ノリと勢いで書いてるこの作品、良かったら楽しんで読んでもらえると幸いです。
プロローグ「俺ちゃん、参上!」
〈新エリー都・ヤヌス区〉
六分街と呼ばれるこの古めかしくも住みやすいこの街の一角にあるビデオ店。
名を『Random play』。
こぢんまりした店ではあるが、そのレトロの外観から出るロマン溢れる雰囲気もあり、密かな人気を得ている。
レトロな作品から最新のジャンルのビデオまで、何でもござれの種類の豊富さ。
加えて従業員らの社交的な人柄や丁寧なサービス対応もあり、地元の人から噂を聞いてきたお客にも好評である。
そこそこ名の知れたこの場所は、毎日にお客で賑わっているのだが、それはビデオのレンタルだけではない。
その理由とは……
「ここで俺が解説するってわけよ」
明らかな説明パートであるのに、第四の壁を超えてきたこの男がこの作品の主人公である。
スタッフルームに設けられたソファに堂々と座り、何とも言えない空気を纏っている不審者。
バットマンであり、スパイダーマであり、デッドプールであるいかれた人物。
彼の名前は72通りもあるので、強いて言うならばサムライソードと呼ぶのがいいだろう。
メタ過ぎるのが嫌いな方はブラウザバックを推奨。
「おいおいおい!
冗談はよしてくれよ、ブラウザバックを推奨する小説があってたまるかよ
画面の向こうのオタク共が、二次創作に飢えてここまで来てるんだぞ!」
ソファに座りながら、熱弁するサムライソード。
外側からのお友達への配慮、否それは違うであろう。
「あーわかったよ、巻でいくって
とまあ、これからこの駄作を読んでいくにあたっての俺ちゃんの存在がどんなもんかある程度わかったところで
本編に行ってみよう」
サムライソードはリモコンを手に取り、テレビの電源を入れる。
終末世界の物語をその目で確かめる他ない。
「そんなわけで給料上げてくれよ、アキちゃんよぉ」
「申し訳ないけど、そんな理由で賃金を上げることは出来ない」
給料を巡って話し合いをする2人の男性。
一人はこのビデオ店「Random play」の店長のアキラ。
そして手を合わせて賃金アップを頼み込んでるもう1人の男はアルバイトの刃。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
店奥のスタッフルームから扉を開けて出てきた少女。
この店のもう1人の店長のリンは、先程の騒ぎを聞きつけてアキラへと問を投げる。
「リン、騒がせてすまないね
大したことじゃないんだが·····刃が給料を上げて欲しいと言ってきてね
少し困ってたところさ」
「ええ!?
この間も同じ事言ってたけど、どうしてそんなにお金が必要なの?」
先週も同じようなやり取りがあったため、気になったリンは刃に理由を問いただす。
「そりゃおめぇよリンちゃん
アストラ様のグッズ集めに決まってるだろ!!
今回販売される限定アクスタを買いてぇから賃金アップして欲しいのよぉ~」
理由を聞いたリンは呆れて声が出ず、アキラはやれやれと両手でジェスチャーをする。
そう、刃は歌姫アストラ・ヤオの大ファンである。
読者諸君にも教えよう、刃の「アストラ」への執着の理由を。
刃は)
「悪いが今日は俺ちゃんの回想シーンは店じまいだ!
多分1章後半で明らかになるから、楽しみに待っとけよお前ら!」
「「誰に話しかけているんだ(の)?」」
画面の前の皆に話をかけている刃であるが、第四の壁を知らないアキラとリンには虚空に向けて喋りかけている奇妙な光景にしか見えないだろう。
無論、賃金アップは今後の働き次第という形で一旦お開きとなった。
「おや?
そろそろ昼食にしようか」
壁に掛けてある時計が12時を少し超えていた。
客足が落ち着いてきたこともあり、全員とお昼を取ろうとアキラは言う。
「チョップ大将が新作作ったって言ってたし、お昼はラーメンにしようよ」
ご近所の人気ラーメン屋「錦鯉」の新作を食べようと強く薦めるリン。
「リン、昨日のお昼もラーメンだったじゃないか
今日はまた別のメニューにして、後日行くことにしよう」
二日連続でラーメンは遠慮したかったアキラはリンに別のメニューで昼食を取るように諭す。
「えーじゃあ何にするの?」
「僕もこれから決めようと思っているんだけど、なかなか思い浮かばないよ
刃は何が食べたいかな?」
昼食の案が纏まらず、アキラは刃に問いかける。
そして刃は待ってましたと言わんばかりに2人の方を向く。
「俺ちゃんの脳内サミットの会議の結果は聞いて驚くな
デリバリーや外食ばかりじゃ栄養が偏るから····俺ちゃんが作る☆」
意外な返答に驚くアキラとリン。
「えー!!刃の料理が食べられるならなんでもいいよ!」
「最近面倒だから作らないと言っていたけど、どういう風の吹き回しだい?」
この不審者である刃。
意外にも自炊ができる。
アキラにも言われた通り、最近は面倒で一切料理を作っていなかった。
「くっくっくっ!気づいてしまったか我が友よ!
そう、最近アストラ様のインタビュー記事に料理を作ってくれる人が好きって書かれてたんだよ!!
つまり俺ちゃんが料理極めたら、アストラ様と最っ高にハイな展開になるだろうがよぉ!」
全てはアストラ様の為だと言わんばかりにテンションを爆アゲする刃。
あぁやっぱりと呆れ顔の二人。
しかし、それでも味は文句なしの絶品であるため楽しみにしている。
「とまあ9・5割ほどアストラ様のためではあるが·····残りの0・5はお前達のためでもある」
「僕たちの為?」
割合の差に驚くよりも、自分とリンのためという言葉に疑問に思う。
そして刃は二人に近づくと、それぞれの頬を人差し指で軽く突く。
「最近外食ばっかりでいい肉ばかり溜め込んでるんじゃありませんかねお二人さん?
私はそんな子に育てた覚えはございませんザマス!!」
「「うっ·····」」
刃に指摘された事に、アキラとリンは言葉を詰まらせる。
外食やデリバリー、夜更かしに加えて間食。
運動も最近はあまりしていないためか、二人の体重はそこそこ増えている。
自覚はしているが、どうしてもやめらない。
「俺ちゃんが言えた義理じゃねぇがよ··········
しばらく春の野菜祭りになるけど、Are you ready?」
「「Sir, yes sir!」」
こうして二人の食生活は、刃へと握られた。
「はー美味しかった~」
「ご馳走様、君の料理は本当に絶品だね」
お昼に作ったのは、季節野菜を使ったスパゲッティ。
見事な包丁さばきで野菜を切り刻み、塩胡椒で軽く炒めただけの簡単な調理工程であるが味は美味しい。
食べ残しひとつさえ、さらに残らない程である。
「だっはっはっは!野菜の超パワーを思い知ったかカカロット!!
俺にはあと2回変身を残しているんだからな
最終形態になった時が、お前達の胃袋がさらに喜ぶことになるぞ!」
ビシッと指をさして二人の感謝にテンションが爆上がりする刃。
かなり嬉しいのか3人に増えて勝利のダンスを踊っているようにも見える。
お腹も満腹になり、アキラとリンの調子もばっちりとなった。
「空腹も満たされたことだし、2人とも·····そろそろ
真剣な顔つきになるアキラ。
それに呼応してリンと刃の表情が変わる。
「そうだね、
「んじゃあ俺ちゃんは、
刃はスタッフルームを出て、階段を登って二階にある機器の手入れに行く。
アキラとリンはスタッフルームに残り、仕事の準備をするため機材の電源をつける。
刃がスタッフルームを出て少しした後、出入口の扉が激しい音を立てて開けられた。
「パエトーン!!助けて欲しいの!!」
息を切らしながらピンク髪のツーサイドアップに、パンクなファッションの少女「ニコ・デマラ」が入ってきた。
「あー本当に来たね」
「うん、見事に刃が予想してた通りだね」
アキラとリンは特に焦りも何も無く、本当に刃の言う通りになってしまったと驚きもしなかった。
「緊急事態よ!
アンビーとビリー、そして私の依頼のターゲットが全部ホロウの中に落ちた!!
プロキシの助けが必要なの!一生のお願い!」
やれやれと言った表情でニコを見つめるアキラ。
「君の一生お願いはこれで何回目かな、ニコ?」
「月に3回は聞くかな、ニコの一生のお願い」
痛いところをつかれて顔が引き攣るニコ。
しかし、絶賛ピンチである彼女は二人の指摘を飲み込み、猫撫で声で助けをお願いする。
「ふぅ~相も変わらず騒がしい桃色クローバーちゃんだな」
「ゲッ!サムライソード! あんた何時からいたのよ!!」
ニコが気づかないうちに背後に立っていた刃。
先程のエプロン姿とは違い、全身黒づくめの黒コートに加えて、背には二本の刀を背負ったまさにサムライソードマン。
「お前が扉を開けてから一生のお願いでちゅ~って言うところまで見てたぜ
お笑いだったぜ!お前のゴマすり劇場はよぉ!!」
腹を抱えて大笑いする刃。
「最初から全部じゃない!!
もう!やばい状況じゃなかったらアンタなんかぶっ飛ばしてやるんだからね!!
悪いけどパエトーン、本当に助けが欲しいの!!」
これ以上無駄な時間を取るわけにはいかないニコは、その怒りの矛を収めて改めて協力をお願いする。
「わかったよニコ」
「私達に任せて」
「俺ちゃんのマジでカッコイイ救出劇を見せてやるぜベイビー!」
ニコの協力要請を受諾し、3人は動き始める。
この終末世界の歯車、ようやく動き始めた。
『to be continued』
マジで書いてしまった。
ノリと勢いって怖いですね。
次回はビリー死す!デュエルスタンバイ!