富・名声・力。
この世のすべてを手に入れた出版社、集英社と
彼らの終わり際に語った一言は、
「日本語版? 欲しけりゃくれてやる。
探せ! この世の全て(の
新規ファンは
世はまさに 大
(※2026年 9月末にて、コラボ作品および日本語版は配信停止予定です。)
「つまり、どういうことかって?
あ、映画版の俺ちゃんの
くるりと回転椅子をまわし、赤黒い全身スーツの男は”あなた”へ振り向く。
「【デッドプール:SAMURAI】を知らない新規ファンに優しくない
ってことだよ! なんで原作と同じことしちゃうかなオタクくんは!」
あーあ、とでも言いたさそうに。
手を額に当て、くるくると回転椅子をまわす。
「言ってたじゃん、これスパイダーマンの企画だって!
でも、俺ちゃんが出た
次に【スパイダーマン:オクトパスガール】だろ?
場合によっちゃあ、タグに”ヒロアカ”に【ToLOVEる】に……えーっと……?」
くる……くる……と。
回転が弱まる椅子の上で、指折り数えた男。
彼は伸ばした指をすべて折り、「あーめんどくさい!」と、
「 【 少年ジャンプ
「うちの子に出番を寄越すならさ、
どんな ”
クソみたいなタグの次に『親愛なる隣人杯』と『スパイダーマン』、
それと『サクラスパイダー』『
最後に、【 少年ジャンプ
どこかの誰かのアカウントを勝手に開く。
画面をフリックしてweb小説投稿サイト『ハーメルン』の「投稿小説情報の編集」の内容を勝手にいじり、「編集終了」のボタンを押す。
「これで ヨシッ!」
スマホ画面を指さし確認。
ヘルメットをかぶっては間もなく脱ぎ捨てた男、デッドプールは”こちら”に向く。
「それじゃあ、俺ちゃん格ゲーでいそがしいから!
え、『これデッドプールの二次創作じゃないのか』って?
ごめん、俺ちゃんの出番は次までお預けなのよ、ちょっと待っててね♡」
ウインクを”こちら”へ飛ばしたあと。
不機嫌そうに眉をしかめ、”だれか”へ話しかける。
「うん? あんだって?
『さっきからサクラスパイダーって誰なんだ』?
『エセスパイダーマンがデッドプールとどう関係あるんだ』?
……買ってくれよな! 俺ちゃんの出た【デッドプール:SAMURAI】!」
ひょっこり、と漫画【デッドプール:SAMURAI】の単行本を取り出して、
「そろそろ在庫が切れてるだろうけど、電子版はまだ売ってるぜ!
2026年10月から読んでくれた新規読者のみんなは……あー、
愛おしそうに頬ずりをすると。
空いた手で
「それじゃあ、あとは適当にスワイプしちゃってね。
スワイプがわからない?
スマホの画面を動かすことだよ、ほら指を下から上にツイッと。」
ちゃんと俺ちゃんの言ったとおりにスワイプした?
OK! いいジャン!
とある学園の教室で。
ひとりの少女が椅子に座り、誰かと話していた。
いろんな学生たちが少女の席に寄り、
笑顔咲く花畑の真ん中で、
栗毛色のボブカット・ヘアー。
くせっ毛や枝毛のない、艶やかな茶髪。
彼女の生真面目な性格を表すかのように手入れされている。
それよりも きらめく、澄んだ瞳。
ぱっちりと開いた
たったふたつしかない宝石を見つめたら、……ちがうな。
ふたつの星を抱えた星座を見つめたら、星座の女神が微笑むような。
うん、これだね!
親愛なる少女は今日も
待った。
なにより大切なチャーム・ポイントを忘れてる。
左瞼の下には、涙を思わせる
ちょっとセクシーで可憐な女神様。
ギリシャの正義の女神も、きっとこんな感じに違いない。
「―――ええ、そうなんです。
もしもですけど、もし、もういちど会えたら、
みなさんのぶんのお土産も
「ならさぁ、”はるっち”!
アタシのぶん、マヨいけたら頼むわ!」
「ええ!」
口調が丁寧な言葉遣いだけど。
二年前から、ずっとこんな感じで堅苦しいけど。
親しいはずの女友達が相手でも敬語ってどうなの、って思うけど。
幼馴染の男友達にまで。
このボクにすら、”それ”ってのが複雑だけども。
推しが幸せなら、それでOKです!
昔の自信なさげな雰囲気よりは全然いい!
見慣れた笑顔には、いつのまにか気品が加わっていて、
「……くっくっく、」
くっそ可愛い。
あー、かわいい。
彼女は100人も欲しくないけど、もし赤い糸があったら
なによりも、
「ボクは異世界転生者です!」
うっかり秘密を吐かされるくらい!
最高に可愛い! 拷問かな?
フィクションのキャラクターが推しだと、だいたい映画化されたら「そうじゃなくてぇ……」ってめんどくさいオタクになっちゃいそうな気がするけど、本当に推しが可愛いと心臓がもたない。
毎秒、毎日、毎週、毎月、毎年、ずっと永遠に”拷問”される……!
ん、待てよ?
なんか赤い糸で戦う少年と女神さまのラブコメ漫画があった気がするけど、あれジャンプ作品だったっけ……サンデーだっけ、マガジンだっけ、忘れちゃったけど
そのくらい好きだ。
男の見栄とかプライドとか、そんなもんかなぐり捨ててでも一緒に生きたい。
推しにガチ恋をするのは、ちょっとこう……オタク的にどうなのよ?
とは思うけれども、それは前世の、現実世界での話。
推しと同じ異世界に生きるなら、どんなに恋い
……さて。
幸せを(心の中で)叫んだところで思い出してみよう。
この異世界は漫画【デッドプール:SAMURAI】の世界だ。
ボクから見て右手にいます美少女は「
スパイダーマンってのは、出版社
……えっと、ちょっと長くなるな?
じゃあ、この世界はスパイダーマンがふたりいて……ひとりはアメリカ合衆国の、もうひとりが日本のスパイダーマン。違う名前で違う姿の、おなじ能力を持ったヒーローが、ン゛、
あ゛あ゛あ゛思い出すのがめんどくさい!
ようは仮面ライダーの女性版!
あるいはウルトラマンの女性版!
大御所作品の派生作品に出てくるオリジナルキャラクター!
それが
「サクラスパイダー」と呼ばれる、この世界での日本のヒーローだ。
ほとんどのスパイダーマンは正体不明の覆面ヒーロー、だけど彼女の場合はスパイダーマンのフードを被り、正体が何者なのかが誰にでもわかる格好でヒーロー活動をしている。
つまり、彼女の周りにいるクラスメイトは。
みんなが、サクラスパイダーの正体を知っている。
知っているうえで、
いかにも日本の少年漫画や特撮番組らしい、とても
ちらり、とボクのほうを向いた
「ひとつ ほしいですか?」
人差し指を伸ばして、にっこりと笑う。
いやあ、会話に加わってないボクのぶんまで、とは。
「ボクに? いいの?」
「もちろんです!」
「やったぜ!
……はやく会えるといいね」
「ええ!」
幼馴染ばんざい。
お土産を推しから
なにを思い出そうとしたんだっけ?
そうそう、ヒーローの正体をみんなが知ってるってことだ。
正義の味方が知り合いだとわかれば、ちょっとは欲を掻いて「ああしてほしい」「こうしてほしい」っていう欲求を「たすけてほしい」と言い換えて強要しそうなものだけれども。
知り合いのひとりである金髪ギャルの子が、毛先を指で巻いて
「……ところでさ、はるっち。
勉強だけど、アタシ手伝おっか?
ヒロ活ばっかで時間ないっしょ?」*6
「いえ、まだ大丈夫ですよ。
手伝えることはありますか?」
「手伝いねえ……あっ、そだ。
新しい喫茶店に行くの、手伝ってくんない?」
「それ遊びの約束じゃないですか!
ふふっ、いいですよ! 一緒に行きましょう!」
むしろ、周りが助けてようと心配してくれている。
なんだか親愛なる隣人の、そのまた親愛なる隣人たちって感じなのだ。
……残念ながら、ボクは「そのまた親愛なる隣人」にはなれない。
少年漫画らしい絵に描いたような才能があるわけではない。
誰かの助けになれるようなスーパーパワーはない。
少年誌に載せられる善性の持ち主でもない。
モテる魅力もない。悲しいね。
ただの「そのまた隣人」でしかないのだ。
推し活であれ、推しの幼馴染に何ができるのかな?
なんて迷ったことはあるけれど、べつに特別なエピソードが必要なほど長く悩み、ドラマチックに解決法を悟ったわけじゃあない。教わったわけでもない。
あの映画を見たことがあるなら、なんとなくわかるんじゃない?
ってくらいの、大したことない発想だ。
どこにでもいる自分の隣人が、いつもどおりに生きていてくれることじゃない?
と、思うので。
(人助けで)働きたくないでござる!って言い換えたら
↑ 大人な諸事情で闇落ちせず、ヴィランにもならず、
大いなる力には、大いなる責任がある。
だったら、大いなる力すらない人間には、大いなる責任を果たすヒーローの日常を守ったっていいと思うのだ。
具体的には、どこかのコンビニ店員としてスパイダーマンの買い物に応じるとかさ。
スパイダーマン相手じゃなくても、スパイダーマンの正体や友達とかなのかもしれない赤の他人のために親切にするとかさ。そういうのでよくない?
その日常が、具体的な善行ではなく。
サクラスパイダーにとっての隣人の幸せならば。
少なくとも隣人である自分には、ヒーローにもヴィランにもならず、あたりまえのように一般人として事件現場に
というわけで。
今日も
ひそひそ話が聞こえるけど、聞こえんなあ!!
いやあ、
この調子で、何事もなく一日が終わるといいね!
「あっ……いえ、ダメです授業を抜けるわけには……!」
「どうしたの、はるっち? また事件?」
「はい。でも、私は放課後以外にはヒーロー活動をしないと決めていますのでっ……!」
ちゃんと何事もなく!
一日が終わるといいんだけどなあ!?
まーた
まーたまた
「
けっこう火急の事件だったりしない?」
「アベンジャーズからの緊急出動指令ではないので、おそらくはチーム『サムライスクワッド』全体への依頼なのだとは思うのですが……なにぶん主要メンバーが忙しいので、もう私のヒーロー活動にあわせての私宛の依頼になっているんですよ、ほら」
「うっわマジだ。
集合場所も集合時間も何も書いてないじゃん……!」
チーム:サムライスクワッド。
それは
平和に命を懸ける伝説の力を持つ者達を、ひとびとはスーパーヒーローと呼んだ―――!
と、いうのは、この
……そう、デッドプールが。
あのデッドプールが、チームのリーダーなのである。
報酬ひとつで世界中を渡り歩く、世界を股にかけたどころかロキの顔面にも股をかけた、ある意味で世界最強なこの世界では結構マジなヒーローが。
それが果たして。
週刊世界の危機が平然と繰り返される「週刊少年ジャンプの世界」ともいえるEarth-346において、四六時中、日本の平和を守ってくれるのかというと……そりゃあ無理ってもんだろう。
だって傭兵だし。
高額報酬を約束できないと日本へ渡航するのもままならないわけだし。おまけ漫画だと依頼が突然すぎて飛行機の座席にも困ってたし。
そんな感じの幽霊部員な仲間が他にもいるのだ。
ディアゴスティーニか何かなのかと言いたくなるほど事件が起きる
常駐で毎日、即座に出動できるのが学生の
ワンマンで正義の味方をやるとか、さすがにベンチャー企業の魔法少女でもやるまい。
「ベンチャーズ・アッセンブル!」したほうが早いんじゃねぇかな。
でも、この世界にはベンチャー企業に就職したOL魔法少女がいないので、サクラスパイダーがひとりで頑張るしかないのである。つらたん。
「!?」
「どうしたの、はるっち?」
「いえ、なんか見知った
うん? どうしたんだ
なんか周りを見渡しているけれども。
スパイダーセンス(※直感みたいなやつ)に反応でもあったのかな?
「……とにかく、私は放課後まで出動しません。
ヒーローとして、学業を疎かにしてはいけませんから……!」
「真面目だねー、はるっち。
アタシなら速攻でサボるのに」
「
なのになんでテストの点数が私と同じくらいなんですか!?」
「アタシも科学オタクだからだけど?」
「
いえーい☆と、えへ顔ダブルピースを決めてからかう令和のオタク系ギャル「
「いや、歴女だって科学者は勉強しない?
訴訟王なトーマス・アルバ・エジソンと、ガチ発明王の二コラ・テスラの関係性とか仲の悪いおぢ同士の喧嘩ップルみたいな感じで妄想すんの楽しくない? よりにもよって追放されたほうの科学理論が今ある電気社会の礎になってるとか、ちょっと異世界転生モノっぽくて面白いっていうさー!」
「やめてください!
情報の濁流が強すぎるんですって!」
「えー?(´・ω・`)」
「休み時間じゃなくて、放課後のティータイムにやってくださいよ!」
「うーん、まあ休み時間、削っちゃうもんねぇ…… (((´;ω;`))) プルプル」
しょぼーん、とした顔でしょげる
オタク特有の長話には理解があるのか、さすがに言いすぎたと思ったらしい。
「じゃあ、ねいろちゃんとは最近どうなの?」
「ねいろちゃんですか!?
聞いてくださいよ、最近はYouTubeのライブ配信でVtuberとの企業間コラボをやってるんですよ! 私はよく知りませんが億越えの登録者数を誇る超人気のVtuberの周年記念ライブにも飛び入り参加するようになったり、凸待ち配信で遊びに行くようなアグレッシブな活動をするようになりまして、活動を追おうとすると切り抜き動画をアップしてくれるチャンネルすべて登録しなければならないのが困りどころですが場合によっては私がハマったゲームを遊んでくれてる配信があったこともアップしてくれるのでVtuberさんとの関係性のおかげでねいろちゃんの新しい魅力が引き出されていて大変ありがたく思います! それに」
「あ、やっべキャラ崩壊したかも」
ドン引きする
好きなアイドル「
推しの子の話ができると思ったらわき目も振らず突っ走るの、ボクは可愛いと思うけども。
などと、ふたりが楽しく話している間に。
「なにより素晴らしいのは昨今のアニメにあわせてなのか、とある映画の声優兼主題歌の歌手に
「はるっち、チャイム聞こえてる?」
次の授業への合図が鳴り響く。
「……あっ!?
ごめんなさい、私その、」
「いいって。
毎日ヒロ活お疲れさんだし☆
推し
「……! ありがとうございます、
「ふふん、いいってことよ!」
晴れやかな表情で感謝を述べる
「……。」
なぜか
「
「……なんでもないし」
とんとん、と、自分の席の使わない教科書とノートを束ねると、そのままカバンにしまう。不思議そうに首を傾げる遥ちゃんへ、
「そういや、はるっちに好きな子っているの?」
「え? ねいろちゃんですよ?」
「そーじゃなくて……ま、いっか」
問いを終えると、呆れた顔で黒板へ顔を向けていた。
相変わらず、二人の間の距離感はよくわからない。
親友ではあるはずだろうに、なにかの話題では一線を引かれているような気がする。
けれども、
うーん、……なにが問題なんだろうか。
ボクが推理を繰り返す間にも、
けっきょく、なにもわからずに。
ついに放課後を迎え、二人は別れていった。
何者でもないボクは、いつもどおりに放送部へ……ではなく、兼部している部の部屋へと向かった。
「にゅるふふふ。
今日も
原作にない日常描写を存分に浴びたボクは、本筋に関係ないモブキャラクターとして、ボク自身の日常を謳歌するというサクラスパイダーへの推し活に
推しがやる推しの友達との会話に、オタクが水を差すような真似はよくないからね。
女の子同士の会話に男が割って入るのは言語道断よね。
「あとは
お疲れ様でーす先輩がた! 今日も可愛い後輩が、」
どかん!
と扉を蹴破り、
「来ました、」
部室に入った先では、
「ぜ……?」
ふしゅるるぅ、と。
筋肉ムキムキのダルマになった先輩が、ほかの先輩に、
「俺の”夢の果て”は!
俺たちが学園を支配する"英雄"となることだ……!」
なんか、すっげえ海賊王志望や学園最強のワル志望が聞いたら無言でカチコミに来そうなことを言っていた。
ちょっとだけ部室を見渡す。
いつもどおりの。
ガスガンが収納されたロッカーの列。
整備用のオイルや替えの部品などが陳列された棚。
男所帯のわりに規律正しく、整理整頓された部屋に。
クシカッ、と音を鳴らして。
なぜか転がっている、一本の注射器と。
先輩のいる席の机に置かれた、注射器でいっぱいのアタッシュケース。
「あ、もしもし?
そちら葛飾区亀有公園前派出所ですか?」
なんなら
などと、冗談交じりに親指と小指を立てて、公衆電話の受話器を取るようなジェスチャーをしてはみる。マジで警察に通報したら、先輩たちに口止めされる気がするし。
「おお。なんだ、お前か……!
お前が来るのを待っていた……!」
「わお、熱烈な歓迎どーもっす。
お腐れな女の子が喜びそうな
ボクは、へらりと笑いながら頭をかく。
なんかちょっとフケが落ちた。
……シハシハって笑うべきだったかな?
「ん? なにか言ったのか?」
「なにって、熱烈歓迎あざっす、っすけど」
「そうか?」
そうだよ。
「で、なにするんです?
その注射器って、原作で出た
ウワサの”
こまかい説明は原作を、……そうか原作絶版だわ!
OK、最初から説明するね!
ボクが言及した「”薬”」ってのは、超能力を得る特殊な薬物のことだ!
なんでもMARVEL作品の超人が持つDNAをもとに製造された代物で、あのホークアイのDNAから作っても筋肉増強剤としての効果が期待できるらしいぞ!
デッドプールに瞬殺されてたけど。
ちなみに原作だと名前がない。
とりあえず超人血清にならって「
覚えにくいし。
あと、秀英だとまぎらわしいんだよね。
とにかくボクのいる
原作の【デッドプール:SAMURAI】では
ほらな? 「
したんだが……なんと、これらの諸問題は全部、のちの悪神ロキの陰謀や
犯罪組織から裏社会へ、次は夜の街へ。
最後は表社会へと流通しうる危険物なのに、だ。
こんな街中が
で、そんな解説をなんで今したのかって?
うちの学園が
「新手のヒーロー
生徒全員が
「ちょいと値は張ったけどな。
さすがはアベンジャーズのDNA、親父の口座を使い切った甲斐がある……!」
「うそ……うちの先輩、カスすぎ……?」
たとえばの話。
日本じゃ弓道部か射撃部でしか活躍できなそうな「ホークアイ」の
そのうえで弓道部の学生が使いこなそうと思えば、学校の備品である矢であれ、そのへんの箒や棒っきれであれ、弓につがうだけで簡単に民間人や要人を射殺できる。
ホークアイの視力つきで。*8
「せんっ……ばっかじゃねーの!?
バレたら一発で逮捕じゃん、学校が出場できなくなって……!」
「黙れ。
ここで結果を残せば、俺たちは生き残れる……!」
なんか覚悟ガンギマリって感じだ。
みんな次から次へと
これまたビキビキと肥大化する肉体。
ドーピングかよ!? 筋肉島に謝れ!!
「お前も薬を使え。
俺たちが学園を
「どうせならコンソメスープにしない?
注射器から
「注射が怖いのか?」
「取り消せよ……今の言葉……!(震え声)」
イキったどころか、イッちゃってる顔で微笑む先輩。
先輩仲間も幸せそうで何より。
どいつもこいつも、ボクを見て期待している。
お前も
で、盛りあがっているところでなんだけど。
「えーと、アベンジャーズって
まず、キャプテンアメリカだろ?
次に有名どころでアイアンマン。あとはマイティ・ソー、ハルク、ブラックウィドー。
おまけでホークアイだろ? あわせて……」
「おい、捕まえろ!
こいつ逃げる気だ! 先生にチクられる!」
あー、くそ、ダメだったか!
ゆっくりと指折りで数えて確認させるふりをして、距離を取れたら逃げる。
そんなボクの小細工は、先輩のパワーアップした視力の前では無意味だったらしい。
あっさりと取り押さえられる。
羽交い締めにされ、迫りくる注射器。
「お、うおお、やめろショッカー!」*9
こんなところで、そんな台詞を言えるとは思わねーよ!
でも言いたくなるよね、見知らぬ天井だーとか。
天井っていうか、
「お前も超人になろうぜ……!
そして伝説を作るんだ、俺たちの学校を救うヒーローとして……!」
ぷすりと左肩に刺さる注射針。
くるりと暗転する意識は、ゆっくりと暖かな闇に堕ちて―――
―――くれたら、ボクも助かるけども。
残念ながら、ボクは針に慣れていた。
注射器を刺されたくらいで精神的なショックから気絶したり、拒否反応を起こして意識を失ったりはしない。注射器は怖いが、
じゃあ、なんでボクは。
ふざけたスラングを吐いたんだと思う?
「あのさぁ、先輩」
「なんだ?」
ひとつは、ふざけてないと気が持たないってこと。
ふたつ目、話し相手がいるのは事実だってこと。
でもって最後に、
「異世界転生って知ってる?」
「はあ?」
「死ぬ理由っていっぱいあるよね。
不治の病でベッドから出られなかったり……。
いろいろあってトラックに轢かれちゃったり……」
「急にどうした?」
誰が。
最推しな
「いやあ、べつに?
そろそろ言ったほうがいいかなって」
ボクは、
「”
トラックに轢かれても死なないんだよね。」
ズボンの尻にひっかけたスマホ。
そいつを、ちょいと腰を振ってポロリと落とす。
スピーカーモードで維持された通話画面。
そこに表示された連絡先の名前は―――「
「なん、」
ゴスッ!
と、先輩の体が音を立てて吹き飛ぶ。
その体を追うように駆ける、桜色の影がひとつ。
ボクの先輩へと
「大丈夫ですか!?」
ズザザッ、と。
まるで「私が来た!」なんて言うかのように、「凛ッ!」とした声色で話しかける。
「……私の学園で、あの”薬”を使うなんて。
どこで手に入れたのか、見当もつきませんが、」
影は曲線美を誇り、しゃなりと立ちあがった。
日本鎧や空手道着のサポーターに似た、手足の装甲。
カブトムシの足や、蜘蛛の足を思わせる足袋。そして。
深く被るフードからこぼれた、
左頬の涙ぼくろは、蜘蛛に噛まれた黒い傷跡。
学園の生徒なら誰もが知る、
「私は『サクラスパイダー』!
ヒーローとして、薬物乱用を認めるわけにはいきません!」
大いなる責任から目を
ほんの一度だけ、ボクを映すと……
おっふ。んああ゛カッコいいよ、
この作品では、
原作キャラの名前のルビには「ひらがな」を、
オリキャラの名前のルビには「カタカナ」を振ります。
ですが、とある場合にかぎり、
オリキャラの名前のルビに「ひらがな」を振ります。
なんでって、そりゃあ原作ネタがわからないと「なにその名前のキャラ?」ってなりますやん? 原作ネタが伝わらない名前なら、いちいち英語の名前を意識してカタカナを振る意味ないですやん??
そゆことですやん我が君。
楽しかったら「いいね!」を押してね!
-
いいね!
-
レ﹅レ﹅ネa,