代償があるタイプの異能持ち女の子vsチートヒーラーvsダークライ 作:らっきー(16代目)
なんとかなれー! とチートパワーで誤魔化して、頭に触れるまでで許して貰えた。俺のチートの仕組みは俺自身未だによく分かっていないぞ。一応その方が効きそうだからってことで患部を触るようにはしてるけど、それに意味があるのかは知らない。もういっそ呪文でも唱えてみようか。
さて。結論から先に言うと、トワの未来視の代償については、アマネを治した時と同じように改善はすれど完治はせず、といったところだ。チートなんだから問答無用で完治出来ても良さそうなのに。チートを貰っても無能は無能だから使いこなせないってことですか? 凹む。
「それはそれとして。いつまで手を握るつもりだ?」
「も、もうちょっとだけ……! 温度を感じるのも久々で……」
そんなことを言われると流石に無理矢理振りほどく気にもなれない。まあどのみち力で負けている以上無理矢理なんて出来ないのだが。この子がその気になったら俺の手は二次元になってしまう。
「……いや、それならアマネでもいいんじゃないか? 少し触れてやってくれ」
「いいですけど、先生、は。責任を取る、べきでは?」
「責任とは」
「……とりあえ、ず。先生は、手を握り、続けて」
まあ向こうから離されるまではこのままでもいいか? 流石にこれでセクハラとかは言われんだろう。頼まれてるわけだし。責任を取れてるのかは知らん。
「先生、先生、こう……力を入れたり抜いたりしてもらえると有り難いんですけど……」
「うん? ……こう、か?」
「あ~、脳味噌痺れる~……」
「それは大丈夫なのか?」
いきなり感覚を取り戻したらこうもなる……か……? それでも流石に脳が痺れるは不安になるが。とはいえご機嫌だし多分大丈夫でしょう。うお、そのブオンブオン振れてる尻尾当たったら死ぬ……!
「振りすぎ、ですよ」
「お゛っ!?」
「大丈夫な声なのか……!? 今のは」
アマネが尻尾掴んだら変な声出して身体が大きく跳ねたんだが。猫の尻尾を踏んだ時みたいな。トワの尻尾はどっちかと言うと爬虫類系だけど。
「そ……そんなに、強く、握っては……?」
「し、新感覚……脳がバグる……」
本来人間に存在しない部位への刺激だから受け取る感覚がおかしくなってるのだろうか。想像でしかないが尾骶骨を掴まれる感覚とかが近い……?
「というかアマネの腕は感覚鈍いのにトワのその尻尾は敏感なんだな……どういう差なんだ……?」
「ちょ、せんせ、あ゛っ、変になるっ!」
ワニとかイグアナとかそういう系の尻尾。見た目のイメージだと、アマネのと比べずとも感覚も鈍そうなものなんだが、それならここまで身体が跳ねたりしないだろう。謎だ。
「……というかどうやって生えてるんだ? これ。そもそもどうやって服から出して──」
「こ、こら──!!」
「うわ! す、すまん」
そんなわけで。
「……えー、はい。そんな感じで早速私の異能を使おうと思うんですが」
「そんな感じってどんな感じなんだ?」
「誤魔化し……」
「コホンっ! 私の異能はですね、いつ、どこを視るかを意識しながら使うものでして、私は時間感覚がお亡くなりになってるのでそこは指定出来ないんですけど」
「千年後とか視えたりする?」
どうしよう、唐突に草原を走ってる動物の映像とか見せられたら。プレイヤー置いてきぼりのタイプのゲームのエンディングみたいな。グラフィックが良ければ売れると思ってるからどんどん売り上げが下がるんだよ。
「視えるかもしれませんけど、流石に千年後は本当に視えてるかの判断が出来ないので……」
「そりゃそうか」
下手したら生態系も変わってるもんね。というか千年って、こう……和歌詠んで夜這いかけてた時代の人に現代の事伝えても信じないだろうし、千年後なんて視えても意味無いわな。訳分からん機械とか使ってそう……人類が負けてなければ。
「ともかく指定出来ないなりに、ふわっと近い未来を見直そうと思います。具体的には襲ってくるであろう捕食者の親玉みたいなやつについて」
「そんなの居るのか?」
マザー〇〇みたいな……? 時々あるよね、親玉倒すと全滅させられる系のエイリアン。でもそういうのって大体敵本拠地の最奥に居るものじゃない?
「うーん、私の言い方が悪かったですね。ほら、あれですよ。要は統率個体です。そのお化けみたいなのが襲ってくる……はずなので」
「俺は統率個体とやら自体見た事無いんだがなぁ」
なんか倒したら周りの雑魚が死ぬんだったか……? 逃げてくだけだっけ……? シオン辺りに確認しとこう。遠距離戦主体だから見慣れてるだろうし。アマネも遠距離で戦えるタイプではあるけどほら、地震で全体攻撃どーん! だったらしいからさ。
「あれ? この前見に行ってませんでした? ほら、あの薄紫の子と一緒に」
「誰だ……シオンか? あと多分未来が混ざってるぞまた」
「あれぇ……? 治ったつもりだったんですけど……」
無能ですまない……なんて声に出したら『そんなことないですよ!』待ちになっちゃうからお口にチャック。
ちなみに名前に合わせてるからかは知らないが、服とか小物は名前からイメージ付くカラーリングにしてるっぽい。シオンは薄紫の髪色で服にも差し色で使ってるし、ホムラは黒髪に赤メッシュ入れてるし、アザミは花の色の紫……とみせかけて金髪にしてる。なんで? って聞いたらカードゲームの方っすよって言ってた。代償者達のルールだったりするのだろうか。色。
閑話休題。
「まあなんというか……ほら、超大型の巨人みたいな感じで? 今までの群じゃなくて、個で結界を壊せるような化け物が来ちゃうみたいなので、それを倒せる未来に辿り着くべく頑張ってるわけですよ」
「捕食者も色々考えてるのか……」
でもそれならそれで遠距離主体の代償者集めて集中砲火で倒せそうじゃない? 的がデカイってことだし。
「ちなみに第一案は代償者を量産してこっちが数で押し潰す事だったんですけど……結果は倒す前にこっちの代償者が限界を迎えちゃって、それに対処するうちに攻め込まれて……結局負けましたね」
「素人考えはそりゃまあ考えてるかぁ……」
あと若干濁されたけど、代償者の限界はやっぱ捕食者になる事なのね多分。対処する必要があるってことはそういう事だろう。ただ死ぬんだったらほっとけばいいわけだし。
「ちなみに、1番無駄だった作戦案は?」
「また趣味の良いこと聞きますね……個人的には一般人にも戦ってもらおう! ってやつですかねぇ。一応捕食者の細胞とかから作った銃弾とかで雑魚なら殺せなくはないですし」
「まあ圧倒的な個が相手なら無駄か。露払いぐらいは出来るかもしれないが」
「やー、それがですね。捕食者に民衆が喰われて、その場で人素材の捕食者が産まれるっていう最悪の末路がですね」
「捕食者ってそういう生態なの……?」
食べた分産むタイプのやつなの……? しかも口ぶりからして餌で子孫の特徴が変わるタイプの。分かりやすい例としては某狩人狩人のデッケー蟻。
「あの未来は酷かったですよ……単純に地獄絵図ですし、代償者の子達も狂い出しちゃいますし……まあ元家族とかを殺せって言われて割り切れる様な人は代償者になれないからしょうがないんですけど……」
「まあ守りたい人でも居なきゃやらないよなぁ、代償者。よっぽど食い詰めてりゃ別かもしれんが」
「後は大切な人を守ろうとして他が疎かになったり、目の前でその人が死んで隙が出来たり? というかそもそも代償者の選定基準なんですよね、人質として取れるぐらい大切な相手が居ること」
「え」
「分かりやすいのは家族ですし、人によっては親友とか……彼氏とか? まあ私みたいに例外も居るのであくまで基準ではあるんですけど」
「……それ、俺が聞いていいやつか?」
「あっ…………てへっ」
「このガキ……!」
いやまあ、理屈としては分からんではない。制御出来る手段が無きゃそりゃ人外の力を使える兵士なんて量産しないわ。身体に爆弾埋め込んでたり、遠隔起動出来る首輪爆弾とか付けられてないだけマシかもしれない。マシなわけないだろアホか。こんなんじゃ俺、人類のこと守りたくなくなっちまうよ……
「まあそんな訳で、現状は質を高めていこうって事にはなってますね。結果が出てるかは置いといて」
「要は強い代償者を作ろうって事ね。出来るのかは知らんが」
「それでどうなったかは……今から視てみましょうか。ということでもう一回手握ってくださーい」
「うん? 即治療しろってことか?」
「いえ、1人までなら未来視に巻き込めるので。一緒に視ましょ? ほら、ウチ動画のサブスクとかありますよ?」
「持ち帰って食おうとしてる?」
嫌だなサブスク制の異能。腕を捧げれば使い放題! みたいな?
「まぁまぁ、ほら異能いきますよ〜」
「そもそも俺も視る意味はあるのか……?」
まぁまぁで全部押し切ろうとしてない? 別に損があるわけじゃないからいいんだけどさ……
見た目を描写するのがほんとに苦手