ユリモニニニヨニヨスルミヨ 作:岡ノ下
ミヨです。オッスオッス!
いや~死食は強敵でしたね!
本当に地獄でした。本当に、地獄でした(1秒ぶり2回目)
この1年間は色々ありましたが、いいことは一つもありませんでした。
ミュルスに妹夫婦が住んでいるというおじさんが暗闇の中食料を届けに行って戻らなかったり。
かわいがっていた馬が何頭か発狂してしまい楽にしてあげたり。
食料を求めて暴徒がやってきたのを撃退したり。
闇に紛れてのことだけど、多分お父さんは私がやったと気付いてるだろうな。お母さんもか。
でも何も言われなかった。ごめんなさい。
野盗やマクシムスといった人間とも殺し合う可能性のあるロマサガ3だが、幸いにもと言うべきか、敵対した人間を殺めることに対する罪悪感は私の
よかった。躊躇することで大切な誰かが危険な目に遭うといった心配をしなくて済む。
そんな具合に荒んでいった私であるが、前もって行っていた準備のおかげで最低限の心の余裕は持つことができた。
少なくとも、開拓村シノンの中においては致命的な亀裂が生じることもなく、死食を乗り切ることができたと思う。
ほぼお祖父様の獅子奮迅の大活躍のおかげだ。
っていうか……お祖父様……なんか村長みたいな立ち位置で仕切ってたけど、村長さん別にいるはずなんだよね。細かいことは気にするな!
ただ、前述のおじさんの件だけは心から残念だった。
あれ以来、村の空気も険悪ではないものの沈む一方だったが……
1年ぶりの太陽が、その空気を吹き飛ばした。
「太陽だ……」
「太陽だ!」
「太陽か?」
「太陽、ですね」
「SUN」
久しぶりの……待ち望んだ、恵みの光を浴びる。皆が笑う。
私は泣いていた。
お母さんが抱きしめてくれた。
トーマスが泣いていた。
エレンも泣いていた。
大人たちは酒盛りを始めた。
まだ日中なんですけど。
この目出度き日、私も酒とつまみをしこたま用意して盛りたいのは山々だったが、許されなかった。この世界において具体的な成人年齢のようなものは無く、なんとなく雰囲気のように子供はお酒ダメ!になっている。とりあえず13歳はまだ子供だろアウトだアウト!ってことらしい。
エレンと一緒に馬と牛を草地に出して運動させる。
草花の新芽は死食中に枯れ果ててしまったため、ところどころ地面が見えて禿げ上がり痛々しい有様だが、元から生えていた分は生きている。そのうちまた生い茂るだろう。
今、髪の話した?
そんなこんなで、シノンは、ロアーヌ侯国は、世界は死食で受けた傷を癒すため、ゆっくりと動き始めた。
少しの時が流れる。
昼間は明かりを持たずに移動することができる。
こんな当たり前のことにありがたさを感じながら、人々の一部は世界を渡り始めた。
理由は様々だ。
復興(と呼んでもいいものか)需要による働き口を求める者、治安の悪化した地元から逃れる者、そして、誰かを亡くしその悲しみから住処を移る者。
一つの家族があった。
先日、ヨルド海の小さな村から遥々開拓村シノンへと越してきた、ノールさん家である。
お父さんと、お母さんと、一人息子のユリアン君。
本当はそこに、生まれたばかりの可愛い女の子もいるはずだった。ユリアン君の妹だ。
でも、死食により亡くなってしまった。
開拓村シノンはいつでも人手募集中。彼らを暖かく迎え入れる。
ノール家の加入に先立って、村の仲間がもう一人増えていた。
カーソン家の次女、サラである。
いつの間に産んだの? 死食にかち合わず良かったなぁ、おめでとう……
村人たちの言葉に対し、カーソン家のおばさんはただ微笑みを返した。
可愛らしい赤ちゃんをその腕に抱いて。
──新しい日常が始まる。
1年後。
14歳になった私は槍代わりの長棒を構えていた。
眼前には9歳になったトーマスが、私の構えを真似て棒を持っている。
「うんうん、体幹がしっかりしてきたね。構え方からして以前とは違うのがわかるよ」
「姉さんの指導のおかげだよ。自分でも強くなったのを感じる」
トーマスが自信ありげな表情を見せた。
今日こそ私から一本取ってやるって顔だ。
「いや~私としてはね~トーマスがこういうことするの、まだ早いと思ってたんだけどね。
算術やら料理やらの勉強も始めてるんでしょ? 大丈夫? 疲れてない?」
「何をそんな……姉さんはもっと小さい頃から家の仕事を手伝ってたし、
棒も振ってたって、お祖父様から聞いたから知ってるよ」
「あ~ホラ、私はその……私だから」
単に前世約30年分の下積みがあるだけですとは言いにくい。
尊敬と対抗心の入り混じった目を向けられ、つい顔を逸らしてしまう。
「意味わかんないよ──っと!!」
視線の外れた瞬間を逃さず、トーマスが打ち込んできた。
卑怯ではない。
この武術を修める目的、使うべきモンスターは会話など交わしてくれないからだ。
「!」
鋭い。筋力が成長しないこの世界において、技の威力を決めるのはその精度。
では何が精度を決めるのか?それはブレの無い体と動きだ。
こう考えた私は体軸を重視し、無駄のないフォームで打点に力を集中させることを意識しながら鍛錬してきた。
私の教えを受けたトーマスもまた、この理論に従って日々突きの精度を高めてきたのである。
だが……
「そいっ」
槍術の基本、払い受け。
トーマスが突き出してきた棒に自分の棒を添わせるように当て、圧力を加えて半回転。
直進する力の強い物体は側面からの力に弱い。
トーマスを棒ごと地面に引き倒す。
「うわ!」
加減はしたが、全体重を乗せた突きだったのだろう、思ったより勢いよく倒してしまった。
「はい一本……大丈夫?」
「だ、大丈夫……あーくそっ……決まったと思ったのになぁ」
「こらこら、そんな言葉使っちゃお祖父様に怒られるよ」
分家の孫娘(私)には割と甘いところのあるお祖父様だが、トーマスの教育についてはひたすらに厳格だった。
それは本家跡取りとして、世界最大の都市ピドナを首都とするメッサーナ王国の名家ベントの名を継ぐ者への、愛と期待の証だろう。
トーマスにもその真意は伝わっているらしく、特に不満は無い様子だった。が、やはり年頃の少年だけあってたまにこういう言葉遣いが出てしまうのは仕方ない。
私は口だけの注意をして、倒れたトーマスに手を差し伸べた。
「ありがとう。あ、そろそろ時間だ」
私の手を借りて立ち上がったトーマスが、何かを思い出したように言った。
「時間?」
「うん。ユリアンのやつと一緒にエレンの馬に乗りに行く約束で……って、
姉さんの所の馬だろ? 話、通ってないのか?」
「あ~そういうことね。いいよいいよ。
エレンとあなた達は顔パス……顔を見せれば通してくれるよう担当者には伝えてあるから」
死食が終わってから、エレンは馬たちが落ち着いてきた頃合いで馬に乗りたいと言い出した。
前世でも、小学一年生からポニーではなく普通の馬に乗る子はそれなりにいた。
ましてロクな移動手段が無いこの世界である。馬術の習得は移動に必須と考えれば、始めるのは早いに越したことは無い。
そう考えた私は両親に相談し、牧場の従業員にもお願いしてエレンが馬に乗れる環境を整えた。
余談だが、私も当然馬に乗ることができる。お世話してるんだから当たり前だよなぁ?
トーマスの言う「エレンの馬」というのは、厩舎の中でも特に気が合ったエレンの愛馬である。
おそらく、エレンは最近あれこれと習い事を始めて大変そうな兄貴分の気晴らしを兼ねて、
この1年で仲良くなった同い年の男の子に自慢の馬を見せたいのだろう。
この村に来た当初は生まれたばかりの妹を亡くしたショックで塞ぎ込んでいたユリアンだが、
それだけに赤ん坊のサラの存在に惹かれたのか、たびたびカーソン家にお邪魔していた。
当時のエレンはエレンで、突然家庭の中心になって母を独占する赤ん坊が疎ましく、面白くないといった顔をしていた。
これは下に弟妹ができたばかりの子供ならよくあることだ。6歳児にいきなり姉の自覚を持って優しくしなさいとは言えない。
その状況で、つい最近村に来たばかりの男の子も興味津々で(急に現れた)妹の顔を覗き込んでいる。頬をつついたり抱っこしたりしている。
エレンは不機嫌になった。
ユリアンの手を取り外へ連れ出した。
オラァあんたいつまでもウジウジしてんじゃないわよちょっと付き合いなさいってなもんである。
この村でエレンの腕力に敵うものはいない。
ユリアンは引きずられ、最初は嫌々ながら彼女の遊びに付き合った。
鬼ごっこ(素早さでもユリアンは負けていた。17に対しエレンは18)、かくれんぼ、虫取り。
馬と遊ぶ選択肢はまだ無かった。エレンは私からOKが出るまで律儀に待ってくれていたのだ。
そうこうしているうちに、彼女の快活さに当てられ、ユリアンは笑えるようになっていった。
それからしばらくして。
馬たちが落ち着いてきたので、乗馬始めようかとエレンに伝えた途端、彼女の興味は馬に移ってしまったのだった。
かわいそうなユリアン……ひとえにエレンが自由すぎるせいだが……
妹分の償いというわけではないが、また一人に戻ったユリアンを見るに忍びなく、私はトーマスを巻き込んで彼を遊びに誘ったのだった。
7歳歳上のチャンネーにいきなり話しかけられた彼はビクビクしていたが、
私も憧れのマイ・ヒーローとのまともな初対面初会話に内心ビクンビクンの滝汗である。
いきなり心配なスタートだったものの、如才ない男、トーマスの執り成しにより大きくこじれることもなく三人で遊ぶ流れが形成された。三人に勝てるわけないだろ!(意味不明)
べったりというわけではなく、ただの知り合いというほど浅くもなく、遊んでくれたお姉さん。
そんな関係に落ち着いた。
マンガなら私が初恋ハンターになってしまうシチュエーションだ。まぁユリアンの目はエレンを追っていたので大丈夫だろう。
その瞳は将来モニカ様を映すことになるんじゃよグフフ……いや、強制する気は無いのだが。
エレンも可愛い妹分だし、二人が幸せになれるならそれはそれでいいのだが。
初志は変わらず掲げているものの、死食を乗り越え、完全にこの世界に生きる人として立つ今の私は、あまり無茶な考えはしないよう己を戒めるようになっていた。
閑話休題。
ユリアン、トーマス、エレン(馬術習得が落ち着いてきて元の調子に戻った)の三人はいい関係を築けている。私は少し歳の離れた存在として彼らを見守りつつ、モニカ様が飛び込んでくるあの運命の夜まで平穏に暮らしていこう。
最近はお祖父様の名代としてロアーヌに行くことも増えてきたし(始めて見た時は感涙して付き添いの従業員に心配された)、向こうの仕事に力を入れるのもいいな。
運が良ければロリモニカ様を目にすることもできちゃったり……?
グヘヘッ フヒヒッ(気味の悪い笑い声)
そんな風に考えていた時期が私にもありました。
「ミヨ・ベント。
武に優れ、学問にも明るい才女だと……お前の祖父が自慢しておった」
「アッハイ」
ひざまずく私の十数メートル先に、このロアーヌ侯国の王、ロアーヌ候フランツ様がいる。
「お前には我が娘の護衛兼侍従として、城勤めを命ずる。
祖父から聞いているな?」
「アッハイ」
きのう、ききました。つい、きのう、です。
「まずは顔合わせだ。モニカ、挨拶をせよ」
ド緊張のあまりフランツ様しか見えていなかった視界に、
この世の美を凝縮したような存在がいきなり出現した。いや、元々傍らにいたのだろう。
私と同じ年くらいの、金髪の美少年がいたことにも、今、気付いた。
それは、いい。とりあえず、いい。
ロリモニカ様、である。
ロリモニカ様が、私の、前に、来た。
「これから、よろしく、おねがいします! ミヨさん!」
ン〜〜! マ゜ッ!!! ア゛ッ!!!!!(精神が壊れる音)
とりあえず一括投稿はこ↑こ↓までです
すいませ〜ん、木下ですけど、ま〜だゲーム開始までかかりそうですかね~?
シルバーウィーク中にはいけるんじゃないですか、多分