FINAL FANTASY VIII 父さんは、息子の青春を知らない   作:Kurumimogomogo

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第二十一話 試練

 海洋探査人工島。

 エスタから借り受けたラグナロクが、島の上空で速度を落とした。

「ここが海洋探査人工島かあ」

 操縦席の窓から身を乗り出すようにして、セルフィが眼下を眺めている。

 島の大半を占める巨大な建造物。周囲に人の気配はなく、波が岸壁に打ちつける音だけが聞こえていた。

「ずいぶん寂しいところだねえ」

 アーヴァインが帽子を直す。

「本当にここにG.F.がいるの?」

「いるかもしれない、だ」

 スコールは答えた。

「確証はない」

「でも、アルテマウェポンはいるんだろ?」

 ゼルが尋ねる。

「噂だがな」

 スコールは島を見下ろした。

 未来の自分は、ここへ来なかった。

 アルテマウェポンの存在は知っていたが、戦う機会はなかった。今回も、相手の力を正確に把握しているわけではない。

 ただ、強力なG.F.を持っているという噂は以前からあった。

 それを確かめるために、ここまで来た。

「そういえばさ」

 セルフィが振り返った。

「エスタであれだけ準備したんだから、何とかなるよね?」

「そう願いたいな」

 キスティスが答える。

 エスタで飛空艇を借りた後、すぐに出発したわけではなかった。

 ラグナの厚意でラグナロクの使用を認められた一行は、その機動力を利用して各地を回った。

 エスタの武器改造施設では、これまで集めた素材と新たに調達した部品を使い、装備を強化した。

 スコールのガンブレードも、ゼルのグローブも、サイファーのハイペリオンも、以前とは違う。

 キスティスの鞭、セルフィのヌンチャク、アーヴァインの銃も同様だった。

 さらに、ラグナロクでしか容易に辿り着けない場所を訪れ、G.F.や魔法を集めた。

 既に手にしていたケツァクウァトル、シヴァ、イフリート、ブラザーズ、ディアボロス、パンデモニウム、アレクサンダーに加え、新たな力も得ている。

 魔法も充実した。

 ケアルガ、アレイズ、プロテス、シェル、ヘイスト。

 そして、フレアやメテオといった強力な攻撃魔法。

 それらをただ集めただけではない。

 ジャンクションによって身体能力や耐久力を引き上げ、戦い方そのものを見直した。

 その指揮を執ったのはスコールだった。

 未来でアルティミシアを倒した経験が、こういうところでは役に立つ。

 もっとも、何もかもが予定通りだったわけではない。

「それにしても、あの素材集めは大変だったぜ」

 ゼルがぼやく。

「おまえが途中で余計なモンスターに喧嘩売るからだろ」

 サイファーが鼻で笑った。

「何だと!?」

「図星か」

「おまえだって楽しそうに斬りかかってたじゃねえか!」

「俺は必要な素材を集めてただけだ」

「絶対嘘だ!」

「二人とも」

 キスティスが口を挟む。

「着陸するわよ」

 ラグナロクが静かに降下した。

 

 建造物の内部は薄暗かった。

 中央には巨大な装置があり、青白い光が一定の間隔で明滅している。光が強まるたびに周囲の空気が震え、何かが近づいてくるような気配がした。

「何だ、あれ?」

 ゼルが眉をひそめた。

「分からない。だが、あれを調べてみよう」

 スコールが一歩踏み出すと、光が強くなった。

 同時に、建物の奥から獣の唸り声が響く。

「待て。何かいる」

 六人が身構えると、やがて光が弱まり、気配も遠ざかった。

「光に反応してるのかしら」

 キスティスが呟いた。

「かもしれない」

 スコールは装置を見つめた。

 光が弱まるのを待って進み、再び強まれば足を止める。何度か繰り返すうちに、少しずつ中央へ近づいていった。

「ずいぶん警戒心の強い奴だな」

 サイファーが小声で言う。

「こっちを試してるみたい」

 セルフィも周囲を見回した。

 やがて六人は装置の前へ辿り着いた。

 青白い光の奥には、何か巨大なものが潜んでいるようだった。

 スコールが手を伸ばす。

 その瞬間、低い声が響いた。

『私に挑もうというのか』

 誰もいない。

 それでも声は、確かに聞こえた。

「誰だ!」

 ゼルが叫ぶ。

 返事はない。

 スコールは光を見据えた。

 挑むつもりで来たわけではない。彼らが求めているのは、この島の地下へ進むための道だ。

「別に望んでいる訳じゃない……」

 スコールが答える。

 青白い光が激しく揺れた。

 直後、巨大な影が飛び出してくる。

 赤黒い鱗に覆われた巨体。鋭い爪と牙を備えた竜が、六人の前に立ちはだかった。

「ルブルムドラゴン!」

 キスティスが叫んだ。

「話し合いは通じねえってことか!」

 サイファーがガンブレードを抜く。

「来るぞ!」

 スコールの声と同時に、竜が咆哮した。

 

 激戦の末、ルブルムドラゴンが倒れた。

 六人は傷つきながらも、何とか立っていた。

「……これで終わりか?」

 ゼルが息を整える。

 しかし、装置の光は消えなかった。

『それならば、ここから立ち去れ』

 再び声が響く。

 スコールは光を見つめた。

 ここから立ち去れば、リノアを救うための手掛かりも、未来へ繋がる可能性も失われる。

 まだ何も確かめていない。

「悪いが……それはできない」

 声が途絶えた。

 代わりに、光の向こうから再び重い足音が響いてくる。

「……嫌な予感がするんだけど」

セルフィが呟いた。

光の向こうから現れたのは、先ほど倒したばかりのルブルムドラゴンだった。

「またこいつかよ!」

ゼルが顔をしかめる。

「同じ相手なら、やりようはあるだろ」

サイファーがハイペリオンを肩に担いだ。

「油断するなよ」

スコールがガンブレードを構える。

「分かってるって!」

ルブルムドラゴンが咆哮した。

巨体が床を蹴り、六人へ迫る。

「散開!」

スコールの指示で全員が左右へ分かれた。

直後、巨大な爪が床を砕く。

ゼルがその腕の下を潜り抜け、脇腹へ拳を叩き込んだ。

「おらっ!」

鈍い衝撃音。

硬い鱗に拳を弾かれたものの、ドラゴンの身体が僅かに揺れた。

「さっきより効いてるぞ!」

「そりゃそうだろ」

サイファーが反対側から斬り込む。

「エスタであれだけ金かけたんだからな!」

「金を出したのは大統領だけどね」

アーヴァインが笑いながら銃を構えた。

乾いた銃声が響く。

改造された銃身から放たれた弾丸が、ドラゴンの肩口に命中した。

鱗が砕ける。

「おっ、いい感じ」

「感心してないで続けろ!」

「はいはい」

アーヴァインが次弾を装填する。

スコールはドラゴンの動きを観察していた。

一匹目と同じ。

攻撃の間隔も、ブレスの予備動作も変わらない。

ただし、こちらも無傷ではない。

長期戦は避けたいところだった。

「キスティス、ヘイストを頼む」

「分かったわ」

キスティスが魔法を唱える。

身体が軽くなる。

スコールは床を蹴った。

ガンブレードを振り上げ、ドラゴンの前脚へ斬りつける。

引き金を引く。

爆発が鱗の隙間を抉った。

ドラゴンが吠える。

「ゼル!」

「おう!」

ゼルが反対側から飛び込む。

連続した拳が脚部へ叩き込まれた。

巨体が傾く。

「今よ!」

キスティスが鞭を振るう。

ドラゴンの首に絡みついた鞭が、一瞬だけ動きを止めた。

そこへセルフィが魔法を放つ。

「フレア!」

爆炎がドラゴンの頭部を包んだ。

轟音とともに巨体が後退する。

「よしっ!」

セルフィが小さく拳を握った。

しかし、ドラゴンはまだ倒れない。

首を大きく持ち上げた。

「ブレスが来る!」

スコールが叫ぶ。

全員が身構えた。

口から放たれた灼熱の息が、床を焼きながら広がる。

シェルをジャンクションした防御力と、事前にかけた補助魔法が威力を和らげる。それでも熱風は凄まじく、六人はそれぞれ後退を余儀なくされた。

「熱っつ!」

ゼルが腕を振る。

「大丈夫?」

セルフィが声をかけた。

「平気! ちょっと焦げただけだ!」

「髪の毛?」

「違う!」

サイファーが笑った。

「元からそんな頭だろ」

「うるせえ!」

「二人とも、まだ終わってないわよ」

キスティスが呆れたように言う。

スコールは口元を僅かに緩めた。

(余裕があるな)

決して弱い相手ではない。

だが、戦況は把握できている。

エスタで装備を整え、ラグナロクで各地を巡り、魔法とG.F.を充実させた成果が確実に表れていた。

「次で仕留めるぞ」

スコールが言った。

「了解!」

セルフィが杖を構える。

「メテオ!」

頭上から無数の魔力の塊が降り注ぐ。

ドラゴンが身をよじる。

そこへアーヴァインの銃弾が続いた。

サイファーとゼルが左右から飛び込み、最後にスコールが正面から斬り込んだ。

ガンブレードの刃が閃く。

引き金を引く。

爆発。

ルブルムドラゴンが大きく仰け反り、そのまま床へ崩れ落ちた。

「よっしゃあ!」

ゼルが拳を突き上げる。

「二匹目も撃破!」

セルフィが笑った。

「思ったより何とかなったね」

アーヴァインが銃を収める。

「準備してきた甲斐があったってことさ」

キスティスが全員の様子を確認する。

「怪我は?」

「少し擦りむいたくらい」

ゼルが答える。

「俺も問題ねえ」

サイファーが肩を回した。

スコールも軽く息を整える。

消耗はある。

だが、まだ十分に戦える。

「回復しておこう」

スコールの言葉に、キスティスが頷いた。

ケアルガの光が六人を包む。

傷が塞がり、身体の痛みが引いていく。

「便利だよねえ、魔法って」

セルフィが感心したように言った。

「今さらかよ」

「だって、これだけ強い魔法を揃えたの初めてだもん」

「それはそうね」

キスティスも頷いた。

「エスタへ行ってから、戦い方の幅がかなり広がったわ」

「まだまだ集められるぞ」

スコールが言った。

「ほんと!?」

「ああ」

「楽しみ!」

「まずはここを終わらせてからにしろ」

サイファーが笑う。

その時だった。

『愚かな者たちよ。それでも戦う理由は何だ』

再び声が響いた。

全員が顔を上げる。

青白い光が静かに揺れている。

スコールは光を見据えた。

戦う理由。

未来へ戻るため。

リノアを助けるため。

もう一人の自分を、本来の時間へ帰すため。

理由ならいくらでもある。

だが、それをこの声に説明する必要があるのだろうか。

「スコール?」

キスティスが呼びかける。

スコールは答えなかった。

ただ、ガンブレードを構え直した。

その姿を見て、サイファーが笑う。

「答える気はねえってか」

「ああ」

「いいじゃねえか」

サイファーもハイペリオンを構える。

「俺も、いちいち説明する趣味はねえ」

「おまえの場合、説明できないだけだろ」

「何だと?」

「やめなさい」

キスティスが二人を制した。

青白い光が大きく広がる。

周囲の空気が震えた。

巨大な影が、光の中からゆっくりと姿を現す。

青い鱗。

鋭い爪。

大きく広がる翼。

六人を見下ろす眼光には、明らかな知性が宿っていた。

「……でかい」

ゼルが呟く。

ルブルムドラゴンとは比較にならない威圧感。

スコールはその姿を見上げた。

(バハムート……)

名前は知っている。

だが、実際に対峙するのは初めてだった。

翼を広げる。

風圧が六人を襲った。

「全員、構えろ!」

スコールが叫ぶ。

バハムートとの戦いが始まった。

最初に仕掛けたのはサイファーだった。

「でかけりゃ強いってわけじゃねえだろ!」

ハイペリオンを振り上げ、正面から斬り込む。

バハムートは巨大な爪でその一撃を受け止めた。

金属音が響く。

「……っ!」

サイファーの腕に衝撃が走る。

しかし、押し負けない。

「へえ……やるじゃねえか!」

サイファーが笑った。

その横からゼルが飛び込む。

「おらあっ!」

拳がバハムートの脇腹を捉える。

硬い。

ルブルムドラゴン以上の防御力。

それでも、改造したグローブとジャンクションによって強化された打撃は、確かに竜王へ届いていた。

バハムートが翼を振るう。

「下がれ!」

スコールが叫ぶ。

二人が後退した直後、巨大な翼が床を薙いだ。

衝撃で床の一部が砕け散る。

「危ねえ!」

ゼルが目を丸くした。

「直撃したら洒落にならねえな」

サイファーが言う。

「だったら当たらなきゃいい」

スコールが答えた。

「簡単に言うなよ!」

ゼルが突っ込む。

「実際、避けただろ」

「そりゃそうだけどよ!」

キスティスが鞭を構えた。

「スコール、魔法は?」

「使える。だが、耐性が分からない」

「なら試してみましょう」

キスティスがフレアを放つ。

炎がバハムートの胸元で炸裂した。

僅かに身を引く。

「効いてるわ!」

「なら続けるよ!」

セルフィがメテオを唱えた。

無数の魔力の塊がバハムートへ降り注ぐ。

翼を広げ、衝撃に耐えた。

アーヴァインが銃を構える。

「それじゃ、僕も」

連続した銃声。

弾丸が翼の付け根へ命中する。

バハムートが低く唸った。

「いい感じじゃない?」

セルフィが笑う。

「まだ油断するな」

スコールはガンブレードを構えたまま、バハムートの動きを見ていた。

強い。

確かに、これまで戦ったモンスターとは格が違う。

だが、六人の連携は崩れていない。

攻撃を受けても回復できる。

魔法もまだ残っている。

武器の威力も十分だ。

(……戦える)

スコールは床を蹴った。

ガンブレードを振り抜く。

引き金を引く。

爆発がバハムートの鱗を砕いた。

首を振り、巨大な爪が迫る。

スコールは身体を捻ってかわし、反対側へ回り込んだ。

「ゼル!」

「おう!」

ゼルが飛び込む。

連続した拳が脚部へ叩き込まれた。

バハムートが僅かに体勢を崩す。

「サイファー!」

「分かってる!」

サイファーが跳び上がり、ハイペリオンを振り下ろした。

肩口に斬撃が走る。

バハムートが咆哮した。

「よし!」

ゼルが拳を握る。

しかし次の瞬間、大きく翼を広げた。

スコールの表情が変わる。

「……来るぞ!」

バハムートの口元に、青白い光が集まり始めた。

周囲の空気が震える。

魔力の密度が急激に高まっていく。

「何だ、あれ……」

ゼルが呟く。

スコールは即座に判断した。

「全員、シェルを確認! 防御態勢!」

キスティスが魔法を唱える。

六人の身体を淡い光が包んだ。

バハムートが口を開く。

青白い閃光が放たれた。

メガフレア。

凄まじい爆発が六人を呑み込んだ。

視界が白く染まる。

床が震え、熱風が吹き荒れた。

「うわああっ!」

ゼルが吹き飛ばされる。

アーヴァインも後方へ転がった。

スコールはガンブレードを床に突き立て、何とか踏みとどまった。

爆発が収まる。

煙の向こうで、セルフィが咳き込んでいた。

「けほっ……すっごい威力……」

「全員、無事か!」

スコールが叫ぶ。

「何とか!」

ゼルが立ち上がる。

「いやあ、今のは効いたねえ」

アーヴァインが帽子を拾った。

サイファーも肩を回す。

「……さすがに今のは痛えな」

キスティスが素早く全員の状態を確認した。

「回復するわ!」

ケアルガの光が広がる。

傷が塞がっていく。

スコールはバハムートを見据えた。

(これがメガフレアか)

まともに受ければ危険だ。

だが、事前の防御魔法が功を奏した。

誰も戦闘不能にはなっていない。

「……まだいけるな」

スコールが言った。

「当然!」

ゼルが拳を構える。

「こっちもまだ余裕あるよ!」

セルフィが笑った。

「ただし、もう一発は勘弁してほしいけどね」

アーヴァインが苦笑する。

「なら、撃たせる前に倒す」

スコールがガンブレードを構え直した。

「全員、攻撃を合わせるぞ!」

「了解!」

六人が動いた。

アーヴァインが先に銃撃を仕掛け、バハムートの注意を引く。

その隙にキスティスがヘイストをかけ直した。

ゼルとサイファーが左右へ分かれる。

「俺が右だ!」

「じゃあ俺は左だ!」

「勝手にしろ!」

「そっちこそ!」

スコールは二人の動きを確認し、正面から踏み込んだ。

バハムートが爪を振り下ろす。

スコールは横へ跳ぶ。

その瞬間、ゼルが脚部へ拳を叩き込んだ。

身体が傾く。

「今だ!」

サイファーが反対側から斬り込む。

ハイペリオンの刃が鱗を裂いた。

バハムートが咆哮する。

そこへセルフィが魔法を放った。

「フレア!」

爆炎が竜王を包む。

続けてアーヴァインの銃声が響いた。

スコールは一気に距離を詰めた。

ガンブレードを振り上げる。

斬撃。

引き金。

爆発。

さらに一撃。

バハムートが大きく仰け反った。

スコールは最後の一撃を振り抜く。

轟音が響いた。

竜王の巨体が揺れる。

そして、ゆっくりと膝をついた。

「……やった?」

セルフィが呟く。

バハムートはしばらく動かなかった。

やがて、ゆっくりと顔を上げた。

六人を見渡す。

その眼差しから、先ほどまでの敵意は消えていた。

『見事だ』

低い声が響いた。

『その力、認めよう』

バハムートの身体が青白い光に包まれる。

巨大な翼が光の粒子へ変わり、ゆっくりと消えていった。

最後に、声が響く。

『我が力、おまえたちに託そう』

光が収束した。

静寂が戻る。

「……勝ったな」

スコールがガンブレードを収めた。

「勝ったあああ!」

セルフィが両手を上げる。

「いやあ、強かった!」

ゼルが大きく息を吐いた。

「でも、思ったより余裕あったよね?」

セルフィが笑う。

「余裕ってほどじゃねえだろ」

サイファーが肩を回した。

「けど、まだ戦えるな」

「そうね」

キスティスが頷く。

「武器も魔法も、以前の私たちとは比べものにならないわ」

「エスタでの準備が効いたってことさ」

アーヴァインが銃を収める。

スコールは仲間を見回した。

誰も倒れていない。

傷は回復できる。

魔法もまだ十分に残っている。

バハムートとの戦いは確かに激しかった。

だが、六人の連携と準備が、それを乗り越えさせた。

(……悪くない)

スコールは施設の奥へ目を向けた。

バハムートが消えた場所の向こうには、さらに地下へ続く道がある。

その先に、アルテマウェポンがいる。

そして、おそらくエデンも。

「少し休んでから進もう」

スコールが言った。

「賛成!」

ゼルが即答した。

「今のうちに魔法も整理しておきたいわね」

キスティスが言う。

「俺は武器の手入れだな」

サイファーがハイペリオンを確認する。

「じゃあ、僕は弾薬を」

アーヴァインも荷物を開いた。

セルフィは新たに得たG.F.の力を確かめようと、目を閉じて集中している。

スコールはその様子を眺めた。

元の歴史とは違う仲間たち。

違う装備。

違う戦い方。

それでも、確実に前へ進んでいる。

(この調子なら……)

アルテマウェポンとも戦えるかもしれない。

もちろん、油断はできない。

だが、必要以上に恐れることもない。

スコールは静かに息を吐いた。

竜王の試練は終わった。

次に待つのは、海洋探査人工島の地下。

六人の本当の目的は、まだその先にあった。

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