母に車で連れられてやってきたのは、東京某所。『"個性"訓練所』……正式名称『"個性"制御訓練補助所』という場所だ*1。
東京だけでなく各地方都市、有名ヒーロー科のある学校などの近くは多い。政府の方針で、各自治体につき1ヶ所は作るよう命じられているため、別に離れたここに来なくても……と思ったのだが。
どうやら両親は、俺のポテンシャルをかなり高く見積もってくれているらしい。
(ありがたい限りだな)
訓練所の利用には予約が必要なため、母が事前に予約をしてくれていた。ちなみに、利用料金は税金で賄っている。この辺りは、しっかりと社会保障として組み込まれているようで安心した。
「こちら、息子の個性届です」
「ありがとうございます。……成程、
……え、お父さんって保須勤務なの?ステイン大丈夫かな。
「操くん……だよね。君の個性は凄く強いね。将来の夢はヒーローかい?」
こくりと頷くと、職員さんは「へえ!」と感嘆した。お母さんが『ガス』の訓練状況を伝えると、更に驚いた様子を見せた。
「そうですか、この歳でもう……凄いなぁ、操くん」
そう言って、職員は頭を撫でてきた。普通の人……無個性よりも大きい手が心地よくて、思わず笑顔になる。
「息子さんは責任持ってお預かりします」
「よろしくお願いします」
「……それじゃあ行こうか、操くん」
お母さんに「いってきます」と手を振って、職員さんと共に「第三訓練室」と書かれた部屋へ入る。
「ここが、今日君が訓練する部屋だよ」
そこは、広い体育館のような場所。もっと細かく言えば、雄英の体育館
そこでは15人ほどが個性を使用して、側についている職員と共に訓練をしている子供がいた。
「新しい子が入ってきて、何人か君のことが気になってるみたいだ。誰かと一緒に訓練をすることもできるけど、どうしたい?」
そう言われて部屋を見回してみると、二人一組で訓練をしている子もいた。兄弟や幼馴染、もしかしたらここで初めて知り合った子たちもいるかもしれない。
「……
ふと、空を駆け回る一本の角に目を奪われた。空中を浮遊できるような個性は少ない。しかもあれは……
(……角取、ポニーか)
雄英高校1年B組、角取ポニー。個性『
「あの子にするかい?」
「うん」
折角原作キャラに出会えたんだ、ここで会って、多少なりとも強化した方がいいだろう。
「あの子はね、アメリカっていうところから来たんだよ。すごく遠いところなんだ」
それはわかる。だから、ある程度言葉が通じないことはわかってる。彼女の母国語は英語だし、原作でも感情が昂った時は英語が出ていた。
「あ、先輩。もしかして合同ですか?」
「そうみたい。言葉は大丈夫?」
「翻訳できるんで、大丈夫です!」
「オッケー。……操くん、話しかけてみよっか」
……なんだか子供として扱われるのはむず痒いけど、今に始まったことじゃないからいっか。
「……ハロー?」
「Hello,Nice to meet you! My name is pony! What's your name?」
「『こんにちは、よろしくね!私の名前はポニー!君の名前はなぁに?』って言ってるみたい」
「……僕の名前は操。よろしく、ポニーちゃん」
ポニーについていた職員が翻訳を伝えると、笑顔でハグをかましてきた。これがアメリカ流……。
「嬉しそうですね」
「アメリカから来たばかりで、交流もまだ少ない状況でしたから。親御さんとしても嬉しいと思いますよ」
ポニーは俺から離れて、『一緒に訓練しよ!』と言ってくれた。お言葉に甘えよう。
「操くんの個性は『ガス』だよね。体をガスに変える以外のことはできる?」
「ううん、まだ。これから作る」
「もう作るのか!いいヒーローになるね!」
職員に笑顔で返して、そっと息を吸う。だんだん重さが無くなって、ふわりと浮いて、体がゆらめく。ガス状での体を使った移動はもうお手のものだ。高速移動なんかは、後から身につければいい。
「凄っ!操くんもうこんなに……!?」
「親御さんが"天才"と言うだけありますね……」
空中をふよふよ漂う俺を見ていたポニーが目を輝かせる。自分もなんとか飛べないかと模索してるみたいだ。
「……ポニーちゃん、……かもん!」
「!」
両手を広げるポーズは、子供にとってはハグの合図だ。
ポニーをぎゅっと抱きしめてそのままふわりと浮き上がる。一応俺の体を使って、足場的なものは作ってるけど……それでも不安らしい。
「Wow……!」
「『ポニーちゃーん、試しに角の上に立ってみよっか!』」
「
ポニーは足の下に角を潜らせて、角の上に足を置いた。角で身体を持ち上げるように操作する。
「わ」
「Woah!」
瞬間、ポニーから重さが消えた。いや、ポニーが自力で飛んだんだ。
「レッツフライトゥギャザー、ポニー!」
「……! Yes!」
「……凄いな、あの子」
「ですねぇ……ポニーちゃんも、慣れるの早いですよ」
「いいヒーローになれるね、あの2人は」
「ですね」
まるでピーターパンとティンカーベルのように、俺とポニーは空を飛び駆ける。俺の目に映ったポニーの笑顔は、とても綺麗だった。
操くんの英語力はそこそこ。雄英入るので、小さいうちから勉強するつもりだった。中学生程度の文法ならわかる。