ユリモニニニヨニヨスルミヨ 作:岡ノ下
もう待ちきれないよ! 早く出してくれ!
例のアレ要素はありますん
クァー……クァー…
「……」
テレビ画面には美しい青空が映り、太陽の輝きの中をカモメが飛んでいる。
この鳴き声、結構リアルだけど本物のカモメの声なのかな?SEだろうか。
スーパーファミコンってすげぇ。名機ですよ名機。
そんなことを考えながら画面を眺めていると、映される光景が一変する。
暗く燃える太陽。
その不穏な光景に合わせるように、恐ろしい雰囲気のBGMが流れ出す。
~~~~~~~~~~~~~~~
‥‥死食‥‥
300年に一度
死の星が太陽をおおい隠す
その時、すべての新しい生命が
失われる
人も獣も草花も
モンスターでさえも
その運命を逃れることは
出来ない
~~~~~~~~~~~~~~~
「何度見てもこの設定怖すぎィ!単純な虐殺より生命に対する悪意がデカすぎる!」
しかもこの『死食』は一年間続くとか。
新しい草花が死に絶えるということは、野菜も家畜の餌も元から生えていたもの、前もって保存できたものしか使えない。人の管理下に無い野生の獣などは著しく数を減らすことになっただろう。
更に言えば食物連鎖の土台である分解者(主に細菌類)たちも新しく増えない。排泄物や死者の肉体が自然界のサイクルに還ることも甚だ難しいわけだ。地獄だな。
戦慄しながら画面を眺める。オープニングが続く。
画面左上から現れた黒い影に太陽が覆われ、その光は完全に途切れてしまう。
日蝕。
その光景をバックに現れたのは、四本角の悪魔のような恐ろしい顔。
~~~~~~~~~~~~~~~
だが、ある時
一人の赤ん坊が生き残った
死に魅入られ
死の定めを負ったその子は
長じて魔王となり
世界を支配した
魔王はアビスへのゲートを開き
アビスの魔貴族達をも支配した
しかし、ある日
魔王は突然いずこかへ消えた
~~~~~~~~~~~~~~
唐突に色々な名詞が出てきたが、要するに『アビス』とは人の生きる世界とは空間を別にする、いわゆる魔界みたいなものだ。
魔の存在が棲み、そこに漂う瘴気に侵された生物もまた魔物となる。
『魔貴族』達というのは、魔王の配下でモンスター達のボス格である。
ちなみに四体いる。四天王やな。
悪魔の周りに屈強な戦士や幽霊のような老人といった影が浮かんでは消える。
彼らが四魔貴族だ。
画面は切り替わり、一人の青年?の後ろ姿が映る。
まぁソシャゲだとバッチリ女の子になってたわけだが
~~~~~~~~~~~~~~~
魔王が消えた後
世界は四魔貴族に支配された
300年後
またも死食は世界を襲い
一人の赤ん坊を残した
その子は死の魅惑にたえ
死の定めを退け
長じて聖王となった
聖王は多くの仲間に支えられ
四魔貴族をアビスへと追い返し
アビスゲートを閉ざした
~~~~~~~~~~~~~~~
どうも魔王さんの寿命は普通に人間相当だったらしい。
青年?の周囲に数々の壮麗な武具が現れて回り出す。
いわゆる伝説の武具的なアレだ。性能が微妙なものもあるが……
そして聖王の仲間?らしき三人の姿も見える。
なお、この三人はゲーム本編で全く出番が無い。
~~~~~~~~~~~~~~~
そして今から十数年前
聖王の時代から300年後
やはり死食は世界を襲った
世界中の人々も
アビスの魔物どもも
新たな宿命の子の出現を
不安と期待を持って見守った
魔王か聖王かそれとも‥‥
~~~~~~~~~~~~~~~
画面中央に白い輝き。
一瞬遅れて白線が子を描き、そこから黒い円形の影が斜め下にずれてゆく。
再び太陽が現れ、聞き慣れた曲が流れ出した。
♪♪♪~~♪~♪♪~~
「あーやっぱりこの曲はアガるなあ~!!」
世界どうなっちゃうんだろう?
宿命の子とは……答えは当然知っているが、否が応でもワクワクしてしまう。
気分が盛り上がってきたので、続くオープニングムービーはあえてスキップ。
タイトル画面が表示される。
"NEW GAME"にカーソルを合わせて決定。
「さて今日は~……」
このゲーム、NEW GAMEを選んだからといって即開始とはならない。
8人の主人公が私の選択を待っている。
誰を選び
誰と共に
誰の物語を進めるのか?
この自由性がこのゲームの大きな魅力の一つである。
20年以上やり続けている私が言うんだから間違いない。
「どうしようかなぁ」
…ま、私が選ぶ相手は二択の内のどちらかに決まっているんだけどね。
「ユリアンか……モニカか……」
他の6人も一通りプレイしたけど、結局お気に入りはこの二人だ。
「前回はユリアンだったし次はモニカ? いや前にモニカは三連続だったから……」
「ユリアン、君に決めた!」
一人暮らしって独り言が増えるよね……
そんなことを虚しく考えながらユリアンを選んだ瞬間
画面から迸る光――
「おっおっおっ!?」
とドアノブの向こう側を鎬紅葉に抑えられた範馬勇次郎のような声が出る。
まさかのアレですか?クォレハ……
この歳(29)で憧れ叶えちゃうんですか?
やべぇ、混乱してる。
光はどんどん強くなり、もう何も見えない。
混乱した意識が落ち着いて──いや意識そのものが消えようとしている。
すべての感覚が遠のいてゆく。
…
……
あっ、冷蔵庫の鶏ハム、そろそろ処理しないとやばいな……
……
…
オギャーオギャー
目が覚めた時、私はどうやら仰向けになっているらしかった。
意識が覚醒したものの、視界はぼやけて状況が把握できない。
オンギャーオンギィヤアアアア
近くで赤ん坊の泣き声がする。声は一向に止む気配がない。
親はどこだ! 早くあやしてやれよ可哀想だろ!
全く最近の親は……
スマホ見ながらベビーカー押す馬鹿は死ね……
あぁ、なんか喉痛いぞ?
「はーい、よしよし。今おっぱいあげますからねー」
ファッ!?
な、なんだ?
急に視界が暗くなったと思うと、柔らかな何かが顔に押し付けられた。
「よしよし」
んん、ん、えええ!?
「いっぱい飲んで健康に育ってね。ミヨ」
ちょっ……なにが起きているんです!?
──結論。ロマサガ3の世界に転生しました。
おい……? おい!
異世界「召喚」かと思ったのに異世界「転生」の方かよ!
私まだ死んでないんですけどおおお!
……あれから徐々に視界がはっきりしはじめ、
私(ベイビー)に笑いかける見知らぬ男女――パッパとマッマの会話から状況を把握した。
現在地は開拓村シノン。
ロマサガ3スタートの舞台となるロアーヌ公国の一部であり、主人公達のうち6人が出会う場所でもある。
こんな重要な場所なのに旅立ったら二度と立ち寄れないんだぜ?どうなってるんだ。
私はそこの村人夫婦の間に生まれた女の子で、ミヨと名付けられた。
前世(と呼ぶのは未だ抵抗あるが、仕方ない)と同じ響きの名前というのは、まぁ混乱せずに済んでありがたいことである。
性別が女のままっていうのもイイネ!
世界観的にこの地方では浮きまくってる名前だと思うけど。
ちなみにファミリーネームはベント。フルネームで「ミヨ・ベント」だ。微妙すぎる。
パッパが本家がどうこう言っていたので、どうも主人公の一人、トーマス・ベントの従姉妹にあたるようだ。
家業は一族の牧場管理。
ベント家が大地主なのは知っていたけど、親戚筋とかその辺の設定はどうだったかな?思い出せない。
ママのおっぱいうめっ……うめっ……
「……」
とりあえず、私がやるべきことはわかった。
あくまでゲーム通りなら、という前提ではあるが。
体を動かせるようになり次第、まずは己を鍛えよう。
この世界は今平穏そのものだが、12年後に冒頭で触れた死食が起きる。
そしてゲームの開始時間、27年後には世界中を魔物がうろつくようになる。
つまり……大人になった時、強くなければ生き残れない!
いや、村人として引きこもり、一生を終えるなら別に武力は要らないのだろうが、その選択肢はあり得ない。
せっかく長年愛したゲームの! その現地に来たのだから!
そう──やるべきこととは! もとい、この物語は!
私、
最推しカップルのユリアンとモニカが送る旅に同行し、目の前で起こるイチャイチャラブラブに──(ウザい溜め)
ニヨニヨする物語である!
と、いいなぁ。
そんなわけで、世界中旅してる内にいつの間にかラスボスの元に辿り着く主人公達のうちの二人、ユリアンとモニカについていくために武力は必須なのだ。
現状生まれてもいない相手に何を、と自分で思わないではないが……
準備を欠かして時を過ごし、いざその機会が訪れてから後悔するのは御免である。
変に中断され、いきなり始まった一度きりの?人生だけれど、やりたいことをやらなきゃあ損ってもんだ。
がんばろう!
ミーム要素に関して苦手な方、「ロマサガ3でいんゆめを汚すな(憤怒)」という方におかれましてはセンセンシャル!(すみませんでした)
本駄文はこのような調子でネタバレもメタ発言も節操なく垂れ流します。
デスサガプレイできるまで募るムラムラの発散を目的として始めたものなので、発売日前日には完結したいと考えております。