酒寄彩葉に泣かされる優柔不断で悪いモブの話~逆行編~ 作:ゴリラ皇子
ー彩葉の自宅(アパート)ー
日が沈み、月が優しく世界を照らす夜
寝ている私の身体を誰かが揺らした
「ね〜ね〜お腹空いたぁ〜」
聞き慣れた声にゆっくりと瞼を開くと、小学生くらいまで成長したかぐやの姿があった
私の大切な…愛しい愛しいかぐや
こうして話せる嬉しさは、やっぱり筆舌に尽くし難い
「…お待ちくださいませ、お姫様」
「えぇ〜1秒だって待てないのにぃ〜」
何だかそのやりとりが面白くて、私達はどちらともなく笑い合った
「んで、かぐやはどこまで覚えてんの?」
「んん?」
モブちゃんから貰った北海道のお土産(お土産ではない)で作ったスモークサーモン丼を食べながら、かぐやへと問いかける
「ん〜ドームで2回目のライブやって、家で打ち上げして皆んなで寝たとこまでは覚えてるんだけどね〜」
「気づいたら電柱にいたと…私と同じかぁ」
「いや〜不思議なこともあるもんだねぇ〜」
「かぁー不思議の塊がそれ言うか」
ご馳走様と手を合わせ、食器を片付ける。今回もありがとうモブちゃん、美味しく頂きました
「他の人はどうなん?」
「ヤチヨは連絡先知らない、芦花は明日ってか今日か…学校で確認するよ。モブちゃんは…」
今日連絡した時のことを思い出しながら話すと、大きなため息の後呆れたようなジト目で見られた。なんで?
「彩葉って本当クソボケだよね〜」
「はぁ?何言ってんの?」
「宇宙人的にも人たらし罪で一回捕まった方がいいと思う」
何寝ぼけたこと言ってるんだか
あっヤチヨの配信やってるじゃん、観なきゃ
『ヤチヨは最近ね〜逆行物にハマっててーこの前読んだのはクソボケが主人公でねー』
「…ヤチヨってさ、100%記憶あるよね」
「多分ね、この時の配信だとメリバについて話してた筈だし」
「えっ?もしかしてヤチヨの配信全部覚えてたりする??」
「当然」
「ヴェエ〜!」
何を当たり前のことを言っているんだろ?推しの配信なんだからこれが普通だって。私はヤチヨの全部を観なきゃ(確固たる決意)
「彩葉ってさ、ヤチヨのことでも時々残念な感じになるよね…」
「はいはい、朝早いんだから歯磨いて寝るよ」
「はぁ〜い」
からの朝
「じゃあ私、学校行ってくるから」
「かぐやも一緒行く!」
「前それやって大変だったでしょうが!」
ツクヨミの人気No.2、かぐやの高校襲撃事件はそりゃーもう大事件だった
今はライバー始めてないとはいえ、騒ぎになるのは間違いない。というか、私が騒ぐ
「それに、今日届くんでしょ?スマコン、誰が受けとんのよ」
「ああ〜!」
「朝ご飯はパンケーキ作っといたから、それ食べて。じゃあ行ってきます」
「パンケーキ!?行ってらー!」
ウキウキで冷蔵庫へ向かうかぐやに内心謝りつつ、アパートの階段を降りていると…案の定かぐやの叫びが聞こえてきた
『ヴェエ〜!パンケーキって…クソまじぃやつじゃ〜ん!!??』
すまん、食材買うの忘れてたんだ
あ、あぶね〜
卒業してから殆ど来たことなかったから普通に迷いかけたわ…
「彩葉おはよー」
「おは〜」
「芦花、真実…おはよぉ」
おおぉぉ〜高校生の芦花と真実だぁ
高校の時は毎日のように見ていた姿とはいえ、中身アラサーとして見ると感慨深いものがあるなぁ
それにしても…
「どうしたの?そんなジッと見て?」
「芦花って…本当に美人だよね」
「…?…!?」
「わぁ〜彩葉だいた〜ん」
顔ちっさ!鼻たっか!スタイル良!切れ長の目がセクシー!おまけに性格まで良いとか…高校生なのに完成され過ぎてない?
未来を知ってでもいなきゃ、この美人さんと同棲するなんて中々信じられないだろうなぁやっぱ
「真実も最高に可愛いよん」
「えへへ~照れますなぁ~」
「ほら、早く教室行こ」
「…!…!?」
「今日の彩葉積極的だねぇ~」
少し話しただけだけど、この感じだと記憶は無いっぽいなぁ
考えるのも程々に、いつものように芦花へ自分の腕を絡めると教室へと向かった
いやー久しぶりの授業ちょっと楽しみだ
そして放課後、私は2人に連れられパンケーキ屋へと来ていた
「「彩葉ノートで赤点回避記念〜」」
「あ、ありがとう」
私の前へ運ばれてきたふわふわパンケーキ…お礼の品だと2人は言っているけど、私を気遣って態々連れてきてくれたことが今の私なら分かる
本当、2人にいつも助けられてるんだなぁ私は
2人の好意を無駄にしないため、ありがたく頂戴しようと手を合わせた
「いただき「いただきます!うんま〜!」は?」
「よっ彩葉!」
はぅわ!?
わ、私のパンケーキがぁ〜!?
いつからそこにいたのか…家にいるはずのかぐやが私のパンケーキを強奪すると、陽気に挨拶してきた
あーそういえばこんなこともあったなぁ…懐かしさを覚えると同時に、後でおしおきをしようと固く誓った
「彩葉の服着てる〜」
「可愛い〜」
「芦花!真実!2人とも若〜い!可愛い~!」
「「?」」
気持ちはすごく分かるけど落ち着きなってば
2人とも困惑しちゃってるじゃん
「かぐや、アンタねぇ…」
「てへ☆ごめーん」
「かぐやちゃんって言うんだ、私のパンケーキも食べる?」
「前に会ったことあったっけ〜?」
あぁ早速甘やかされてる…私のこと人たらしだなんだと言ってくるけど、私からしたら本当の人たらしはかぐやだよ
「食べすぎるとお夕飯食べれなくなるよ」
「ぷっぷくぷー!彩葉がクソまずパンケーキ用意しとくのが悪いんでしょー!」
「…そんなに不味かったの?」
「もー聞いてよ2人とも〜!」
「やべっ」
画期的貧乏飯〜水と粉だけのパンケーキ〜は前作って本気怒られしたやつ
温厚な真実のマジトーン説教はいまだにトラウマ…三十六計逃げるに如かずってか
「あー!急用を思い出したぁー!パンケーキご馳走様!2人とも今日はありがとうー!」
急いでかつ丁寧にパンケーキを食べ終わると、かぐやを引っ掴み逃げるように店を後にした
「今日の彩葉…」
「すっごい元気だね〜」
芦花と真美と別れた後、近所のスーパーで食材を購入しかぐやと2人家へ向かっていた
「だから真実の前であのパンケーキの話しちゃダメだって!」
「話しちゃいけないもの、かぐやへ食べさせたの…?」
「アンタが北海道のやつ全部食べちゃったのが原因でしょーが」
「ヴェエ〜」
まだ3食分はあったんだぞ、3食分(昔の彩葉換算)。あっ、モブちゃんへちゃんとお礼言っとかないと
「ただいま〜」
「たっだいま〜!」
使う分以外の食材は冷蔵庫へいれ、かぐやがキッチンへと立った。今の我が家はキッチンが狭いので、料理は基本的に交代制で1人が行うことになっている…まぁ何だかんだ一緒に作ることになるんだろうけどさ
っと、今のうちにかぐやのスマコン設定しときますか
「ごちそうさまでした…美味しかった〜」
「お粗末さまでした、彩葉〜明日は何食べたい?」
結局、2人でわいわいしながら作ったハンバーグは最高に美味しかった
さて、食事の片付けも終わったところで
いよいよ行くとしようか
ツクヨミへ
「準備は良い?」
「もち!」
「じゃあ行くよ」
「「せーの!」」
夜空に星がまばらに輝き、水面が淡い光を放つ…そんな幻想的な空間にかぐやは1人立っていた
日は沈み、夜がやってきます
そんな声が聞こえてきたかと思うと、かぐやの目の前にツクヨミ管理人、月見ヤチヨその人が立っていた
「仮想空間ツクヨミへようこそ!」
「ヤチヨ〜!…ってこれチュートリなんだっけ?」
駆け寄ってきたヤチヨへ抱きつこうとして…かぐやはこれがチュートリアル用で本人ではないことを思い出し止まった。が、ヤチヨは気にせずかぐやへと抱きついた
「そのままでも十分素敵だけどー折角だからもっーとおめかししちゃおー!」
「あれ?チュートリこんなんだっけ?」
記憶にあるのと違う気がするな〜と思いつつ、まぁいいやとキャラクリを開始する
とりあえず前と同じで良いかと衣装を選んでいると…かぐやは気になる衣装を見つけた。見つけてしまった
「ねぇヤチヨ…何で衣装の中に彩葉の高校の制服があるの?」
「よよよ…このヤチヨはチュートリアル用なので、よく分からないのですー」
「じー」
「(大量の汗が流れる音)」
なーんか怪しいんだよなぁと訝しむも、彩葉が待ってるしさっさとキャラクリを終えるかぐやであった。月のお姫様は細かいことを何時迄も気にしないのだ
「行ってらっしゃいー!」
心なしか安心したような顔のヤチヨに見送られて送り出された先には、彩葉と…
「わん!」
「彩葉〜!犬DOGE〜!」
ご存知ラブリーな相棒こと我らの犬DOGEが待っていた。ご主人に会えて嬉しそうな犬DOGEをかぐやは抱き上げた
「相変わらず…ギャルいかぐや姫」
「何だかんだ言って、結局これが可愛いんじゃん☆」
「まぁね、じゃあ行こ」
「行こ、いこ!」
こうして、彩葉とかぐや…それから犬DOGEはツクヨミへと再び足を踏み入れたのだった
お読み頂き誠にありがとうございます
次回からは毎週月曜日に更新となります
高評価並びにお気に入り登録等して頂けると嬉しいです!