IS インフィニット・ストラトス 努力の天才   作:xix

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第15話 変わっていく日常

 

 

 

突然だが、こんな経験はないだろうか。

 

翌日ある遠足が楽しみで眠れなくなったことを

欲しいゲームが発売されるのを待ちきれず、ずっと起きていたことを

デートプランが不安になり、何度も頭の中でイメージし、気付けば朝になっていたことを

 

そんなことがあれば当然

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(眠い……)

 

そうなる。

 

現在の彼。飛色も、眼が充血状態になりながら睡魔に襲われていた。

幸い、彼の席が一夏と違って一番後ろであるため、機嫌の悪さに気づく人は少ない。

少ないというより、気づいているのが担任の千冬だけである。

 

さて、なぜ彼がこうなったかと言えば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四日前の午前四時のこと。

 

シャルルが転校してきた翌朝である。

いつもは飛色もこの時間帯は寝ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリカリカリカリ

 

 

(………ここは……この計算で………)

 

 

筈だった。

 

別にコーヒーを飲みすぎたとか、予定が追いついていないとかが原因ではない。

むしろ夜間に一杯しか飲んでおらず、予定していた分以上に進んでしまっている。

 

寝られるようにするには、勉強か読書が一番である。

昔もこれで気づいたら眠ってしまったことがあるから効果については保証できていた。

 

 

そう、できていた(・・・・・)

 

 

 

「スゥ……スゥ………ぅぅん………」

 

 

 

それを覆したのは、ベッドから聞こえてくるシャルルの吐息だった。

しかも以前勝手に泊まっていった鈴と違って回数が多く、大きな声である。

 

こんな時こそ、いつも使用する飛色専用高級耳栓を使用したいところだが

 

 

(なぜあのタイミングで使用してしまた………)

 

 

以前、千冬の前で使ってしまい没収されたことを思い出して自分に腹が立つ。

 

その上本人からは

 

「ちゃんと話を聞けるような態度を取れるようになれ。それが今関係ない(・・・・・)話だったとしてもな。

これはその妨げになる」

 

という、心配してくれてるのか、悪気があって言ってるのかわからないことを言われた。

 

 

 

そして計っていたのかと思うようなタイミングで転校生。しかも男子ではなく本当は女子という。

 

そんなわけで、小さな吐息ですらも部屋に響き、飛色の耳に入ってくるのである。

 

 

「………スゥ………………ぅ~ん………………」

 

(イライライライラ)

 

 

女子が苦手な飛色が落ち着けるわけもなく、ストレスと睡眠欲のメーターは鰻上り状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぐっ………」

 

 

というわけで、この四日で眠気がピークに達してきているため、授業中も睡魔と戦闘中の飛色である。

 

 

「ですから、PICの制御にはこの二パターンがありまして、操縦技術の向上に――」

 

 

それでも両手書きで真耶の話を聞き、板書されている物と共にノートに記録していく。

 

必死で抑えているのは授業に遅れないようにするためというのもあるが……

 

ちらり、と教室の端………正確には千冬を見る。

 

 

(………………………早く寝たい………)

 

 

さすがの飛色も弱音を吐き出してしまう。

 

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 

「あ、切り良く終わりましたね。今日はここまでしましょう」

 

 

終わりのチャイムが鳴り、昼休みとなる。

手早く昼食――カ○リーメイトと野菜ジュース――を済ませたいが、鞄から取り出した瞬間に手元から消える。

 

 

「ほら、今日も行くよ遠木くん」

 

「……………」

 

 

隣に居たシャルルが、飛色の昼食を持っていた。

それを取り返そうとするが、あっさりかわされる。

 

周りからすれば、それはおもちゃを一旦取り上げる親と、それを取り返そうとする子供。

そんな光景を見るクラスメイトからは暖かな視線が来ているのは、飛色の気のせいなのか……

 

 

「遠木、今日も行くぞ」

 

「お前はもっとちゃんとしたものを食べるべきだろ」

 

「今回はわたくしが出しますわ」

 

「あんたまたそんなので済ませようとしたの!?」

 

 

そうしている間に、一夏と他三人、箒、セシリア、鈴が現れる。

 

 

(………また……………今日もか……)

 

 

実は飛色の昼食がわかってから、誰かが飛色に奢るという形が続いている。施しなど受けないと言いだした飛色だったが、それでも無理やり連れてこられるようになってしまった。

 

幸い、セシリアと鈴は代表候補生としての軍資金でそれなりに余裕もあったということで、金の心配はするな。とも言われて、仕舞いには勝手に頼んで一夏や箒に無理やり口に入れられるという荒行をされる羽目になっていた。

 

 

「……………はぁ」

 

 

そんな施しを無理やり受けられる飛色は溜息を吐くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………はぁ」

 

 

昼食後

 

飛色は自室のベットで寝転がっていた。

 

今日は土曜日であるため、午後から授業がない。いつもの飛色なら訓練をしているところだが、あまりの疲労でそれどころじゃなかった。

無理やり連行されない様に、一夏たちにも「訓練機の使用許可が下りていないから、別行動を取らせてもらう」といって食堂で別れた。

 

 

「……………」

 

 

思い返せば、こうしてボーっとしているのは何時ぶりだろうか。

 

……父が蒸発してからは毎日が忙しかった。

その後に母が入院して、それに拍車が掛かり、高校受験の勉強では寝る暇も惜しかった。

 

他にもいろいろと………

 

 

 

 

 

それが今では

 

 

 

自身には縁遠かったもの

 

重要人物扱いとなった原因

 

今の世間を築き上げたなどと言っても過言ではない―――

 

 

 

兵器

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………寝るか)

 

 

「そんなことを考えても仕方ない」と切り捨てると、瞼を少しずつ閉じていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫、一夏?」

 

「あ、ああ。何でもない。さっきはありがとなシャルル」

 

 

さっきボーデヴィッヒさんと会ってから一夏の様子が変だったから声を掛けたけど、やっぱりどこか暗い感じだったな…

 

僕たちはさっき、訓練中に突然ボーデヴィッヒさんが襲撃したんだ。

途中で先生が止めてくれたからそれほど大きな騒ぎにならなかったけど……

 

ボーデヴィッヒさんがなんで一夏を目の敵にするのか知らないけど、一夏自身はわかってるみたい。

 

そう思いながら僕たちは着替え始める。

といっても、僕はスーツの上にブレザーを羽織るだけなんだけど。

 

 

「そういえば、遠木が来れなくてちょっと残念だったな」

 

「うん。 でも訓練機がないなら仕方ないんじゃないかな。……顔色悪かったみたいだし」

 

「え?そうだったか?」

 

 

あれ?一夏たち………ああ、そういえば今日も無理やり食べさせられていたから、気付いてなかったってことだよね…………

 

僕が転校してきてからこの学園のこと教えてもらったけど、一日経つたびに顔色が悪くなってる様に

見えていた。

 

でも、「何がだ?」とかいって、本人は何もないように生活するんだよ。

 

ちょっと……いや、結構心配だな。お母さんみたいに……いや、これは考えないでおこう。

 

 

「最近顔出すようになったけど、何かあったのか?この前まで勉強勉強で断ることばかりだったし」

 

「そうなんだ………」

 

 

確かに遠木くんて夜中ずっと勉強してるよね。

本人は「他と比べて劣っているし、自分は暗記モノが少し苦手だからな」って言ってたっけ。

 

それでもあの量はすごいよ……

 

 

「じゃあ見舞いも含めて、後で夕飯誘ってくか」

 

 

あ、それいいね。遠木くんて小食だと思うけど、食べる時間はけっこう決まってるみたいだし。

 

考えがまとまって、僕は鞄を持つ。

 

 

「僕からも言っておくよ。 それじゃあ、僕は部屋に戻ってるね」

 

「え? ここでシャワー浴びてかないのか? シャルルっていつもそうだよな」

 

「え、えぇ!?」

 

 

上着を脱いだまま、一夏は僕に聞いてくる。

更衣室にはシャワールームが付いてるけど、そりゃあ、僕がアレ(・・)だってバレるのはまずいから……

 

って、そんなこと言えるはずないよ!

 

 

「え、ええっと……」

 

「なんで俺と着替えるの嫌がるんだよ」

 

「む、むしろ一夏はなんでそんなに僕と着替えたがるのかな?」

 

「というか、シャルルはなんで俺と着替えたがらないんだ?」

 

 

質問を質問で返さないでよー!!

それにまさか一夏ってそっち(・・・)系なんじゃ……

 

 

「あ、織斑くん、デュノアくん、それと……遠木くんはいないんですか?」

 

 

僕が内心焦っているとき、山田先生が更衣室に入ってきた。

 

 

た、たすかった~

 

 

そう思いながらホッと胸を撫で下ろす。

 

先生はここに居る僕たちだけじゃなくて、遠木くんも探してるっていってたな。

……男子全員を探してたのかな?

話を聞くために、近づいてきた一夏も一旦僕から退いていく。

 

 

話を聞くと、男子の大浴場の使用許可が下りるみたい。

僕もお風呂に入りたかったけど……一夏や遠木くんと一緒には入れないしな……

一夏はお風呂好きだって言ってるし。

 

 

遠木くんには僕から伝えておいてって言われて、一夏は山田先生と必要書類を書きに行くために

先に帰っていった。

 

 

 

………いつの間に着替え終わってたんだろ?

 

そんなこと思いながら、僕は帰路へ着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遠木くーん、いるー?」

 

 

…………………………あ、あれ?

 

部屋にいるって思ったけど返事がないし……いないのかな?

 

 

「遠木く―――あ 」

 

 

部屋に入ってベットに目を向けると

 

 

「クゥーッスゥーッ………クゥーッスゥーッ………」

 

 

眼鏡を掛けたまま横になっていた。

……よっぽど疲れてたのかな?

 

起こすのもどうかと思って、眼鏡をそっと外す。

 

本当にぐっすり寝てるね。でもどうしよ。

夕飯まで時間はまだあるし、着替えてないし、汗流したい気分だし

 

 

「………シャワー浴びよ」

 

 

ちょっと位なら大丈夫。………だと思う。

でも起きる前に済ませないといけないから急ごう。

 

そう思って、着替えとタオルを取り出して洗面所に行く。

制服とISスーツ、それにコレ(・・)と下着を脱いで、僕はシャワールームに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サアアアア………

 

 

「……………ふぅ」

 

 

温かいお湯がシャワーノズルから降り注ぐ。

 

それを浴びる金髪の少女―――シャルルは考えていた。

 

 

(もう5日か………やっぱり一夏の部屋にしてもらった方が良かったかな……)

 

 

転校してきてからのことを振り返る。

一夏よりも重要というわけでもない人物―――飛色との接触。

 

一夏には世界最強と呼ばれる姉とIS開発者との友好関係から、接触困難と考えられている。

 

それであったら、世間で大した後ろ盾などない、一般市民だった飛色の方が危険性はかなり低くなる。

 

自身に与えられた任務を成功するにはこの方がいいと思っていた。

 

始めはどんな人間か緊張して、見た目からも関わりはよくないと思ったが、今ではいい人だと、当初の印象とは大分変わっている。

人は見た目だけで判断できないというのはこういうことか、と痛感できたときだった。

 

 

(遠木くんは………あの人と違うな……)

 

 

ふと、ある人物が浮かび上がったが、すぐに考えを辞める。

あまり思い出したくない人物なのか、何があったのか………

 

シャルルはボディーソープの容器に触れるが

 

 

(………あれ?ボディーソープ切れてる?)

 

 

ポンプを押しても、中身は出てこない。

男であれば別にシャワーで洗い流すぐらいで十分と考える者もいるが、シャルルは女の子。

 

ちゃんと体を洗ってからにしたいと考えるのは当然である。

 

飛色はまだ寝てるかもしれないし、起きていても着替えておけばバレることはないと考えたシャルルは、取りに行こうと扉を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに人が居るのにも気づかずに

 

 

「「………………………………え?」」

 

 

 




これからは……やはり週一更新ですかね。

ですが、曜日は毎週金曜の21時にしていこうと思います。

今週の金曜からです。それでは……

アドバイス、感想、何でもいいのでよろしくお願いします<(_ _)>

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