根津校長からの連絡は、オールマイトの後継者が決まったという旨だった。名は緑谷出久、無個性の少年。ヘドロ事件での被害者、爆豪勝己と幼馴染。
『君の知っている未来通りに進んでいることは、少し驚いているよ』
ちなみに、こちらから公安に働きかけて『レディ・ナガン』の釈放も完了したらしい。
「ほんと、凄えなぁあの人は」
「ね!オールマイトは最高のヒーローだよ!」
転生前で言う文京区を歩いていたポニーは、どうやのらオールマイトのことだと思ったらしい。あの人、ついさっき敵退治してたもんな。
(……さて、雄英受験まであと6ヶ月)
一日くらいリフレッシュしなさい、と母がお小遣いを添えて、ポニーとのお出かけを推してきた。
「あ、ここ寄ってもいい?」
「ああ」
そう言ってポニーが指したのは、ヒーローグッズが多く売られている店。結構大きなビルを丸々使っていて、日本だけじゃなく海外の有名ヒーローまで網羅している。日本でも有数のヒーローグッズショップだ。
「わあ……!」
「程々にしとけよ。帰りの電車賃がなくなったらめちゃくちゃ怒られるから」
「わ、わかってる!」
上がったテンションが隠しきれていないが、まあいい。この世界に生きる人間なら、誰しも興奮するからだ。
ポニーはどうやらアメリカヒーローのコーナーで考え抜いた末、『スターアンドストライプ』のぬいぐるみを買ったらしい。
「買えてよかったな、ポニー」
「あと1コだったから……」
「……アメリカ、戻りたいのか?」
「それは……どう、なんだろう」
その問いかけに、ショップを出ても悩むポニー。ホームシックというかカントリーシック的なものはなさそうだが……。
「別に、そんな事ないよ」
「……そっか」
「うん、だから安心して、操!操のコト大好きだし、離れたりしないから!!」
「……っ、おい抱きつくな」
「いいじゃん、幼馴染だし!」
「お前っ……」
胸デカいんだよ!!!!健康な食事食べまくってデカくなりやがって……!俺のがモクモクがデカくなるからやめろ!?
「ふんっ!」
「わ」
「はぁ……外では出来る限りハグするな、いいか?」
「え〜、操とHugするの好きなんだけどな」
「発音良く言っても無駄だからな」
「くっ」
「悔しがるな!?」
その後は東京でMt.レディの活動現場に出会したり、インゲニウムが迷子を連れて行くところを見たり、エッジショットがすたこらさっさと走っていく姿を目撃したり、ヒーロー尽くしの1日だった。
ポニーはお目当てのアメリカヒーローグッズを買えて嬉しそうだし、そろそろ日も暮れて帰る頃になってきた。
「ポニー、そろそろ……あ?」
「どうしたの?」
「っ、ポニーしゃがめ!」
「え?」
まずい、
「きゃあっ!?」
「ケケケ……よーし、いい女みっけ〜〜」
「……お前、敵か?」
ポニーを鷲掴みにしているのは、両手の爪が鋭く硬く尖るように発達した、ツノの生えた大男。凶暴かつ下卑た笑みと薄汚い服装は、どう足掻いても敵そのもの。
「あ?俺をその辺の敵と一緒にするなよガキンチョ」
「誰がガキだ。女欲しさにガキ攫おうとするテメェのがガキだぜロリコン。さっさと返せよ」
そう言い放った俺を、男は笑い飛ばす。
「やだね!コイツは俺が愉しむんだ……『
「なるほど、その爪が個性か……!」
「違えよガキンチョ……コイツは個性じゃなく"異能"!!俺は異能解放思想に賛同する者!!」
落雷のような怒りで、堂々と自らの思想を公にしてきた。
(異能解放軍……!)
「その解放思想とやら、俺がへし折ってやる」
「やってみな、ガキ!!」