IS インフィニット・ストラトス 努力の天才   作:xix

6 / 21
本日二話目です



第6話 珈琲好きの夜

 

 

一夏たちと初めて昼食を摂った日の放課後

 

いつも通り射撃訓練を終えて寮に帰宅する飛色。

時刻はもう夜中の7時。食堂は閉まっている時間。

といっても夕飯は入学して一週間したら行かなくなっていたため、大して問題はない。

自室には夕飯として栄養補助食品系のものが買い溜めされてある。

 

なんで食堂で食べないかというと

6時~7時という一時間の間に全員来るとするならば少なからず女子がいる。

飛色は女子が苦手のためあまり接触などはしたくない。

それに食堂まで移動するのに多少時間が無駄になるうえに、

食べながら勉強しているところを他の生徒に見られるのは居心地が悪い。

よって、飛色はいつも自室で勉強しながら食べている。

 

 

 

「(・・・・・・・・・ん?)」

 

寮の廊下で一瞬、自分の横を何かが通り過ぎて行った気がした。

後ろを見ると、ボストンバックを持った茶髪のツインテールの女子が走っている。

 

「(あれは・・・・・・・・・凰か?)」

 

走っている後姿しか見えなかったが、メガネが少しずれたことで様子がよく見えた。

 

「(・・・泣いていた?)」

 

汗と勘違いしたかもしれないが、目から出ていたのを見たため可能性は低くはなかった。

 

 

 

 

 

「ぅ、・・・ぅ・・・・・・・・ぅ・・・」

 

「???」

 

何となく鈴を追いかけた飛色は寮の玄関ホールで泣き声が聞こえた。

さきほど泣いていたのを見かけたため、鈴であることはわかっている。

しかし周りを見渡しても見つからない。隠れて泣いてるんじゃないかと考えてもっとよく見渡すと

 

 

「・・・・・・・・・・何してるんだ?」

 

「ふぇ!!?」

 

鈴は階段脇にある鉢植えの陰でしゃがんでいた。

そしてそのまま突然声を掛けてきた飛色に驚く。

 

「・・・・・・何があった?」

 

「な、何でもないわよ!!」

 

何となく気まぐれで聞こうと思ったが、怒らせてしまったようだ。

飛色は立ち上がって去って行った鈴を見ながら「・・・なんだ?」と思う。

 

そのまま部屋に戻ろうとするが

 

スタスタスタ

 

ジー

 

「(・・・何なんだ一体)」

 

後ろから視線を感じる。いつもならそういったことは気にしないが、今回は何か違う。

おそらく鈴なんだろうが

 

バッ

 

シュン

 

「(・・・・・・)」

 

向くと何かが陰に隠れるようなものが見える。面倒だから早く自室に行こうと思い、足を速める。

部屋の前に到着して鍵を開けると、すぐに閉めようとするが

 

ガシッ

 

「・・・・・・何の用だ?」

 

閉めようとした扉の隙間にさっきまでのツインテールがいた。来たからには用があると思い聞いてみる。

ちなみに途中から視線を喰らっため現在進行形で不機嫌そうに扉を閉める力を強めるが、なかなか進まない。

 

「あ、あんたね~~、女の子が泣いているのを覗き見て何もないわけ!?」

 

いかにも鈴も不機嫌になりながら答えている。

飛色は別に覗きたかったわけでもない、ただ単に良心から声を掛けただけというのにこれだ。

しかも「何があったか?」ときいて「何もなかった」と答えられればそれで終了。

それなのに後から「カマってほしい」という。

おかしいと思うが、昼休みの昼食を思い出して、こういう女だと理解する。

このままだとこいつはしばらく部屋に入ってこようとする。

それはそれで時間の無駄だし、部屋に入れて勉強の邪魔をするとも考えられる。

ならばとっとと入れて何かして帰らせるのがいいと考えた。

 

飛色は「はぁ」と溜息をして、扉を閉める力を緩める。

鈴もそれに気付いたのか、力を抜く。

扉を開けたまま、飛色は部屋に入って机の脇に鞄を置く。

 

「・・・入ってこい。コーヒーでも出す」

 

部屋に入ってこない鈴にそう告げると、簡易キッチンに向かう。

置いてある電気ケトルに水を入れて湯を沸かす。

湯が沸くまでに、素早く手動式コーヒーミルとコーヒー豆を取り出して豆を挽く。

ちなみに種類は飛色が好きなキリマンジャロ。

 

「何やってんのよ?」

 

すると鈴がやってきて飛色の様子を見る。

 

「見て判れ。豆を挽いている」

 

「あんたそこから始めんの?」

 

「インスタントより掛かるが俺はいつもこれだ。少し待っていろ・・・ああ、砂糖とミルクはどうする?」

 

「・・・どっちもお願い」

 

そういって、部屋の奥に行った。

 

飛色はコーヒーをあまり飲まないのだろうと判り、作業に戻る。

豆を挽き終わると、ちょうどお湯が沸いており、ドリッパーの準備を急ぐ。

ろ過機に置く紙を取り出して、入れられるように折ったりすると、そこに挽きたてコーヒーを入れる。

それを耐熱ガラスのビーカーへ乗せて、沸いてから少し時間がたったお湯をコーヒー豆の中心に少し注ぐ。

ビーカーへコーヒーが落ちない程度に湿らされたコーヒー豆を見ながら少し置いておくと、コーヒー豆の中心へとお湯を注ぐ。少しやると、次に外側を………

繰り返すと、紙にお湯が触れない内にお湯を注ぐのをやめ、コーヒー豆の中心が窪まない程度にお湯が落ちた所で同じようにもう一度。

これを目的の量が落ちるまで同じ作業を続ける。

 

三杯分の量になり、ろ過機をビーカーから外し、受け皿へろ過機を置く。

コーヒーが入ったビーカーを取り出して、用意したマグカップに注いでいく。

 

鈴は両方だといっていたため、要望通り砂糖とミルクを入れると、盆に乗せて部屋の奥に行く。

 

「できたぞ」

 

「・・・・・・ありがと」

 

目を合わせずに言われたが、ベットに座っている鈴にコーヒーを渡した。

 

「飲んだら帰れ。用がないならな」

 

「・・・・・」

 

無言のままの鈴を尻目に机の椅子に座り、授業の復習を始める。

今日は中距離戦闘における武装説明だったため、やっておかなければならない。

 

理由は単純、飛色は基本ラファール・リヴァイヴを使うから。

 

簡易な操縦性が得りでオールラウンダーともいわれるラファールは、どちらかというと射撃系の武装が多い。武装選択によって変化するが、以前やったセシリアとの試合で何があるのかを確認したところ、ブレードやパイルバンカーなどよりもライフルやショットガンなどの選択肢が7対3の割合で多かった。

これまでのIS世界大会『モンドグロッソ』の試合データを見たところ、ラファール・リヴァイヴ使用者は射撃による戦闘場面が多いことも判っている。

要するに、射撃特化で中距離や遠距離の戦闘が多い。

よって、中距離、遠距離戦闘関係の授業の復習は徹底的にやる。

ただそれだけだった。

 

 

 

カリカリカリカリカリカリカリカリ

 

いつも通り、右は授業中に書いたノートの内容を他のノートに書き写している。

一方、左手では別のノートに何かを書いている。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

コーヒーを啜りながら飛色が勉強しているのをジッと見ている鈴。

それに気にせず勉強する飛色。

しばらく二人の間に沈黙が続くが・・・

 

「・・・何やってんのよ」

 

それを鈴が先に打ち破った。

勉強しているのは判っているが、両手を使ってやるところなど見たこともない。

それが少し疑問に思い話しかける。

 

「見て判れ。復習だ」

 

「両手で?」

 

「ああ。ノートの書き写しと問題制作をしている」

 

飛色は振り向かずに答えていく。

 

「あんた・・・がり勉ね」

 

「クラスでよく言われる」

 

鈴からの言葉を素直に受け取る。

ちなみにクラスでは参考書や教科書を読書する、授業のまとめをやる、教師に言われた作業をする、

といったことしかやらないため、飛色についた渾名は『がり勉メガネ』『真面目くん』などなど。

兎に角、『がり勉』『真面目』『根暗』といったことが多い。

事実のため飛色も否定せず、別に気にもしていないが………

 

「・・・はぁ、あんたホントに絵にかいたような奴ね」

 

「そうか・・・それで、飲み終わったのか?」

 

コーヒーを渡してからかれこれ20分は経っている。

飲み終わったら帰れとは言ったはずだが、未だにここにいるのは飲み終わってないかそれとも・・・

 

「いたら悪いの?」

 

「・・・帰れと言ったはずだ」

 

「じゃあ、おかわり」

 

「・・・・・・」

 

じゃあとはなんだ、じゃあとは。そんなこと考えていたが、残っているコーヒーをまたマグカップに注ぐ。

 

「飲んだら本当に帰れ」

 

「わかったわよ・・・」

 

 

 

 

 

 

3時間後

 

カリカリカリカリ ぐぅ~~~~

 

「・・・・・・・・・何か食べるか」

 

腹の虫が鳴いているのに気づいて手を止める。夜食でも食べようと立ち上がり、

ついでに鈴が置きっぱなしのはずのマグカップに目を向ける。

 

「・・・・・・」

 

「スゥ―――――――――スゥ―――――」

 

後ろからの視線がなくなったから鈴は帰ったのだろうと思っていたが………寝ていた。

思い返してみれば、視線が感じなくなったときに「帰る」などと言わず、物音も立てずに行くというのはおかしいと思ったが………

 

「(・・・・・・ん?)」

 

「ぅぅ・・・・・・一夏の・・・・・・・・・バカァ・・・」

 

「・・・・・はぁ」

 

涙を浮かべながら寝言を言っている鈴に呆れて、その日何度目になるかわからない溜息を吐く。

このまま起こすのもどうかと思うため彼女の寝ているベットにある毛布を被せる。

そして鈴を見ていたら………もう勉強する気も起きないため寝ようと考える。

もともと二人部屋のため、今夜はもう一つの方を使うことにした。

 

「(・・・・・・・・・っ!!!)」

 

電気を消して寝ようと思った瞬間、重要なことを忘れていた。

飛色は慌てて携帯を取り出して電話する。

 

 

トゥルルルル、トゥルルルル、ガチャ

 

 

『もしもし』

 

「夜遅くにすいません、織斑先生」

 

『遠木か・・・・消灯時間はとっくに過ぎているぞ』

 

「すいません、今日の復習をしていました」

 

『ならまぁいい。で、こんな時間になんだ?』

 

「・・・・先に謝っておきます、申し訳ありません」

 

『?どういうことだ?』

 

「実は・・・・」

 

飛色は起こったことを正直に話した。といっても鈴が押しかけて気づいたら寝ていたということぐらいだが・・・・

それは男子の部屋に女子が泊まるという誤解が生まれる可能性もある。

もし無言のままこれが千冬にバレたりしたら出席簿アタックどころか停学の可能性も否めない。

それだけは御免のためありのままのことを話した。

 

『なるほど・・・・すまんな、遠木』

 

「いえ・・・・それでどうしましょう」

 

彼女を起こそうとすれば、変に誤解される可能性もある。

女子が苦手な飛色としてはそれもOUT。

それに寮長からの指示に従った方がいいと判断する。

 

『・・・・お前の部屋で寝かせておけ。泣いていたと言っていたのだろう』

 

「・・・・了解です」

 

泣いている女子を起こすのもどうかと考えて渋々、飛色は承諾した。

 

『それと、年頃の娘だからと言って手を出すなよ』

 

「バカなことは言わないでいただきたいです。では、凰が起きたら説明はしておきます。

そちらは生徒からの誤解があった場合の対処をお願いします」

 

『わかった。ではまた明日な。遅刻はするなよ』

 

「わかっています」

 

ピッ

 

通信を切ってケータイを閉じる。

 

おそらくこれで大きな問題にもならないと考えながら飛色は就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「・・・・・はぁ」

 

隣のベットで寝ている鈴を見ながら起きて早々溜息をした。

まだ6時だが、それは飛色は普段から早起きだからで、鈴はまだ寝ていた。

 

「・・・・・」

 

飛色はケータイを取り出してアラーム機能を設定する。

そして鈴のすぐ横に置くと、顔を洗いに洗面所に向かった。

 

 

 

 

 

 

しばらくして

 

 

 

 

 

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!!!!!

 

「!!!何々!?」

 

アラームの音で鈴は目覚めた。何が起こったかわからず、周りを見渡す。

そしてケータイに気づいて音を止める。

 

「・・・・・・・ぇ~~っと・・・」

 

鈴は自身の状況を確認する。音がよっぽど大きかったからか、目覚めはばっちりだった。

 

「あ・・・あの時寝ちゃったんだっけ」

 

飛色の部屋で寝ていたことを思い出し、時計を見る。

時刻は6時半。部活の朝練などがない生徒には、少し早いぐらいの時間である。

 

「・・・・・・あいつは―――」

 

「起きたか」

 

ふと、鈴に声がかけられる。その人物はもちろん、この部屋の住人である飛色。

その額には汗が浮かんでいる。

 

「・・・・・ああ、今しがたランニングをしてきた」

 

鈴がジーっと見ていたため、飛色は答えた。

 

「それと、今度から寝る前に帰るようにしろ」

 

「うっ・・・ごめん」

 

「そう思うなら早く自室に戻れ。今の時間帯ならまだ起きている生徒は少ない」

 

「わ・・・わかった・・・・・」

 

「それともう一つ」

 

鈴が立ち上がって部屋から出ようとしたとき、飛色が付けくわえてくる。

 

「織斑先生から何か言われるはずだから覚悟しておけ」

 

「え・・・・な、なんでよ?」

 

鈴は一昨日学園に来たばかりで知らなかったが

 

「あの人は一年の寮長だ」

 

飛色のその発言で顔が青くなっていった。

 

「だから覚悟しておけ。・・・・ああ、それと俺は御咎めなしのようだ。

お前が勝手に部屋で寝たと昨日のうちに報告したからな」

 

「え Σ( ̄ロ ̄lll)!!?」

 

「自業自得だ」

 

「(_ _;)」

 

飛色に言われると、鈴はダッシュで自室に帰っていった。

 

「(・・・・・・シャワー浴びるか)」

 

 

 

 

 

 

今日もIS学園での日常が始まるのであった。

 

 

 




アドバイス、感想、何でもいいのでよろしくお願いします<(_ _)>
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。