IS インフィニット・ストラトス 努力の天才   作:xix

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第17話 喧嘩騒動介入

 

 

 

 

「「「きゃああっ!?」」」

 

「「!?」」

 

 

シャルルの正体を知ってから数日後

 

飛色とシャルルが教室へ歩く途中、廊下まで悲鳴が響き渡る。

ちなみにバレる訳にはいかないので、シャルルはちゃんと男装して登校してきている。

 

教室前まで着くと、反対の扉から鈴が廊下から急ぐように出て行った。

 

 

「なんだろう?」

 

「……知らん」

 

 

素っ気なく返す飛色を見て苦笑するシャルル。

 

改めて教室に入ると、クラスメイトのほとんどが席についていた。

いつもなら担任が来るまで立っておしゃべりしているハズなのに、珍しい光景。

 

 

「お! おはようシャルル、遠木」

 

「おはよう、一夏」

 

「………」

 

「ハ、ハハハ」

 

「……はぁ……………」

 

 

一夏の挨拶はいつも通り無視する飛色。

それを見てシャルルは呆れて息を吐き

 

 

 

ドスッ

 

「っ!!」

 

「飛色、ちゃんと挨拶しなって」

 

「くっ……いきなり……」

 

 

突如された肘打ちで、腹を抑える飛色。

しかもご丁寧に他人に見えないようにやったようだ。一夏は首を傾げている。

 

 

「ちゃんと言いなって」

 

「はぁ………おはよう」

 

「お、おう……ていうか、シャルルは遠木のこと名前で呼ぶんだな」

 

 

うん、と頷きながら答えるシャルル。一夏もルームメイトだからな、ということで納得する。

それに対して『これのどこが仲がいいのだ!』と心の中で叫んでいた飛色。

そんな様子を他所に、一夏は二人に尋ねる。

 

 

 

 

 

聞くところによると、一夏が教室前に来たときクラスで何か談笑し、そこで自分の名前が出たから何か知らないか? ということらしい。

 

 

「僕は知らないけど……」

 

「同じく」

 

 

さらりと答え、席に向かう飛色であるが、少しばかりそれには心当たりがあった。

 

シャルルが転校してくるより少し前のこと、昼食(もちろんカ○リーメイトと野菜ジュース)を摂っていた時だったが、曰く『学年別トーナメントで優勝すれば織斑一夏と付き合える』という噂話を偶然近くにいた女子がしていた。

 

それほど遠くなかったため聞こうと思わなくても耳に入ったのだが、一夏があまり好きでない飛色にそれは関係なく、どうでもいいと思って切り捨てていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は経ち、放課後

 

 

 

「今日も放課後特訓するよね? 一夏」

 

「ああ、トーナメントまで日がないからな。今日使えるのは、ええと―――」

 

「第三アリーナだ」

 

「「わあっ!?」」

 

 

廊下をシャルルと歩いていた一夏は、いきなり現れた箒の声に揃って声を上げた。

 

 

「……そんなに驚くほどのことか。失礼だぞ」

 

「お、おう。すまん」

 

「ごめんなさい。いきなりのことでびっくりしちゃって」

 

 

拗ねたように呟く箒に、一夏とシャルルは申し訳なさそうに謝る。 

 

 

「ところで、飛色もそこに行ってるのか?」

 

「うん、訓練機はそこに用意するって先生が言ってたしね」

 

 

学園の訓練機を貸し出ししなければ訓練できない。と告げてすぐに行った飛色。

 

その一方で一夏とシャルルは今日、日直の仕事で少し遅れている。

一応、一緒に訓練したいとシャルルが言ってはいたが。

 

 

「あれ?」

 

 

そのとき、一夏は気付いた。いつの間にかアリーナに行く途中でよく生徒とすれ違うなと。

 

 

「どうした、一夏?」

 

「いや、何かアリーナに向かってる人多くないか?」

 

「え? ……そういえば、確かに訓練しに行くっていう風じゃないし」

 

 

一夏に続いて、箒とシャルルも周りの様子に気付く。今もまた何人かがアリーナへ駆けていく。

 

 

「う~ん ……あ、ちょっといい?」

 

 

その一団にシャルルが声を掛けて聞こうとする。

 

 

「何か皆アリーナへ行ってるようだけど、これから訓練するの?」

 

「えっ、知らないの? 第三アリーナで代表候補生三人が模擬戦をしてるんだって。みんなそれを見に行ってるんだよ」

 

「「「え?」」」

 

 

今の時間帯はまだ二年生も三年生も授業中のはずだから、一年ということになると三人は考え出す。

 

代表候補生ということは、ここに居る一夏たちの知る限りセシリア、鈴、ラウラ、そして四組に所属している一人の内の誰かということになる。

 

 

「飛色はどうしたんだろ?」

 

「まあ、俺たちも行こうぜ」

 

「ここからだと観客席の方が近いぞ」

 

 

ピットとは別方向を指す箒に、シャルルと一夏は頷く。校舎から続く道のりの場合、アリーナの様子はピットから中に入るより観客席で見た方が早く済む。

 

 

 

三人が着くと、観客席はすでに大勢の生徒に埋め尽くされていた。

 

 

ドゴォンッ!

 

 

「「「!?」」」

 

 

入って早々、爆音がアリーナに響く。その発生源からは砂煙が立ち、そこに三つの影がある。

 

 

「鈴! セシリア!」

 

「それにあれは……ボーデヴィッヒさん!」

 

 

そこでは苦い表情をした二人と、余裕の笑みをするラウラの姿があった。

 

二人の装甲の一部は破壊され、ダメージ量も大きい。一方でラウラは大したダメージも見当たらず、二対一での模擬戦だが、誰がどう見ても苦戦をしいられているのは鈴たちであった。

 

 

「何をしているんだ?―――お、おい!」

 

 

ちらり、と一夏を確認した二人は飛び出していく。

 

 

 

しかし二人で仕掛けて行くも、防がれ、かわされ、相殺され、ラウラから迎撃を喰らってしまう。

 

そして、ラウラが鈴にとどめを刺そうとした瞬間――

 

 

 

ドガァァァァァンッ!!

 

 

 

間に入ったセシリアが、ラウラの目の前でミサイルを放った。

 

それは正に自殺行為とも言える距離であった。爆発に呑まれたラウラを、二人は少し安堵したかのように見ていたが―――

 

 

「………終わりか?」

 

 

煙が晴れた時の第一声。そこには先ほどとさして変わらない状態のラウラが佇んでいた。

 

 

「なら――私の番だ」

 

 

言い出したラウラはワイヤーブレードを飛ばす。ラウラの状態が信じられなかったのか、一瞬の隙を生んだ鈴とセシリアはそれによって拘束される。

 

二人はそれを解こうとするが、ラウラがそれを許すまじ、というほどの暴虐を開始した。

 

 

「ああああっ!」

 

 

ラウラの拳や蹴りが鈴たちに叩き込まれ、シールドエネルギーだけでなく、装甲もあっという間に減っていく。

 

とうとう、機体維持警告域を超え、操縦者生命危険域へと到達する。ISには絶対防御という、操縦者への安全装置があるが、それは飽く迄ISを纏っている間。ダメージが増加し続け、ISが強制解除されることになれば、そのときは冗談ではなく生命に関わる。

 

それを承知であるというのに、ラウラは攻撃の手を止めない。

 

 

「くっ! やめろ、ラウラァ!」

 

 

不可視であるアリーナのバリアを叩き、ラウラに向かって叫ぶ一夏。

 

しかしラウラは攻撃の手を緩めず―――――普段と変わらない無表情がニヤリと口元を歪めた。

 

 

 

―――ぶちっ!

 

 

 

その日、アリーナで二度目の何かが切れる音がした。

 

 

「おおおおおっ!」

 

 

一夏が白式を展開し、『零落白夜』を発動させると、アリーナのバリアを切り裂いた。

 

アリーナに入ったと同時に、一夏は瞬時加速でラウラへと突撃する。

 

 

「その手を離せぇ!!」

 

 

そのままラウラ目掛けて、愛刀である雪片を振るう一夏。

 

 

「ふん……感情的で直線的、絵に描いたような愚図だな」

 

 

しかしラウラは右腕を一夏に突き出してその身体を止める。

 

 

 

AIC―――アクティブ・イナーシャル・キャンセラー。

 

ラウラの駆る『シュヴァルツェア・レーゲン』に装備された第三世代型兵器。

 

『慣性停止能力』ともいわれ、これまた文字通り、ものの動きを止めてしまうというものである。

 

鈴が使用した衝撃砲も、これによって空間停止による無効化をされていた。

 

 

 

「やはり敵ではないな。この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前では、貴様も有象無象の一つでしかない。―――消えろ」

 

 

そう告げた瞬間、停止している一夏に向けてレールカノンの照準を合わせる。

 

一夏があきらめかけた瞬間―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァンッ!

 

 

「!!」

 

「なっ!?」

 

 

衝撃を受けたのは一夏ではなく、その前に居るラウラだった。

 

突然の衝撃でラウラは体勢を少し崩す。

 

 

「何者だ!」

 

 

ラウラが後ろを向くと、遥か遠くのピット入り口で一機のリヴァイヴが両手を使ってスナイパーライフルを構えていた。

 

 

「貴様っ!」

 

「ひ、飛色!?」

 

 

睨みつけるような視線を送るラウラに続き一夏もそこを向くと学園のもう一人の男子、飛色がいた。

 

 

『……………』

 

 

開放回線(オープン・チャネル)は継続しているが、飛色はライフルの角度を調整して行くだけ。

 

 

 

 

 

―――スコープ機能なしで。

 

 

『………OK』

 

 

そう呟いた瞬間、飛色は追撃を撃ち出す。目標であるラウラに弾丸はまっすぐ迫っていく。

 

 

「なっ!? 貴様ぁ!」

 

『……………織斑、下がってろ』

 

 

どういう射撃をしているか気付いたラウラは、そのことへの驚愕と自分の行いの邪魔をされたことに憤慨する。

 

一方でようやく飛色が口を開いて発せられたのは、一夏を退かせる言葉。

 

 

「ちょっ、なんでだよ飛色!」

 

『いいからお前は下がれ織斑。凰とオルコットを回収しにきたんだろう。それと、お前に名前で呼ぶのを許可した覚えはない』

 

「お、おい! ってそうだ、鈴とセシリアが先か」

 

 

いつの間にか捕縛されていた二人は開放され、ラウラは飛色へ向かっていたのに一夏は気付く。

飛色もライフルを連射してラウラを牽制するが、二人の距離はだんだんと縮まっている。

 

おそらくあまり時間は稼げないだろうと思い、一夏は素早く鈴とセシリアを壁際に連れて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雑魚がっ!」

 

「俺が弱いとは自覚している」

 

 

高速で接近してくるラウラに飛色はサブマシンガンで対応し、一定の距離を取ろうとする。

 

しかし相手は今しがた代表候補生二人を同時に圧倒したほどの腕前。僅かな時間稼ぎにしかならず、ラウラが近づいてワイヤーブレードで腕を拘束される。

 

 

「くっ!」

 

「ふん、いいだろう世代差というものを教えてやる!」

 

 

眉を寄せた飛色を引き寄せながら、ラウラは腕に内蔵されているプラズマブレードを展開する。

 

 

「飛色!」

 

 

一夏が叫び、ラウラがブレードを振りかぶった瞬間

 

 

 

 

ガキィィンッ!

 

 

 

 

一つの影があ二人の間に入り込み、ラウラの斬撃を受け止めた。

 

 

「……やれやれ、これだからガキの相手は疲れる」

 

「きょ、教官!?」

 

「千冬姉!?」

 

「……………」

 

 

二人が呼んだ影―――もとい、千冬がIS用の近接ブレードを扱っていた。

 

ISを纏わずに……

 

千冬の登場で拍子抜けしたのか、ラウラはその手を降ろし、千冬も構えを解く。

 

 

「模擬戦をやるのは構わん。―――が、アリーナのバリアーまで破壊する事態になられては教師として黙認しかねる。この戦いの決着は学年別トーナメントでつけてもらおうか」

 

「教官がそう仰るのなら」

 

 

そう言うと、ラウラはISを解除し、地面に着地する。

うむ、と頷いた千冬は一夏と飛色にも振り返る。

 

 

「織斑、遠木、お前たちもそれでいいな?」

 

「あ、ああ」

 

 

一夏は未だ惚けているのか、素で答えてしまう。

なんせIS用の武装を軽々と生身で使用したのだから。

 

 

「教師には『はい』と答えろ。馬鹿者」

 

「は、はい!」

 

「俺も構いません」

 

「よし………では、学年別トーナメントまで私闘を一切を禁止する。解散!」

 

 

パンッ! と千冬が手を叩いてこの場をまとめる。

一夏は鈴とセシリアを抱えてアリーナ出口へ歩き出した。

 

 

「それと遠木」

 

「? なんでしょう」

 

 

一夏の様にピットに戻ろうとする飛色を千冬は止める。

なぜ呼ばれたかわからず、飛色はそのまま聞く。

 

 

「お前も悪趣味な奴だな」

 

「………何のことやら」

 

 

千冬の言葉を聞き、飛色は背を向ける。

 

まあ、いいだろう。 と口にして、千冬も自身が来た出入り口へ歩き出した。

 

 

「………今回は見逃してやる」

 

「………感謝します」

 

 

 




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