ヒヒイロカネの落とし子~転生者は異能学園で何を成す?~   作:ヒカル・ムラクモ

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初投稿です。


4月
プロローグ-転生理由と我が家の歴史-


 

俺の一番古い記憶、それはいわゆる前世の記憶だ。

その日俺は趣味である釣りに行って、結構な大漁だった。釣った魚をどう調理するか考えながらバイクを走らせていたら背後から突然甲高いブレーキ音が聞こえ車がもつれ合う、そのすぐ後に強い衝撃が襲いかかり、俺の身体は宙を舞う。宙を舞っているとき俺は

「あぁ俺は死ぬな…」

となぜか自分の死を他人事のように思いながら意識を手放した。

 

だが気づくと何故か俺は空から落ちていた!パニックになりながらも自分の手を見ると手のひらが半透明となり、身体を自由に動かすこともできなかった。

そして俺はそのまま落下して子供連れの妊婦さんにぶつかったと思った瞬間再び意識を失った。

 

この記憶を思い出したのは6歳、幼稚園卒園の日だ。あのときの俺は仲のよかった友達たちが別の小学校に通うことがわかり、それはもうギャン泣きした。他の園児や保護者が驚くくらいに。

 

その時、友達と頭をぶつけてしまった瞬間前世の記憶が蘇ったのだ。おそらくその時の親や友達のみんなは混乱したと思う。なんせさっきまで大泣きしてたヤツが突然スン…とした顔になったのだから。

 

そして前世の記憶を取り戻した俺は小学校に入学した後色々なことを調べ始めた。歴史こそ前世の日本とのほとんど同じだったが、前世の日本との違いにはおどろきの連続だった。

 

1つ目は技術の発展具合だ。例えば車は人の手による運転と自動運転と使い分けられたりできる。スマホは立体映像を投影することができる。

 

2つ目は【異能】や【魔術】の存在だ。これらは名前の通りの存在でこの世界の人は誰しも【魔力】を持っている。どちらもおよそ1000年前から存在が確認されている。魔力を消費することによって【魔術】や【異能】を発動することができる。また【魔力】を武器や肉体に纏わせることで身体能力の底上げや武器の威力を上げることも可能だ。

【魔術】は火・水・風・地・光・闇の基本6属性、そしてそのどれにも属さない特質魔術というものが存在する。特質魔術は別々の属性の【魔術】を混ぜたり、その人の才能によって【魔術】が変化することで特質魔術になる。

【異能】とはこの世界の人誰もが所有する能力のことだ。人によって能力は千差万別で5~7歳ごろに発現する。俺は前世の記憶を取り戻した次の日に発現した。ちなみに【異能】は遺伝することは滅多になく、およそ1000世帯に1つ程度の確率らしい。

そしておおよそ3万人に1人の確率で【異能】を2つ持って産まれる人もいる。他ならぬ俺、朱月仁(あかつきじん)がそれだ。

 

3つ目は【アヤカシ】や【モンスター】と呼ばれる存在だ。

これらも異能と同時期に確認されている。前者の呼称は主に日本や中国、韓国といった東アジアでの呼び方で後者がアメリカやヨーロッパ諸国のような英語を使う国での呼び方だ。

基本的に人間を襲ったり、さらったりする。肉体の八割は【魔力】で構成されていて、魔力の無い攻撃だとダメージを与えられない。…まぁそこらへんの一般人でも魔力を纏った身体強化は可能なため、襲われても怪我を負うくらいで死んだりさらわれることは滅多に起きない…らしい。

 

4つ目は特殊な金属だ。ヒヒイロカネやミスリルといったファンタジー系のゲームやラノベに登場する金属が存在する。この世界の日本ではヒヒイロカネの産出国であり、ヒヒイロカネやその加工品は日本の名産品となっている。

ヒヒイロカネ関連の産業はどれも長い歴史を誇っている。

そして今世で俺が産まれた家はそのヒヒイロカネの加工を得意とする名門一族朱月(あかつき)家だ。

 

次は俺が産まれた朱月家の歴史だ。記録上応仁の乱が終決した辺りから名をあげ始めた。

織田、豊臣の活躍の裏でうまく立ち回り、関ヶ原の合戦において東軍に所属し活躍し、良質なヒヒイロカネ武具を提供し活躍したことで100万石近い領土を持つ大名となった。

 

時は流れ、明治の廃藩置県で朱月家の藩も取り潰しとなるが、当時の当主で後に『未来を見た男』と呼ばれた俺のご先祖サマ朱月巌(あかつきいわお)はそれを見越していたのか、「これからの時代、武士や土地に固執する者は淘汰される」と直感。廃藩置県に先駆けて自ら率先して版籍奉還を受け入れ、新政府へ土地を返上した。

その代わり、「日本全国のヒヒイロカネの独占加工権」を新政府との交渉で裏協定として確保。さらに藩の財産を「朱月重工」という民間企業へいち早く改組・移転させた。これにより当時基準でも世界レベルのヒヒイロカネ加工技術を手に入れた。

 

更にヒヒイロカネ加工だけでは頭打ちになると考えたのか巌の趣味なのかは不明だが芸術家や作家への投資も積極的におこなった。巌の優れた先見の明によっていくつもの財閥と手を組み高品質なヒヒイロカネ製品の販路を日本全国のみならず海外にも拡大させた。そして巌が目をかけた芸術家・作家たちも活躍し、後世に名を残した。

 

そして第二次世界大戦後のGHQによる財閥解体。GHQ側は当初、軍需産業の中核だった朱月家を徹底解体・追放しようとしたらしいが当時、臨時で当主に就任した俺の曾祖母朱月美里(あかつきみさと)は終戦と同時に、兵器部門を即座に縮小。ヒヒイロカネの加工技術を「戦後復興のための精密機械・医療機器・電子部品・建築用特殊合金」といった民生用技術・平和産業へと一表面上急速にシフト、おまけに一族の莫大な財産とヒヒイロカネの重要試作品・資料を朱月家が戦前に出資したアメリカの異能・魔術・モンスター研究組織「シュラウル財団」や教育組織へ寄付・寄贈という形で逃がした。それにくわえて明治のヒヒイロカネ独占加工権を破棄。幸い朱月家は政治への興味が薄かったこともあって戦後の混乱期でも力を保っていた。

 

この活躍がきっかけとなり、ひいばあちゃんは『東洋の魔女』『女の皮を被った怪物』『昭和の女帝』etc…で非常に恐れられた。まぁ残当だ、なんせ100歳になって老人ホームに入ったが全くボケてなかったのだから。

 

次に現代、朱月家は『朱月コンツェルン』を、経営している。ヒヒイロカネ独占加工権を破棄したがそれでもなお世界全体から見ても高いレベルの金属加工能力を持ち、国内外からの注文が鳴り止むことは無い。民生用技術だけでなく対モンスター、異能犯罪者用武器の製造も再開してウハウハだ。ちなみに現在も画家の個展のスポンサーや絵画の卸売り、文学賞のスポンサーをおこなっている。

 

あぁ忘れていたことがあった朱月家には2つの特徴がある。1つ目は『ヒヒイロカネの落とし子』と呼ばれる存在だ。約600年の歴史で俺を含めて7人存在していて、およそ100年に1度産まれるとされている。『落とし子』は皆例外なく赤い髪色で2つの異能を持って産まれる。1つは人によって違うが、もう1つの異能は『モノの声を聴き、その潜在能力を100%引き出す』【異能】、神鉄傾聴(しんてつけいちょう)を持っている。

 

もう一つの特徴、それは名家なのだがいろいろ緩いのだ。いわゆる放任主義で方針としては「才能あるなら好きにやってみな〜」だ。みんなどこかマイペースなところがあって、漫画やラノベのこういう家は血統主義みたいなものがありそうだがうちはそういうのが無い。例えば先代当主である爺ちゃんは朱月の血は引いていない。だからなのか家族も親戚の皆も俺を特別だと思っても嫌ったり当主に祭り上げようとするヤツは見たことがない。

 

まぁそんなこんなで俺、朱月仁は『ヒヒイロカネの落とし子』という特別な存在ながら2度目の人生を気楽に生きている。

 

 




現在の当主は主人公の叔父。母親の兄です。
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