ドッ……ガガガガガガガガガッ!!!!
「ギャアァァァァァァァッッ!!???」
一番隊特別特訓室。
山じいの爆炎に飲み込まれた4人の全身を、恐ろしいスピードで緑色の高濃度霊圧が包み込む。
シュウゥゥゥ……!
((((は、早い……!? 傷が……焼けた肉が一瞬で治っていく……!!??)))
炎に焼き尽くされたそばから、まるで時間を巻き戻すかのように細胞が超速再生されていく。
4人が戦慄しながら視線を向けると、そこには先ほど買いに行かされた「超幻の究極デラックスケーキ」を平らげ、口元を優雅に拭う卯ノ花烈の姿があった。
「ふふ……大変美味しゅうございました。現世のパティシエも、なかなか良い仕事をしますね」
ケーキの極上の霊力と幸福感によって完璧に整えられた卯ノ花は、全身から神々しいまでの回道霊圧を溢れさせていた。
「今の私なら……総隊長の『残火の太刀』の熱すら、そのまま無効化して完治させられる気がいたしますわ」
「「「「(((余計なこと言うなぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!????))))」」」」
心のなかで血の涙を流しながら叫ぶ4人!
この場において、その発言がどれほど危険な「煽り」になるか、なぜこの元・初代剣八は理解してくれないのか!
「……ほう」
山本元柳斎重國の目が、ギラリと獰猛な光を放った。
「『残火の太刀』すら無効化するか……。面白い。卯ノ花よ、ならばお主のその回道……どこまで保つか試してみるか?」
「ええ、喜んで。いくらでもお付き合いいたしますよ」
「山じいも卯ノ花隊長も乗っかるなやぁぁぁぁっ! 僕ら死ぬ! 本気で分子レベルで消滅する!!」
絶叫する平子、青ざめるギンとルキア、頭を抱える京楽。
そんな極限の地獄絵図の中、元柳斎は静かに腕を組み、背後の長次郎へと視線を送った。
「……長次郎よ」
「は」
「一番隊奥深き宝物殿より……『例のもの』を持って参れ」
「ッ……!? 総隊長殿、ま、真ですか……!?」
あの冷静沈着な長次郎が、生まれて初めて見せるほどに目を見開き、声を震わせた。
「総隊長殿……あれは……あれは本来、霊王様が戦いを終え回復された天理様に授けるはずだった『神のスイーツ』にございますぞ……!?」
「かまわん。持って参れ」
長次郎は信じられないものを見る目で息を呑み、思わずその凄まじい価値を語り始めた。
「お言葉ですが総隊長殿! あれは金や権力など、この世の如何なる財を積もうとも決して買えぬ代物! 世界から、国家と国民のために無欲で真に偉大な功績を成し遂げたと認められた者しか食すことを許されぬ、真の神品にございます!」
長次郎の熱弁に、消し炭になりかけていた4人も思わず耳を疑った。
「こ、国家権力者が……全てを投げ打ってでも欲しがる……!?」
「左様! 逆に言えば、あれを一口でも食した者は、三界と世界から『永遠の名誉』が授けられるという、歴史上存在すら疑われていた幻の中の幻……! それを……それを今、ここで使うとおっしゃるのですか!?」
長次郎の必死の説得も虚しく、元柳斎は重々しく首を振った。
「むう。卯ノ花がその気なら、こちらも相応の覚悟を持って付き合わねばならんからのう。……『神のスイーツ』の力を得たお主の回道と、儂の全力……どちらが上か、決着をつけようではないか」
神のスイーツを前に、さらに目を輝かせる卯ノ花烈。
そして、その会話を聞いていた4人の顔からは、完全に血の気が引き始めていた。
((((((ま、待て……それ食べた卯ノ花隊長……マジで『絶対神』レベルになっちゃうんじゃ……???))))))
国家権力すら凌駕する「神のスイーツ」の登場により、一番隊特別特訓室の地獄は、ついに神々の領域(※超・無限再生地獄)へと突入しようとしていた——。