IS学園
緊急手術室までの廊下
「準備を急がせろ!!手遅れになるぞ!!」
「はい・・・はい・・・血液はそれでいいはずです・・・判りました・・・向こうは完了しているようです!」
「絶対死なせるなよ!世界的大問題になる!!」
アリーナで無人機による襲撃。それによって重傷を負った生徒がストレッチャーで運ばれていた。
その生徒の名は
世界に二人しかいないISを動かせる男子の一人である。
しかし彼は専用機持ちでもない、ISを動かせる男子というだけである。
なぜ彼が今現在、重傷なのかといえば
時は、一夏たちが4度目のアタックをやり始める少し前まで遡る
全ての扉がロックされることで、観戦していた生徒はアリーナからの避難をすることが出来なかった。
それによってパニック状態になり、上級生が鎮静化しようにも扉のロックはどうすることも出来ずに
救助が来るのを待つことしかできなかった。
そんなとき
「・・・・・・え?」
「どうしたの?」
扉のすぐ傍にいた生徒が何かに感付く
「いや・・・なんか・・・・・・向こうから音がしない?」
「え?」
「なんかカチャカチャって・・・」
そういわれて、二人は扉に耳を当ててみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・カチャッ・・・・・・パチン・・・・・・パチン
「「!!!」」
聞いていた2人は顔を見合わせる。
何かが聞こえる。
しかしその音の正体が判らない。
確認のためもう一度耳を当てようとするが、電子音が鳴る。そして―――
「「うわっ!!」」
寄り掛かろうとした瞬間に扉が開いた。
開いた音に反応して、他の生徒も振り向く。
そこには
「何があった?」
学園では全然目立たない、人気の一夏とは真逆とも言える生徒―――遠木 飛色がいた。
足元には扉を開けていくために使用した工具セットと説明書がある。
アリーナ内のシステムがハッキングされているため、システムクラックの技術をまだ知らない飛色は
制御システムの回路を切断して、扉を開く方法をやっていたのだ。
そしてアリーナの状況を知るなら管制室よりも観客席の方が入口に近くて、扉の枚数も
少なかったこと思い出してここまで来た。
「と、・・・・・遠木くん?」
「状況の説明を頼む」
「え、えと・・・アリーナで爆発が起こって・・・・織斑先生から避難するように言われて・・・」
「・・・なるほど。扉が開かずに避難が出来なかったわけか」
「う、うん」
それだけ言われて、飛色は眼鏡を直しながら
「ならすぐにアリーナから出ろ。ここから入口までのは開けてある。避難誘導に俺も手伝う」
スラスラと言う飛色であったが
「えと・・・」
「早くしろ!!!」
「は、はい!!!」
その怒号はIS学園最強の千冬にも負けないほどのものだと思い、焦った上級生がすぐに行動を始める。
飛色も避難誘導に参加して、生徒をアリーナ内に入れている。
「おまえで最後か?」
「はい!」
大勢の生徒を入れて、最後かどうか確認する。
「じゃあ私たちも―――」
誘導をしていた生徒が最後の子と出よう、と言おうとしたその瞬間。
ドォオンッ!!
「「「!!?」」」
突然の爆音と共に周辺が激しく揺れだし、天井・・・否、シャッターに何かが当たる音がする。
見れば、亀裂が入っていき・・・
「っ! お前らは入れ!!!!」
「「え!?」」
飛色は咄嗟に上級生と最後の生徒を中に押し出す。
そして
瓦礫が飛色に落ちてきた。
襲撃事件後
一夏、鈴、セシリアの専用機持ちによって敵ISは鎮圧したが
その後にあった暴走によりアリーナの4割近くが破損。
幸い、飛色の救援により生徒への被害はこれといってなかった。
しかしその暴走の際に飛色が崩壊に巻き込まれる。
駆け付けた一夏たちにより救出がされたが、思いのほか重傷により緊急手術を受けて入院となった。
そして生徒には、無人機が来たなど言うこともできず
試験中のISが暴走してIS学園に襲来したということになっている。
ちなみにアリーナの方も観客席、飛色によって故障した扉以外はこれといって修復せずとも問題ないため
開放はあと一週間もあれば可能になることになっていた。
「・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・(・・・・・・ここは?)」
目が覚めると、ベットの上にいることに疑問に思う飛色。
「(・・・病室?なぜ―――)」
と、思い出そうとした瞬間に扉の開く音が聞こえてくる。
だがカーテンで囲まれているため誰が入ってきたのか、又は出て行ったのかわからない。
上半身を不安定さながら起こそうとすると、横にあったカーテンが開いていく。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
カーテンを開けた人物が飛色を見て固まった。
飛色自身は、なぜ自分を見て黙り込んでるのかが判らず
?を頭に付けて首を傾げる。
「・・・・・・・・・せ、」
「???」
「先生ぇーーーーーーーーーーー!!!!」
叫ばれた途端、その人物は超速で病室?から出て行った。
「・・・・・・」
残された飛色は呆然とするが、すぐに我に返って状況を考え始めた。
体の鈍い痛み、そしてどこもかしこも巻かれた包帯。
「(・・・・・・ああ、そうか・・・)」
自分のやったことを少しずつ思い出していく。
ふと、気付く。
なぜ、あんなことをやったのだろう、と。
自分には何もメリットなどない、今も感じる痛みというデメリットしか残らない。
そんなこと重々承知でやったが・・・
考えてみれば、なぜ?
別に自分のしたことに後悔しているわけではない。ただ行動理由がわからないでいた。
自分のことを今までは理解しているつもりだったが、今回のことはわからない。
自分は何がしたかったのか・・・
「・・・・・・・・・・・・・・フッ」
そして今も、この笑みを浮かべる理由がわからない。
だが
「ハハハ」
心地良かった
その理由もまた、わからない、理解できない。しかし
飛色はその瞬間、何時ぶりかもわからず微笑んでしまうのを止められなかった。
入院してからすでに一週間
飛色はあの事件の処理はどうなったのか、生徒の被害などがなかったか、主犯はなんなのか、など
いろいろと質問をして知ることが出来た。
とはいっても、主犯について飛色は他の生徒と違い直接見ることが出来なかったため
戦闘に直接触れなかった生徒同様の説明をした。
しかし飛色はその説明に裏でもあるのではと勘付いてカマをかけてみたら、あっさりとそれが嘘だと判った。
説明をしていた、一人は溜息を吐き、もう一人は自分の間抜けさで嘘がばれてしまったことに慌ててしまう。
「・・・山田先生、とりあえずあなたは黙っていてください」
「す、すいません、織斑先生・・・・ぅぅぅ・・・・・・(T T )」
涙目で謝る副担任。毎回思うが、本当に教師なのか疑ってしまう。
山田真耶に対しての観察結果その3:困るとすぐ涙目になる
ちなみにその1とその2は授業中に
・歳と精神年齢が同じか疑う
・よくドジを踏む
と記録してある。
話は変わったが、真耶の失言で言わざるを得なくなり、飛色には緘口令を敷いて説明をした。
説明に眉を動かしながら聞く飛色であったが、それが嘘であるとは言えない
真剣な表情だったため信用することにした。
その後もアリーナの扉を破壊させた飛色に対しての処罰関係を話される。
といっても生徒を避難させた功績が大きかったことで謹慎処分となっていた。
なっていたというのは、重傷を負って意識を失ってからすでに一週間も経っているのだ。
すでにその期間が終わり、結局のところ御咎めなしと同じになってしまのだ。
「まあしかし・・・・助かった」
「?」
千冬からの言葉に疑問を持つ。
それに気づいたのか
「遠木くんが避難経路を確保してくれたおかげで、生徒には被害が何も出なかったんです。
ですから遠木くん、本当にありがとうございました」
頭を下げながら言われる。
いきなり言われて意味が解らなかったが、その捕捉で理解する。
「・・・・いえ・・・・・・何もないなら・・・よかったです」
眼鏡を直しながら告げる。
若干歯切れが悪いのに、真耶は少し笑う。
「まぁ、もうしばらく休め。授業の方は何とかする」
「わかりました。そうさていただきます」
それからまた一週間後
医師からの許可も下りて、巻かれた包帯も全て払われた。
体の方も若干反応が鈍いが問題はない。
飛色は久しぶりの制服に着替えて、鞄を背負う。
「・・・・・・はぁ」
そして校舎に向かう。
片手に教科書を持ちながら。
「・・・・・・・・・」
さすがに二週間も授業に休むのは不味い。
遅れを取り戻すためにも、歩きながら勉強することにした。
HRまでもうすぐだからか、人とあまり会わずに教室の前に着いた。
しかし飛色とってそれは嫌な予感を感じさせるもので、教室に入れば―――
「でねでね・・・え?」
「どうした・・・の・・・・・・?」
教室の扉が開いて入ると、クラスメイトが飛色の方に向いて固まった。
そして
「・・・・・・遠木(くん)(さん)!!!」
一斉に詰め寄ってきた。
ほとんどが女子のため、その場の香りやらで飛色もビクッとしてしまうが
「・・・・・・・・なんだ?」
すぐにいつもの無表情を崩さないように聞き返す。
「もう大丈夫なのかよ!」
「見ての通りだ」
「ホントに!? まだ治ってないところとかないの!!?」
「傷は四日ほど前に全て塞がっている」
「ならなんでその日から登校できなかったの!?」
「出血量が多かったから調子が戻るまで時間が掛かっただけだ」
と、質問に答えていく。
いくら女子が苦手な飛色でも、無視せずに質問に答えたほうがいいと考える。
しかしそこへ
「お前ら、入口で何をしている」
ピタッと詰め寄ってきた全員が再び固まる。
振り向けばそこには
「とっくにHRの時間だぞ」
「・・・・席に着け」
「「「「「はい!!今すぐに!!!!」」」」」
蜘蛛の子を散らす、とはこのことかと思えるほど素早く自分の席についていく。
飛色自身も席に着く。
「時間は守らんか、馬鹿者」
「(相変わらずか・・・)」
織斑千冬に対しての観察結果その3:最強という名はやはり
HR終了後
再び飛色に寄ってきたクラスメイトに「問題はないからいつも通りにしていろ。授業の遅れを取り戻さない
といけないんだ。頼むから集中させてくれ」と告げると、ある者は了承し、ある者は事件のことに感謝し、
またある者は「頑張れ」といって離れていく。
昼休みに他のクラスや学年から再び詰め寄られたのと、遅れを取り戻すこともあるためそれから数日は徹夜であったことは余談である。
アドバイス、感想、何でもいいのでよろしくお願いします<(_ _)>