絶対の先制   作:幻影の塔

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4人の邪悪な微笑みと予想外の別方向からの刃(やいば)

長次郎の放ったあまりにも高潔で青天の霹靂のごとき諫言——。

その重苦しい静寂の中で、床に這いつくばっていた4人の脳裏には、突如として「一筋の光明」が差し込んでいた。

((((勝った……!! 勝ったでぇぇぇぇっっっ!!!))))

平子は必死に笑いを噛み殺し、ギンは狐の目を僅かに見開き、ルキアと京楽は密かにガッツポーズを決める。

(((そうや! 山じいも天理殿の功績を侮辱しようとしたんや!! お互い様や!! チャラやチャラ!! これで今回の件は全部うやむやになって無罪放免やーーーっっっ!!!)))

4人が心の中で邪悪な笑みを浮かべ、「命拾いした」と歓喜に打ち震えていた……まさにその瞬間。

「……ただし、総隊長殿」

長次郎が、静かに、しかし冷徹な声で言葉を続けた。

その一言で、4人の勝利の微笑みが凍りつく。

「もし……現世に伝令神器で『百花繚乱』様に確認を取り、天理殿ごご本人が『構わない』とおっしゃるならば、話は別です」

「「「「((((え……???)))))」」」」

「……しかし」

長次郎はゆっくりと振り返り、その鋭い視線を先ほど極上の笑顔を浮かべていた卯ノ花烈へと向けた。

「いくら天理殿が良いとおっしゃろうとも、卯ノ花隊長……あなたが吐いた言葉の責任は、きっちりと取っていただかねばなりません」

「……あら?」

「あなたはおっしゃいましたな? 『今なら残火の太刀すら無効化できる』と。……神のスイーツを食した後ならば、残火の太刀の熱を防ぎ切るなどできて当然!」

長次郎の言葉には、一切の妥協も、付け入る隙もない絶対的な「道理」が宿っていた。

「もし万が一……神のスイーツを食したにもかかわらず無効化できず、そこの4人が再起不能や重傷者になれば、それは我が護廷十三隊にとって計り知れぬ損失! そうなった場合……卯ノ花隊長、あなたには問答無用で『無間(むけん)』にて100年過ごしていただきましょう」

「「「「!!!!??????」」」」

特訓室に、激震が走った。

「それが、天理殿の報奨を何のリスクもなくただ食すという暴挙を許さぬ、唯一無二の方法と思われます。……さあ卯ノ花隊長、あなたはこの覚悟に、己の自由と100年の時を賭けられますか?」

長次郎のどこまでも突き抜けた高潔さと清廉潔白な論理!

それは一見、山じいと卯ノ花を窘めているように見えて、結局のところ4人を「残火の太刀の実験台」にすること前提の完璧すぎる外堀であった!!

「「「「(((((余計なこと言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!?????)))))」」」」

心の底からの血の叫びが、4人の脳内でハモる!

「100年の無間」という恐ろしいリスクを突きつけられた卯ノ花は、しかし——その優美な笑みを一切崩すことなく、むしろ楽しそうに目を細めた。

「ええ……いいでしょう。天理殿の神聖なるお菓子をいただくのです。それほどの覚悟、元より持ち合わせておりますよ」

「乗るなぁぁぁぁぁっ死神の鑑みたいな顔して乗るな卯ノ花隊長ぉぉぉぉっ!!」

乗ってしまった。卯ノ花烈は完全にその条件を呑んでしまった。

残された希望はただ一つ。

((((((頼む……!! 頼むから百花繚乱様……!! 天理殿……!! 『そんなのダメに決まってるでしょ!』って断ってくれぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!))))))

通信機(伝令神器)を握りしめる長次郎の後ろ姿に、4人は全霊の祈りを捧げ、天理と百花繚乱がこの狂った提案を全力で突っぱねてくれることに、己の全人生と運命を賭けるのだった——!!

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