酒寄彩葉に泣かされる優柔不断で悪いモブの話~逆行編~ 作:ゴリラ皇子
「だららららら〜かに!」
「かわいい」
「だららららら〜うさぎ!」
「かわいい」
私のかぐやはほんま可愛いわぁ
あっという間に時間は過ぎて、いよいよコラボライブ当日。私とかぐやは控え室で時間まで暇を持て余していた
「だらららららぁーどじょう!」
「かわいいぃぃいいいい!!!」
「かぐやの時と反応違い過ぎなぁ〜い!?」
すまん、推しを前にした条件反射みたいなものだ。それに実際ヤチヨは可愛いからヨシ!
「おやおや余裕だねぇー?彩葉は今回緊張してないのかなぁー?」
「いつもヒヤヒヤしてるよ…まぁ程よい緊張ってやつ?」
「お腹すいたぁ〜パンケーキ食べたぁ〜い」
「緊張って言葉を知らない宇宙人もここにいますが」
「パンケーキいいなぁーヤッチョも食べたいなぁー」
「味覚はもう少しだけお待ちあれ」
そんなたわいもない話をしながら、ステージへと向かうためのエレベーターへ立つ
「さぁ…ゆこうか」
ヤチヨの声と共にエレベーターが浮上する
もはやお馴染みとなったエレベーターで、私は楽しそうなヤチヨへ向かって口を開く
「モブちゃん、怒らないかな?」
「んー死ぬほどびっくりすると思うけど、楽しんでくれると思うよ。それこそ8000年間忘れられないくらい?」
「ヤチヨが言うと説得力が違うわ」
「なになに〜?何の話〜??」
3人でわいわい話しているとあっという間にステージへと着いた
少し騒ついている会場は熱気に満ち溢れていた
ステージから見る景色は皆んなが灯す光が満点の星空の様に輝いていて…私は、私達は本当にこの景色が大好きなんだ
ヤチヨのアイコンタクトに力強く頷いた
私達の衣装が変わり、世界が輝きに満ちていく
さぁ始めようか、最高のライブを!
『世界一好きになっちゃってもいーよー!!』
「「ヤチヨぉーーー!!!!」」
こちらはコラボライブ会場内…の特別席
モブちゃんとオタ公が叫び、芦花が感動で泣き、真実が普通に楽しんでいるカオスな空間
「3人とも世界で1番お姫様だよぉー!!!」
「それなーーー!!!」
歌が終わるや否やスタンディングオベーション
うるさ過ぎて隔離された訳ではない、多分
猫DOGEは2人に呆れて真実の腕の中へ収まっているけれども
「ってか、モブちゃんヤチヨと同一人物なんしょ?それでもヤチヨのこと推してるん?」
「あー」
オタ公の何気ない疑問にモブちゃんは少しだけ考えた後、口を開いた
「ウチの大好きなヤチヨは結局、今のヤチヨなんだなーって思ってさ。…上手くは言えないけど、そんな感じ?」
「ふーん、分かったような分からないような?」
2人が話している間に拍手も収まり、次の曲が始まる…前にヤチヨのMCが入った
『次はお待ちかね、スペシャルゲストの登場だよ!』
このライブが決定した際に告知されたスペシャルゲストの存在。なお、本人は自分が出ることを知らない模様
『ツクヨミを愛して、ずっと支えて盛り上げてくれた子が、ツクヨミを離れ永い…永い旅に出ることになりました』
『だからさぁ〜折角ならこのステージでその人と一緒に歌って踊りたいなぁ〜!って思うんだけど、ダメ?いいよねぇ〜!』
『皆さん、勝手なお願いなのは重々承知していますが…どうか、お願いします!』
続く彩葉とかぐやの言葉に、会場から「いいぞぉー!」「泣かせるなぁ!」「ヤチヨこういうの好きだからなぁー」「頑張れぇー!」という好意的な声援が聞こえてきた
「はぁ!?いろぴ達とコラボとか…ぐぬぬぬ、悔しいけど仕方ねぇー!ウチが許すー!!!」
「モブちゃんさぁ…」
「これ素で言ってるのかなぁ〜?」
「多分ね」
3人から呆れた目で見られていることに気が付かず叫んでいたモブちゃんは、背後から近づいてくるウミウシにも気が付かなかった!
「行くぞぉぉおおおお!!!」
「あばばばばばばば!?!?」
「「「行ってらー」」」「にゃー」
FUSHIに「いつもの」をされたと思ったらモブちゃんの足元に穴が空きボッシュート!手を振る3人に見送られ、移動させられた先は…
「ステージへようこそーモブちゃん☆」
「えっ」
右を見る、彩葉がいる
左を見る、かぐやがいる
前を見る、良い顔をしたヤチヨがいる
…やっぱり3人ともライブ衣装似合ってて可愛いな
そんな現実逃避から思考を戻し、ようやく状況を把握したモブちゃんの頬が思わず引き攣った
「すまん!でもどうしても…モブちゃんと一緒のステージに立ちたくてさ」
「事前に言ったらモブちゃん逃げるっしょ〜?だから〜サプライズ的な?」
「ハワワッ…!?」
大分改善されたとは言え、根っこの部分では自分のことを裏方だと思っているモブちゃん。事前に相談しても「3人のライブが見たい!」と固辞するだろうということは、この3人には丸っとお見通しだ
観客もステージに現れたのが、あの”ツクヨミ名物”モブちゃんだと知り大いに盛り上がった
モブちゃんも「いやダメでしょ!?ねぇ皆!!??」と観客を味方にしようとするが「ヤチヨやかぐやちゃん達が良いって言ってんだからOK!」「ってかモブちゃんツクヨミやめんの!?」「はよせい」と言い返される始末
神々の皆のノリの良さとあんまりな対応にモブちゃんも思わず白目をむいた
「できないなど等、申されませんよね?」
「…上等!」
ここまでお膳立てされて逃げるという選択肢はモブちゃんの中にはない。モブちゃんは顔を両手で張って気合いを入れると、真っ直ぐヤチヨを見た
『一緒に歌ってくれる?』
『勿論!』
返事と共にモブちゃんの衣装が変わり、ステージの照明が落ちた
そしてスポットライトが輝くと…彩葉の演奏に合わせて、3人の歌姫が歌い踊る
『今は昔 誰もが知る物語』
『かの有名なかぐや姫はこう言った』
『そんな結末ちっとも望んでないし』
『『『運命だからってキミそれで頷くの?』』』
『誰かの書いたお話じゃない、ここにいる"キミ"と"私"』
「あはは!」「行こっモブちゃん」
「わっちょ、いろぴ!?かぐぴ!?」
『懐かしいような』
『初めてのような』
『『そんな歌だ これは』』
「綺麗…」
『『キミと今見てるこの景色、何億回思い出したろう』』
『『七色きらめいて』』
『『『Ex-Otogibanashi 』』』
『そうよ私がヒロイン、そのハートを射抜いてあげる!』
『『知らないなんて言わせない、名前呼んで"私"は誰?』』
『『『押しも押されぬお姫様』』』
『一度きりの人生、一度きりの今に、ねえ…私達いるんだよ?』
『きっと永遠だった…逢いたいと願うまで』
『そうよ"私"』
『そんな』
『『おとぎ』』
『『『話』』』
はぁ…はぁ…はぁ…!
万雷の拍手の中、自分の呼吸だけがやけに大きく響いているようだった
あぁ…あぁ…!
最っ高だ!最高に楽しかった…!
彩葉がいてかぐやがいて、ヤチヨがいて
皆んなの輝きが私達を照らして…!
あぁ…あぁ…!!
歌うのって…生きるのって…!
最高だ!!!
「彩葉、かぐや、ヤチヨ」
私は3人の名前を呼び、その手をギュッと握った
「大好き!」
彩葉曰く、その時のモブちゃんの顔は「太陽のような輝く笑顔」だったという
カコン
コラボライブも無事終わり、ヤチヨが締めの挨拶をしている中…不思議な音が鳴り響いた
そしてその音を合図に、白い人型のようなものがステージへふよふよと近づいてくるではないか!
「え、これやるの?」
「一応やっとくかぁーって感じのノリ?」
月人達がステージへ到着したと同時に、彩葉とかぐやがそれぞれの武器を取り出した
『モブちゃん下がって!』
『かぐや達が守っちゃうよ〜!』
「彩葉♡かぐや♡」
冷静に見ると「守る必要あるんですかその人?」という感じだが、今日はお姫様なので仕方ないのだ
月人達相手に大立ち回りを演じる彩葉とかぐや、それをきゃーきゃー言いながら応援しているモブちゃんとヤチヨの2人だったが…膠着状態になったのを合図に、ヤチヨが動き出した
『おいたはダメだよー☆』
指揮をするようにヤチヨが指を振ると、月人達が「グワー」「ヤラレター」と叫びながら大袈裟に吹き飛んでいく
『モウシワケゴザイマセン』
一礼して去っていく月人達を見送ると、ヤチヨは会場に響くよう声を張った
『今のは一体?どうなってしまうのか!?続報を待て!』
ヤチヨの締めのひと言に、神々の皆と一緒に拍手をするモブちゃん。そんな呑気なモブちゃんへ向けてヤチヨは満面の笑みでこう言った
「次はモブちゃんの卒業ライブだねー」
「なんですとぉ!?」
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