代償があるタイプの異能持ち女の子vsチートヒーラーvsダークライ 作:ステラァァァァ!!!
自分のHPを犠牲に強力な攻撃を放つ技、というのはゲームでは定番である。
有名どころで言えば某ポケットなモンスターの『じばく』や『だいばくはつ』。光の戦士なロープレの『暗黒剣』。ある意味で言えば某岩男の『ダークチップ』もか? 例をあげれば流石に数え切れないぐらいあるだろう。ちょっとズレるがピンチの時に強くなるスキルを発動させる為にわざと大ダメージを受けるとかもあるしな。
まあとにかく、力と代償というのは定番だということだ。というか、制限とか代償無しの強い能力を出しちゃうと、もう全部あの人一人で良くないですか? になっちゃうからな。弱いけど代償も無いとか、強いけど一発限りとか、そんな感じで差別点を作っていかないと。
そんな理由……かは知らないが。俺が神様に『死にたくないから回復チートくれ、あと現代日本ぐらいの文明が無いと嫌』と伝えた先の世界も、そんな感じの世界だった。
「それで? 異能を何回使って、どれくらい戦ったって?」
「回数なんて数えてるわけないじゃーん。朝から今の今まで戦ってたし」
「そのうち死ぬぞイカ焼き娘」
「イカ焼き!? 腕の傷跡のこと!? ちゃんとホムラって異能にもピッタリな名前があるんだけど!」
こんな可愛い女の子をイカ呼ばわり……!? って目で俺を見ているコイツは精々女子高生ぐらいにしか見えないが、本人の言った通り戦場に出ている兵士である。
「ってかしょうがなくない? 自分の血しか燃やせないんだから」
「輸血パックとかじゃ駄目なのか?」
「そんな貯めておく暇があるわけないじゃん、せんせーってなんかこう……馬鹿だよね」
「はっ、馬鹿しか語彙が無い馬鹿がなんか言ってらぁ」
今時のソシャゲじゃもう使い古され尽くしたアレだ。人類がなんか化け物と戦ってて、異能が使える女の子だけがそれに立ち向かえるってやつ。規制の関係か海外だと人形が戦うようなやつな。やったことはなくてもイラストとかは見たことあるだろ?
「いーじゃん出血大サービスだよ? 文字通りの」
「それで貧血で運ばれてくるなって言ってんだよ」
剣だか刀だかに自分の血を振りかけて燃える剣! だの、後退する時に自分の血を周囲にぶちまけて炎の壁だのやってるらしい。そりゃ出血多量にもなるわ。
「むー……それで? 私何日で退院になるの?」
「俺の話し相手になるのが一日、暇なヤツ捕まえて遊ぶのに一日、何もせずにボーッと過ごすのに一日。そのぐらい休んどけ」
「やったね久しぶりのお休みだ。せんせーのそういうとこ好きだよ?」
「おー、あと5年経ったらもう1回言ってくれ」
「代償者は15で成人なんだけどー?」
「その乳で何が成人だガキ」
「ノンデリ!」
べーと舌を出す彼女はやはり子供にしか見えない……というか確か16だったから実際子供なんだよな。大人が戦えりゃ良かったんだがねぇ……
百年程前、空から化け物が降ってきた。
当時の戦力でなんとかそれを撃退したが、その後にも現れ続けた化け物は学習したのか現代兵器が通用せず、人類の生存領域は大幅に削られた。
最初の化け物を殺して以来、若い……幼い女性に異能が芽生え始め、それをもって人類はなんとか化け物に抗っている。ついでに付け加えるとそんな彼女らの何人かが命を犠牲にして張った結界のお陰でなんとか一般人も安全に暮らせている。異能様々だな。
物凄く簡易的にこの世界の歴史……というか設定か? を説明すればそんな感じ。まあこんなもの女の子を戦わせる理由付けのためのフレーバーテキストでしかない。あとは戦闘システムの理由付けとか。
「なあホムラ。お前らが戦ってる怪獣ってなんて名前だっけ?」
「怪獣って……捕食者?」
「それそれ。横文字じゃないんだな」
「アニメの見過ぎだよせんせー。そりゃ日本だし日本語使うでしょ……ってか学校で習わなかったの?」
「中卒に心配されるとは……」
「学歴なんて私達に意味ないもーん」
このガキ共……もとい、人類の為に戦ってくれている我らが守護者様達『代償者』は、これまた簡易的に説明すれば軍人にあたる。ただ個々の能力の差が激しくて画一的な教育が出来ず、圧倒的な個であるが故に規律で縛ることも出来ないだけで。それは軍人として考えたら致命的なのでは?
「というか学校みたいなとこには通ってるんだろ? 誰か忘れたが言ってたぞ?」
「あー……学校って言うか、寮? 隔離施設? あれを学校なんて呼ぶ子いるんだ」
「そんな酷いところなのか?」
「逆に聞くけど、ちょっと機嫌を損ねたら自分を殺しかねない人をマトモに相手できる人がどれくらいいると思う?」
「あー……動物園の飼育員とかならいけるんじゃないか? ライオンとかだって人を殺せるだろ」
「私達のことをなんだと……?」
言われてみればその通りか。教師とかなんて叱って嫌われてなんぼって言うしな。学校的なカリキュラムがあったとして、自習で全部済まされてそうだ。
「なんだと聞かれりゃガキだろ」
「大人なんですけど! お酒も煙草も法律的にはオッケーだし!」
「はっ」
子供扱いされて怒ってる間は子供だよな。まあなんというか。子供を戦わせるのは良くないだろうという問題を強引に解決した結果なのだ、こいつらは。選挙権は無いらしいが。そもそもこの世界、まともに選挙なんて機能してないしな。
「は、腹立つ……! せんせー! 包帯かゆーい! 早くいつもので治してよー!」
「サラのやつに換えてやるから我慢しろ。治すのは三日目な」
「ケチー」
「うるせぇ、漫画でも読んでろ」
はーい、と不貞腐れつつベッドでゴロゴロしながら漫画を読んでる姿はやはりただの子供だ。一応異能とは関係なく、そもそもの身体能力だったり頑丈さだったりが人間のそれとは大きく異なっているらしいが……見た目じゃ分からんね。
ちなみに俺は先生と呼ばれちゃいるが、別にこいつら『代償者』の教師とかではない。しいて言うなら保健室の先生かもしれないが。あれだ。修理にリアルタイムが必要なタイプのソシャゲで、修復施設で働いてる職員さんだと思ってくれ。だから当然一緒に戦場に出たりもしない。
『代償者』これは文字通り代償を払って、異能を使い戦う女の子の総称だ。今保健室に居るホムラは『出血した自分の血を炎に変える』異能。他にも『思い出を変換して魔力のレーザーを放つ』だとか、『全身に激痛が走る代わりに身体能力が向上する』だとか、『五感が減衰する代わりに第六感を手に入れる』だとか、まあ色々ある。多分寿命を代償に支払うような奴もいる。
俺の役目はその代償の後始末だ。例えばここに居るホムラだったら傷の治療だし、五感を失うような奴はそれを元に戻すし、意味のある言葉を喋れなくなるような代償を払ったような奴は普通に喋れるようになるまで付き合う……付き合うと言うほど時間はかからんが。チートヒーラーはあらゆる怪我や病を癒すのだ。S〇P500みたいなもん。もちろん二日酔いにも効くぞ。
ただまあ、それをバカ正直に伝えればこのガキ共が使い捨てにされるのは目に見えてるからある程度嘘の報告はしてる。3日も治療(笑)に時間かけてるのもそれだ。
「せんせー! お菓子取ってー!」
「自分で取れ自分で」
そのおかげで結構懐かれてる……が、どっちかと言うと甘く接してくれる大人が珍しいだけかもしれんね。嫌われ役はコイツらの指揮官様にお任せだ。ゲーム脳で考えればむしろ好かれてるのかもしれないが。花束100個プレゼントすれば女の子を抱けるって俺はF〇NZAから学んだんだ。
「ま、俺には関係ない話だわな」
「なんか言ったー?」
「パンツ見えてるぞって」
「え、嘘!?」
「嘘」
まあこの世界は多分ロクでも無さそうだし、それをどうこうするのは多分主人公みたいな人間なんだろう。居るのかは知らんが。
俺は3食飯が食えて、それなりの暮らしが出来るのならそれで文句は無い。古代の王様が一生かけても食えないようなものを食えてる訳だしな。現代文明様々だ。
だから俺としてもコイツらにはきっちり仕事してもらわないと困るのだ。折角後方支援として役立つチートを持っているのだから活かさない選択肢は無い。
あれだ、パンとサラミの為に雇ってもらうってやつ。命を張らない分俺の方は随分と楽だが。
「何? スケベ」
「見てねぇよ別に」
でもまぁ、コイツらと戦う羽目になるのはゴメンだな。
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