酒寄彩葉に泣かされる優柔不断で悪いモブの話~逆行編~ 作:ゴリラ皇子
あくる日
「これどーゆう状況なん?」
「さぁ…?」
ツクヨミ内、ヤチヨの自宅にて…私とかぐやとヤチヨはモブちゃんと芦花を取り囲んでいた
既に色々やらかしてしまっているし、この先もどうせやらかすのだから…とりあえず身内へ話していこう。ということになり先ず選ばれたのがこの2人である
「そう緊張しないでー、とりあえずモブちゃんには…FUSHI、お願い」
「行くぞぉー!」
「あば、あばばばばばばっ!?」
「うわ〜ヤチヨ自分に容赦ねぇ〜」
本当にね…もうちょっと優しくしてあげて欲しい。打ち上げられた魚みたいになってんじゃん…あれ、私達もあんな感じだったのかな??だとしたらちょっとだけ嫌だな…
「じゃあ〜芦花にはかぐや達が説明するね☆」
「え、えぇ?」
「ごめん、混乱させちゃうよね。ちゃんと説明するから…先ずはー」
〜説明中〜
「…ってことなんだけど」
芦花は深く息を吸い込むと、指を指しながら1つ1つ確認し始めた
「かぐやちゃんが宇宙人で」「そだよ〜☆」
「ヤチヨがモブちゃんで」「たははー」
「彩葉達には未来の記憶があって」「うん」
「私は未来で彩葉とかぐやちゃんとヤチヨと同棲している、と」
「「「(コクコク)」」」
「スゥー」
大きく息を吸い込んだ芦花の脳内に溢れ出した、(いまは)存在しない記憶
4人での同棲生活、お揃いの指輪、撮影の仕事で遅くなった日…出迎えてくれる彩葉、温かいご飯を作ってくれているかぐや、膝枕と子守唄で疲れを癒してくれるヤチヨ
芦花は悟った
己の生まれてきた意味を
そして彼女は女神のように慈愛に溢れた目で、彩葉達へこう言った
「皆んな…子供は何人欲しい?」
ちがーう!
いや違わないのかもしれないけど、そうじゃなーい!!
「芦花が壊れちゃった〜!?」
「刺激が強過ぎたかにゃー?」
芦花のメンタルケアのためかぐやとヤチヨが別部屋へ芦花を連れて行った後、部屋には私とモブちゃんの2人が残された
「ねぇ、モブちゃん」
「(ビクゥ)な、なんでしょう…?」
何で他人行儀?
FUSHIの「行くぞぉー!」から復帰したモブちゃんは芋虫のように床を這うと、素早い動きで部屋の隅で体育座りしてしまった
私はモブちゃんの隣へ座ると、同じように膝を抱えて座った
「やっぱり…ショックだよね、自分がヤチヨだなんて…」
「?あー」
「ヤチヨはああ言ってたけど…8000年前にだって、モブちゃんが嫌な「それは全然良いんよ」へ?」
へ?
じゃあ何でそんなに落ち込んでる?
私はてっきり…
「8000年前行って、かぐやと同じ旅路巡るとかめっっちゃ楽しそうじゃん?まーそりゃいろぴ達と離れるのはちょーっとだけ寂しいけどさ、むしろウチからお願いしたいくらいみたいな?」
「そ、そうなんだ」
「うん…だからそれは全然良い、全然良いんだけど…」
「…けど?」
「いろぴにウチがキャラ作ってるってバレたぁぁぁああああああ!!!!!!」
うん…うん?
「ちゃうんですよやっぱ夢見た世界に来ちゃったけどそのままの自分じゃ恥ずいというかのめり込み過ぎちゃうと言うかファンとして一線を引くために客観的に見る必要があって引くに引けなくなったというか、それもこれも彩葉(幼)が可愛すぎるのが悪いのであってあっ語録が古いのは自分でも分かっているというか…」
何か私のせいにされてなかった?
まぁ、これはアレだね…昔作って失敗した曲をかぐやに発掘されて羞恥で悶えていた私と同じやつだ
ちゃうんすよ、アレはいつか作り直すつもりのやつで…っていかんいかん!私まで闇に落ちるところだった…
「モブちゃん」
「!?」
モブちゃんの頬へ優しく手をやると…モブちゃんの身体がビクッと大きく震える
それでも、振り払われたり逃げられたりすることはなかった
「私はどんなモブちゃんでも、大好きだよ」
「あっ」
大きく見開いたモブちゃんの綺麗な瞳に私の姿が映る
吸い込まれそうなくらい綺麗な…私の大好きな瞳
「モブちゃんはさ、私が本当は全然違う性格だったら好きになってくれない?」
「そ、そんなことない!絶対好きになる!…けど」
「けど?」
叱られた子供のように小さく肩を震わせ、目を伏せ俯いてしまったモブちゃんの背中を優しく撫でる
「…本当の"私"は彩葉に好きになってもらう資格なんて…ないから…その…」
「…どうして?」
「私…私は…」
罪を告白するように、赦しをこうように…絞り出すようにして、心の中に巣食っていたモノを吐き出していく
「わ、わたし彩葉が、辛い思いするって…し、知ってたのに…1人になっちゃうって…し、知ってたのに…」
「うん…」
モブちゃんの背中を撫でながら、ゆっくりと相槌を打つ
「わ、わたし…こわくて…な、なにもできなかった…!いろは、ないてたのに…な、なにもできなくて…!」
ずっとモブちゃんの中で溜まっていた思い…同じような立場になって初めて分かる
どれだけ悩んだか…どれだけ苦しんだか…
「ごめんなさい…わたし、できたのに…なんでも、できたのに…!きっと、いろはのおとうさんだって…わたしなら…ごめんなさい…!」
私はモブちゃんの震える身体を抱きしめると、耳元で囁くように…でもハッキリと自分の気持ちを伝えた
「モブちゃん、私は1人なんかじゃなかったよ」
そう、私は決して1人じゃなかった
離れていたってお兄ちゃんがいた、優しいお爺ちゃんお婆ちゃんがいた、何だかんだ言って助けてくれるお母さんがいた
そしてなにより
「貴方がいてくれた」
モブちゃんとしてヤチヨとして
ずっとずっと…私の側にいてくれた
大切な
大切な貴方
「だから何度だって言うよ」
モブちゃんの綺麗な瞳が私を見る
私もその瞳を真っ直ぐ見つめた
「大好きだよ」
溢れ出した思いが、大粒の涙となって瞳からこぼれていく
「うぅ…いろは…いろはぁ」
「うん、私はここにいるよ」
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
「大丈夫、大丈夫だよ」
たっぷり30分程が経って、モブちゃんが落ち着いた頃かぐや達が帰ってきた
「言いたいことは吐き出せまして?」
「おかげさまでね!」
ヤチヨはやっぱりモブちゃんなんだなぁ
こうなることが分かってたみたい
ってか、ヤチヨも最初の頃は私やかぐやのことが色々重なって自己肯定感が低過ぎだったのに…今じゃお姉さん感出しちゃってまぁー可愛い
さて、ここからは酒寄家の会議の時間だ
ヤチヨがホワイトボードと何故か眼鏡も用意してくれたので、私が進行役となって進めていく
「では今後の目標を発表します。長期的な目標はタイムパラドックスを防ぎ、私達が知っている世界を維持すること。これにはモブちゃんに頑張って貰う必要があります」
「おけまるー♪」
「次に短期的な目標として、ヤチヨCUPの優勝と月人さん達との和解があります」
ホワイトボードへヤチヨCUPと月人さんと書き出していく
「ヤチヨCUPの優勝については歴史の大きな転換点とまでは流石に言えないけど…なるべく私達の知ってる通りに進めた方が良いだろうというのと、単純に私がヤチヨとコラボライブをしたいからです」
「「「おぉー」」」
「かぐやを中心に私と芦花でサポートして、手の空いてる人に色々手伝って貰う感じで…まぁ結局いつも通りってことかな」
「天才美少女ライバーのかぐやちゃんなら余裕〜しょ!」
「うん、私も精一杯サポートするね」
よっしゃーと大きく手を振り上げて楽しそうに笑うかぐやと、グッと手を握ってやる気をアピールする芦花の2人に頼もしさを感じる
「ヤッチョはー?」
「ヤチヨは月人さん達への説明と例の件をお願い、ツクヨミの運営で大変だろうけど…現状コンタクト取れるのヤチヨしかいないから」
「うけたま!かしこま!つかまつりー!」
昨日ヤチヨへ相談したことは月人さん達の力がないと実現できない。だからヤチヨには何としても協力を取り付けてほしい
例の件?とモブちゃんがはてな顔をしているが「そのうちね」といって誤魔化した
「あとは高度な柔軟性を持って臨機応変に対応するってことで」
「行き当たりばったりってやつ〜?ま、かぐやちゃんそう言うの嫌いじゃないけど~」
ま、身も蓋もない言い方をしちゃうとそう言うこと
「何とかなるでしょ?私達ならさ」
「当然〜!」「お任せあれ!」「ま、余裕だよね」「ウチらが揃えば無敵だし?」
この先どんなハードな展開が待っていようと…皆んなと一緒なら絶対に乗り越えられる
そう思っていたけど
「彩葉ぁ〜!かぐやの初配信、視聴者数が大変なことになってるんだけど!?」
「はぁ?大変って…じ、十万人!?」
Yachi8000の同時視聴から来ました?…これ、もしかしてヤチヨのサブ垢?い、いつのまに…!
「何やってんのヤチヨーーー!!??」
後ほど事情聴取したところ「だってぇー!ヤッチョもかぐやのこと応援したくてぇー!?」などと供述しており
少しだけ先行きが不安になる彩葉なのであった
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