「展開中の友軍部隊より連絡。我、即時展開可能なり」
「よし、こっちも、到着次第展開すると伝えろ」
「了解!」
果てしない樹海と山脈、そして僅かながらの集落の上を、無数のヘリが飛行する。その風貌は、かつて“
「“カズ”、聞きたいことがあるんだが」
「なんだ?ボス」
「アインクラッドとやらは、本当にヘリが入れるのか?写真を見たところ、かなり入りづらそうだったが」
「ああ、資料によると、アインクラッドは全100層で構成されていて、そのうち、第100層以外はさらに上の層が天井を兼ねているらしい」
「一層は、どれくらいの高さなんだ?」
「それぞれの層は、その層の環境なんかにもよるが、基本的には空間が100mほど空いているらしい。だが、天井から20mの範囲には、ヘリを近づけないよう言われたな」
「なぜだ?」
「どうやら、天井から20mの範囲には立ち入れない可能性があるらしい。人ならともかく、ヘリが近づいたら落ちかねん」
「そうか……」
―――――――――――――――――――――
「“
「よし、指揮官と通信を繋げ」
命令を受けたNYCP通信科長は、慣れた手つきでMSFの隊長機と通信を繋ぐ。
「あんたが、第12捜査艦隊の司令官か?」
「ああ、UBI第12捜査艦隊司令官、ジュマ・ムワラだ。そちらは?」
「ああ……“スネーク”と呼んでくれ」
「ああ、噂通りか」
「何か?」
「いや、何も」
ジュマ・ムワラ司令官は笑みを浮かべ、思わず余計なことを喋ってしまうが、慌てて訂正した。スネーク、いや、“
「……それで、そっちの準備は整っているそうだが、どうだ?」
「ああ、今すぐにでも上陸できる。そっちもいけるか?」
「ああ。こちらが先に上陸して、安全を確保する」
「ああ、そういうことで頼む」
―――――――――――――――――――――
「こちらピークォード。降下します」
アインクラッド第1層。湖沼地帯近くの森林の中にあった開けた土地に、何機ものヘリコプターが着陸する。
その中から、ビッグ・ボスとMSFの兵士たちが降りてくる。
「よし、こちらマザーベース。全機、
兵士と、積まれていた装備が降ろされたのを通信経由で確認した
「アルファ2、クリア!」
「アルファ3、クリア」
「アルファ4、クリア!」
アルファ各隊がそれぞれ、後方、左方、右方の安全を確認するが、木と茂みばかりで脅威は見当たらない。
「アルファ1、クリア」
そして、最後にビッグ・ボス率いるアルファ1隊が前方の安全を宣言する。
「よし、マザーベースよりアルファ各隊へ。UBIの飛行車隊が上陸を開始した。全隊は現場を維持しつつ、UBIとの合流を待て」
「わかった……ん?」
ビッグ・ボスがマザーベースに返信したその時、ふと、奥の茂みが動いたような気がした。
「前方警戒」
その言葉で、ビッグ・ボスとMSF兵たちは即座に前方に銃を向ける。
「……ん?」
さらに少し、茂みが不自然に動く。だが、獣にしては動き方が小さい。
「おい、武器を捨てて手を挙げろ」
半ば賭けのようなものではあったが、ビッグ・ボスは一度警告をしてみることにした。
すると、ゴソゴソと茂みが動いた後、両腕を真っ直ぐに上げた人間たちが茂みから出てきた。
「“モルフォ”はアルファ隊の後方に向かえ」
異変に気付いたカズも、ヘリの1機をビッグ・ボスの後ろから攻撃を狙える位置に移動させた。
「所属を名乗れ」
現れた者たちは、色とりどりの服の上に金属製のプレートを身に着けていた。しかし、所属を表す表記が何もなかった。
「ええっとぉ……そのぉ……」
しかし、所属を聞いてみても、答えをなかなか話さない。
「では、民間人か?」
「ええと、多分……そうです」
「よし、わかった……お前たちは、ここの出身か?」
「多分、……違います」
「……では、“日本”という言葉を知っているか?」
「え?……はい」
これで、この者たちの正体はほとんど確定した。おそらくこの者たちは、SAOの作中作としてのSAOのプレイヤーだ。
「……よし、お前たちを、連合緊急保護法に基づいて緊急保護する。拒否権はあるが、拒否するか?」
本当にプレイヤーなら、食事や水分を摂らなくても生きられるはずだ。しかし、今もそうだとは限らない。その上、モンスターに殺害される可能性もある。よって、既にUBI管区司令部は、連合法に基づいた緊急保護令を発動していた。
「……保護というのは?」
「具体的に言うと、一次保護施設への移送と身元確認だ。その後のことは施設のやつに聞いてくれ」
「……帰れますか?」
「…………どうだろうな。連合は最善を尽くすだろうが、いつになるかは……」
「………」
「…………ああ、そうだ。ところでだが、こっちに来てから……いや、その前に。お前たちは何か、ここ数時間で、何か大きな異常を見たり感じたりしたか?」
「……え、……ああ、はい。異常というか、その……」
「今、大きなといったが、小さなことでもいい。何かあったか?」
「ええと、その、……俺たち、多分生き返ったんです」
「生き返った?」
「はい。俺たち、この近くにあるダンジョンで死んだんです。けど、気付いたら森の中で。それで、取り敢えず“始まりの街”に帰ろうとしていたら、あなたたちのヘリコプターを見て……」
「気になって近寄ってきたと?」
「はい」
「そうか……では、アインクラッドの外の景色を見ていたりはしないんだな?」
「はい。この森の中で、リスポーン?したので」
「じゃあ、質問を戻して……お前たちがこの森で目覚めてから、他のプレイヤーは見たか?」
「いえ、俺たちだけです……というか、やっぱりあなたたちはプレイヤーじゃないんですね?」
「ああ、俺たちはプレイヤーじゃない。外から来た人間だ」
「けど、俺たちの知っている外でもない?」
「ある意味でそうだ。そして、ある意味で違う」
「つまり、どういうことですか?」
「俺は地球で生まれたが、お前たちの知っている地球ではないということだ」
「……?」
「そして、さらに言うなら、この世界はゲームでもないし、ましてや遊びでもない。れっきとした現実だ」
「…………ん?ちょっと待ってください。俺たちの知っている地球とは別の地球から来たのなら、なぜアインクラッドを知っているのですか?というか、今の言葉、もしかして……」
「ああ、まあ、それは気にするな。今はどうでもいいことだろう」
「え?」
「……とにかく、お前たちを保護する。いいな?」
「え?……皆は?」
プレイヤーの一団で代表のように振る舞っていた男は、慌てたように後ろに振り向くと、仲間と話し始めた。
「まあ、時間はある。ゆっくり決めてくれ」
ビッグ・ボスも、そう一団に言い残すと、今度は後送用のヘリを呼ぼうとした。しかし……
「スネーク。残念だが、ヘリでの後送はもう少し待ってくれ」
「なぜだ?」
「UBIの連中が、既にかなりの人数を保護しているらしい」
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とある世界のとある場所にて。
「……間違いないんだな?“オセロット”」
「ああ。……すでに、カズからもネイキッドたちが上陸したと連絡があった」
「……だが、私は呼ばれていないのだろう?」
「いや、呼ばれている」
「なに?」
「現地の連合軍司令部から、専門家として動員要請が来ている。断ることもできるが……」
「もちろん。答えは決まっているさ」
「ハハ、そうだと思ったさ。……“ビッグ・ボス”」