ここは怪盗団ファントムのアジトの私、森亜るるかの部屋。
「はむ・・・・・宏太・・・・・」
私は彼の写真(盗撮したもの)を見ながらチョコアイスを食べている。
宏太の写真を見ながら食べるアイスは格別ね‥‥‥
<コンコン>
「るるか、入るわよ」
「マシュタン‥‥‥‥」
マシュタンが丸めて輪ゴムとめた用紙を持って部屋に入ってきた。
「相変わらずすごい部屋ね」
「うん、作るの大変だった」
私の部屋は壁一面に宏太の写真が貼られていてクッション、布団、枕、スリッパ、カーペットなども宏太の顔が印刷されたものになっている。
「それより、頼まれていたものが見つかったわよ」
「ありがとう、マシュタン」
マシュタンから用紙を受け取り開いて机の上に広げた。
紙には『マンション大谷』の文字と一つのマンションの写真が写っていた。
「見つけたわ‥‥‥」
私は笑みを浮かべながらアイスを食べ終えて出かけることにした。
ある場所へ向かうため‥‥‥‥
<カランカラン>
「いらっしゃいませー!あら、宏太君」
「よっす」
俺は店に入ると青髪の女性店員に軽く挨拶をした。
ここは俺の行きつけのお店である『パティスリーチュチュ』という洋菓子店でよくケーキやスイーツなど買って店内のカフェスペースで食べたり持ち帰ったりしている。
ちなみにこの女性店員は帆羽くれあという名前で俺と同い年の子ででお店に通っているうちに仲良くなった。
「今日はバイトお休みなの?」
「ああ、おやっさんが友達と釣りに行くからって屋台休みにしたからさぁ」
「そうなんだ。今日は何にする?」
「うーん、そうだな‥‥‥‥」
前回はロールケーキでその前はティラミス食べたしな~さらにその前は‥‥‥
「宏太君、よかったら新作の試食しない?お代はいらないから」
「えっ、いいの?」
「もちろん。うちの常連さんの宏太君の意見も聞いてみたいし」
「じゃあ、試食するよ」
タダでスイーツ食べれるなんてラッキー!
俺は席に座って少し待っていると…‥‥
「お待たせしましたー!」
「おおっ、これが新作か」
くれあが持ってきたのは黄みが強いあたたかなブラウン系の色をしたアイスクリームだった。
「どうぞ、召し上がれ」
「じゃあ、いただきます」
スプーンでアイスを掬い口に入れる。
「おおっ、これは‥‥‥!」
この食べ慣れたあっま〜い感じまさか!?
「キャラメル味だな!」
「そう!正解よ!」
「おおっ!!」
単体でも美味いのに合わせたらめっちゃ美味いだろこれは!!
「美味いぞこれ!絶対人気出るって!」
「ほんと!?て嬉しいわ!」
新作を褒めてもらえて喜ぶくれあ。
「いくらでもいけるぜ、このアイス」
早く店頭に並んでほしいぜ~
「そうだ!もう一人の常連さんにも試食してもらいましょう!」
「もう一人の?どんな人なんだ?」
「えっとね、私と宏太君と同じくらいの歳の女の子でいつもアイスを頼んでるわ」
「へぇ~あっ、そういえばうちの屋台にもいつもアイスばかり注文してくる女の子がいるんだよ」
「そうなの?もしかしたら同じ子かもしれないわね」
「そうかもな」
「次来た時に話しかけてみるわ。なんだかその子と仲良くなれそうな気がする!」
「いいね」
くれあはその常連の女の子と友達になろうとしている。
いいね、そうやって仲良くなっていくの。
「くれあ、アイスの試食をうちの常連にもさせてもらっていいか?きっと美味いっていってくれるよ」
「もちろん!お店の宣伝にもなるからOKよ!」
「ありがとうな!あっ、お店の場所教えとかないとな」
あいつはうちの屋台の大切なお得意様だ。
色々とサービスしたりおすすめのお店とか紹介したりしてあげるぜ。
<カラカラカラ…‥>
「…‥‥‥」
とあるマンションの一室。私は窓を開けて室内に入った。
「ここが宏太の住んでいる部屋‥‥…」
ここは宏太が住んでいるマンションで調査してやっと住所を特定することができた。
ドアは鍵が掛かって入れなかったからベランダから侵入して入ることができた。
宏太ったらここが5階だからってベランダの戸の鍵かけないなんて不用心、油断大敵ね。
「宏太が戻ってくるまでに散策を終わらせましょう」
まずはリビング。テレビと机と椅子、本や小物の雑貨が収納されてる棚とかがあるわ。
「特に変わったところはないわね…‥んっ?」
棚の上に写真立てを見つけた。
写真には小さい時の宏太と両親と思われる男性と女性が写っていた。
「小さい時の宏太‥‥…じゅるっ」
はっ!いけないいけない‥‥…‥散策を続けましょう。
「次は洗面所とお風呂場」
洗濯機の中に洗濯物があればいいわね。
「‥‥‥‥‥‥空ね」
服とか下着とかあればよかったのに‥‥‥‥ちっ
「歯ブラシは一本しかないから持ってくのは無理ね」
私は諦めて次は自室へ向かった。
「部屋も大して変わったところは‥‥‥んっ?」
机の上に置かれた週刊誌を見つける。表紙には胸が大きいグラビアアイドルが写っている‥‥‥‥
「…‥‥‥」
なんだかイラっとしてきたの週刊誌をゴミ箱に入れた。
宏太はこういう胸が大きい方が好きなのね‥‥‥ふーん‥‥‥
「次は玄関」
玄関に向かい調査するが靴ベラしかなくこれ以上調べることはなかった。
「最後はキッチン」
最後の目的地であるキッチンへ向かう。
「食器や調理器具は必要最低限しかないわ」
これじゃあなにも持って帰れない…‥‥あっ
「これは…‥‥」
流しに空のカップアイスと木製のスプーンがあるのを見つけた。
おそらく昨日の夜に彼が食べたものね。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
私は黙ったまま持ってきたビニール袋を取り出し流しにある空のカップに手を伸ばした。
「あるのがいけない。あるのが」
空のカップとスプーンを袋の中に入れて口をしっかりと結んだ。
「今日はここまでね」
私はベランダの方へ再び向かい戸を開けて来るときに柵に引っ掛けておいたロープを使い下に降りていった。
「よいしょ」
降りてロープを回収し何事もなかったかのようにマンションを後にした。
怪盗らしく上手く潜入し宏太のものを盗めた。私に失敗はない・・・・・・・・・・
「それにしても宏太って独り暮らしだったんだ・・・・・」
ご両親はどこに?共働きでどこかへ出張中?これはまた調査する必要があるわね。
将来的に義父義母になる人たちのことだし・・・・・
「今日は気分がいいから10段アイス食べよう」
表情はいつも通りだけど内心は上機嫌の私の足は軽くなっていた・・・・・・・・・・
修羅場にはなるなよ・・・・・(フラグ)