女神転生で終末箱庭ゲーム実況 作:RTSは奥深い
己を定義すること。定義されること。
己の結末を定めること。定められたこと。
決まっているからこそ、乗り越える事は死の超越と同義なのだ。
| 達人 木ノ下雪 Lv.16/30 next.304 早熟型 前衛回復傾向 |
| HP89/89 MP48/48 力6 知7 魔8 体9 速1 運7 破魔無効/呪い弱点 |
| スキル ・ディア ・一分の活泉 ・背水の陣 ・回復プロテマ ・猛反撃 ・食いしばり |
「はん、末路は野垂れ死にか」
しかしその一瞬の間、敵だけでなく味方の能力も数字と文字の羅列として出すと知っているのは、きっと今も未来も私だけだろう。この黒く四角い箱は誰かに運び出される事を不本意とするから、庭が広がる程、出不精に奥に引き篭もるに違いない。
「一歩違えば死ぬ力に、早々に天井に届く器……成長の機会に限りがあり、一度でも大きく伸び損ねればそれだけ寿命は短くなる……は〜あ、死にたくはないんだけどな〜?」
自分を数として覗き先は長くなさそうだと悟るのは、悪魔を殺すほど強く実感出来るものだった。
元を辿れば自業自得で、終わりまで自縄自縛の連続でしか無いんだけど……。
「さー休んでないで次行くよー。ヤタガラスの連中の為に"誘蛾灯"を置きに回らないといけないんだから」
「へい姉御!」
「準備できやした!」
「そりゃ大変宜しい。それじゃあ未だ歳を一つも重ねてないような未来ある子供達の為にも気張ってこー」
「「「「オー!!」」」」
それでも素行が悪いだけで情に厚い連中を引き連れて、ヤクザの悪魔組織と護国マニアの悪魔組織をぶつけて戦争を仕組もうとする様になるなんて、1週間前の自分に言っても絶対に信じてくれはしないだろう。
それもこれも全部ハコニワのお陰でもあり、ハコニワのせいでもありなのだが……私が死に掛ける事になるくらいしか目立つ話もないので出逢いの話はカット。
「どうせこれから死に掛けるからねー」
同じ刺激がいずれ来るのなら、態々振り返る必要もないのだから。
…とはいえ、大まかに私がどんな奴か振り返るくらいは良いだろう。
1週間前、私はただの一校生徒であった。
普通よりちょっと貧乏で、普通より友達が少なくて、普通より趣味が少なくて、普通より学力が低くて、普通より貧相な身体で、何もかも
一回だけ普通じゃない選択をしたというだけで、ハコニワ曰く一ヶ月後に起きるらしい終末に備える事になった一般人である。
正直、心細いよね。人生で初めて踏み入った水商売の領域でベッドシーツとかを清掃したり、なんか最初は不可視だった怪物と戦ったり、オカルト部員相手に大見得張ったり。
人が集まったかと思ったら怪物と……ああ、黒箱曰く「悪魔」だっけ? とひたすらバトる日々だし。
それを全部一人でやることになったんだから、黒箱の奴はわたしに無茶振りをしすぎだと思う。
アレだ、魂の格? レベルみたいなのが上がってからは何となくありがたそうにしてるのは伝わってくるようになったけど、何度はっ倒しそうになったかは数え切れないほど有った。
従いはするけどね。そうするに値するくらいには最近のニュースはきな臭いし、世界のニュースじゃ異常な自殺者が出ている。毎月数百万が自殺するのはどう考えたって異常だ。
まるで人類が何かから逃げようとしてるみたいに。噂じゃ自殺者は逃げてやったぞと言わんばかりに笑って死ぬらしいんだから、それはもう大規模なオカルトの異常が起きているのだろう。
多分ね。
《古キニ従ウ日本兵ヲ探レ》
「……大正時代の学生の制服着た連中のこと言ってる?」
《YES》
「了解、何を気を付けなきゃ行けないか教えてよ」
《全テニ見ツカラナイ様ニスベシ。頭上ニ監視ノ眼有リ》
「全員強敵、鳥の悪魔の監視有り? 千里眼や占いみたく見る線も警戒して動くべきか。ねー、そんなに知ってるなら全部教えてよ」
《探レ》
「全部知ってる訳じゃないと。まぁじゃなきゃ探らせる訳ないか」
そんな毎日戦えを宣う黒箱の命令が一風変わったのは昨日のこと。
廃工場の近くで昔ながらの軍服(大正時代の学生の制服は元々軍服が起源)を着た連中が居るという噂の正体を探れという命令が来た時からだった。
まぁ、私らだけが終末に備えてるとか、そんな傲慢な発想はしてなかったけどさ。
やっぱり他にも居るのかなー、出来れば協力出来たらいいんだけど…なんて思いながら噂を調べてみたら──それはもうどりゃあと驚く羽目になったんだ。
「ん〜〜! ん"〜〜〜!!?」
「連れて行け。蒙昧な愚者にヤタガラスがなんたるかを刻み込んでやろうぞ」
「……思想犯って初めて見た。仲良くなれそうにないなーこれ」
其処で見たのは、何処からか連れて来られた人が空間の歪みに連行されていく所。
一目で勝てないと分かる
何とも自分勝手で、力の無駄遣いだよ。護国を名乗りたいなら警察にでもなればいいのに……。
それに、こういう連中はヤタガラスだけじゃなかった。
《偽リの天使ヲ探レ》
「天使のふりした悪魔って事でオーケー?」
《YES》
「分かった。所で変装で誤魔化せる連中だったりする?」
《 … … 祝福ノ偽装ハ可能。制限時間3h》
「最高。マッカとか必要なら個人的に稼いだ奴を渡すからお願い」
《報告義務》
「残念そっちが数量で1以下と看做した端数ですー。チリつもの結果なので報告はちゃんとやってまーす」
《L陣営偽装→実行》
「わー待て待て! まだ準備とかうわマジで実行し…うおー駆け足で潜入調査だ!」
先ず、天使の連中。巣は随分豪華だったけど、人間をお祈り装置にしてる論外集団。
というか上の奴等と思わしき気配が悪魔のそれだったんだよね。やだよアイツらと関わるの。頭に天使の羽植えるとか寄生虫みたいで生理的にムリ。
……まだ部屋を全部調べ切れてないんだよね。他に闇深な施設が出て来たらどうしよう。
《雷神ノ眷属ヲ探レ》
だからヤタガラスと天使達だけでもかなーり頭の痛い話なんだけど……これはまだ序の口だったのだと私は散々思い知ることになる。
最後に調べた外国マフィアの雷神組、その全容というか……末端から見えてるだけで、それはもう人の神経をやすりで逆撫でするような所業を行っていたのだから。
「セ、先生…ドウシマスカ?」
「あー適当に肘膝折って顔に火傷おわせといて。6歳なら背丈を誤魔化せば高値で売れる」
「分カリマシ──」
「…は? お前だ」
「……もう大丈夫とは言えないけど…"ディア"。せめて、今だけでも助かってくれ」
気付けば首を刈り取っていた。
医者が患者を商売の道具にする。
看護師がゾンビ化して従わされている。
適切な治療を施せば助かる命も、悪化させて売りに出している。
それなのに、人々はまるで催眠にでもかかったかのように平気な顔で病院に通う。
「……ん? なん」
「死にたく無ければ情報を吐け」
「"ザバト"─ギャ──!!?」
「これ以上指を切り落とされなく無かったら悪魔を呼ばないことだ。無詠唱だろうと出す気配は分かるぞ?」
人生で初めて拷問して、拷問をして、拷問をして……名も知らぬ赤子の死体を弔った。
赤子から6歳までの子供は赤玉という合法ドラックになる。
そうじゃない人間も解体され様々なルートで密売される。
悪魔の太客が居て、その眷属の「ガキ」や「レギオン」や「パラサイト」や「モスマン」やらが末端に至るまで配られている。
政府の後ろ盾があり、銃器は幾らでもある。
俺を殺すんならお前らは終わりだ……。
最後に拷問にかけたのはかなり情報を持っていた辺り、そこそこくらいの高い奴だったのだろう。
……爪剥がしや針、溺死体験ツアーに負けて直ぐ吐いた辺り、そこまでの奴だったみたいだが。
「……しまったな。4人しか手に掛けてないけど、このままだと探られてハコニワがバレるかも……いっちょ工作してみよっか」
出るわ出るわの非道な話。私の中で連中を生かす価値が消え失せたのは間違いないが、今殺すのはかなり早まった行いだったと今更ながらに気付く。
だからこそ私は一計を案じてみることにした。私一人だけでは難しいので、4人ほど死んでもさして心の傷まない連中を連れて。
「その名も「全部ヤタガラスが悪い」さくせーん!……まぁ、成功したら御の字で」
やる事はシンプルに雷神組の各地の事務所や拠点にお手製爆弾や毒ガスを撒くだけである。
それだけでヤタガラスの仕業になるかと言われるかも知れないが、大体こういう思想が極まってる連中は派手なのが好きという世間の偏見がある。
奴らのコスプレをしてテロ行為に励めば状況証拠で出るとこ出るだろう。
お互い敵対関係になって私はハッピー、世間がハッピー、失敗しても私とヤンキー4人が死ぬだけだから実質ノーダメ……?
「……いや待てよ? だったらヤタガラスの方に雷神組のフリして宣戦布告すればよくね?」
───その時、木ノ下の脳裏に電流が走る。
丁度ここに末端とはいえ雷神組の死体が3つ。オマケでヤブ医者が使ってた人間のゾンビ化と
ところで、サバトマは手順さえ守ればスキルの枠を取らずに使えるそうだ。
「──やろうぜ、エドテン」
「「「「ウェーイ!」」」」
ほら、ヤンキー達も乗り気だしやらない手はないよ。
という訳で私達は今、雷神組の末端を闇討ちで回収しつつゾンビを人間に偽装。
ヤタガラスの拠点に突撃させるというなんとも非人道的な作戦を決行することになった。
自分の組織のやつをゾンビにするかと聞かれそうだが、マフィアなんて人を人と思わない連中だ。だったらやるかやらないかで言ったらやるでしょ、アイツら。
私はこんなことをやってると心がそこそこ痛むが、死んだ赤子達や彼らの犠牲になった連中に思い馳せれば自然と手と足は動いた。私の不快感よりみんなの安全!
……後でお墓行くか。
ザッザッザッザ!
「……お、ヤタガラスが昼間に軍靴鳴らして雷神組に突撃してら」
ウィーンビロピロピロピロチャララララwww!!!
「ウケますね、俺たちがやったって知らずにあんな畏まった顔をして」
「おい! この台当たりだぞ!」
「マジ!? ちょい俺にも座らせて!」
「緑か〜」
「で、実行犯がまさかパチやってるとは思わないだろうからほとぼり冷めるまでここで潜伏、ちまちま帰ると……我ながら中々良き作戦だったかも?」
果たして作戦は上手くいき、私達はヤタガラスと雷神組の無事離間工作を成功に収める事となった。
やったね、今日はカツ丼だ!
ドン!
「なん………じゃこのクソ台はァ!!」
「……ん? あの人
そして……どうも、運命の神様は成功記念に変な縁を寄越してくれたようだ。
新たな出会いに警戒をしながらも私は離間工作成功に調子着き、黒箱への手土産がてらパチやってるシスターに勧誘を仕掛けてみるのだった。
へーい、其処のシスターちゃん。
この後一緒に飯でゴッ──ハ──ァ────。