無人島サバイバル試験が終了し、つかの間のバカンスがやってきた。
今回オレは綾小路グループの他にもう1組とプライベートプールで遊ぶ約束をした。
龍園クラスの椎名ひより、西野武子、石崎大地、山田アルベルトの4人と遊ぶのだ。
「よぉ綾小路!時間通りに来たな!」
「ああ、楽しみだったから遅刻はできない」
「そりゃ嬉しいぜ!なっアルベルト!」
石崎はアルベルトの大きな背中をパシパシ叩く。
アルベルトはこくりと小さく頷いた。
「ひよりと西野はまだか?」
「ああ、まだ来てないぜ。どうしたんだろうな?」
プールの予約時間までまだ15分ほどあるが、女子2人の姿はまだ見えない。
残り10分を切ったらとりあえず携帯で連絡してみようと思っていたところ
小走りしながらひよりと西野が現れた。
「ごめんごめん。支度に手間取った」
「すみません。遅れてしまって」
「いやまだ時間は残されてるから遅刻じゃない」
「綾小路の言う通りだぜ2人共。さぁ中に入ろうぜ!」
全員揃ったところで受付を済ませて、いざプライベートプールへ。
「うひょ~!すげぇ豪華なプールだな!」
「これマジマジのマジで本当に私たちだけの貸し切り?」
石崎と西野はハイテンションで喜んでいる。
アルベルトからも少し高揚感のような雰囲気を感じる。
「それでは着替えてきますね」
「覗くなよ~」
ひよりと西野が更衣室の中へと消えていく。
果たして2人はどんな水着を着てくるのか?
「ビキニかな?ワンピースかな?」と石崎がニヤニヤ声で耳打ちしてきた。
オレもひよりの水着姿を想像して、正直楽しみで仕方がなかった。
「西野と椎名のやつ遅いな」
「ああ、着替えに時間がかかってるんだろう」
女子の着替えは時間がかかるというのがお約束である。
全員揃うまで遊ぶのはなしなので、しばらく野郎3人で他愛のない話をする。
そしてそれから待つこと10分後。
ひよりと西野がそれぞれ水着を身に着けて現れた。
ひよりはなんと白い三角型のビキニで紐パンだった。
普段の彼女からは想像できないほど露出が多い際どい水着だった。
恥ずかしそうにもじもじしているひよりとは対照的に西野は堂々としている。
「どう……ですか?」
「お、おう……」
「とても綺麗だぞ。かわいい」
恐る恐るひよりが感想を求めてきたが石崎は見惚れているのか声が出ていない。
整った顔と、つぶらな瞳、そんな顔でまっすぐに見られると答えないわけにはいかず
オレもこういう感想を言うのは得意ではないので、当たり障りのない無難に答えた。
「嬉しいです♡」
しかしひよりはシンプルなオレの感想に満足したのか穏やかな笑顔になる。
アルベルトも「good」とサムズアップをしている。
「ねえ石崎。私は?」
西野は黒い花がらのワンピースだった。こちらもなかなか可愛い。
少し顔を朱に染め、ぽってりした魅力的な唇を尖らせてもじもじしている。
「えっ?いいんじゃねえの?」
「……」
しかし、あまりにも簡潔な石崎の反応に西野はムッとすると彼の脇腹をつねった。
「痛てぇ~てっ!な、なんでだよ西野~!」
「しーらないっ」
なんとなくこの2人はお似合いな気がした。
「全員揃ったし遊び倒そうぜ!」
そしてムードメーカーの石崎の掛け声を合図にオレたちはプールへ入水した。
「ほ~らっ、綾小路くん♡」
「やったなぁ~」
オレとひよりは仲睦まじく水をチャパチャパかけあって遊ぶ。
水に滴るひより、少し控えめではあるが確かな膨らみがある胸。
読書家ということもあり、ムッチリしている太ももにセクシーな紐パン。
そしてオレに向けてくれる笑顔がとても眩しく映る。かわいい。
「ワーッ!!ワーッ!!キャー!!キャー!!」
オレがひよりとの一時の幸せを味わっていると
いきなり絶叫する石崎と無言のアルベルトに思いっきり大量の水をぶっかけられた。
石崎は満面のスマイル、アルベルトも巨体と大きな手でとにかくぶっかけられた。
一瞬にして全身ずぶ濡れになってしまったオレは少し気分がシュンとしてしまった。
「うふふ、綾小路くんびしょびしょですね」
でもひよりは楽しそうにクスクス笑ってくれてるし、まぁいいか。
「バカ石崎!」
「ぐえっ!」
西野のビーチボールが石崎の頭に直撃した。
水面にばしゃーんと倒れる彼を見ながら彼女はやれやれと嘆息している。
次はオレ、石崎、アルベルトの3人で25メートルを競争することになった。
ひよりと西野は運動が得意ではないので審判を務める。
「オラッ!オラッ!綾小路に勝ってやるぜ!」
声を張り上げバタフライで泳ぐ石崎。
そんなに大声出しながら泳ぐと息切れが早くなると思うが
一応競争相手なので敵に塩を送るようなことは言わない。
ちなみにオレはクロールだが、この時オレにはある狙いがあった。
それは……
「大変です!綾小路くんが溺れました!」
「そ、そんな!どうすりゃいいんだ……」
オレは溺れたフリをして目を瞑り、息をできるだけ殺しながら横たわる。
ちなみにオレをプールサイドに軽々と運んでくれたのはアルベルトである。
おろおろするばかりの石崎に対し、西野は冷静に教師を呼びに行った。
しかし、ひよりが「それでは間に合いません!人工呼吸です!」と叫んだ。
そう。オレの狙いは人工呼吸と評してひよりと口付けをすることだったのだ。
目を瞑りながらまだかまだかとオレはひよりのピンク色の唇を期待する。
「私がやります!対処法を本で読んだことがありますので!」
そう……そうだぞひより……後少し……少しで……。
むちゅ
アルベルトと人工呼吸してしまった。
しかもかなり濃厚に。
しかもあまりに口内に大量の息が入ってくるせいでオレの腹はパンパンになった。
またしても作戦が大きく外れたオレはシュンとテンションがだだ下がりになる。
「助かってよかったです……」
ひよりはオレが無事生還したことを目尻の涙を指で拭いながら喜んでくれた。
騙そうとしたことで少し居た堪れない気持ちになったが、まぁいいか。
「綾小路くん、もう上がるの?」
その後は平和に遊び、小休憩するためプールから出たオレに西野が声をかける。
まだまだ時間はあるし、まだ遊び足りないと言われれば否定はできない。
しかし日陰で読書しながら休んでいるひよりにラストアタックを仕掛けたかった。
「オレも一緒していいか?」
「もちろんです。今日は本当に楽しかったです」
「オレも楽しかった」
持参した小説を読みながら、2人でゆったりした時間を過ごす。
ひよりたちとプールで遊ぶのが当初の目的だったが最終的には読書で落ち着いた。
オレとひよりはやはりこの方が性に合ってるのかも知れないな。
しかしオレの戦いはまだ続いている。むしろ本番はこれからだ。
読書も良いが、ひよりとイチャイチャするまでは絶対に終われない。
2人読書で過ごすだけなら学校でいくらでもできるからな。
今こそラストアタックの刻だ。
「ひよりに日焼け止めを塗らせて欲しい」
オレの最後の作戦。
それは合法的に女体に触れることができる日焼け止めぬりぬりイベントだ。
既に残り時間は1時間を過ぎているが、無駄になるということはないはず。
プライベートプールから出た後も日差しが強い場所に出ることもあるからだ。
「えっと……それでは、よろしくお願いします」
「ああ、任せてくれ」
オレは日焼け止めクリームを手につけて、うつ伏せのひよりの身体に塗っていく。
さすがにひよりはビキニの紐を外すのは抵抗があったのか紐は結んだままだが
それ以外の彼女の肩、背中、脇腹、脚などを入念に塗っていく。
塗ってる最中ひよりが喘ぎ声にも似た色気のある声を出している。
顔も赤くなっているところを見るにひよりも少し恥ずかしいのだろう。
「んっ……そこ……♡気持ちいいです……っ♡」
これだ……これがオレが体験したかったエロティシズムだ。
その後も塗り残しが無いように丹念にひよりの身体にクリームを塗り続けた。
ひよりの身体を充分堪能できたオレは感無量である。
一通り塗り終わったところで、ひよりは冷え防止のパーカーを羽織った。
そしてまた再びオレとひよりは読書の世界へ戻る。
その後も石崎たちも加えてみんなで一緒にかき氷やアイスクリームを食べた。
ここでもひよりは「あ、綾小路くんの頬にクリームが付いてますよ」と
人差し指でオレの頬のクリームを取るとそのまま自分の口で舐め取ってくれる。
アルベルトと西野がオレとひよりの甘い雰囲気を察したのかサムズアップしていた。
ひよりたちは本来敵対し合う他クラスの生徒だが、
クラスの垣根を越えて友達になるのもいいものだなと改めてそう感じた。