酒寄彩葉に泣かされる優柔不断で悪いモブの話~逆行編~ 作:ゴリラ皇子
明くる日…ツクヨミ内、真実の自宅にて
文字通り死ぬ程心配していたモブちゃんに膝枕をされ、私は今日も今日とて存分に甘やかされていた
「やっぱ黒鬼強いねぇー」
「帝様だも〜ん」
「真実の裏切り者ぉ〜!」
私達かぐや&いろPチームもTOP10に入っているものの、黒鬼はやはり強く…未だ彼等との差は大きい
「今度みかぴ達とコラボやるんしょ?それで大逆転的なー!」
「かぐやと帝で世紀の竹取り合戦って感じ?」
「むん!次は絶対勝つぞぉ〜!!」
前々から「登録者が100万人突破したらコラボしよう」とお兄ちゃん達と話していたのだけど…お互いの予定もあり結局前回と同じような日程でコラボすることになったのだ
「モブちゃんはやっぱり出ない?」
「ヤチヨとも話し合ったんだけどねぇーウチがガチれば、みかぴ達と言えど余裕で勝てちゃうし…かと言って今更手加減するのも不自然だし…んで、今回はヤチヨに任せることにしたわけよん」
「ヴェエ〜モブちゃん出ないの〜!?」
「ごめんねかぐぴー!何でもするから許してにょぉおおー!!」
まぁこれは仕方がない、先日のかぐや&いろPデート争奪トーナメントでMO=BUの正体がモブちゃんということがバレてしまった上、ヤチヨとのあの熱戦だ。手加減しようとしてもすぐバレてしまうだろう
その点ヤチヨは「助っ人時はお互いのチームの実力差によって強さを変える」と明言しているので、特に問題はない筈だ
芦花は暫くKASSENは遠慮したいらしいし、真実はお兄ちゃん達と戦えないし
あぁそうだ、芦花とはちゃんとデートに行ったよ?リアルでだけど。かぐやと芦花、次に私と芦花で。超楽しかったよん
そんなこんなでコラボ当日
『黒鬼ご来臨ー☆』
おーおー相変も変わらず派手だわ
壁をブチ破って登場したお兄ちゃん達を私、かぐや、ヤチヨはKASSENの待機場で呑気に眺めていた
「改めて、100万人突破おめでと」
「ありがと〜!そんじゃあ…んん〜!ゴラァ!帝ぉ〜勝負しろぉ〜!!」
「ふはっ!切り替えやば過ぎぃ」
前傾姿勢のかぐやも可愛いな?
分かる(ヤチヨとの無言のアイコンタクト)
「それで?俺が勝ったらブラックオニキス主導のコラボライブってことで良いの?」
「もち!かぐや達が勝ったら、かぐやといろPがメインな!あっヤチヨに演出頼もっかなぁ〜!」
「えーそっちだけヤチヨちゃんに頼むのズルくない?」
何か話の流れで勝った方が主導でコラボライブをやることになった…なんで?
まぁかぐやが楽しそうだから私は良いんだけど
かぐやとの絡みが終わったお兄ちゃんは、片手を挙げて声をかけてきた
「よっ、今日は手加減なしでいーの?」
「当然。そーやって油断してると痛い目見るかもよ?」
「かぁ〜言うようになったなぁ〜!」
聞きたいことは聞いたとばかりに、ひらひらと手を振りながら遠ざかっていく背中に私は肩を竦める
「ぜったい勝とうね!」
「…ねぇヤチヨ、前から思ってたんだけど…その衣装セクシー過ぎない?」
「なんとぉー!?」
試合開始と共に私達は飛び出した…3方向に
『こ、これは…両チーム、トライデントだぁああ!!』
『1vs1でのぶつかり合い、実力差がハッキリでちゃう戦い方だね☆いろぴがんばれぇー!』
『解説のモブちゃん、贔屓はやめてくだーい』
距離は短いが高速移動のカラスを飛ばしなるべく櫓まで近づくと、使用限界ギリギリの所でカラスから飛び降りた
ミニオンを一掃しながら順調に目標の櫓へ近づいていると、私の頭近くの地面に何かが着弾
これはお兄ちゃんの銃撃…!
もっと近づきたかったけど、流石に早い
私が遮蔽物へ身を隠し周囲を伺うと、お兄ちゃんは堂々とこちらへ歩いてきていた
「トライデントとはなぁ…俺等のこと舐め過ぎじゃね?」
「まさか、私が2人に頼んだの。お兄ちゃんにリベンジ…しときたかったからね」
「ふーん?その負けず嫌いなとこ、全然変わってないのな。全く誰に似たんだか…」
「我が家に負けず嫌いじゃない人なんている?」
「確かに…じゃあ久々にやりますか、兄弟喧嘩」
「負けても泣かないでよ?」
「はっ!上等!!」
私の剣とお兄ちゃんの金棒が大きな音を立ててぶつかり合う
『あれ、もしかして帝といろPが兄弟って初出し?』
『…そういや配信では言ってないかも?2人は正真正銘ガチの兄弟でぇーす☆』
『なんと!まさかの血を分けた兄弟対決だぁ!!』
スピードと手数の多さでは私の方が有利!
大振りにはせずコンパクトに剣を振るい、動きを止めない。モブちゃんとヤチヨと特訓した通りの動きができている
だけど
分かっていたけど…強い!
何で二刀流のこっちが攻めきれないんだ!
「そういや母さんと話したんだってな!嬉しそうに話してたぞ!」
「まぁね!理転のことも一応報告しないとだし!その前段階的な?」
「あー大変だな、お前も…まぁ上手くやれよ?」
しまった!
刀を強引に弾かれ、体勢が崩れたところを蹴りで距離を空けられてしまった
「俺みたいに☆」
『帝の最速が決まったぁ〜!!!』
『巧みに位置を調整してたねー、戦いながらやるのはかーなーりー難しいんだけど、流石みかぴ!やるぅー!』
その後も奮戦するも、やはりプロ相手に1vs1では分が悪く1回戦は黒鬼の勝利で終わった
「すまん!私の我儘のせいで、黒星ついてしまった!」
「ヤチヨもずっとウミウシでしたぁー!」
「くそぉ〜かぐや達も強くなってる筈なのにぃ〜!」
1vs1でボコボコにされた私達は心が折れる…なんてことは当然なく、むしろメラメラと闘志を燃やしていた
「前回どうしたんだっけ?」
「確かーかぐやがレプちゃんを餌付けして奇襲したようなー?」
「流石ヤチヨ、よく覚えてるね」
「えへへー、だって…2人のことは何でも知っていたくて」
可愛過ぎか?堪えきれずヤチヨを抱きしめる「キャー♡」と口で良いながら頭を擦り寄せてきて愛しさゲージの上昇が止まらない
「あーでも、前回は真実のメロンパンがあったけれど今回はないから…無理やも?」
「ふっふっふっ〜そういう時は…かぐやにお任せあれ!」
すかさずと抱きついてきた不敵な笑みのかぐや、私達はその手にあるものを見て作戦の成功を予見した
エネルギー補給も済んだし…さぁ反撃開始だ!
『かぐやの奇策が刺さったぁぁあああ!!!』
『レプトケファルスくんを餌付けして乗せてもらうとはね〜!というか、かぐぴが食べさせてたのかぐやまんだよね!ずるない!?ウチも食べさせて欲しいぃぃいいい!!??』
何故か持ってたかぐやをイメージしたまんじゅう『かぐやまん』をレプちゃん?に食べさせたかぐやは私と並走しお兄ちゃんを引きつけると、温存していた高速移動のハンマーを使い乃依さんを奇襲。ヤチヨと2vs1で見事撃破していた
そのまま数的優位を保ったまま押し切り…2戦目は私達の勝利で終わった
「かぐや道は深い…」
分かる(ヤチヨと頷きあう)
まぁ私はかぐやの全部を知ってるけどね
泣いても笑ってもこれで最後の第3戦目
私とかぐやのぎゅーでパワーアップしたヤチヨ(本人談)は、乃依さん雷さんと相打ちになり…勝負の行方は私&かぐや対お兄ちゃんへと託された
「ブラックオニキスはなぁ…みんなに夢みせなきゃいけねぇんだよ」
私たちと対峙したお兄ちゃんは、2vs1という圧倒的不利な状況にも関わらず…そう言って不敵に笑った
「ウチらが勝ったら、こっち主導のライブってことで良いんだよね?」
「?そういう約束だからな」
「んじゃ〜帝の衣装はフリフリのメイド服な!」
「マジかよ!?」
半分くらい本気だよ!
かぐやと左右に分かれて瓦礫を足場にお兄ちゃんへと迫る
瓦礫を強く蹴ってお兄ちゃんへ刀を振るう
弾かれた反動に逆らわず空中へ身体を逃す
すぐ下をかぐやのハンマーが通過した
合図なんて必要もない
アイコンタクトも必要ない
かぐやのスキルに隠れて武器を交換、思いっきり振り回す!
「彩葉が危なくなったらかぐやが助ける!!」
ハンマーを投擲、すぐにかぐやが投げてきた剣を受け取る
「かぐやが危なくなったら…私は置いてく!」
「なんでぇ!?」
密かにハンマーへつけていたワイヤーを巻き取りお兄ちゃんを拘束すると、私はお兄ちゃんめがけて走った
「彩葉!」
かぐやなら…
「かぐやの考えることくらい」
かぐやとなら私は…!
「わかってるっつーの!!!」
何だってできる!!!
勢いをつけての横一線
私の一撃はお兄ちゃんのHPを削り取った
「やりゃーできんじゃん」
そう言って微笑んだお兄ちゃんはどこか満足そうで…10年後と変わらぬその優しさに、敵わないなぁなんて思ったり
『『鬼あちぃ!!!』』
私とかぐやの快進撃は続き順調に天守閣へと近づいていた
「見てて!かぐや大活躍!!」
調子のってんなぁ〜
敵を爽快に薙ぎ倒しながら進むかぐやを見て、ふと何か大切なことを忘れていることに気がつく
はて、何を忘れているのだろうか
「勝ち確ぅ〜…へ?」
フラグというやつなのだろうか
かぐやが大将落としを叩こうとしたその瞬間、盛大な爆発が起こった
かぐやの足元から
『雷の地雷トラップぅぅううう!!!』
『か、かぐぴぃぃいいいいい!!??』
やべぇー!忘れてた!?
慌てて走り出すも時既に遅く、猛烈な勢いで進んでいたお兄ちゃんに追いつくことはできず…かぐや&いろP withヤチヨvsブラックオニキスの戦いは、ブラックオニキスの勝利で幕を閉じた
は、ははは…終わった…
『ヤチヨCUPの結果はまだ出ていません』
『そのとーり!目ん玉かっぽじってよく見ろし!』
私はいじけるかぐやを慰めつつ必死に祈った
できることは全てやった…失敗したこともあったけど…神々の皆お願いします、ヤチヨの初コラボ相手にさせてください…!
『『ヤチヨCUPの優勝者は…!』』
ブラックオニキスのグラフがぐんぐん伸びていく。私達も途中まで追い縋っていたけれど、途中で見えなくなり…そして…そして…最後の最後でブラックオニキスをぶち抜き、私たちかぐや&いろPチームがトップで、光り輝いていて
『『優勝は!かぐや&いろPチームぅ!!』』
『めでたしやぁ〜!!!』
あっぶねぇぇぇええええ!!!!
最後の最後に大ポカやらかして今回ばかりはダメかと思ったぁ…いや、確か前回も同じようなことをやらかして優勝してたから、結果的には正解だったのかも?
まぁ兎にも角にも…よっしゃあぁぁああ!!!
「やったぁぁあああ!!!彩葉のおかげだよぉおおおお!!!」
興奮のまま抱きついてきたかぐやのいつもより高くなった体温に、私の身体もポカポカと温かくなる
「かぐやが頑張ってくれたからだよ…」
雑談にゲーム実況に歌に…とメインで頑張ってくれたかぐや。優勝できたのは間違いなく彼女のおかげだ。本当にありがとう…かぐや
『かぐやといろPの笑顔に惚れたぁ〜!』『エイムの正確さ凄い!』『一生推すわ』『ヤチヨも途中から2人を好きなこと隠さなくなったよな』『いろP結婚してくれぇ〜!』
私達への大歓声があがる中、お兄ちゃんが雷さんと共に姿を現した
「これじゃ勝ったとは言えない、か」
全く律儀というか何というか…どうやら私達の勝ちということにお兄ちゃんの中ではなっているらしい
「それじゃあさ、お互いがお互いの衣装を考えるってのはどう?演出はヤチヨに相談してみるからさ」
「それ賛成〜!彩葉天っ才すぎぃ〜!」
「ふむ…かぐやちゃんの衣装を考えていい…と?」
やっぱやめようかな?
まぁお兄ちゃんなら何だかんだいって酷いことにはならないだろうけどさ…いやでも、自分の衣装があれだしな…
自分等のファンのとこへ行くと言って去っていったお兄ちゃんと入れ替わるように、ヤチヨが空中から降ってきた
「彩葉ぁー!かぐやー!」
「「ヤチヨ!」」
満面の笑みを浮かべたヤチヨと、私達は感情のまま抱き合った
「2人ともよーく頑張った!」
「まぁね〜2人は最強!」
「当然、と言いたいけど…皆が助けてくれたからだよ」
ヤチヨ、モブちゃん、芦花、真実、オタ公さん、そして…お兄ちゃんに乃依さんに雷さん。本当に色んな人達に助けられて、優勝まで辿り着けたんだ
「ここからもハードな展開が待っているけど、一緒に乗り越えようね!」
「お〜!」
「うん、私達なら大丈夫」
どんなハードな展開(デスマーチ)が待っていたとしても…きっと私達なら何とかできる
未来のことを考えるのも大切だけど、とりあえず今は…
「ライブ、楽しむぞぉー!!」
「「おー!」」
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