ゴォォォォォォォォォォッ!!!!
一番隊特別特訓室。部屋全体がすでに太陽の表面かと見紛うほどの灼熱と霊圧で赤く染まり、床の石畳がドロドロと溶け始めていた。
「ハァ……ハァ……ッ! む、無理や……山じい、冗談抜きで死んでまう……ッ!」
「ぐ、ぬぬぬ……ッ! 四番隊の治療が追いつく前に、存在ごと灰にならんばかりの威圧……!!」
全身を激痛と炎圧で焼かれ、絶体絶命の極致に追い詰められた市丸ギンと朽木ルキア。
死の恐怖が限界突破した時、二人の頭の中で何かがブツリと弾け飛んだ。
——そう、いわゆる「捨て身の開き直り」である。
「……もう知らん!! どうせ死ぬなら言いたいこと言うて死んだるわ!!」
ギンが髪を振り乱し、血走った目で叫び声を上げた!
「事実を述べて何が悪いんや!! 百花園でのアレはただの世間話やろ!? そんな一回こっきりの愚痴を根に持って、本気で部下を焼き尽くそうとするなんて……総隊長、あんた器がちっちゃすぎるんとちゃうかーっ!?」
「む、無礼……と言いたいところだが、その通りだッ!!」
ルキアもギンの狂気に乗っかるように、炎に向かって指を突きつけた!
「我らはただ、日頃のストレスを少し口にしただけだ! それを『失っていたものを思い出させてくれた』などと大層な嘘(※長次郎の嘘)まで吐いておびき出し、力でねじ伏せようなど……! 護廷十三隊トップとしての器量が、この特訓室の天井より低いぞ山本総隊長ーーッ!!」
「「言うてやったわボケぇぇぇぇぇ!!!(自暴自棄)」」
二人の破れかぶれの絶叫が、灼熱の空間に木霊した。
「………………」
ドォォォォォォォォォォォン……ッ!!!!
その瞬間、山本元柳斎重國から放たれた殺気が、それまでの「お説教」の域を完全に超え、文字通り世界を崩壊させる次元へと跳ね上がった。
元柳斎の目がカッと見開かれ、背後の炎が黒く変色していく。
この想定外すぎる展開には、流石の四番隊隊長・卯ノ花烈も「……ッ!?」と美貌を引きつらせ、額に一筋の冷や汗を流した。
(あ、あの二人……正気ですか……? 総隊長殿の『器の小ささ』を正面から煽るなど……完全に死の領域を踏み越えましたね……)
卯ノ花は即座に袖をまくり上げ、自身の全霊力を超高速で練り直し始めた。
(……マズいです。このままでは二人が『分子レベルで消滅』してしまい、私の回道すら届かなくなります……! 命を繋ぎ止めるため、本気の回復術式をあらかじめ二人の身体に常時展開しておかねば……ッ!)
「……市丸。朽木」
地獄の底から響くような、元柳斎の静かな声。
「器の大きさ……と申したな? 良いだろう……ならば儂の器がどれほど『深い』か、その身を骨の髄まで焼き焦がしながら……永遠に味わうが良いッ!!!」
「「ぎゃあああああああああ!!!! 卯ノ花さぁぁぁぁん!! 助けてぇぇぇぇぇっっっ!!!」」
万全の体制で回復術式を両手に構える卯ノ花と、怒り狂った護廷十三隊最高峰の炎。
二人の悲鳴は、特訓室の重い扉を突き抜け、一番隊庁舎全体を激しく揺らしたのであった。