絶対の先制   作:幻影の塔

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もうエピローグまで書き終わっているので明日には完結させられるように頑張ります。



総力戦

 

第1章:毒の領域——恐怖が生んだ猛攻

「ああもう……! なんで俺がこんな骨の折れる役目やらこなきゃいけないんだよ!」

霊王宮の宮殿前。額に汗を浮かべたアスキン・ナックルヴァールは、頭を抱えながら愚痴をこぼしていた。だがその瞳の奥には、隠しきれない極限の恐怖と焦燥が焼き付いている。

「あの『平隊員』……七瀬天理だっけか? あんな化け物が下界で目を覚まそうとしてんだぞ!? 悠長に『お茶でも飲んで様子見』なんて言ってられるかよ……ッ!」

アスキンは腕を振りかざし、自身の能力『致死量(ザ・ディラー』を最初から全開で展開した。

対象物質の致死量を自在に操作する能力。彼は周囲の空気、大気に含まれる霊子、さらには死神たちの血液そのものの致死量を極限まで引き下げ、足を踏み入れた者全員を即死・麻痺させる「毒の領域(デラックス・ギフトリング)」を作り上げたのだ。

「うっ……!? なんだ……身体が……重い……ッ!」

最初に領域へ踏み込んだ四楓院夕四郎が、膝をつき激しく血を吐いた。

「夕四郎!!」

駆け寄る四楓院夜一。だが、夜一の身体をも絶大な麻痺と毒の激痛が襲う。

「ハハッ! 悪く思うなよ死神さんたち! 俺は死にたくないんだよ! あの天理って男がここまで追っかけてきて、またあの見えない打撃で叩き潰される前に……あんたたちをここで片付けさせてもらう!」

アスキンの叫びには、なりふり構っていられない「生への執着」が滲んでいた。

第2章:瞬閧・雷獣戦形——気まぐれな雷獣の暴走

「……ちっ、相変わらず情けない理由で必死になっておるな」

倒れ伏す夜一の前に、木沓(きぐつ)の音を響かせて現れた男——浦原喜助

「浦原……! 奴の毒は、霊子そのものの致死量を下げておる……! 普通の霊圧操作じゃ太刀打ちできんぞ!」

「ええ、分かっていますよ夜一さん。……ですから、あの方の毒の計算式を『完全にバグらせる』必要があります」

浦原は懐から怪しい薬を取り出すと、夜一の背中に押し当てた。

「おい浦原……! お前、まさかこれを——」

「すみません夜一さん。背に腹は代えられませんからね!」

薬が注入された瞬間、夜一の霊力爆発を起こした。

背中から巨大な雷の翼と耳が生え出で、猫のようなしぐさと圧倒的な雷威を纏う形態——『瞬閧・雷獣戦形(しゅんこう・らいじゅうせんけい)』!

「ニャァァァァァッ!!」

雷獣と化した夜一は、アスキンの計算を遥かに超える速度で空間を跳躍した。

1秒間に48回も霊圧の性質が変化する無軌道な嵐。アスキンの『致死量』の解析データは、毎瞬ごとに変わる夜一の霊圧に対応しきれず、毒の効力が完璧に追いつかない!

「なっ……なんだこの女は!? 霊圧の性質がコロコロ変わりすぎて、致死量のデータが取れねえ……ッ!?」

ガアァァァンッ!!

夜一の雷撃がアスキンの胸を深々とくり抜く。血を吐きながら吹き飛ぶアスキン。

第3章:神殺しの毒と、解体と再構築の卍解

だが、アスキンもタフだった。己の体内に流れる血液の致死量を即座に操作し、瀕死の傷に耐えながら完聖体(神の毒術)へと変貌を遂げる。

「ハハ……痛ぇなぁ……! だが、雷の霊圧変化も48パターンだろ!? 読み切ったぜ!!」

アスキンが解き放った濃密な『極上毒球(デラックス・ギフトボール)』が夜一を包み込み、その動きを完全に封じ込めた。さらに浦原喜助の目をも毒で焼き切り、両目を塞ぐ。

「終わりだ浦原喜助! お前の両目は潰れた! 夜一も倒れた! 俺の勝ちだぁぁぁっ!」

絶叫するアスキンに対し、両目から血を流す浦原喜助は、静かに帽子を脱いだ。

「……ええ、目が見えなくなると困りますねぇ。……ですがアスキンさん、アナタは一つ勘違いをしています」

「あぁ!?」

「ボクが戦うのは、自分の『目』で見える範囲だけじゃありませんので」

浦原は刀を逆さに持ち、地面へと突き立てた。

「卍解——『観音開紅姫改メ(かんのんびらきべにかいあらため)』」

背後に現れる、巨大な女性の姿をした異形の繰り人形。

「なっ……なんだその卍解は!?」

「ボクの『紅姫』の卍解は……触れたものを『解体』し、そして『再構築』する能力です」

浦原の目が、胸が、腕が、一瞬で糸によって切り裂かれ、そして完璧に繋ぎ合わされた。潰されたはずの両目が瞬時に『再構築』され、視力が復元する。さらに、アスキンの毒で侵された血流や器官がすべて解体され、毒に耐性を持つ構造へと組み替えられていく!

「バカな……!? 毒で破壊した先から、身体を作り直してやがるのか!?」

「それだけではありませんよ。ボクの能力は……『空間』にも及びます」

浦原が空間を指でなぞると、アスキンが作り出した『極上毒球』の外壁が裁断され、外部への「一筋の抜け道」が切り開かれた。

第4章:完璧な裏方——最後の一撃

「空間を解体した……!? だが、抜け道を作ったところで誰が入ってくるってんだ!」

アスキンが叫んだその瞬間。

浦原が切り開いた空間の「外」から、影のように侵入していた一人の死神——グリムジョー・ジャガージャック(あるいは四楓院夕四郎の残勢の助け)が、アスキンの背後へと滑り込んでいた!

「なっ……!?」

「……ボクが自分で留めを刺すなんて、一言も言っていませんよ」

浦原が静かに微笑む。

浦原が開けた空間の道筋を通り、背後から放たれた極大の打撃(爪痕)が、アスキンの心臓を後ろから一気に貫いた!

「がはっ……!? くそ……っ……! どこまでも……計算尽くの……化かし合いかよ……っ!!」

心臓を穿たれたアスキンは膝をつき、そのまま倒れ伏した。彼が展開していた猛毒の領域が、潮が引くように消え去っていく。

アスキンは虫の息になりながら、空を見上げて苦笑した。

「……ハハ……完璧すぎるぜ……死神ども……。だがな……浦原……俺が死んだら……このギフトボールの致死量がバグって……全員道連れだ……」

「ええ、分かっていますよ。……ですがボクには、優秀な仲間がいますから」

倒れ込む浦原と夜一たちを、遅れて駆けつけた四番隊や救援陣が間一髪で救出し、毒の崩壊から退避させたのだった。

 

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