今日は綾小路と龍園、2人の誕生日である。
屋上の一件をきっかけになんだかんだで両者は腐れ縁のような関係になっており
ありえないことかも知れないが石崎は内心2人にはもっと仲良くなって欲しいと言う思いもあった。
そこで2人の親睦を深めるために石崎が企画したのが綾小路と龍園のダブル誕生日会だった。
「龍園さん!綾小路!ハッピーバースデーっ!!」
「Congrats」
「お、おめでとう」
「なんで私まで……」
一番の盛り上げ役である石崎が盛大に伝えると、アルベルト、軽井沢、伊吹もそれぞれ続いた。
軽井沢は屋上で龍園たちに酷いことをされたのをまだ引きずっているようだが、綾小路が行くならとこのパーティに出席した。
「「……」」
綾小路と龍園は互いに無表情で無言。
腐れ縁とは言え、一緒に楽しむのは気まずいのかも知れない。
「ほら龍園さん、ろうそくの火消して下さい!」
「ブゥーッ!!」
「おっと」
龍園が突然ケーキに刺さっているろうそくの火を綾小路に向けて勢いよく吹きかけた。
しかし綾小路はまるでそれを予期していたかのようにあっさりと回避した。
「涼しい顔で火の粉の不意打ちにも対応しちゃうとか常人じゃないでしょ……」
「さ、流石綾小路だぜ!」
伊吹と石崎が綾小路の得体の知れなさを改めて目のあたりにして若干引きつった表情を浮かべる。
「はい清隆へプレゼント!」
「携帯ケースか、ありがとう」
「えへへ~」
パーティはプレゼントを渡す流れへと変化した。
「龍園さんには俺とアルベルトから遊戯王カードと10禁エアガンです!」
「……」
龍園は受け取ると無言のまま遊戯王カードを器用に折り始める。
「結構硬い紙なのに紙飛行機にしやがったわ」
遊戯王カードの本来の使い方ではないが、これが龍園なりの遊び方なのだと伊吹は感じる。
そして龍園は完成した紙飛行機を持って立ち上がり、部屋の窓を開けて紙飛行機をスッと夜空へ飛ばした。
「どこまで飛ぶんだ?」
「凄い上昇してる……」
綾小路と軽井沢が紙飛行機の行方を見守る。
紙飛行機はかなり良く飛んでおり、龍園の腕がとても優れていることがうかがえる。
「紙飛行機の名は『綾小路号』だ」
突然、龍園が予想外なことを言った。
何故綾小路号なのだろう?と綾小路は自分の名を使われた理由を考えるが検討もつかない。
「スゲー!龍園さんの綾小路号が屋上に着地したぜ!」
綾小路号が学校の屋上の避雷針の上にピタリと着地した。
学生寮からそれなりに距離がある屋上まで飛ばす力量は素直に凄いとみんな関心するが……
パァ……ン
「龍園がエアガンで綾小路号を撃ち抜いた……?」
「oh……」
龍園は石崎とアルベルトから送られたもう一つのプレゼントである10禁エアガンで綾小路号を狙撃したのだ。
無惨に穴が開いて見る影もない綾小路号は冬空の藻屑と消えた。
「それがお前の答えなんだな、龍園」
「ククッ、さぁな」
綾小路は龍園との再戦はいずれ必ず訪れると改めて予感するのだった。