FINAL FANTASY VIII 父さんは、息子の青春を知らない 作:Kurumimogomogo
最下層へ続く隔壁を抜けると、六人は巨大な地下空間に出た。
天井は暗闇に沈み、どれほどの高さがあるのか分からない。岩盤を削って造られた壁には太い配管が走り、所々から白い蒸気が漏れている。
足元には古い研究設備の残骸が散乱していた。
「……何もいねえじゃねえか」
ゼルが周囲を見回す。
「アルテマウェポンはどこだよ?」
「分からない」
スコールが答えた。
「この場所にいるという確証もない」
「おいおい、ここまで来てそれかよ」
「だから、俺はここへ来たことがないと言っただろ」
「そうだけどよ」
「まあまあ」
アーヴァインが二人の間に入った。
「ここまで来たんだ。隅々まで調べてからでも遅くないんじゃない?」
「そうね」
キスティスが頷いた。
「それに、あれが気になるわ」
広間の中央に、巨大な機械が設置されていた。
何本もの支柱に支えられた円筒状の装置。その周囲を金属製の輪が幾重にも取り囲み、床から伸びた太い配管が接続されている。
天井からは無数のケーブルが垂れ下がっていた。
「うわあ、すごい!」
セルフィが駆け寄る。
「何これ? 何の機械?」
「まだ分からないわ」
キスティスが操作盤を調べた。
「でも、かなり大規模な設備ね」
「何かを作るための装置か?」
サイファーが尋ねる。
「それとも、何かを閉じ込めるための装置かしら」
スコールは中央の円筒を見上げた。
機械の奥から、微かな振動が伝わってくる。
施設そのものが呼吸しているようだった。
「……動いているのか?」
「待機状態みたいね」
キスティスが画面を操作する。
古い文字が浮かび上がった。
「動力は生きているわ。起動することもできそう」
「何が起こるか分からないんだろ?」
ゼルが顔をしかめた。
「ええ」
「じゃあ、触らねえ方がよくないか?」
「珍しくまともなこと言うじゃねえか」
サイファーが笑った。
「珍しくって何だよ!」
スコールは操作盤へ近づいた。
画面には、中央装置の断面図らしきものが表示されている。
その内部に、大きな空間があった。
(何かを収容している……?)
「起動してみよう」
スコールが言った。
「いいの?」
キスティスが確認する。
「ああ。ただし、全員離れておけ。何が出てきても対応できるように」
「了解!」
セルフィが杖を構える。
アーヴァインも銃を抜いた。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか」
「どっちも出そうだけどな」
ゼルが呟く。
サイファーはハイペリオンを肩に担いだ。
「何でもいい。さっさと出てこい」
「それじゃ、起動するわよ」
キスティスが操作盤に触れた。
直後、施設全体に重い機械音が響いた。
巨大な金属の輪がゆっくりと回転を始める。
床下から蒸気が噴き上がり、中央の円筒装置に青白い光が集まっていく。
「おおっ!」
セルフィが目を輝かせた。
「動いた!」
機械の回転が速くなる。
円筒の内部で、何かが蠢いた。
「……おい」
ゼルが呟く。
「今、何か動かなかったか?」
スコールも見ていた。
青白い光の奥に、巨大な影がある。
その影が、ゆっくりと身体を起こした。
次の瞬間。
円筒の内部から、凄まじい衝撃が響いた。
轟音。
機械全体が大きく揺れる。
「何!?」
セルフィが身構えた。
再び衝撃が走る。
金属の輪が軋み、中央装置に亀裂が入った。
「まずいわ!」
キスティスが叫ぶ。
「内部の圧力が急激に上がってる!」
「離れろ!」
スコールが叫んだ。
六人が一斉に後退する。
直後、中央の装置が内側から弾け飛んだ。
爆音とともに蒸気が噴き出し、金属片が床を転がる。
白い煙が広間を覆った。
「……っつう」
ゼルが腕で顔を庇う。
「何が起きたんだよ……」
煙の奥から、重い足音が聞こえた。
一歩。
また一歩。
床が揺れる。
巨大な影が、ゆっくりと姿を現した。
最初に見えたのは、四本の太い脚だった。
獣のような下半身。
鋭い爪を備えた四肢が床を踏みしめ、その前方には巨大な獣の頭部が突き出している。
そして、その頭部の上に、人間のような上半身が乗っていた。
異様に発達した両腕。
青白い装甲に覆われた身体。
片手には、身の丈を遥かに超える巨大な剣を携えている。
人間と獣が無理やり組み合わされたような、異形の巨体だった。
「……何だ、あれ」
アーヴァインが呟いた。
「人間……じゃないよね?」
セルフィが息を呑む。
「当たり前だろ」
ゼルが答える。
「どう見たってモンスターだ」
スコールはガンブレードを抜いた。
「……アルテマウェポン」
その名前を聞き、全員が身構えた。
「こいつが?」
キスティスが尋ねる。
「ああ。間違いない」
スコールは巨大な剣を見つめた。
あれを振るうだけでも、相当な破壊力があるはずだ。
しかも、四本の脚で巨体を支えている。
見た目以上に素早く動く可能性もある。
(……厄介だな)
「なあ、スコール」
ゼルが尋ねた。
「こいつ、どのくらい強いんだ?」
「分からない」
「またそれかよ!」
「戦ったことがないんだから仕方ないだろ」
「そりゃそうだけどよ!」
サイファーが笑った。
「だったら、今から確かめりゃいい」
「簡単に言うな」
「簡単なことだろ。戦って、勝つ。それだけだ」
「今回は倒すことが目的じゃない」
スコールが言った。
「エデンをドローする。それが最優先だ」
「分かってるって」
サイファーがハイペリオンを構え直した。
「その間、俺たちが足止めしてやるよ」
「……頼む」
キスティスが杖を持つセルフィへ目を向けた。
「補助魔法をかけましょう」
「了解!」
六人の身体をプロテスとシェルの光が包む。
さらにヘイストがかけられた。
アルテマウェポンは動かなかった。
獣の頭部が低く唸り、その上に乗った人型の上半身が巨大な剣をゆっくりと持ち上げる。
「……来るぞ」
スコールが呟いた。
次の瞬間。
アルテマウェポンが四本の脚で床を蹴った。
「散れ!!」
スコールの叫びと同時に、巨大な剣が振り下ろされた。
轟音。
床が砕け、岩片が四方へ飛び散る。
「うおおっ!?」
ゼルが転がるように回避した。
先ほどまで立っていた場所が、深く陥没している。
「何だよ、あの馬鹿力!」
「まともに受けるな!」
スコールが叫ぶ。
アルテマウェポンは剣を引き抜いた。
そして、今度は横薙ぎに振るった。
サイファーがハイペリオンを構える。
「ぐっ!」
刃と刃がぶつかった。
直後、サイファーの身体が宙へ浮いた。
「サイファー!」
キスティスが叫ぶ。
サイファーは床を滑り、十数歩先でようやく止まった。
「……っつう」
立ち上がろうとして、顔をしかめる。
「何だ、こいつ……!」
プロテスで衝撃を軽減してなお、腕が痺れていた。
「正面から受けるな!」
スコールが叫ぶ。
「分かってる!」
「分かってないだろ!」
ゼルが突っ込んだ。
アルテマウェポンが再び動く。
今度はゼルへ向かって剣を振り下ろした。
「うわっ!」
ゼルが横へ跳ぶ。
剣が床にめり込み、周囲が大きく揺れた。
その隙にスコールが踏み込む。
ガンブレードを振り抜いた。
引き金を引く。
爆発。
刃が青白い装甲を捉えた。
しかし、浅い。
(硬い……!)
アルテマウェポンが剣を振り上げる。
スコールは即座に後退した。
巨大な刃が目の前を通過する。
風圧だけで身体が揺れた。
「スコール!」
アーヴァインの声。
続いて銃声が響く。
弾丸がアルテマウェポンの肩へ命中した。
巨体が僅かに揺れる。
「効いてる?」
セルフィが尋ねる。
「少しはね!」
アーヴァインが答えた。
「でも、あの装甲を抜くのは骨が折れそうだ!」
「だったら魔法よ!」
キスティスがフレアを放った。
爆炎がアルテマウェポンの胸部を包む。
巨体が一歩後退した。
「よし!」
ゼルが声を上げる。
だが、アルテマウェポンはすぐに姿勢を戻した。
その胸元に、青白い光が集まり始める。
「……魔法?」
セルフィが呟いた。
スコールは床の震えを感じた。
嫌な予感がした。
「全員、足元に注意しろ!」
直後、アルテマウェポンの周囲に魔力が広がった。
「クエイク!」
キスティスが叫ぶ。
床が激しく揺れた。
岩盤が隆起し、巨大な亀裂が走る。
「うわあっ!」
セルフィが足を取られた。
ゼルが腕を掴み、引き寄せる。
「大丈夫か!?」
「う、うん! ありがと!」
次の瞬間、二人の足元が大きく沈んだ。
「うおっ!?」
ゼルがセルフィを抱えるようにして跳ぶ。
背後で床が砕けた。
スコールも片膝をついた。
揺れが収まるまで、まともに動けない。
(広範囲の地属性魔法か……)
ようやく揺れが止まった。
「全員無事か!?」
スコールが叫ぶ。
「何とか!」
ゼルが答える。
「こっちも大丈夫!」
セルフィが杖を掲げた。
「ケアルガ!」
回復の光が六人を包む。
スコールはアルテマウェポンを見上げた。
通常攻撃だけでも危険なのに、強力な魔法まで使う。
しかも、あの巨体はまだ本気で動いているようには見えなかった。
(厄介だな……)
「スコール!」
キスティスが呼んだ。
「ドローを試してみて! 私たちで注意を引くわ!」
「ああ!」
スコールはガンブレードを構え直した。
「サイファー、ゼル!」
「おう!」
「分かってる!」
三人が同時に走り出す。
サイファーが右から斬り込み、ゼルが左脚へ回り込む。
スコールは正面から踏み込んだ。
アルテマウェポンが剣を振るう。
スコールは身を低くして回避した。
そして、その巨体へ意識を集中する。
(ジャンクションされている魔力を探る……)
ドロー。
相手の内側にある魔力を探り、引き出す技術。
これまでも何度となく使ってきた。
だが、今回は違った。
アルテマウェポンの内部には、膨大な魔力が渦巻いていた。
複数の魔法が入り混じり、その奥に、さらに大きな何かが存在している。
(……あった)
スコールは目を見開いた。
他の魔法とは明らかに異なる。
巨大で、複雑で、底が見えない。
まるで、無数の場所が一つに重なっているような感覚だった。
(これが……エデン?)
その時、アルテマウェポンが剣を振り下ろした。
「スコール!!」
サイファーの叫び。
スコールは咄嗟に飛び退いた。
剣が床を砕く。
集中が途切れた。
「くっ……!」
「何やってんだ!」
サイファーが怒鳴る。
「見つけた!」
スコールが叫んだ。
「エデンだ!」
「本当!?」
セルフィの声が弾んだ。
「ああ。間違いない!」
「だったら早く!」
キスティスが叫ぶ。
「分かってる!」
スコールは再び集中しようとした。
しかし、アルテマウェポンが突然動きを止めた。
巨体の周囲に、黒い魔力が集まり始める。
「……今度は何だ?」
ゼルが呟く。
スコールは空を見上げた。
地下空間の天井が、暗く染まっていく。
「……メテオ!」
キスティスが叫んだ。
直後、無数の隕石が降り注いだ。
天井から落ちてきたわけではない。
魔法によって生み出された巨大な岩塊が、六人を目掛けて次々と落下してくる。
「うわああっ!」
ゼルが叫ぶ。
轟音。
爆発。
衝撃。
六人は防御に徹するしかなかった。
スコールはガンブレードを構え、降り注ぐ岩塊を避け続けた。
しかし、全てを避けられるわけではない。
肩を打たれ、床へ膝をつく。
「ぐっ……!」
「スコール!」
キスティスが駆け寄ろうとする。
「来るな!」
スコールが叫ぶ。
直後、二人の間に隕石が落ちた。
爆発。
キスティスが後退する。
ようやく攻撃が収まった時、六人は散り散りになっていた。
「……っつう」
ゼルが立ち上がる。
「何だよ、今の……」
「メテオよ」
キスティスが答えた。
「かなり強力な魔法ね」
「見りゃ分かるって!」
セルフィがケアルガを唱える。
六人の傷が癒えていく。
「スコール、どうする?」
アーヴァインが尋ねた。
「エデンは見つけたんだろ?」
「ああ」
「なら、もう少し時間を作ればいいわけだ」
サイファーがハイペリオンを構え直した。
「そういうことだ」
スコールが頷く。
「ただし、あいつの攻撃を甘く見るな」
「分かってるって」
サイファーが笑った。
その時。
アルテマウェポンの身体から、紫色の光が広がった。
「……また魔法か?」
ゼルが身構える。
光が六人を包む。
身体が急に重くなった。
「うっ……!」
セルフィが膝をついた。
スコールも胸を押さえる。
息苦しい。
身体の内側から力を奪われるような感覚だった。
「……グラビジャ!」
キスティスが叫んだ。
「重力魔法よ!」
「何だよ、それ……!」
ゼルが歯を食いしばる。
スコールはガンブレードを床へ突き立て、身体を支えた。
グラビジャ。
対象の生命力を大きく削る魔法。
防御魔法だけでは防ぎきれない。
だが、これ自体で命を奪われるわけではない。
問題は、その後だった。
アルテマウェポンが動いた。
巨大な剣を振り上げる。
「……まずい!」
スコールが叫ぶ。
「動け!!」
六人が必死に散開する。
剣が床を叩いた。
衝撃が広がる。
「ぐあっ!」
ゼルが吹き飛ばされた。
「ゼル!」
セルフィが駆け寄る。
「大丈夫!?」
「……何とか」
ゼルが顔をしかめる。
「けど、今のはやべえ……」
スコールも同じことを感じていた。
グラビジャで生命力を削り、その直後に圧倒的な腕力で攻撃する。
単純だが、極めて危険な組み合わせだった。
「回復を優先しろ!」
スコールが叫ぶ。
「了解!」
キスティスとセルフィがケアルガを唱える。
その間、サイファーとアーヴァインがアルテマウェポンの注意を引いた。
銃声。
斬撃。
爆発。
アルテマウェポンは僅かに後退した。
「……よし」
スコールが立ち上がる。
まだ戦える。
六人とも、致命傷は負っていない。
だが、長期戦になれば不利になる。
(早くエデンを……)
スコールは再びアルテマウェポンへ向かった。
「キスティス!」
「ええ!」
キスティスが鞭を振るう。
アルテマウェポンの腕へ絡みつけ、動きを僅かに制限した。
「今よ!」
セルフィがフレアを放つ。
爆炎が胸部を包む。
さらにアーヴァインが銃弾を撃ち込んだ。
青白い装甲に亀裂が走る。
「効いてる!」
ゼルが叫ぶ。
サイファーが踏み込んだ。
「だったら、もう一発だ!」
ハイペリオンが装甲を裂く。
アルテマウェポンの身体が大きく揺れた。
初めて、明確な損傷が見えた。
「よし!」
ゼルが拳を握る。
しかし。
アルテマウェポンが、突然動きを止めた。
スコールは違和感を覚えた。
先ほどまでとは、魔力の流れが違う。
胸部の亀裂から、青白い光が漏れ始めている。
「……待て」
スコールが呟いた。
アルテマウェポンがゆっくりと顔を上げた。
その身体の中央に、光が集まっていく。
細く、鋭い光。
周囲の空気が震えた。
「……何だ?」
サイファーが呟く。
スコールの背筋に、冷たいものが走った。
「全員、離れろ!!」
叫んだ瞬間。
アルテマウェポンの胸部から、一本の光線が放たれた。
青白い光が一直線に走る。
スコールは横へ跳んだ。
光線が頬のすぐ横を通過する。
熱さは感じなかった。
風圧もない。
ただ、何かが通り過ぎた。
それだけだった。
光線は広間の奥へ伸びていった。
そして。
暗闇の中で、何かが倒れる音がした。
「……?」
アーヴァインが振り返る。
そこには、巨大なモンスターがいた。
先ほどまで、奥の岩陰に潜んでいたらしい。
ベヒーモスだった。
光線は、その胸部を貫いていた。
巨体が一瞬だけ硬直する。
そして、糸が切れたように崩れ落ちた。
断末魔すら上げなかった。
「……おい」
ゼルが呟く。
「今の……」
誰も答えなかった。
ベヒーモスは動かない。
あれほど強力だったモンスターが、たった一撃で命を絶たれた。
しかも、光線が命中した部分には、大きな傷すら見当たらなかった。
「……死んだの?」
セルフィが小さく尋ねた。
キスティスが息を呑む。
「……ええ」
アーヴァインが銃を下ろしかけた。
「冗談だろ……」
スコールはアルテマウェポンを見つめた。
光線が通過した瞬間、身体の奥で何かが凍りつくような感覚があった。
あれは、普通の魔法ではない。
防御できるかどうかも分からない。
だが、確かなことが一つあった。
(……当たったら終わりだ)
「全員、聞け」
スコールが低い声で言った。
「今の光線は、絶対に受けるな」
「……言われなくても分かるって」
ゼルが答える。
だが、その声にいつもの勢いはなかった。
「プロテスもシェルも、頼りにするな。あれは避けるしかない」
キスティスが頷く。
「そうね。今のベヒーモスを見る限り、防げるとは思えないわ」
「……厄介なもん持ってやがる」
サイファーが呟いた。
アルテマウェポンの胸部から、再び青白い光が漏れた。
「……また来る!?」
セルフィが叫ぶ。
「散開しろ!」
スコールが叫んだ。
六人が一斉に動く。
光線が放たれた。
今度はアーヴァインのすぐ横を通過する。
「うわっ!」
アーヴァインが床へ転がった。
光線は背後の岩壁へ吸い込まれた。
岩壁には、細い穴が開いていた。
「……危なかった」
アーヴァインが息を吐く。
「あと少し遅かったら……」
「考えるな!」
スコールが叫ぶ。
「動き続けろ!」
アルテマウェポンが剣を振り上げた。
巨大な刃。
続いて魔力。
クエイク。
メテオ。
グラビジャ。
そして、あの光線。
攻撃の種類が増えるほど、回避できる場所は少なくなっていく。
(このままじゃ……)
スコールは歯を食いしばった。
エデンをドローするには、集中する時間が必要だ。
だが、今のアルテマウェポンを前に、立ち止まることはできない。
「スコール!」
キスティスが叫ぶ。
「エデンはまだ引き出せないの!?」
「もう少しだ!」
「だったら、私たちで時間を作る!」
サイファーがハイペリオンを構えた。
「おい、スコール!」
「何だ!」
「さっさと済ませろ!」
ゼルも拳を握る。
「俺たちが何とかする!」
「無茶するな!」
「今さらだろ!」
セルフィが杖を掲げた。
「私もやるよ!」
アーヴァインが銃を構える。
「一発くらい、いいところ見せないとね」
キスティスが鞭を振るう。
「スコール、お願い」
五人が前へ出た。
スコールは一瞬だけ迷った。
だが、すぐに頷いた。
「……分かった」
アルテマウェポンが剣を振り下ろす。
サイファーが横へ飛び込み、注意を引いた。
「こっちだ!」
ゼルが反対側から攻撃する。
「おらあっ!」
アーヴァインの銃弾が胸部へ集中する。
セルフィとキスティスが魔法を重ねた。
アルテマウェポンが五人へ向き直る。
その隙に、スコールが意識を集中した。
(……エデン)
再び、アルテマウェポンの内側へ意識を伸ばす。
膨大な魔力。
その奥にある、異質な存在。
遠く離れた場所が重なり合うような感覚。
(見つけた……)
スコールは、その魔力へ手を伸ばした。
しかし。
アルテマウェポンの胸部に、再び青白い光が集まり始めた。
「スコール!!」
キスティスの叫び。
スコールは目を開いた。
光が、自分へ向いている。
(……まずい)
身体を動かそうとした。
だが、ドローに集中していたため、反応が遅れた。
アルテマウェポンの胸部から、光線が放たれる。
「スコール!!」
誰かが叫んだ。
スコールは咄嗟に身を捻った。
青白い光が、肩のすぐ横を通過する。
次の瞬間、背後の岩壁に細い穴が開いた。
「……っ!」
スコールは床へ転がった。
心臓が激しく脈打っている。
(……危なかった)
あと僅かに遅れていれば、あのベヒーモスと同じようになっていた。
「スコール!」
セルフィが駆け寄る。
「大丈夫!?」
「ああ……」
スコールは立ち上がった。
「大丈夫だ」
「本当に!?」
「ああ」
サイファーが舌打ちした。
「無茶しやがって」
「おまえに言われたくない」
「言ってろ」
スコールはアルテマウェポンを見上げた。
まだ倒れていない。
むしろ、損傷した装甲の隙間から、強烈な魔力が漏れ続けている。
だが、確かな手応えはあった。
エデンは、そこにいる。
あと少し。
もう少しで、引き出せる。
「……次で決める」
スコールが言った。
キスティスが頷く。
「分かったわ」
ゼルが拳を打ち合わせる。
「よし!」
セルフィが杖を構える。
「今度こそ!」
アーヴァインが銃を構え直した。
「頼んだよ、スコール」
サイファーがハイペリオンを肩に担ぐ。
「失敗すんなよ」
スコールはガンブレードを握り直した。
「ああ」
アルテマウェポンが再び動き始めた。
巨大な剣が振り上げられる。
青白い光が胸部に集まる。
その圧倒的な力を前に、六人は再び構えた。
エデンを手に入れるために。
そして、二つの時代を繋ぐために。
戦いは、まだ終わっていなかった。