【望月ころも先生公認「蚊ニキ」二次創作】蚊ニキの蚊ニッキ(日記)   作:くまく

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間話的に他者視点をば。あくまでオリジナル設定の親友&蚊ニキ(名前も)設定ですから、蚊ニキ本編とは関係ありません。ご了承下さい。


日記のしおり〜親友ケンの場合

 

俺の親友は、蚊、らしい。

なんかおかしいが、いつからかそう見えるようになっていた。

 

 

 

 

最近の図書館はいろんな層に人気だ。

夏は冷房が、秋冬は暖房が入り、雑誌や新聞等もあるし備え付けのパソコンでインターネットも使えたりする。

持ち出し禁止の図書以外はいろんな本が無料で借りられるし、併設されたカフェもモーニングやランチが格安で利用できて、中高年層に人気だ。

学生向けの専用スペースで勉強ができるから、スマホで予約した席を使う受験生や学生がよくいる。

そういう俺と親友の優(ユウ)も今日受験勉強をする約束をして、俺がスマホで席を取っておいた。

9時から12時までの3時間。

図書館の正面玄関前は、開館を待ちわびる中高年層や学生でかなりの行列ができている。

本当ならば俺と優も一緒に列に並んでいるはずだったが、

よりによってこんな日に、自転車のチューブがパンクするなんてついてねぇ。約束は8時半だったが、パンクを直すのに手間取り、図書館前に着いたのは9時ギリギリだった。

 

図書館敷地内にある自転車置き場が待ち合わせ場所。息を切らしながら姿を探して見回せば、派手な黄色い姿がすぐ見つかった。 

 

「あ、いた!お~い、優!!」

 

派手なボーダーシャツとチノパンの俺が手を挙げて声を張り上げたにもかかわらず、優……のはずの“蚊”は、空中でホバリングしたまま静止している……というか、体中滝のような汗をかいている上に、しおれた菜っ葉みたいにしょげ返ってる。頭にある2本の触角までしおしおと垂れ下がってた。

 

……優がこういう状態になる時は、大抵原因が決まってる。

 

しょうがないなあ、と手を指差す形にすると、人差し指を蚊に押し当てる。

 

「ちくっ」

 

ぷに、と蚊のほっぺたが変形すると、さすがの本人も感触で気づいたようだ。 

 

「ケン……おはよ」

「はよ。遅れてスマン…けど、優。おまえなんかあったろ?」

「そ、そんなことないぞ!オレはいつでも絶好調〜!ほら〜オレ、お、オーレ!」

 

くねっと意味なく体をくねらせる優。

セクシーポーズを取る蚊ってシュールだよな…。

 

「俺の前まで虚勢張らなくていいって。小学以来の仲だし、中高の卓球部でもダブルスのペア組んでたろ」

「……ま、まぁな」

「てか、どうせおまえが落ち込んでる原因、りこちゃんだろ?」

「ギクッ!!」

 

分かり易すぎる…。

優はビクッと体が揺れたあと、再び滝のような汗を流した。こいつは小学生以来、なにも変わらない。単純明快で明るいお調子者。自ら陰キャ呼ばわりしているが、妹を猫っ可愛がりし困った人を見ると放っておけない極度のお人好しだ。

しかも、卓球部はレギュラーだった上に童顔寄りだかなかなかのイケメン。

 

蚊にイケメンがあるかは知らんけど。

 

本人は気づいてないが、何人か想いを寄せてた女の子がいたのは知ってる。が、本人が全くその気がない…というか鈍すぎ&自認陰キャ過ぎて皆玉砕していった。

全くもてないにきびヅラの俺から見れば小憎らしいから、教えてやらんけどな。

 

「まぁ、後で聞くから。とりあえず中入ろうぜ。返してもらうのもあるしな」

「おう!いこうぜ!レッツらGO!!」

 

ビシッと、図書館を指差す蚊。わざとらしいくらい空元気だな、こりゃ。

 

 

 

 

 

 

「……え。コレが原因で嫌われた?」

 

なかなか喋ろうとしない優から聞き出した話が…

“預かった雑誌をりこちゃんの前で派手にぶちまけた”というものだった。

雑誌類は、実は俺がコレクションしてる貴重本。発行部数が少なかったり、予約限定だったり、絶版で手に入らない貴重なものばかりだ。今買おうとするとプレミアムがつくから、数倍から10倍の値段を出さないと買えないだろう。

健全な男子たるもの、やはり女性の体に興味あるべき。

とはいえ、やはり実家で隠しておくには限界がある。

受験勉強の教材に紛れさせたり、ベッドのマットの下はすでに母ちゃんに見破られた。

 

次の金曜の燃えるゴミの日に捨てる!受験勉強に集中しろ!!と宣言されているから、緊急事態でひとまず優に預かってもらったんだよな。他に信頼できる隠し場所や人はいなかったし。

 

(それに、優にも興味持たせたかったしな…)

 

まるで修行僧の如く、優は異性関係に淡白だ。唯一小学生低学年の頃に担任になった新任の女性教師に淡い初恋はあって、その先生に“蚊ごっこ”を教えてもらったりしたけど。1年で結婚退職しちまったからな。

で、優はその“蚊ごっこ”をしたら、泣いてた妹のりこちゃんが笑った…って、嬉々として話してきた。

それ以来、隙を見つけてはしょっちゅう“蚊ごっこ”をしてはウザがられているが。

 

……まさか、りこちゃんに雑誌を見られたとは。

 

いや、可愛い妹と暮らしてるとか、ラノベみたいな境遇が羨ましいから、その反応を見たかったとか、断じて思ってない。思ってないからな、うん!!

 

「そ、それはすまん!!俺のせいだよな。俺からりこちゃんに説明するわ」

「いいッて。誤解されるよーな振る舞いしたオレも悪いんだしな……」

 

はぁ〜と特大のため息つきながら、相変わらずのお人好し過ぎる優。本を落とした人に気づき、いち早く駆けつけ拾うのを手伝ってるし。泣いてる子どもには“蚊ごっこ”して、更に泣かれるし

 

冷たい現代、みんな自分のことで精一杯で余裕がない。

困った人がいても、見て見ぬ振りが当たり前。

だけど。

 

「わわっ!」

 

また、本を抱えすぎた人が床に本を落とす。 

 

「大丈夫ですかー?」 

「あ、ありがとうございます……」

 

すると、優は躊躇なく助けに飛んでく。なんにも考えずに。素直にすげーと思う。

……だから、なんだよな。

俺、友達やめれねえよな。

と、しゃがんで散らばった本を手にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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