闇派閥を畑の肥やしにするタイプの農家さん 作:ダンまち=スキー
闇派閥を畑の肥やしにする系農家としてちょっぴり市民に恐れられている俺だが、実のところオラリオへの貢献度は冒険者の中でもトップクラスなのだ。
まずは闇派閥狩り。あいつら全員テロリストなのでキルスコアを稼げば稼ぐほど平和になる。なにせ自爆までしてくるような連中だ。どうやって爆発四散したのかは知らないが、
1人しか見たことがないので魔道具や他人を爆弾にする魔法なんかの量産できる手段ではないと思うが、よりにもよって精神性が習得に影響する魔法で自爆とは、流石はテロリストといったところか。
続いて魔道具の開発。文明レベルの低さに耐え切れなかったので前世でいう家電の魔力で動くバージョンを作っている。
産業革命やら何やらをすっ飛ばして現代水準の生活を提供する……と言えれば良かったのだが、安く作るのが難しいので普及には至っていない。しかし冒険者は高給取りが多いので普通に死ぬほど稼いでいる。最近はアイデア出しとプロトタイプの開発だけして特許料で儲けている。問題は金の使い道がないとこっすね……(致命的)
次に農業。スキルによる範囲耕作で効率が格段に良くなったし、植物操作による品種改良で悪天候に強くしたり収穫量を増やしたり味を良くしたりと、この分野においては確実に歴史を現代まで進めた偉人レベルだ。
そもそもデメテル・ファミリア自体がオラリオの食糧事情を一身に支える街の生命線であり、ここに万が一の事態があれば飢餓に喘ぐ人々が溢れオラリオは永遠の冬を迎えるとさえ言われているのだ。そんな場所がさらに躍進したとなればその貢献度は他の比じゃない。
ただ畜産については手付かずなので、最近はそっちでなるべく長く作業をしてスキルを生やそうとしている。が、今のところ手応えは無い。目指せ黒毛和牛!
最後にアンブロシア。俺の第2魔法であり、その効果は食べると四肢の欠損から病気まで治癒する果実の種を生成すること。広義では回復魔法と言えるかもしれない。ちなみに味がめちゃくちゃ良い。
このアンブロシアだが、種の生成に魔力をめちゃくそ消費する上、果実が実るまでにとんでもない量の生命力と魔力が必要なので数が作れていない。
しかも興味本位で買い取ったどこかの富豪がこれを食べて若返ったなんて言ったせいで需要が爆増。老化も細胞のダメージと考えれば治せるのかもしれないが、生贄を送ってくるのはやめてください。黒魔術の儀式でもさせたいんですかね。これを植えると成長を阻止すべく闇派閥の襲撃が増えることが唯一の救いだ。
闇派閥から吸った生命力と魔力でアンブロシアの種を生成して植え……それに集まってきた闇派閥から吸った生命力と魔力でアンブロシアを育てる……永久機関が完成しちまったなァ〜! これでノーベル賞は俺んモンだぜ〜!
と、オラリオに対し色々と貢献している俺だが、1日を3分割して睡眠/仕事/趣味とキッチリ分けている。ただそのせいで時間が経つ事にダンジョンに入る時間が減っており、最近は収穫量的に闇派閥がデカい作戦に備えて潜んでいる気がしている。ちょっくら出張が必要かもしれんね……
◇
相も変わらず闇派閥はオラリオで暗躍し続け、そしてシオンは日が落ちてから狩りをする。そんな日常が、今日は少し違った。
「あれま、肩透かしじゃんね。だーれだ?」
廃教会に潜んでいる闇派閥を襲撃するつもりが、彼らは既に全滅していた。切られたり刺されたりといった分かりやすい外傷は無く、しかし慮外の力を叩き付けられたような惨状で肉体がひしゃげて壊れ虫の息。
「また騒々しくなったな」
月光がステンドグラスに降り注ぎ夜闇を払う。青白い光を背に浮かび上がったその姿は、1人の女だった。灰色の長髪、閉じた両目……そして、豊満なバスト。
「『
「……っ?!!」
美しい鐘の音が聞こえたと、魔法が放たれたと思った頃には、既に被弾していた。圧倒的な速度と、
(真空波の類、ではない。風魔法であの速度はありえない。となると……)
無様に吹き飛ばされ転がりながらした考察の答えは──
「──音か」
「ほう…? 」
どうやら当たっていたらしい。しかしマズい。多分、勝てない。
となればやる事は1つ、土下座である。闇派閥をボコっていたのだから必然的に闇派閥ではない。上から下まで見る時に視線が胸でつっかえたのが良くなかったのだろう。なんで目を閉じてるのに分かったんですか…?
「す、すみませんでした……」
「ふむ、二度と雑音を生まない骸に変えてやろうと思ったが……その潔さに免じて、先の一撃と後片付けで手打ちにしてやろう」
「ありがとうございます……」
「薄汚い血でここを汚したくない。そこらに転がるゴミを連れて疾く去ね、小僧」
「承知しました、消えます……」
公式チート:反射的にゴスペルった。反省も後悔もしていない。
シオン:公式チートに轢き殺されかけた。体内に
デメテル:拾ってきたイケショタがイケメンに成長してウッキウキ。今年は申年ィ〜! 暗黒期の食糧事情をたった一人で解決し飢える者をオラリオから消滅させるという、教科書に載るくらいの偉業を成した誇らしい眷属にキュンと来ている。自分の怖い噂が広まった事を盾にスキンシップを加速させている。