偶然とは、自らの手の外で作られた必然のことだ。
……というのは、俺の捏造。いや熱造、なんつって。
「んなこと、言ってらんねェ……!!」
これは、俺が5歳の頃の、某月某週日曜日の話。
とある家の、とある子供を救った話。
場所は──静岡県
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「轟燈矢は、どこかの週の日曜に死ぬ」
ついでに言えば、エンデヴァーの回想から冬だとわかる。今は晩秋から初冬、木枯らしが吹いて、肌寒くなってくる頃だ。
エンデヴァーは、燈矢を見に瀬古杜岳に行かなかった。何故なら、轟燈矢の夢と心を折りたかったから。
轟家は、エンデヴァーのために作られた家だ。オールマイトを
轟焦凍は、最高傑作。彼が産まれたと同時に、今まで訓練をつけていた燈矢には見向きもしなくなった。それでも、轟燈矢に点いた熱が消えることはなかった。だから隠れて訓練をして、エンデヴァー以上の火力を手に入れんとした。……それでも、エンデヴァーは見にこなかった。轟燈矢が死に、荼毘となっても、燈矢ではなく焦凍を、いや『半冷半燃』を見続けた。
「思い返すほどに救えないな、あの家」
No.2ヒーローだからと、いつか必ずオールマイトを抜き去ると、そう信じていたマスコミや民衆も、オールマイトの理不尽さに気づくことはなかった。自分じゃ越せない。だから個性婚に走った。
余計なスキャンダルが発生すれば、治安が落ちる。ヒーロー飽和社会にヒビが入ることを恐れた公安の意思も混じっているだろう。……いつかのこと、スキャンダルは轟兄弟に明かしてもらうとして。
「静岡か」
丁度、雄英が見たいって言えばいいかな。いつかもわからないけど、日曜日の瀬古杜岳に、たった1人の人間のために張り込み続ける気力は俺には無い。
(ここは、一つの大きな賭けだ)
轟燈矢の命が救えるか、荼毘が産まれないかどうか。
「よし」
ノートを閉じて、誰からも見られないように仕舞う。……このノートは、あまりにも危険すぎる。情報が漏れたら不味いことがありすぎるから、ノートにした。ネットなんて怖くて使えないし、そもそも年齢的に支給されない。
「お父さーん、雄英高校って見に行ったり……」
ドアを開け放って、どたどたと階段を降りて。父に自分の願いを伝えに行く。
賭けだ。
あまりにも当たる確率の低い賭け。
(人生初のギャンブルは、まさに命懸けってか)
ヒーローなるんだし、まぁいいよな。
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「ここが雄英高校なのさ!」
「おお……!」
丁度この頃って、イレイザーいたかな?いや、死柄木の過去編時点で高1か。なら、いるのは13号先生だ。
校長や父には申し訳ないが、雄英にはそれほど大きな目的はない。瀬古杜岳に行ければ、轟燈矢がそこで"たまたま"救えれば。
「……操くん。少し、私と遊ばないかい?」
「……え?」
根津校長に言われてやってきたのは、仮眠室。作中を通して、オールマイトと緑谷出久の、『ワンフォーオール』に関しての話でしか使われなかった部屋。殆ど使われることはなくても、掃除はロボットがするようだ。
「親御さんは、今は雄英の設備を見に行っているよ」
「うん」
「さあ、ジェンガでもして遊ぼうか。トランプもあるよ」
それ貴方の私物でしょう、校長。
……にしても、なんで校長は俺に個人での接触を?
「君が何かしら、他のことに注意を向けているのは知ってるのさ」
「!」
「雄英高校は、国内最高峰のヒーロー科を有する国立高校……その見学よりも、気になることがあると?」
ああ、やっぱこの
「……根津校長、人払いは済んでいますか?」
「勿論なのさ。その様子だと、まだ隠していることがあるみたいだね。そしてどうやら……只事じゃなさそうだ」
「ええ。信じられないかもしれませんが……」
うまくいけば、かなり強固なパイプが作れる。
失敗=死と思え。
「この国の、未来の話です」