「それで、ポニーは進路どこにするんだ?」
「勿論雄英!」
小学生の頃から、俺とポニーはセットで扱われていた。中学に入学してもそれは変わらなくて、時折クラスメイトから「お前らいつ付き合うの?」とかも言われるようになってきた。そういうんじゃねーっての。
俺と関わってきた時間が長いからか、入学前の時点でポニーの日本語はかなり流暢になってきた。日本で暮らしてきた期間もそれなりなので、感情を出す時も日本語で。
「やっぱ雄英か」
「……操は?」
「勿論雄英。……でもちょっと勉強が心配だから教えてくれ」
……前世の享年と並んで何か思うことが増えることもなく、日常を過ごしている。超常黎明期の頃の方が、物語の根幹に関わってくるからだ。生まれるまでに殆どが終わってしまっているから、俺が変えられたのは精々轟家の問題くらい。これで焦凍がどう変わるか……。
(つーか、そもそも俺がA組に入るって確定したわけじゃないんだけどな)
「そうと決まったら、早速勉強しましょ。ほら、教科書開いて」
「はぁい……」
そんな今は中学3年。丁度原作が始まる頃。
(オールマイトはうまくやっているだろうか)
根津校長からの連絡は明日頃に来るそうだが……結局、俺はオールマイトと直接のコンタクトを取ることは叶わなかった。
そりゃそうだ、あの人神野まで普通にトップヒーローやってたしな。俺がいくら根津校長とコンタクト取れたとしても、簡単に会えるわけじゃない。
……雄英に入学したとしても、緑谷からOFAのことを聞き出さなきゃ無理だし。勉強もやらなきゃだし。
(やること山積みだなあ)
前世より長く生きて、この超常社会に生まれた自分の前世がどれだけ怠惰だったかを思い出してため息を吐く。
「コラ、ため息だめ!」
(……かわいい)
「わかったわかった。……で、ここどういう事だ?」
「ああ、そこはこの公式を──」
友達と遊ぶとか。
テストに向けて勉強をするとか。
朝起きて、仕事や学校に行く支度をするとか。
ご飯を食べながらテレビみたりとか。
住み慣れた
「ポニー」
「操?」
「雄英、行こうな」
「……勿論!」
ヘドロ事件は起こった。原作通り、緑谷出久が最高のヒーローになる物語が始まる。
(……訓練、気合い入れないとな)
数ヶ月後に控えた入試。実技は問題ないだろう。筆記は……まあポニー先生と俺の努力頼みだな。
(さっさと今日の分の勉強終わらせて、訓練しないと)
「ン、数学はこんなところ?」
「ああ、基礎がわかればもう行けるよ」
「それじゃあ3時間後に個性の訓練!いい?」
「りょーかい」
……日常とは、日々繰り返される毎日の事。非日常とは、その否定形だ。
この世界は、超常でありふれてる。ここ東京で個性犯罪がない日なんてない事を、そしてそれに巻き込まれないなんて甘ったれたことを言う暇など無いと。
俺は改めて、重みを以て知ることになる。