第1話「機道裕輝の新メニュー開発記録」
ラズマから人々を守るため、そして自身の願いを叶えるため、仮面ライダーとして戦う機道裕輝。
これはそんな彼と、彼を取り巻く人々の日常を切り取った、幕間の物語──
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裕輝「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二人です」
裕輝「二名様ですね。空いているお席へどうぞ」
とある日の昼下がり、裕輝はいつものように接客をこなしていた。
少しずつ客入りの増える時間ではあるが、からくりを基本的に一人で切り盛りしている裕輝には慣れたもので、流れるように席へ案内し、注文を聞き取り、そして提供を行う。
しばらくそうしているうちに気づけばピークタイムを過ぎ、学校帰りの学生たちが街を行き交う時間になる。
そんな学生たちや、井戸端会議の場を移したマダムたちがポツポツと店を訪れつつも、緩やかに客足が落ち着く15時半を過ぎた頃、喫茶店からくりはこの時間帯、週に数回ほど店の看板を「CLOSE」としていた。
裕輝「ふう。今日は少しお客さんが多かったな」
才花「来たよー」
裕輝「あ、才花さん。いらっしゃい」
才花「いつもので」
裕輝「はいはい」
裕輝が店の中に戻って一息ついていると、才花が店を訪れる。
慣れた所作でいつもの席へ座り、注文する才花に、これまた慣れた様子で裕輝は応対する。
才花「……そういえばさ、この店っていつも客いない気がするんだけど、経営回ってるの?」
裕輝「えっ?」
才花「あっ。いや、馬鹿にしてるわけじゃないんだよ!?その、私が来る時って店閉めてくれてるけど、お店大丈夫なのかなって…ちょっと心配になっただけっていうか……」
裕輝「ああ、そういうこと。まあ、ありがたいことに意外とお客さんは来てくれてるよ」
才花「そうなの?」
裕輝「まあ、ランチタイムとかはね。けどまあ、才花さんが来てくれる時間も大事だし」
才花「ならいいけど…」
普段から自分のために店を一時的にでも閉めてくれている裕輝に、経営の心配をする才花。
そんな才花に、裕輝は今の所経営は安定していると返す。
裕輝「あっ、そうだ。そういえば客入りの関係でやろうと思ってたことがあったんだよね」
才花「やろうと思ってたこと?」
裕輝「うん。先行きも見据えて、新規層とかも開拓していかないとなあ、と思ってるんだけど…それにあたって新メニューを開発しようと思ってね」
才花「新メニューかあ。どんなの考えてるの?」
裕輝「それが、アイディアが出てこないんだよねえ。……そうだ、才花さんは何かいい案ない?」
才花「いい案って言われても…そもそも今ってどういうお客さんが多いの?」
裕輝「うーん。このお店はある人から引き継いだんだけど、やっぱり先代からの常連さんが多いというか、年齢層は高めな印象あるなあ」
才花「じゃあ、若い人を呼びたいってこと?」
裕輝「まあ、新規層ってなるとそうなるかな」
裕輝は新規層の開拓をしようとしていることを明かすと、才花にアイディアを求める。
才花「なるほどねー…。やっぱりさ、若者ウケを狙うなら“映え”だよ!」
裕輝「“映え”……」
才花「そして…“映え”を狙うなら、スイーツでしょ!」
裕輝「なるほど…一理あるね」
才花は若者ウケを狙うなら“映え”を狙うスイーツがいいと提案し、裕輝も納得した様子を見せる。
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才花「それじゃあ、今あるからくりのスイーツメニューを整理しようか」
裕輝「そうだね。まず一番人気なのはやっぱりパンケーキかな」
才花「確かに、この店のパンケーキ美味しいよね」
裕輝「才花さんもよく頼んでくれるよね」
才花「まあ、美味しいし…。他だと、プリンアラモードとか、あんみつがあるんだっけ?」
裕輝「そんな感じだね。全部先代から受け継いだメニューだけど」
才花「まあ、喫茶店らしいメニューではあるよね」
裕輝「後はワッフルとかチーズケーキ、フルーツタルトとかもあるよ」
今からくりにあるめぼしいスイーツメニューというとパンケーキを始めとしてプリンアラモードやあんみつ、ワッフル、チーズケーキ、フルーツタルトなどのいかにも喫茶店らしいラインナップであることを整理する。
才花「やっぱり喫茶店らしさは残していきたいよね」
裕輝「まあ、確かに。ホールケーキとかまで行くとケーキ屋さんだもんね」
才花「となれば…この店に必要なのはズバリ、パフェ!」
裕輝「パフェ…!」
才花「色とりどりのフルーツと純白のクリームのコントラスト!これぞまさしく“映え”と喫茶店らしさを両立できるメニューだよ!」
裕輝「確かに、パフェなら今仕入れてる材料も使えるし、いくつかバリエーションも作れそうだね」
才花「そうと決まれば、早速試作しようよ!」
裕輝「えっ、今から!?」
才花は喫茶店らしさを残しつつ“映え”を求められるスイーツとして「パフェ」を挙げ、それを聞いた裕輝が悪くないと返すと、早速試作することに。
裕輝「……さて、まずは手始めにスタンダードなイチゴパフェを作ってみたけど、どうかな?」
才花「じゃあ、いただきます。……うん、美味しい!けど、ちょっと甘みが強すぎるかもね。イチゴの酸味も活かせば、いいアクセントになって飽きが来にくい味になる気がするな」
裕輝「なるほど……」
一品目、裕輝が用意したのは王道のイチゴパフェ。
食べてみた才花は甘みを落とした方がいいかもというアドバイスを送ってみせ、裕輝はそのアドバイスをメモする。
裕輝「じゃあ、次はこれ。チョコパフェ!」
才花「これも定番だよね。いただきます」
裕輝「……どうかな」
才花「うん。美味しい!チョコの甘味も少し抑えめになってるし、バナナとかのトッピングとも協調できるようになってるし、いいんじゃない?」
裕輝「じゃあ、この方向性でいこうか。……っていうか、なんか才花さん、評論家さんみたいだね」
二品目のチョコレートパフェを食べた才花は甘味のバランスなどを褒め、裕輝は方向性を掴みつつも、才花の妙に的確なアドバイスに困惑する。
裕輝「それじゃあ三品目。これはちょっと変わり種のプリンパフェ」
才花「こういうのもあるよねえ。じゃあ、いただきます。……!美味しい!」
裕輝「本当?よかった」
才花「プリンの濃厚な味とカラメルのほんのりとした苦味…そして少し甘みを落としたクリームが絶妙に絡み合って、素晴らしいバランスを生み出してるよ!」
裕輝「すっごい詳細な食レポ…。じゃなくて、ありがとう!ちょっと掴めてきたかな」
三品目に裕輝が用意したのはプリンパフェ。
イチゴパフェやチョコレートパフェと比べると変わり種な感じはあるが、才花は高く評価する。
才花「けど、これじゃあまだ足りないよ」
裕輝「えっ?」
才花「ここまではまだ、見た目は普通のパフェ」
裕輝「まあ、確かに…?」
才花「ここから更に話題性を勝ち取るためには、人の目を引くような“スペシャルなパフェ”が必須!」
裕輝「な、なるほど…?」
才花「というわけで、早速試作しよう!」
裕輝「なんかテンション変じゃない!?…まあ、いいか……」
三種のパフェを食べた才花は、しかしまだ話題性には欠けると評し、裕輝に“スペシャルなパフェ”が必要と答える。
裕輝「とりあえず、なんかスペシャル〜って感じのパフェを使ってみたけど…これでよかったのかな…?」
才花「イチゴ、メロン、ぶどう、マスカット、オレンジ…なるほど、フルーツを色々乗せて…更にはチョコレートソースにプリン、バニラアイスも乗せた…と」
裕輝「安直すぎたかな。見た目は結構気を遣ったんだけど」
才花「情報量は多いけれど、くどさを感じない程度に抑えられているし、いいんじゃないかな。とはいえ、ここまで色々乗せると、味のバランスが崩れていないことが大事になるよ。……さて、いただきます」
裕輝「……ごくり」
才花「……ッ!これは……!」
裕輝「これは…?」
才花の言葉を受け、裕輝が持ってきたのは複数のフルーツとチョコレートソース、プリンやバニラアイスを添えた中々豪華なパフェだった。
黙々と食べていた才花を、裕輝は緊張から固唾を飲み込んで見守る。
才花「色とりどりのフルーツたちの味のバランスを繋ぐ、チョコソースとプリン、そしてホイップ。……これぞ、まさに完璧なパフェ!パーフェクなパフェだよ!」
裕輝「やっぱりなんかテンションおかしくない…?……けどまあ、美味しかったならよかった」
才花「メニュー名はどうするの?」
裕輝「んー…折角だし、“からくりスペシャルパフェ”にしようかな」
才花「ふっ、いいじゃん…!」
裕輝「そのテンションはこのままいくの…?」
妙なテンションで豪華なパフェを褒め称える才花。
そのテンションにはついていけていないながらも、裕輝は才花の褒め言葉を素直に受け取り、新メニューとして“からくりスペシャルパフェ”の名をつける。
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「からくりスペシャルパフェを二つください」
裕輝「はい。ただいま〜」
新メニューの考案から数日が経った頃。
盛況している様子のからくりにて、裕輝は忙しそうに注文を捌く。
裕輝「ふう。疲れたな…」
才花「聞いたよー、盛況してるみたいだね」
裕輝「ああ、才花さん。いらっしゃい」
才花「今はお客さん落ち着いたの?」
裕輝「まあね。才花さんが協力してくれたおかげで、パフェのメニューは好評だよ」
一通り客足が落ち着き、裕輝が一息ついていると、そこに才花が来店する。
才花「ならよかった。それじゃあ私も注文しようかな」
裕輝「あ、才花さんも注文するの?」
才花「冷やかしに来たわけじゃないからね。それじゃあ──」
裕輝からのお礼を受けて安心していそうな様子と共に椅子に腰掛けつつ、注文する様子を見せる才花。
話の流れからしてからくりスペシャルパフェだろうと考えた裕輝は準備しようと動く。
才花「──いつもので」
裕輝「そこはからくりスペシャルパフェじゃないの!?」
まさかのいつも通りの注文を貫く才花に、裕輝のツッコミが響き渡るのだった…。
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ベータ「次回のお話は?」
才花「私たちが通う紀佳井高校での日常のお話みたいだね」
陽菜美「あはは、なんだかちょっと、恥ずかしいですね…」
裕輝「才花さんたちって普段どんな感じなんだろうなあ」
才花「次回、『械条才花の学園生活』」
ベータ「是非見てくれよな!」