絶対の先制   作:幻影の塔

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阿散井恋次の覚醒と霊王宮決戦

山本総隊長、卯ノ花烈、京楽春水、朽木白哉、日番谷冬獅郎……護廷十三隊の誇る最高戦力が、一護の切り開いた柱を登り、一気に霊王宮へと突入した。

2. 瀞霊廷の決闘:阿散井恋次 vs バンビエッタ・バスターバイン

一方、地上に残された瀞霊廷。

ユーハバッハに見捨てられ、取り残された聖文字『E』バンビエッタ・バスターバインが、狂乱しながら爆撃を散らしていた。

「なんでよ!? なんで私を置いていくのよユーハバッハ様ぁぁぁっ! 許さない……! 吹き飛べ! みんな死んじゃえぇぇっ!!」

周囲を無差別に爆破するバンビエッタの前に、一人の男が静かに立ち塞がった。

六番隊副隊長——阿散井恋次。

市丸ギンに「深層心理で負けている」と心の弱さを暴かれ、一度は泥をすすった男。だが、今の恋次の瞳に諦めや迷いは一切なかった。

「おい、うるせぇぞ。見捨てられた腹いせに暴れてんじゃねぇ」

「何よあんた! 踏み台の副隊長が私に勝てると思ってんの!? わたしの爆撃で跡形もなく消えなさい!!」

広域に放たれる爆撃の嵐。だが、恋次は退かない。自らの足でしっかりと大地を踏みしめ、己の限界を認めた上で、それを超える覚悟とともに刃を構えた。

「俺は天才じゃねぇ。踏み台と言われようが、泥をすすろうが……俺は俺の足で立つ!!」

「咆えろ——『双王蛇尾丸(そうおうじゃびまる)』!!」

真の解禁を遂げた卍解。蛇の腕がバンビエッタの爆撃をすべて力任せに打ち払い、巨大な狒々の王腕が彼女の体を叩き伏せる。

「がはっ……!? 嘘……この私が……副隊長ごときに……!?」

「俺を動かしたのは……天理さんや市丸に突かれた『悔しさ』だ。……へばってんじゃねぇぞ、滅却師!」

恋次の「蛇牙鉄砲(じゃがてっぽう)」がバンビエッタを粉砕する。

己の弱さと向き合い、完璧な脱却を果たした阿散井恋次が、見事な勝利を飾った瞬間だった。

霊王宮の白銀の街並み。

空を貫く光の柱の先で、万物を貫く狙撃手リジェ・バロは、引きつった笑みを浮かべながら己の左目をカッと見開いた。

「ハハ……ハハハハッ!! 逃がさん……! 天の穴が開いた今、死神どもを一人たりとも生かして返さん!!」

本来なら段階を踏んで開眼させるはずの能力『神の理(ジエル・ヴィエル)』。

しかし、地上で味わった七瀬天理の「無意識の先制打撃」の恐怖が、リジェの正気を極限まで削り取っていた。いつ天理が目を覚まし、再び自分たちを叩き潰しに来るかわからない——その焦燥が、彼に開幕からの「全開(フルパワー)」を選択させたのだ。

「開眼せよ! 万物を撃ち抜き、万物の攻撃を透過する……これが神の使者の姿だ!!」

リジェの体が、巨大な六つの翼を持つ異形の神使(神の化身)へと変貌を散らす。

彼が掲げた銃口から放たれたのは、弾丸ではない。「狙撃地点と銃口の間の空間そのものを消滅させる」不条理な絶対貫通の光。

ズドドドドドォォォォンッ!!

霊王宮の建造物が、まるで紙屑のように一直線にくり抜かれ、蒸発していく。

「なっ……何だあの威力は!?」

「空間そのものが……消えている!?」

前線にいた死神たちが動揺する中、その絶対貫通の光を、一人の男が影の中から静かにかわした。

八番隊隊長——京楽春水である。

「やれやれ……あんな恐ろしい顔で狙われたら、生きた心地がしないねぇ」

京楽は花柄の羽織を揺らし、鋭い眼光をリジェに向けた。

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