IS インフィニット・ストラトス 努力の天才   作:xix

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また明日投稿しようと考えています。


第8話 代表戦への乱入者

 

 

クラス対抗戦当日

 

「・・・・・・」

 

飛色はアリーナの外で読書していた。

読んでいるのはもちろんIS関連の本。

 

クラス対抗戦当日にそんなところで読書している理由は簡単。

アリーナは対戦の様子を見るために生徒が集まっている。

観客席をとるために整理券などを販売する生徒もいたほどだ(←それをやった生徒は織斑先生の生徒指導を受けた)

席でなくても、アリーナにあるモニターで見ることもできるが

そこも席をとれなかった生徒でいっぱい。

 

しかもこの試合は同年代のIS操縦者の試合なのだ。授業の一環としても組み込まれている。

飛色自身も技術面で鈴が使用していなかったものがあるかもしれないと考えて、取り組んではいる。

 

しかし女子が苦手でである飛色は行きたくないと思い、

山田先生に――織斑先生だと何か言われそうだったから――頼んだところ

アリーナの外でも見れる中型端末(小型というには大きいから)を渡してくれた。

 

それにより、アリーナの外で試合が始まるまでの読書をしている。

 

「(・・・・・・・・・まだなのか?)」

 

予定の試合開始時間からすでに3分以上経っている。

一応、飛色は時間に厳しい性格からイライラしてきている。

 

ちなみに一夏のことは別に心配などはしていない。

補佐としての仕事はやっておいたため、あとは一夏しだい。

勝ち負けの様子はディスプレイからでも見れるため、態々ピットに行く必要もない。

 

「(・・・・ん?やっとか)」

 

ディスプレイからアリーナの上空、白式を纏った一夏と甲龍を纏った鈴が映る。

 

飛色は読んでいた本を栞を挟んで閉じる。と、ディスプレイにとりあえずだが集中し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(飛色のやつ……結局いうこと言って帰ったからな)」

 

一夏はアリーナに飛び出して、飛色のことを思い出していた。

以前、鈴と模擬戦したからという理由で戦術や武装、癖なんかも丁寧に教えてもらっていた。

 

「(でも………『正直言ってお前が覚えたところで意味ないだろうがな』ってなんだよ)」

 

一夏は飛色が最後に言った言葉に疑問を持つ。

敵の情報を知らせたのにその意味がないというのはどうもおかしい。

 

そう考えながら一夏はアリーナの上空に飛び出す。

 

ちなみにこの試合の後、一夏は飛色から

『対策を教えたわけではないし、俺のやり方はお前ではできないからだ』

と聞くのである。

 

 

 

「一夏、遅かったじゃない」

 

「わりぃ。ちょっと考え事しててな」

 

オープン・チャンネル(周りにも聞こえる通信)で鈴と通信する一夏。

実はやり方がわからないせいで、未だにプライベート・チャンネル

(対象以外に聞こえない通信)にできていない。

 

ちなみに飛色は教科書に載っていた内容から、アリーナの制御室にいた先生に手伝ってもらい、

できるようになっていた。

 

「ふん!あんなことしたのに待たせておくなんて・・・・でも、あたしは優しいからね。

 一夏、今なら手加減してあげてもいいわよ」

 

あんなこと・・・・鈴に禁句を言ってしまったことや、約束のことだろう。

 

「いらねぇよ。待たせたのは悪いと思ってるけど、真剣勝負なんだ。手加減はいらねぇ」

 

もし手加減してくれるとしても、雀の涙ほどだろう。そうとも考えながら一夏は雪片をコールする。

 

「へぇ・・・・でもね、そういうのを」

 

鈴も青竜刀を構えて

 

「蛮勇っていうのよ!!」

 

一夏に突っ込んできた。

 

「くっ!!」

 

雪片を使ってその一撃を防ぐ。重い衝撃が雪片を通して一夏に響いた。

 

「へぇ、初撃を防ぐなんて案外やるじゃない」

 

鈴は不敵な笑みを浮かべながら一夏に賞賛を贈る。

 

「飛色に教えてもらったからな……『初めは青竜刀での先制攻撃をしてくる』ってな」

 

飛色から勝つために教えられた情報。

それはこれまで鈴がやってきた模擬戦のデータや、以前行った飛色自身との模擬戦のデータを照らし合わせながら得た攻撃パターンについてと、その対策方法。

 

一夏の白式には後付装備を付けることができなかったため、対策方法は限られていたが、それでも飛色は別の方法を編み出して一夏に教えていた。

 

「あ、あいつ~~~っ!!ならこれでも喰らいなさい!!」

 

飛色にやられたことを思い出したのか、鈴は怒りながら肩にある衝撃砲を発射体勢にする。

それに感づく一夏だったが次の瞬間、見えない何か、いや、衝撃波に殴り飛ばされる。

 

「ぐぁっ!!」

 

飛色の情報にも衝撃砲についてはあったが、その対策方法がかなり至難なやり方だということで

初めの一撃は喰らうことになった。

 

「てて・・・・やっぱ見えねぇな・・・・」

 

「今のはジャブだからね」

 

ジャブ・・・牽制ということは、次に来るのがストレート・・・本命が来るのは決まっている。

 

 

「(にしても、聞いていたのを実際にやられると結構つらいな。本当に見えねぇ)」

 

一夏は再び身構えながら飛色の言っていたことを思い出す。

 

一発目は様子見を含めて軽く撃ってくる。

二発目からは連射をしだして、隙があればチャージして撃ってくる。

銃関係の武装のセオリーを鈴はして、初心者寄りでもある一夏にはそれでも十分だと考えるだろう。

 

と言われたが、本人の言った通り一発目はジャブ・・・・つまり様子見だった。

 

聞いた通りなら次は・・・・

 

ドドドドドドドン!!

 

「くぅ!!危ねぇな!!」

 

一夏は見えない衝撃を辛うじて回避する。

連射だと判っていたため、スピードをなるべく上げればとりあえず回避はできる。

白式のスペックからスピード特化の機体であると、以前の授業で千冬から指摘されたのを飛色に告げて、本人もそれが一番簡単な方法ではあると言ってきた。

 

「よく躱すじゃない。この『龍砲』は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」

 

にやりと笑みをまた浮かべながら説明する。

 

「(飛色が言っていたこと本当だな・・・・)」

 

ちなみに一夏が聞いていたことは『―――おそらくこう説明して、ドヤ顔をしてくるだろう。少なくとも笑う。以前の模擬戦で俺に説明する前に言われたからな』ということだ。

それも見事に的中してきたため、飛色は他人の思考でも読めるのか?と一夏は思ってしまう。

 

「(でも厄介なのには変わりないか・・・・)」

 

実際に飛色の言われた通りの方法でやって、それが成功しているが飛色が

教えたのは回避方法ばかりで、反撃の手段がなかなか見つからない。

 

そんな時、ふと一夏は千冬との訓練を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なかなかだな・・・・)」

 

ディスプレイを通して飛色は試合を見る。

 

一夏に試合前教えたことを、粗削りではあるが実行していることに賞賛している。

自身が別に一夏よりも立場が高いと考えながらやってはいないが。

 

だが攻撃手段についてはこれといって教えていない。

理由は単純、飛色はブレードをあまり使わないし、一夏は一夏で自身の剣の振り方を本当に多少では

あるが心得ていると判っているからだ。

 

故に、一夏には攻撃手段を教えてもそれは教科書を基とした型。

自身の型を編み出しかけている一夏には返って邪魔になるだろうと判断した。

 

そんなことを考えていると

 

「(・・・・・・何かあるのか?)」

 

一夏が停止(負けたわけではないが)してから鈴も空中で止まっていることに疑問を持つ。

 

「(・・・・まさか)」

 

説明をしてすぐ出ていったから聞き逃したが、一夏が何か『イグニ――』と呟いていたのを思い出す。

飛色の聞いたことと考えが一致しているなら、

 

「(瞬時加速・・・イグニッション・ブーストか?)」

 

そうだとして、もしも一夏が使えるのであれば、勝機は薄いがゼロではないと考え出す。

 

瞬時加速・・・・文字通り、一瞬で加速してトップスピードを出すという奇襲、回避、後退など

汎用性の高いIS操縦技術の一つ。

 

基本的なことは教科書に載っていたが応用についてはなかったため、以前から

図書室で貸りている全体的に使える応用技術に関する本に載っていた。

 

そしてその技術に関しての説明には『よく使用をした者』についてもあったのを思い出す。

 

戦乙女(ブリュンヒルデ)と称されていた者を・・・・

 

そして一夏はその人物と同じ機能がある機体を使っている。

 

 

『鈴』

 

一夏が鈴に話しかける。

 

『何よ?』

 

『・・・・・・・・・本気で行くからな』

 

回避に専念していたくせによく言う。と飛色は若干呆れながら思う。

 

すると鈴が再び、一夏に突っ込んでいった。

 

一夏は鈴の一撃を試合開始と同じように雪片で防いで、距離をとろうとする。

それを鈴は追いながら先ほどと同じく、衝撃砲で連射する。

 

武装が雪片しかない一夏は回避するしかなかった。

 

 

 

ように見えた瞬間

 

『うおおおおぉぉぉっ!!!』

 

一夏は雪片の刀身を輝かせながら、鈴に超加速して接近していた。

 

回避の様に見えた行動・・・・それは鈴の隙を作るための攪乱であり、今この瞬間、鈴は油断していた。

 

 

 

当たる・・・飛色もそう考えていたが次の瞬間

 

ザザザッ

 

「(? なんだ、壊れたのか?)」

 

急に映像が大きくブレだし

 

 

 

ズドオオオォォォォン!!!!!

 

 

「!!?」

 

とんでもない轟音がアリーナの方から響いてきた。

 

そして視野が元々広い飛色は

 

「アリーナからだと・・・・?」

 

アリーナの上空にある雲の一部が何かが通過したような跡が残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

鈴に一撃を喰らわせようとした一夏はアリーナに大きな衝撃が来たことで、振り下ろそうとした腕が止まった。

 

「な、なんだ!!?」

 

「いったい何・・・・・?」

 

鈴と一夏は音の発生源、アリーナ中央を見る。

 

そこはさっきまでなかった巨大なクレータができ、黒い煙がもくもくと上がっていた。

 

『試合は中止!!織斑、凰、ただちに退避しろ!!』

 

千冬の声と共に、警報が響き、アリーナで観戦していた生徒が悲鳴を上げる。

 

「な、なんなんだ?何が起こってるんだ?」

 

「一夏、試合は中止よ。すぐにピットに―――」

 

鈴からの通信が入ってくるがその瞬間、警告音とその内容がISから出される。

 

「所属不明のIS?ロックされてるって・・・・なんだ?」

 

確認すると、また鈴の通信が入ってくる。

 

「一夏、今すぐピットに戻って」

 

「戻るって・・・・おまえはどうすんだよ」

 

「あたしは時間を稼ぐわ」

 

「って、女を置いて逃げられるかよ!!」

 

それは男としてのプライドが許さない。思って言い返したが

 

「バカ!!あんたの方が弱いんだし、邪魔になるかもしれないでしょうに!!!」

 

「ぅっ・・・・」

 

事実を言われて黙るしかなくなる。

 

「別にあたしもずっと戦ってるわけじゃないんだから。隙が出来れば撤た――――」

 

「!!!鈴!」

 

撤退、と言いかけたところで鈴にビームが向かっていくのに一夏は気付き、鈴を抱えながら避ける。

 

避けたところで、煙から撃ち出してきたものがその姿を現す。

 

「なんだよ・・・・あれ」

 

一夏は不気味に思いながらそれに視線を向けた。

 

異形な姿・・・・全身を黒で統一されたそれは、一応人型。しかし、その全長は2mを軽く越え、手足は異様に長くて太い。

さらに頭らしき部分には不規則に並ぶセンサーレンズがあり、身体のいたるところにスラスターが着けられていた。

 

「あれは・・・・ISなのか?」

 

その姿を見た一夏が反芻するように呟く。

 

「お前、何者だ?」

 

一夏はそれに呼びかける。

しかしそれからは何も返事はない。

 

答えろ、と強く言っても向こうは黙秘している。

 

『織斑くん、凰さん!すぐに学園の先生方が制圧しに行きます。2人はアリーナから脱出をしてください!!』

 

すると2人に真耶からの通信が入ってくる。

しかしそれに反して一夏は

 

「いえ、それまで俺たちが食い止めます。まだ皆、脱出していないんですよね?」

 

まだアリーナの観客席のシャッターは閉まったが、黒いISのようなものはアリーナのバリアを貫通してきた。

つまりまだそこから脱出できていない生徒が残っている。

今一夏たちが脱出すれば、観客席の生徒に犠牲が出る可能性が高くなるだろう。

 

『で、でも、織斑くん、凰さん―――』

 

「一夏!来てるわよ!!」

 

「ああ!!」

 

浮遊してきた黒ISが突如身体を傾けて2人に突進してくる。

 

「鈴、行くぞ。やれるな?」

 

「誰に言ってるのよ!アンタこそ足引っ張るんじゃないわよ!!」

 

2人は己の武器を携えて、そのISと交戦を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「織斑君、凰さん!?聞こえますか!?」

 

管理室にいる真耶が必死に一夏と鈴音に呼びかけるが、通信を切られているのか返事はない。

 

「・・・・本人たちがやるといったんだ。やらせても構わないだろう」

 

「お、織斑先生!?何を呑気なことを言ってるんですか!!」

 

「まずこれを見ろ」

 

千冬はモニターの表示を切り替えて、今のアリーナのシステムを表示する。

 

「遮断シールドがレベル4に設定、全扉もロックされ、外部への通信も不可だ。これでは救助どころか、非難することもできない」

 

「織斑先生!!!」 

 

珍しく、イラついたように叫ぶ真耶。そこへ千冬はそばにあったコーヒーに白い粉を入れる。

 

 

「まぁ落ち着け。糖分が足りないからイライラするん――「あの、織斑先生、それ片栗粉ですけど・・・」

 

箒に指摘されて、自身が混ぜていた物に目を向ける。

そこには、もはや液体ではなくなったコーヒーがあった。

 

「・・・・・・なぜこんなところに片栗粉が?」

 

「あ、実は織斑先生も織斑くんのことがやっぱり心配―――」

 

「・・・・・・山田先生どうぞ」

 

額に小さい青筋を立てた千冬が真耶に持っていたコーヒー?を差し出す。

 

「え・・・・・・でもこれって・・・」

 

「どうぞ」

 

「いや、これは・・・」

 

「どうぞ」

 

「お、織斑先生?」

 

「どうぞ」

 

「ぅぅ・・・いただきます」

 

千冬のドスの効いた声に真耶は怯えて、仕方なくコーヒー?を飲みだす。

 

「一夏さん・・・」

 

セシリアは一夏たちが戦う姿をモニターから見る。

 

先ほどまで隣にいた筈の箒がいないことにも気付かずに・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女たちは知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの外で自分たちのために必死になっている者のことを。

 

 

 




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