の間を走り回る。

 

敵の足を止める。

 

味方を強化する。

 

撃ち漏らしを倒す。

 

足りないところを埋める。

 

便利だ。

 

器用だ。

 

役に立つ。

 

でも――

 

「極める」ことだけができない。

 

「最強の冒険者になりたい」

 

子供の頃、本の中の勇者を見て抱いた夢。

 

それはいつしか、胸の奥に押し込められていた。

 

諦めたつもりだった。

 

……つもりだっただけだ。

 

俺は今でも、あの頃の夢を捨てられていない。

 

だからこそ。

 

仲間たちの強さを目の前で見るたびに、胸の奥が痛む。

 

俺は――

 

このままでいいのか?




昔からあった妄想ネタですが、
文章化出来ないので最近AIなる物を知り、
補助を受けながら執筆してみました。
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