あの後は親にこっ酷く叱られたり、冷さんが精神病棟に入ったり、エンデヴァーが過去を公表して、改めてヒーローとして走り出したり、轟家との交流が始まったり、色々あったが割愛しよう。時間がいくらあっても足りなくなる。
結果として、燈矢は俺の叔父に引き取られた。俺が無理やり燈矢を助け出したことで原作より怪我が軽くなり、1年程度で復活し退院。
その後燈矢が轟家と離縁。静岡に住んでいた俺の叔父に直談判までして頼みこんだそうだ。
「よ、遊びに来たぞ」
「お、荼毘じゃん」
「ヒーローネームで呼ぶな。今はプライベートなんだよ」
「燈矢くん、まだ高校生でしょ」
「……いいだろ別に。今日は偶々オフだったんだ」
燈矢はエンデヴァーを嫌いになった。あれだけのことがあって目も覚めたようで、今一度自分を客観視して、「お父さんや俺のような家族やヒーローを助けたい」と考え、現在はヒーロー科の高校に通っている。
「仮免は?」
「取ったよ。最近ムーンフィッシュってヴィランを捕まえた。ニュースなったろ」
「え、あれ燈矢だったの?」
嘘だろ。え、ムーンフィッシュってあれだよな?『歯刃』の個性を持つサイコキラーだよな。肉見せろー、の。
「……マジか」
「マジマジ。警察からめっちゃお礼言われたぞ」
思わぬところで恩恵が出たな……。これはラッキー。
「学生が凶悪敵の捕縛、かぁ。強くなったなぁ燈矢くん」
「よっ、荼毘!蒼炎ヒーロー荼毘!」
「ちょ、恥ずかしいからやめてくれ
「いいじゃない。燈矢くん……じゃなかった、荼毘が大活躍してるんだから!」
「今はオフだってーの!」
「……ははっ」
……よかったよ、お前が笑顔で。
「燈矢くん、将来はサイドキックからの独立か?事務所立てるなら支援するけど」
「いいよ、進路はもう決めてるから」
「そっか」
サイドキックになる事務所は決めてるのか。やっぱ炎熱系個性と言ったらエンデヴァーだよな。でも燈矢はエンデヴァー嫌いだもんな。え、どうなるんだ?
「操、お前はさっさと宿題やれ」
「残念でした、もうあと一つだけだよ」
「は!?まだ夏休み始まって1週間しか経ってないだろ!?つか最後のやつなんだよ!絵日記か!」
「違うよ」
「あ?」
「『家族の仕事』って作文。……燈矢のことを書きたい」
俺がそう言うと、燈矢は縫い糸に引っ張られた皮膚をさらに持ち上げて笑う。
「……ハッ、インターンのことだけにしとけよ」
「わかってるよ」
「んじゃ紙持ってこい。今から話してやるから」
「待って今から紙取ってくるから待ってろ!」
「さっさと持ってこい。じゃねえと話し終わっちまう」
「てめ、後で燃やす!」
「やってみろ」
あーもう、宿題すぐに終わるじゃん。今日はやらない予定だったのに!
え、今日燈矢の話聴いて終わらせればいいって?昨日まで朝から晩まで宿題ばっかりだった俺にまだ上乗せしろと?
(……まあ、燈矢が元気ならいっか)
轟家の環境は改善されてきています。使用員を雇ったエンデヴァーは焦凍や冬美、夏雄と時間を共に過ごし、家族仲の改善に向けて頑張ってます。もちろんヒーローも。冷さんの心も、少しずつ良くなってきているそうです。よかったね轟くん。