代償があるタイプの異能持ち女の子vsチートヒーラーvsダークライ   作:らっきー(16代目)

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週一ぐらいは頑張りたい


ニチアサは本当に子供向けなのか?

「おー……カチカチだ……鉱物っぽい感じ……触られてる感覚はあるのか?」

 

「鈍いですが、ちゃんと」

 

 現在キサラギまでの移動中である……が、暇なので車の中でアマネの腕を眺めてたら触らせてもらえることになった。捕食者由来だからもっと生き物感あると思ってたよ。

 

「カッケェ……身体の一部だけ変身ってロマンだよな……」

 

「怖くない、なら。指先も、触ります?」

 

「よっしゃ……!」

 

 異形の腕はやはり感触も人のそれとは違っていた。ひんやりと硬いそれは作り物と言われた方が納得がいくぐらいではあるのだが……実際普通に動かせているからな。人形のそれのような感触なのに、一般的な腕や手と同じように動くのはどうなっているのだろうか。文字も書けるし箸も持てるんだよな、握り潰しそうなのに。

 

「お? おおー……ちゃんと曲がる……関節見当たらないのに……」

 

「それは、指、ですから。見えないだけ、で」

 

 どういう仕組みかは多分考えるだけ無駄だな。そもそも異能なんてわけわからんもの使ってるわけだし。そこに捕食者由来のものまで混ざれば猶更だろう。うーん、くにくに曲がる……硬さと柔らかさをどうやって両立して……やっぱ分からん……

 

「あの、そろそろ……」

 

「す、すまん……!」

 

 調子に乗って触り過ぎた。年下の女の子の手を……俺っていつもそうですね……! 反省のことなんだと思ってるんですか!? ……いい加減自分の学習能力の無さに凹む。触っていいというお許しが出ても無制限に触っていいわけでは無いのだ。

 

「……感想、は?」

 

「え?」

 

「夢中、でしたから。気に、入ったかな、って」

 

「あー……」

 

 は、恥ずかしい。モナリザに興奮する人みたいじゃん。別に手フェチなんてことは……いや、この手はかなり好きかも。カッコいいし。男の子は全員、日曜日の朝にこういうものへの憧れを刻み込まれてしまっているんだ。

 

「そうだな……子供の頃の憧れを思い出したな。俺は……というか、男の子はヒーローに憧れるもんだからな」

 

「……ごめんな、さい。そんな、いいものじゃ、なくて」

 

「は?」

 

「代償者、は。血生臭い、ですから」

 

 それは……どうなんだろうか。結構ニチアサも鬱展開グロ展開上等じゃない? なんなら少女枠の方も殴り合いとかするらしいし。それは初代だけなんだっけか? 

 

「子供には、見せられません」

 

「それはそうかもなぁ……」

 

 自分の腕を斬って血を振りかけて焼却! とか絶対お茶の間に流せない。これは本当にホムラがやったことあるらしい。そんなことするから失血死しかけるんだよ。

 

「でも俺は好きだぞ、代償者。ボロボロになるのは心配だけどな。……悪い奴らを全員倒してめでたしめでたしといってくれりゃあ、それも必要な苦労だったって思えるのかねぇ」

 

「……ハッピー、エンドを。願いたい、ですね」

 

 色々あったが幸せになりました。そんな風に終わらせてくれるような主人公サマにでも来てもらいたいものだ。デウスエクスマキナは物語としては悪手かもしれないが、登場人物からすればまさしく救いの神であるのだから。

 

 

 

 

 

「やあやあ、お待ちしておりました先生殿。それに……リサイクルも上手くいっているとのことで何よりです。廃棄か使い潰すかで現場と少々議論があったのですが、そちらに送った甲斐があったというものです! 我々としてもまだ使える物を破棄するほど余裕があるわけでは無いのでね。なのでそのやり方など──」

 

「うお……」

 

「……」

 

 一目見ただけでこんな勢いで喋るか? 普通。顔見知りでも……いや、一応前来た時に初対面は済ませているから顔見知り……? 第一印象最悪だったが。俺は既に君のことが嫌いだ。

 

「ああ失礼。あまり外の人間と話す機会が無いもので。ええと……そう、天気の話でもしてみますか? 雑談の定番と聞きましたが」

 

「結構。早いところ帰りたいんでな。脅されてなきゃ誰が来るものかよ」

 

「脅し……? 誰か暴走でもしましたかね。まあこちらとしても話が早い分には有り難い」

 

 メッセージを送ってきたのは別の人間か……? いや、代償者の廃棄だのなんだのは脅してるわけじゃなく、単に事実を伝えてるだけに過ぎないということか? こいつらの感覚が分からん。

 

「さて、先生殿のご要望は『廃棄予定の代償者を治せるか診させて欲しい』でしたね? 需要と供給の嚙み合った実に有難い要望だ。研究者としてはともかく、国としては使い続けたい代償者というのは居るようでしてね」

 

「おたくらは?」

 

「我々? 先程お伝えした通りですよ。まだ使える物は使うし、無理ならそれはそれ。必要な物があるならそれを作り出すのが仕事ですから……そういう意味では、国に代替品を提供できていないのは恥ずべきことですね」

 

 本当に恥なんてものを感じるのなら代償者の扱いでも改善して欲しいものだが……まあ、子供を戦わせることを恥じていたらとっくに全滅か。クソみてぇな世界。

 

「なので今回の代償者の修──治療は本当のところ国からの要望という形になりますね。より正確に言えば我々が国からせっつかれているのですが。早く直せとね」

 

「そんなに強い代償者なんで?」

 

「便利、が正確かもしれませんね。替えが利かない、でもいいですが。詳しいことは本人が説明してくれると思いますよ」

 

「そんな奴を廃棄する予定で……?」

 

「あくまで予定、ですからね。実質の所は凍結になったでしょうか。とはいえ、使用できないという意味ではどちらも同じでしょう」

 

 コイツらからの製造か廃棄の見学という提案に俺が出した答えが先程の『廃棄予定の代償者を治せるか診させて欲しい』というもの。流石に見殺しは気分が悪すぎるしな。それに対するのが廃棄予定の中で、指定の代償者の治療というのは……どこまでが向こうの想定内なのかね。俺が要望してるのか向こうの要望に従ってるのか分からなくなってくる。

 

「ということで今から要望の代償者の所へご案内しますが……そちらは? 預かっておきましょうか?」

 

 アマネの方を見ながらそんな提案。その預かるにも物的なニュアンスを感じてしまうのは偏見だろうか。別に人に対しても預かるって言い回しはするはずなんだが。

 

「護衛と離れる阿呆は居ないでしょうよ」

 

「ふむ……まあそれならそれで構いませんが……くれぐれも異能は使わないように頼みますよ? 私達が死ぬのはともかくデータが消えるのは困る」

 

「しません、よ。先生が、居ますから」

 

 俺が居なかったらやるの……? まあ流石に言葉の綾だろうけどさ。そんな恨みも……どうだろう。キサラギと関われば関わるほど嫌いになりそうだし。今までの代償者としての活動をどこの指揮下でしていたのか次第かもしれない。

 

「では参りましょうか。……ああ、必要かは分かりませんが資料を渡しておきましょう。とはいえ、本人に聞いた方が早いかもしれませんとは言わせていただきますよ」

 

「うーん、二宮金次郎……」

 

「誰、です?」

 

「すまん何でもない」

 

 歩きながら文字を読むと乱視になるゾ。というか付いて行かなきゃいけないのに同時に資料を読ませるな。あとついでにこの世界二宮尊徳さんいなかったりする? 知名度が低いだけか? 最近は小学校に像無いらしいしな。

 

「えーっと、生い立ちとかは置いとくとして……『名称:トワ 異能:未来視 代償:不明』……不明? なあ、アマネ」

 

「はい」

 

「代償っていつ自覚した?」

 

「いつ……異能を、初めて、使った時……です、ね。なんと、なく。持っていかれたな、って」

 

「ふむふむ」

 

 となると代償を自覚してなくて本当に不明ってことは無いか。隠しているのか……何のために……? ついでに不明ってことは見たり軽く調べたり程度じゃ分からないってことだな。代償は五感とかそういう系か? 下手するとチートで治せないような代償かもしれんね。そこはもうお祈りだな。

 

「『異能で任意の未来を見るためには時間が必要となるため戦闘には不向き。予知できる期間に制限は無いが、本人曰く遠い未来であればあるほど代償が大きくなるとのこと。的中率は100%だが適切な介入により変えることは出来る』」

 

 こういう未来視系の超能力は幾つか種類があるのがお約束。その中でも創作では大きく分ければ二種類で、確定した未来を見るのか、適切に対応すれば回避できる未来を見るのか。……前者じゃなくて良かった。もっと言えば前者だった上で人類が滅んだ荒野が見えたとか言われなくて良かった。もしそうだったら俺はこの瞬間から享楽主義者に鞍替えしていたぞ。

 

「お疲れ様でした。件の代償者はこちらの部屋の中に。それでは、私はこれにて」

 

「うん? てっきり治療してる所を見せろと言われると思ってましたが」

 

「そうしたいのは山々ですがね。アレを怒らせる訳にはいかないのですよ。最悪の未来に誘導されかねませんので」

 

「ふぅん……まあ、俺としてはありがたい」

 

 

 

 部屋に入って目に入ったのは、こちらに背を向けて何やら書いている少女の姿。裾が擦り切れたボロいローブみたいなものを着ているのはファッションなのか? オジサンに若い子は分からん……

 

 アマネとは違ってペンを握っている手は普通。見える範囲では脚も普通。一つ目を引くのは、ローブの腰の辺りの裂け目……いや、婉曲的に言う意味は別に無いな。

 

 端的に言えば、彼女の腰からは黒い鱗に覆われた異形の尻尾が生えていた。……どうでもいいが太過ぎないか? 身体の横幅と根元のサイズがほとんど変わらなそうなんだが。

 

 と、尻尾ふっと……可愛い……あわよくば俺の腕に巻き付けてくれないかな……なんて考えていたら、俺達が入室した事に気が付いたのか、彼女がこちらを振り向いて……

 

「先生! 会いたかったよ! ちょっと痩せた?」

 

「え!? あー……うーん……俺も会いたかった……ぞ……?」

 

「……知り合い、ですか?」

 

「初対面のはずなんだが……?」

 

 なんか懐かれてるっぽいんだけど、何? 小さい頃に一緒に遊んでたけど引っ越しの関係で離れ離れにでもなってた? そんな幼なじみが俺に居るわけないだろ。

 

 とてとて歩いてきて、当たり前のように手を握ってくる。初対面の距離感か? これが……

 

「あ……すみませんでした。私……」

 

 と思ったら笑顔が急に曇って、尻尾もしおしおと力を無くす。明らかに凹んでる雰囲気。

 

 俺、また何かやっちゃいました……? 

 




二宮金次郎像ってもしかして皆見たことない…?

二宮金次郎像って小学校に

  • あったよ
  • なかったよ
  • 誰それ?
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