カルテル・デ・ヴィランズ   作:カルキよし

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本話には、過去の話として過酷な家系制度や、子供への精神的圧迫に関する話が含まれます。⁠直接的な描写は全くありませんが、苦手な方は読み飛ばしていただいて大丈夫です。飛ばした方の為に話の要点は次話の前書きにまとめます


27話 掛け合わせ

 

 

 

 翌朝アルテミスは全員を居間に集めた。荼毘だけが縁側に腰かけて外を向いている。それでも出ていかなかった。

 

「…話がある」

 

 立ったまま言った。

 

「昨日の男のことだ」

 

 死柄木が顔を上げた。

 

「心当たりがないと言っただろう…嘘だ」

 

 部屋の空気が動いた。

 

「知っている。名前も、個性も、席次も」

 

「マキシミリアーノ・エル・トローノ。俺の家の幹部だ。十一席のうち、六番目」

 

 誰も口を開かなかった。

 

「背中から管を出して寿命を吸う。射程は三メートルから五メートル。触れられなければ効かない。吸った分は、自分の再生と熱線のようなものに転用できる」

 

「……ちょっと待て」

 

 スピナーが身を乗り出した。

 

「知ってたのかよ」

 

「昨日……聞いた時点で確定した」

 

「……なんで黙ってた」

 

「言えなかった」

 

 そう答えた。

 

「理由は後で話す。先に事実を全部出す」

 

「あの人が日本にいる理由は…一つだけだ」

 

 自分の胸を指した。

 

「俺を連れ戻すためだ」

 

 トゥワイスの動きが止まった。

 

「治崎が殺されたのも…それが理由だ。多分あの男が俺を手元に置こうとしたことが家に漏れた。だから殺された」

 

「……十六人は」

 

「巻き込まれただけだ」

 

「あの人にとって、家の血族以外は数に入らない。蟲けらと呼んでいる。巻き込んだという認識すら……たぶんない」

 

 部屋が静かになった。

 

「つまり」

 

 コンプレスが、口を開いた。

 

「君がここにいる限り…あの男はここへ来ると」

 

「……来る」

 

「いつだ」

 

「わからない。場所が割れるまでは来ない。割れたらその日に来る」

 

「そして…その日にここにいた人間は全員死ぬ」

 

 

「…ねえ」

 

 マグネが口を開いた。

 

「一個だけ聞いていい?」

 

「なんだ」

 

「なんで逃げたのよ…大きい組織の跡取りなんでしょ?何が嫌で逃げたのか、あたし……ずっとわかってなかったの」

 

 答えなかった。

 

「いや…責めてんじゃないのよ」

 

 マグネは手を振った。

 

「……」

 

「言いたくないなら…いいわ」

 

 少年はしばらく立っていたが、それから座って膝の上で手を組んだ。

 

「……話す」

 

「どうせ……これが最後だ」

 

 

「俺の家は…二百年かけて個性を作ってきた」

 

「家そのものは二百年以上続いている。超常黎明期から、強い個性を持つ者同士を掛け合わせるようになった...所謂個性婚と呼ばれる物だ。俺は最新の世代になる」

 

 縁側の荼毘の肩がわずかに跳ねた。継ぎ目の皮膚が引きつれていた

 

「……掛け合わせ」

 

 トガが小さく繰り返した。

 

「そうだ。人間に使う言葉ではないが、家ではそう呼んでいる」

 

「俺は四歳で個性が出た。歴代の中でも屈指だと判定されて…本家の直系で……血の純度も一番高かった」

 

「それで?」

 

「十歳のときにタイで大麻の規制が変わった。俺はその半年前にそれを読み切って、家の資金を動かした」

 

「十歳で?」

 

 トゥワイスが声を上げた。

 

「資料を読んだだけだ。誰でもできる」

 

「利益は出た。それで当主の内定が出た。史上最年少だ」

 

「……十歳でね」

 

 マグネの声が低くなった。

 

「そこまでは……別に構わなかった」

 

「仕事だからな、やればいい。数字を出せばいい。それだけなら何の問題もなかった」

 

「じゃあ何が問題だったの」

 

「内定が出た瞬間に別のものが始まった」

 

「家には……愛人の制度がある」

 

「当主には正妻とはまた別に、血を残すための相手を置く。これも、掛け合わせのためだ」

 

 誰も口を挟まなかった。

 

「当主が十歳で内定したということは、その枠が十歳から空いたということになる」

 

 トガの顔から表情が消えた。

 

「分家は十一ある。全部が……自分の家の娘や、自分の駒である外部の娘を入れたがった」

 

「……十歳の子どもに?」

 

 コンプレスが言った。

 

「本人がどう思うかは関係ない。家の中では、そういう順番になっている」

 

「……」

 

「そして争いが始まった」

 

「最初は書類だった。個性の相性を示す資料だ。うちの娘と組み合わせれば、次の代の個性はこうなると。そういうものが毎週届いた」

 

「……毎週」

 

「三年間だ」

 

「次に顔合わせが増えた。食事会、茶会、視察の同行。一年で百回を超えた」

 

「それも三年?」

 

「ああ」

 

「……」

 

「そのうち…資料と顔合わせでは差がつかなくなった。だから、手が込み始めた」

 

 声は変わらず、淡々としていた。

 

「俺の部屋に……娘のほうから来るようになった。夜に」

 

 トゥワイスが何か言いかけて言葉にならなかった。

 

「断っても…来る。断ったことが記録に残ると、その家の手落ちになるからだ。だから……断られても来る...何度でも」

 

「……なんだそれ」

 

「次に…偽装が始まった」

 

 指を一本立てた。

 

「ある家の娘が、別の家の娘と不貞をしている現場を俺に目撃させた。相手の娘の評価を落とすために自分の家の娘を使った」

 

「血を残せない相手と寝た…という話になる。あの家ではそれだけで終わりだ」

 

「……自分の娘を?」

 

 荼毘が露骨に不機嫌な顔で問いかけた。

 

「ああ……個性が弱かった。俺との掛け合わせには使えないと判断されていた」

 

「だから……他所の娘を蹴落とすために使ったってのか」

 

「そういうことだ…その家には他に個性が強力な娘が居たからな…そちらが本命だった」

 

「……チッ」

 

 荼毘は訝しげな顔でアルテミスを睨んだ。

 

「なんだ」

 

「別に」

 

 荼毘は煙草を灰皿に押しつける。

 

「続けろ」

 

 指を二本目に。

 

「別の家は俺を銃撃させた。撃ったのは、その家が雇った人間だ。そして……その家の娘が俺を庇った。命がけで守った…という形を作るためだ」

 

「……その子は?」

 

 マグネが訊いた。

 

「知っていた。撃たれる場所も弾道も」

 

「いや...そうじゃなくて」

 

 マグネの声が少し低くなった。

 

「その子も撃たれたんでしょ」

 

「ああ」

 

「……自分の娘を?」

 

「必要だったんだろう。俺が信じる程度には」

 

「……有り得ないわね…どうなってんのよ」

 

 三本目。

 

「…一番長かったのは話を聞く役だ」

 

「……話?」

 

「毎日部屋に来て、俺の話を聞く。何時間でも。俺が誰にも言えないことを全部吐き出させる」

 

 指を下ろした。

 

「そういう訓練を受けた人間が……送り込まれてきた。信頼させて...依存させるための手順がある。家にはその教本があった」

 

 部屋の中で誰も動かなかった。

 

「……吐き気がするな」

 

 荼毘だった。縁側からこちらを見ずに言った。

 

「ガキ相手に……全部の家が総出でそれかよ」

 

「そうだ」

 

「で…お前の親は何してた」

 

「親は幼い頃に急死して…兄が当主だ。その時は二十五歳で、繋ぎの当主だった」

 

「兄は……止めようとした。だが、当主が幹部の家に口を出せば...席が揺れる。揺れれば…繋ぎとして力が弱まってる兄が降ろされる。降ろされたら、俺を守れる人間が一人もいなくなる」

 

「……」

 

「だから……止められなかった」

 

 

 

「そして許嫁が決まった」

 

「争いが激化しすぎて、家が一人に絞った。それで終わるはずだった」

 

「終わらなかったのか」

 

「……終わらなかった」

 

 膝を抱えた。

 

「その娘の家は、勝った側だ。勝った以上、他の十の家から俺を守らなければならない。守り損ねれば枠を取られる」

 

「……ああ」

 

 コンプレスが呻いた。それから先回りするように言った。

 

「だから……束縛が始まった」

 

「そうだ」

 

「どの程度だ」

 

 しばらく黙っていた。

 

「……一人になれなくなった」

 

 それだけ言った。

 

「部屋に人が入るようになった。移動には必ず同行がついた。誰と話したか、何を読んだか、何時に寝たか、全部記録された」

 

「寝室もか」

 

「ああ」

 

「……いつからだ」

 

「十二の終わりからだ」

 

 天井を見た。

 

「四か月……続いた」

 

「四か月」

 

「そのあたりで、自分がおかしくなっているのに気づいた」

 

「飯の味がしなくなった。数字が読めなくなった。書類を三回読み返しても、内容が頭に入らなくなった」

 

「……」

 

「それで……逃げた」

 

「以上だ」

 

---

 

 沈黙が長かった。最初に動いたのはトガだった。立ち上がって部屋を出ていこうとした。

 

「トガちゃん?」

 

「……ごめん、ちょっと」

 

 声が震えていた。

 

「今……包丁持ったらだめな気がする」

 

 そう言って出ていった。

 

「……あの子……怒ってるわね」

 

 マグネが言った。

 

「珍しい」

 

「……怒ってんのはあいつだけじゃねえだろ」

 

 荼毘が煙草に火をつけた。指が少し震えていた。

 

「……なあ…アルテミス」

 

「なんだ」

 

「その家……いい家だってみんな思ってんのか」

 

「……ああ、あの家ではそれが正しい。血を高めるのは…家のためだ。愛人の制度も、許嫁の監視も、全部そのためにある。誰も間違ったことをしていない」

 

「……間違ってねえ?」

 

「制度の中では」

 

「……クソだな」

 

 荼毘は煙を吐いた。

 

「ほんと……そういうのが一番クソなんだ……」

 

 この男が何を思い出しているのかは知らなかった。ただ、声の温度が変わったことだけはわかった。

 

「……ねえ」

 

 マグネが言った。

 

「誰か……味方はいなかったの。同い年の男の子とか」

 

「一人いた」

 

「その子は」

 

「そいつにも……似たようなことを言われた」

 

「……何を」

 

「言いたくない」

 

 四か月を全部吐いた口がそこでだけ閉じた。マグネはそれ以上訊かなかった。

 

「だから……出ていく」

 

 立ち上がった。全員が顔を上げた。

 

「俺がここにいればあの人が来る。来れば…全員死ぬ」

 

「…アルテミス」

 

「マグネは二度目になる」

 

「一度死にかけただろう…次は間に合わない。枠は三つしかない」

 

「…あのねぇ」

 

「聞け……これは計算だ。感情の話じゃない」

 

「……」

 

「俺とクラウディオは今日出ていく。行き先は言わない。知っていると聞かれたときに困る」

 

 頭を下げた。

 

「……世話になった」

 

 九年間他人に頭を下げたことはなかった。下げ方が合っているかどうかもわからなかった。

 

「――却下だ」

 

 頭を上げた。死柄木は壁にもたれたままこちらを見ていた。

 

「……何」

 

「聞こえただろ……却下だ」

 

「話を聞いていたか」

 

「聞いてたよ」

 

「俺がいれば……全員死ぬ」

 

「だから、お前が出てくって?」

 

 首筋を掻く指が止まった。

 

「……勝手に話終わらせてんじゃねえよ」

 

「勝手じゃない。今説明した」

 

「説明じゃねえだろ...決めてから言いに来ただけじゃねえか」

 

 口を閉じた。

 

「ここは俺の連合だ。誰を仲間にするかは俺が決める。お前が邪魔かどうかも、お前が決めんな」

 

「……なら、残す理由を言え」

 

「ねえよ」

 

「死柄木」

 

「お前もそう言ったんだろ」

 

 掻きかけた手を下ろし死柄木は続けた。

 

「あの潔癖症に。残らねえ理由を聞かれて『理由はない』って」

 

 少年の動きが止まった。

 

「……トゥワイスか」

 

「あいつ、何度も同じ話すんだよ」

 

 死柄木は壁から背を離した。

 

「お前はそれでよくて、俺は駄目なのかよ」

 

「それとこれとは――」

 

「俺はお前を追い出す気はねえ」

 

 言葉を遮った。

 

「……勝手にいなくなるな」

 

 

「俺も反対だ」

 

 荼毘が縁側から言った。煙草を灰皿に押しつける。

 

「お前が出てって…どこ行くんだよ」

 

「どこかへ行く」

 

「そのどこかで一人で追手と会うわけだ」

 

「……ああ」

 

「その家に戻されて…また同じことされるんだろ」

 

 荼毘は初めてこちらを向いた。

 

「……行かせる気はねぇ、そんなとこに帰すくらいならここにいろよ」

 

「なぜだ」

 

「気に入らねえからだよ」

 

 荼毘はそれだけ言った。

 

「決めつけられてんのが気に入らねえ。生まれた血で全部決まってんのが気に入らねえ」

 

 そして目を逸らした。

 

「……それだけだ」

 

 

「あたしもよ」

 

 マグネが、立ち上がった。

 

「あたしが死にかけた話持ち出したわね」

 

「事実だ」

 

「そうよ事実…あたしはあんたに助けられた」

 

 マグネは目の前まで来た。

 

「そのあたしが言うんだからね、聞きなさい」

 

 大きな手が肩に置かれた。

 

「あんたみたいな子を…あんな場所に返すわけないでしょ」

 

「……」

 

「あたしたちはね、みんな行き場がなくてここにいるの。あんただけ、帰る場所があると思ってんならね」

 

 マグネの手に力がこもった。

 

「あんな所は…帰る場所とは言わないのよ」

 

 

 

 扉が開いて、トガが戻ってきた。目が赤かった。

 

「……アルテミスくん」

 

「なんだ」

 

「いなくなったら…寂しいでしょ」

 

 それだけだった。理屈も計算も何もなかった。

 

「……それは理由になっていない」

 

「…なってるよ」

 

 トガは、床に座り込んだ。

 

「あたしにとっては……それが全部だもん……!」

 

 

「俺は反対だ! 賛成だ!……反対だっつってんだよ!」

 

 トゥワイスが両手を振り回した。

 

「お前いくつだ!」

 

「十三だ」

 

「十三だぞ!?じゃあ勝手にしろ!勝手にさせられるかよ!」

 

「……俺は自分で決めている」

 

「だったら決めろ!でも出てくな!」

 

「……」

 

「一人で決めんな!いや自分のことなんだから一人で決めろ!……ああクソ!わかんねえ!」

 

 男は頭を掻きむしった。

 

「とにかく行くな!それだけだ!」

 

 

「俺も…死柄木に賛成だ」

 

 スピナーが静かに言った。

 

「理由は?」

 

「死柄木がこう言ってるんだからさ、お前はここにいろよ」

 

 アルテミスは眉を寄せた。

 

「それは……理由ではないだろう」

 

「そうだな」

 

 スピナーは、頷いた。

 

「けど……俺はそういう理由でここにいるんだ。死柄木がここにいろって言うなら、俺はそれでいい」

 

「……それだけか」

 

「悪いかよ。俺なんかそんな理由でここまで来たんだぞ」

 

 

「……最後に私からも一つ」

 

 コンプレスが、帽子を取った。

 

「君が出ていくと……執事殿も出ていくことになるな」

 

「当然だ」

 

「…それは困る」

 

 男は真顔で言った。

 

「明日から誰が飯を作るんだ、トゥワイスは飯がゲロマズ、マグ姉の味付けは基本濃い、繊細な味付けができるのは執事殿だけだ」

 

「あぁん!? 不味くねぇよ! ゲロマズだわ!!」

 

 部屋の空気が少しだけ緩んだ。

 

「……そんな理由か」

 

「そんな理由だよ、でも重要な事だろう?貧しい食卓は心も貧しくしてしまう……」

 

 コンプレスは帽子を被り直した。

 

「前に執事殿は我々にこう言った。人は志だけでは三か月はもたない…と」

 

「……」

 

「あれは正しかった」

 

 男はこちらを見た。

 

「今この家に屋根があって、飯があって、薬があるのは、あの言葉があったからだ。君たち二人が出ていけば、それが全部なくなる」

 

「……代わりは立つ」

 

「立たんよ」

 

 コンプレスは首を振った。

 

「君は計算が得意だと言ったな」

 

「ああ」

 

「では計算してみたまえ。君たちが出ていった後、この家が何日もつかを」

 

 答えられなかった。

 

---

 

 少年は立ったまま、反論の材料が一つも残っていなかった。七人が七つの理由を出して、そのどれ一つとして損得の話をしていなかった。

 

 ――返せない。

 

 計算で来られたら計算で返せた。感情で来られたら計算で切り捨てられた。だが、これはどちらでもなかった。この連中は理屈を持っていない。持っていないまま譲らない。

 

 ――そして俺は。

 

 自分が今何を望んでいるのかに気づきかけて、それを止めた。止めたことにも、気づいていた。

 

「……俺は」

 

 口を開いたが、続きが出てこなかった。

 

「坊ちゃん」

 

 背後から声がする、クラウディオだ。この男は昨夜「連合に伝えるべきです」と言った。そして、坊ちゃんが決めたことに理由は聞かないとも言った。だから黙っていると思っていた。

 

「……なんだ」

 

 執事は少しだけ頭を下げた。

 

「もう少し……いてもよろしいのではないでしょうか」

 

 思考が止まった。

 

「……お前」

 

「はい」

 

「昨日と言っていることが違う」

 

「さようでございますね」

 

 クラウディオは否定しなかった。

 

「理由は」

 

「……ございません」

 

 その顔を見た。この男が「理由がない」と言ったのを、九年間で初めて聞いた。

 

 嘘だ。

 

 理由はある。この男は必ず理由を持っている。それを言わないだけだ。言えば、自分が何を望んでいるかを言い当てることになるから、言わない。

 

 ――ずるい。

 

 そう思った。そしてその逃げ道に乗った。

 

「……お前がそう言うなら」

 

 座り直した。

 

「…………もう少しだけだ」

 

 誰も何も言わなかった。言わなかったが部屋の空気が変わったのは、はっきりわかった。

 

 トゥワイスが声を上げようとして、マグネに止められていた。死柄木はそっぽを向いて、首筋をかくのをやめていた。荼毘は二本目の煙草に火をつけていたが、口元が緩んでいた。

 

 全員がそれが言い訳だと知っていた。知っていて誰も指摘しなかった。

 

 少年は膝の上で手を組んだ。

 

 ――こいつら。

 

 顔が熱くなっていた。理由がわからなかった。

 

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