IS インフィニット・ストラトス 努力の天才   作:xix

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これからは21時に投稿で行きます



第14話 食生活と同居

IS学園 第二校舎屋上

 

 

「どういう事だ………」

 

「何がだ?」

 

そこにはこの学園で三人しかいない男子生徒、言うまでもなく、一夏、シャルル、飛色。そして三人の女子生徒、箒、セシリア、鈴の計六人が集まっている。

そんな中、ケロッとしたふうに返す一夏。一方、箒は一夏に不満そうな半眼を向けている。

 

「ああ、せっかくだし、大勢の方がいいだろ?それにシャルルは転校してきたばかりだから、仲良くする奴が増えた方がいいし」

 

「それはそうだが…」

 

確かにそうだが、自分が望んでいた展開はこれではないと、箒は思う。

だが時既に遅し、という言葉の通り諦めるしかなく、拳を握りしめる。

飛色は箒の表情から察して、済まないと思ったり、念を打っておかないからだ、と思ったり。

 

 

篠ノ之箒に対しての観察結果その2:浮かれたりして結果がうまくいかない。

 

 

そして箒、セシリア、鈴音の三人は今、弁当らしきものを持ちながら睨み合っている。

 

……心なしかその間に火花が散っているような程。

 

「ええっと……本当に僕が同席してもよかったのかな?」

 

「いやいや、同じ男子なんだから、仲良くしよーぜ。今日から俺か遠木の部屋になるんだし」

 

今のところ一夏と飛色はそれぞれ二人部屋を一人で使っている。

同じ男子ならば、どちらかの部屋になることはその時点で明白だった。

 

 

 

 

 

そのまま喋りながらの食事になり、箒と鈴は持参した弁当を、

セシリアとシャルルは購買で買ったものを(セシリアが用意したものは全て一夏に渡すつもりらしい)

一夏は三人からもらった弁当を食べる。

 

そんな中、飛色は……

 

 

サクッモグモグペラッ

 

『…………』

 

「……どうした?」

 

自分に来た視線と、何も喋らないのが気になった飛色が語りかけてくる。

見渡せば、全員が自分に目がいき、何か言いたそうな顔をしている。

 

「なあ、遠木……」

 

「なんだ?」

 

「まさかお前、それが昼飯?」

 

一夏が飛色の手元を指差す。

飛色は片手に栄養補助食品のカ○リーメイトを持ち、膝上あるに分厚い参考書のページをめくっていた。

 

「いや、あとコレがある」

 

『……………』

 

見せてきたものは野菜ジュース(紫の野菜味)がパックで一つ。

それを見てさらに唖然とする一同。

 

「………何かあるのか?」

 

「いやいやいや、お前午前中に実習があったのにそれだけで足りるのか?」

 

さも平然と聞く飛色と、それに突っ込みを入れる一夏。

土曜の様に午前授業だけならともかく、今日は実習で皆疲れて、この後に授業も入っている。

それで飛色が持つかどうか心配になるのは当たり前だ。

 

「俺は普段からこれだぞ」

 

『へ?』

 

「むしろお前らと……デュノアは別か。以前お前らと食事した時以外、俺は毎日、朝昼晩これだ」

 

『はぁ!?』

 

もはや悪いとか言うレベルでない飛色の食生活を聞いて、驚愕のあまり声を出す。

15歳の男子ならばそれなりに食べるはず、一夏も自身がそれだから言えていしまう。

だというのに、毎日の食事がこれだけと言うのはあまりにも少ないだろう。

 

「なんであんたそういうのしか食べないの!?」

 

「金がない。週末買い物に行ってまとめ買いしている」

 

「あ、だからお前毎週日曜いなくなるのか―――じゃなくて!!」

 

「それと時間短縮にもなる。片手でだが勉強もできるしな」

 

「マナー違反ですわよそれ!!?」

 

「それに足りないというわけでもない。足りなかったら水でも飲む。そんなところだ」

 

「明らかにおかしいだろ!!!!」

 

鈴、一夏、セシリア、箒の順で口々に飛色に突っ込みを入れる。

それでも飛色はどこ吹く風といったように参考書を読み続けていた。

 

「それに金がないって……お前の親は何やってんだ?」

 

 

ピクッ、一夏の一言で食べる手と口が止まる。

 

 

「………………」

 

それに加えて、飛色は眉間に皺を少しずつ寄せ、何かに怒りを感じるような表情へと変化していく。

 

「と、遠木?」

 

飛色の纏う雰囲気が変わったことに気づく一夏。

普段無表情の飛色が本気で怒りを露わにしている。

それを初めて見た箒たちも、一夏同様感づき、唾を飲み込む。

 

「…………話す義理はない」

 

やがて言葉を発すると、参考書を閉じて屋上を出て行った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後。

 

ダンダンと、銃声が響く射撃訓練場。

 

そこでは日課の訓練をする飛色がいた。

ただし今回はいつもの訓練と少し違う。

 

「IS学園て、こんなところもあるんだね」

 

そう言いながら銃のマガジンを交換しているシャルルがいた。

 

飛色は教育係となっているが、何も自分の行動に大きく制限が付いたわけでもない。

だからといって寮について説明しただけというのは些か気まずかったのか、教室を出る時に

「訓練に行くがお前は来るか?」と誘い、シャルルはついてきたのだった。

 

「(………うまいな)」

 

シャルルの射撃を見ながらの率直な感想。

構えは教科書と違って少し独特だが、それでもしっかり的を狙い、撃ち抜いている。

今のところ的の中心への命中率は9割以上。

さすがに代表候補生と言われているだけあるだろう。

 

ちなみに今現在の飛色は6~7割といったところである。

 

「ねぇ、思ったけど、なんでこんなことやってるの?」

 

的を撃ち終えたシャルルが飛色に聞く。

一瞬だけ面倒だと思いながらも、知っておいた方が都合がいいと判断して、事情を説明する。

 

ここでは武器の扱いや特徴など、銃の基本的な扱いが知れること。ISを纏っていなくても、武器を使用する感覚を覚えられるだろうということ。そう考えた結果、訓練機の使用許可が降りなかった日はこうした基礎訓練をしていること。『基礎を知らずして応用が出来るとは思えない』という考えのこと。

 

説明が終わり、聞いていたシャルルは「なるほど」といった表情でうんうん頷いていた。

 

「……………ふぅ」

 

飛色も銃の弾が切れて、その日の訓練を終了。

シャルル共に耳宛とレンズを外し、片付けに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………何この部屋?」

 

訓練後に直接行った夕食の更に後。

シャルルはその日から自室となる寮部屋―――飛色の部屋に入って開口一番に出たのがそれだった。

 

「何がだ」

 

「いやだって、これって………」

 

そう言いながら飛色が使っているスペースを指さす。

あるのは大量の本で出来た()

 

最低でも20冊以上積まれている物が10ほど………

 

「気にするな」

 

「いや、気にするよ! なんなのこれ! 読書が好きだからとかそんなじゃ済まない量だよ!!」

 

「気にするな」

 

「二回言わなくてもいいでしょ!?」

 

「気にするな」

 

「…………ぅぅ」

 

何と言おうが話さない飛色。

同じ返答しかしてくれず、シャルルは少し落ち込む。

 

本人はわかっていないが、その表情はまるで泣きそうになる少女。

それは男子というにはかなりかけ離れてしまってる………というよりもともと男子でないのだが

 

「……まあ………お前の荷解きをまず済ませるか」

 

「………うん」

 

飛色には半場強引に話を進めるしかなかった。

 

 

 

 

 

シャルルの荷物は意外と少なく、30分もしたら全て終了した。

勿論、女子だとわかっている飛色は衣類には目を向けずに作業していたわけだが……

 

そんなこんなで今は二人で飛色お手製のコーヒーを飲んでいる。荷解きの際に簡易キッチンにあったドリッパーをシャルルが見つけ、「飲んでみたい」といわれて淹れたのだ。

 

 

懇願時のシャルルが上目づかいで頼んでいたようだが………

それに屈したかどうかは飛色以外知る由もない。

 

 

「遠木くんはブラックきつくないの?」

 

「俺は時間帯や気分によって変わる。普段からだと朝は両方、昼は微糖、夜がブラックだ」

 

教科書のページをめくりながら言う飛色に、苦笑しつつもコーヒーを啜って、様子をチラリと見る。一見、無表情にのようだが、どこか嬉しそうにもシャルルには見え、少し微笑ましく見えた。

 

「そういえば、一夏もそうだと思うけど、放課後はいつも訓練してるんだよね?」

 

「………ああ」

 

何処か面倒くさそうな顔になる飛色を見て、シャルルから提案が入る。

 

「よかったら僕も手伝おうか?専用機もあるし、役に立てると思う」

 

「……使用機体は?」

 

「リヴァイヴだよ。学園のと違ってちょっといじってるけど」

 

そう答えるシャルルを見て、「ふむっ」と、顎に手を当てる飛色だが、すぐさま結論が出たのか

 

「…………ああ、なら頼む。参考になる相手が一人いてほしいと考えていた」

 

今月末には毎年恒例行事の一つ、学年別個人トーナメントがある。意味は読んで字のごとく、学年別で行うIS対決のトーナメントである。全員強制参加せいで、それは学園の一生徒である飛色も例外ではない。

 

実技の成績にも少なからず影響されるので、その方面で一夏より少し劣っている飛色には挽回する機会ともいえる。

 

「遠木くんも、リヴァイヴを使うの?」

 

「ああ。打鉄(うちがね)は俺のような奴には合わないからな」

 

飛色の戦術は相手の武装と搭乗者のデータから戦法を分析し、弱点を考察。そこからベストな戦術を構築して、初心者が中心で行っている戦闘から参考になるものを引っ張る。あとは実現可能にする武装を予め用意するといったものだ。防御性が高くても武装の選択幅が狭い打鉄より、戦術幅が広く、見てきた中での勝率が高いリヴァイヴを選ぶ理由はここが大きかった。

 

だが学年別トーナメントでは参加人数の多さと、全員が打鉄かリヴァイヴに乗るとわかっているならば技量の差を広めていくことこそが、飛色の現段階での目標となっていた。

 

そのため、専用機に同じ種の機体を持つシャルルが居てくれるのは心強く思った。

 

「まあ………………頼む」

 

「うん、任せて」

 

こうして同学年で、リヴァイヴの先輩と仲良くなっていく飛色だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜1時

 

 

「パスワードは確かこれで……開いたか」

 

 

真耶から少し話をして教師専用端末を借りた(・・・)飛色は、パスワードを思い出しながら入力していく。

 

その後ろではスヤスヤと寝ているシャルルを余所に、眼鏡のズレを直しながら飛色は画面に目を通す。

 

 

「……生徒データ表示欄?………これか?」

 

 

こんな風に出しておいていいのか、と考えながら並んでいるタグの1つを見て、飛色はそれを表示した。

 

 

「……………………そういうことか」

 

専用機持ちということでシャルル、ラウラの二人―――特にシャルルについての情報を得たかった飛色は、そこにあったデータ見ていた。

 

ちなみに、教師用の端末には通常のよりも多く、情報収集が出来るが、殆どの教師はそれを使用しない上に知らないのである。なんせ、必要なことのほとんどは書類などに載っているからだ。

 

が、実は端末に表示される内容には書類にないことまで細かく書かれていることがある。別に飛色はそのことを知らなかったのだが、書類を見るよりも、端末(こちら)で見たほうが早いのではと思ったからだ。

 

 

 

話を戻すと、ラウラについてのデータは先ほど容易に出てきたが、シャルルのデータがなかなか見つからず、結構な時間がかかってしまった。

しかし、その原因も今ようやく理解できた。

 

もともと男性操縦者が現れたのは三月下旬。現在は六月上旬。

そして今日転校してきたシャルルは代表候補生。

代表候補生はたったの二ヵ月半でなれるようなものではないというのは飛色にはよく分かる。

 

今までに二回も模擬戦をした仲ではあるのだから。

 

「…………はぁ」

 

日にちが変わって早々、溜息が出てしまう飛色であった

 

 

 




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