代償があるタイプの異能持ち女の子vsチートヒーラーvsダークライ 作:ステラァァァァ!!!
異能と代償。この世界においては代償者によって形こそ違っても、その2つはセットである。
ホムラなら『発火と出血』……いや、『発火と血液の喪失』? シオンなら『魔法と記憶喪失』、アザミなら『身体能力向上と激痛』。今フラフラ出歩いてるもう1人は『分身と身体の一部』。……最後はそのうち帰ってきたら紹介するぞ。気質が放浪者すぎるんだよヤエは。許されてるのは完全に本人の人徳。
そして目の前の少女の場合は。
『『振動と歌』それが私の異能と代償でした。異能を使うと歌えなくなる。軽い方で当たりだと言われたのですが』
使い過ぎたら即死するものが一番のハズレ。そうでなくとも日常生活に支障が出るものはハズレ。物理的な対価じゃないものは当たり。ざっくりそんな感じの認識をして貰えればこの世界の基準だ。
ウチで言えばホムラはややハズレ、シオンは当たりだが精神的にキツイ、アザミは当たり、と思って貰えたらいい。本人達を見てたら何が当たりじゃカスとしか思えないが。激痛も十分辛いだろうが。
『喋る事も問題無い、口や喉の機能も問題無い、ただ歌おうとすると声がおかしくなる、と。それだけの代償のはずだったのです』
「だけかなぁ……?」
「人次第だろ」
俺だったら正直どうでもいい。年頃の女の子的には辛そう。アイドルとかだったら詰み。アイドルは代償者になんかならない? それはそう。
『私もその程度ならと乱用していたのですが。歌おうと思わなければ関係無いですし』
「あー……完全に歌えなくなったのに異能を使ったからもっと深く持ってかれた、みたいな?」
『はい。恐らくは「歌」から「歌う為の機能」に拡大解釈されたのかと』
「なるほどねぇ……」
「声が掠れて、高音低音が出なくなって、最終的に声が出なくなるみたいな? 合ってる?」
『概ね』
代償って無理矢理でも取り立てられるんだなぁ。これで更に使おうとしたら何持ってかれるんだろ? 文字とか? ああ、いや……
「最終的がその腕か? 喉からじゃないんだな」
『身体の末端から始まるみたいです。足からの子も居たらしいですよ』
代償の場所とは関係ないんだな。となるとこれは異能由来じゃないのか……? 他に普通の人と違うところと言えば……
「武器? 調整手術?」
『どうでしょう。単純に天罰かも』
異能を使い過ぎると捕食者になる、というのも全然ありうる話だとは思う。異能がどうして芽生えたのかは未だに分かってないしな。だがしかし俺の、ゲームのやり過ぎでもう1ターンだけ……が寝言になった脳味噌が弾き出した答えは──
「異能を扱う為にって、捕食者の細胞でも埋め込まれてるんじゃないのか?」
定番じゃんね、敵の力を使って敵を滅ぼすの。
「やー……流石に人に入れるもんじゃないでしょ、って言いたいんだけど……どうなんだろ」
「捕食者って異能とか使ってこないのか?」
『物理法則を無視した事はしてきますよ』
「私も、水の無い所でこれ程の水遁を……!? みたいな事とかされたことあるー」
「その例えはどうなんだ?」
まあ言わんとしてることは分かる。オタクって便利ね。
『雷撃を放ってくるようなのも居ますね』
「あー居る居る。私と違って血とか無しに火吹くような奴とか。狩りゲーの敵みたいな感じ?」
「絶対厄ネタじゃん……!」
それを発生させてる器官なりなんなりを使ってんだろこれ。気づけ……! オタク……! ……もしかしてその手の展開が含まれるものだけ抹消されてたりする? 初代ライダーとか。
「……よし、1回整理させてくれ」
とりあえず目の前の異形の腕の少女……アマネは代償を払い過ぎてもう差し出せる物が無くなったと。正確に言うなら代償に応じる部位が無い、かもしれないがその辺はいいとする。
そしてそれでも異能を使おうとすると侵食される……んだろうか。それとも代償は関係無く異能を使い過ぎるとこうなる? でもウチの誰もそんなんなってないしな。
うん、この辺は考えても答え出ないな。いっそ治療と引き換えに情報寄越せとでも言ってみるか……と言いたいところだが、俺の治療がチート由来なせいで交渉材料にならない。クソわよ。
「アマネ……さん、は何故ここに? まさか戦力としてじゃないよな?」
『呼び捨てで良いですよ。ここに来れば長持ちさせてもらえると言われたから、ですね』
「うーん、ちなみに仮に長持ち……また戦えるようになったとして、何をする気だ? 異能を使ってこき使ってきた連中に復讐! とか言われたら帰ってもらうしかないが」
『凄いこと考えますね』
「せんせーって基本私達のこと蛮族だと思ってない?」
あれ? ドン引かれてる? 俺だったら復讐するが……良い子だねぇこの子達……
『腕はもう諦めましたし、今更喋れるようにとも思いませんが。死にたくないんです。お金が必要なので』
「代償者ってそんな給料良いのか……?」
この時は知らなかったが、後でシオンに確認してみたら、代償者の給料は一家を養ってなお余るぐらいだとか。人身売買……?
「死にたくないなら引退……じゃダメなのか。金が必要なんだから」
『この腕じゃ身体も研究所ぐらいにしか売れませんしね。笑い所ですよ?』
「黒い腕だけにブラックジョークってか?」
「笑えないよ……?」
俺が取れる選択肢は大きく3つ。
1つ、見なかったことにして帰す。この場合目の前の少女は良くて実験台、悪けりゃ使い潰しかね。良いことは何にも巻き込まれずに済むこと。事なかれ主義ってやつ。
2つ、アマネを治療する。多分俺のチートなら声ぐらいは治せる。腕も……ぶった斬って新しい腕を生やせばイケる……か……? もう一回この黒い腕が生えてくるだけかもしれん。そこはなんとも言えんな。悪い事はそれだけ治せると知られた場合の影響が分からんこと。杞憂ならいいんだがね。
3つ、治療中と言い張ってここで匿う。まあ要は問題の先送りだ。それなら治療も出来るし情報も伝わらない……なんてのは希望的観測過ぎるな。調査が入るまで……いや、そもそもアマネがスパイみたいなもんって可能性もあるか?
まあこんなところだろう。1は無いなとりあえず。となると……誤魔化せる程度に治すのが一番丸い……か……?
「いや、両方満たしちまえばいいんだ。よし、ちょっと触るぞアマネ」
『えっちなことされちゃいます?』
「しねぇよガキ」
心臓に悪いから止めて。あんまり挑発するとリンパマッサージするぞ。というかこいつウチの連中より気持ち大人びてるから余計ムラっと……じゃない、ドキッとするんだよ。片腕出すためにノースリーブな和服だから横乳見えそうだし。
とりあえず腕……うん、無理だわこれ。俺の直感が手に負えないって言ってる。やろうとしたら本当に切り落とさなきゃダメそう。切断後の身体に異物が残らないなら俺が治せる。チートなんだから失くした腕を生やすぐらい余裕よ。
『あんっ♡』
「文字で書くな文字で」
「せんせーさいてー」
ジト目で俺を見るな。医療行為だろうが。というかお前の方がもっといろんな所俺に見られてるだろうが……!
「喉触るぞ」
俺のチートは治癒……というよりざっくりHPを最大値にして状態異常を全て回復するものだと思ってもらえたらいい。だからホムラの怪我なんかは簡単に治せるし、シオンの記憶喪失も状態異常として治癒できる。しかしアザミの激痛は感覚の問題だからあまり意味が無い。
このおそらく捕食者になったのであろう腕は状態異常扱いでいけるかとも思ったんだが……まあさっきも言った通りこのまま元に戻すのは無理臭い。異能……というか捕食者の能力とチートで干渉でもするのだろうか。
そして『歌』という代償についてだが……声は失語症という状態異常を治癒している、という感じで治せる。歌が歌えるようになるかは分からん。継続デバフには俺のチートは相性が悪いのだ、治してもすぐにデバフ喰らうから。常に触れ続けてればいけるかもしれん。アザミも触れてる間だけなら痛み消えるらしいし。
そんなわけで。
「よしホムラ。くすぐってやれ」
「なんで? いいけど」
「ひゃっ……! …………ぇ?」
「む、普通に声出すのはまだ無理か?」
代償として捧げてから時間が長かったからか? リハビリ要らずのチートのはずだったのに。凹む。チートの無い俺なんてただのオジサンだぞ。そんな歳じゃないが……!
「ぁ……ゎた…………こぇ……?」
「あ、せんせーが女の子泣かしたー!」
「す、すまん……俺が喉触ったせいか……?」
オジサン臭いのがうつったからか……?
エタらない魔法のボタン
投稿ペースが滅茶苦茶になってきたので日曜日はとりあえずお休みです。
次回はアマネ視点。書け次第の投稿かな…
あと自分で書いててこの書き方で伝わるか…?って感じなのでこの辺が分からんぞ!って感想に書いていただけると次話以降で本文に反映できるかと…!自分じゃ分からないので…