「こちらディック。現在、第1層南東部を飛行中。まもなく、“始まりの街”が視認できると思われる。このまま飛行を継続するか?」
「こちらマザーベース。飛行を継続せよ」
「ディック、
――――――――――――――――――――――――
…………何だ?
俺の視界に、黒い世界と、その中を浮かぶ水色のウィンドウだけがある。
《
《はい》《縺?>縺?》
何だ、これ。コンティニュー?そんなことが、できるのか?
俺は、半信半疑で《はい》を押す。その瞬間、俺の視界は真っ白になり、続いて途切れた。
―――――――――――――――――――――
どこだ、ここ?
俺は、ぼんやりとした意識のまま、ゆっくりと周りを見渡した。
…………ここ、始まりの街か?
視界に映っていたのは、始まりの町の、始まりの場所。俺たちがこのゲームに囚われたことを初めて知った、始まりの街の大広場だった。
……俺、本当にコンティニューしたのか?けど、何で俺だけ?
しかし、おそらくそうではないことが、意識を取り戻し始めていた俺にはわかった。大広場のあちらこちらに、プレイヤーが寝そべっているのだ。ベータ版の時のコンティニューはこんなふうではなかったが、そもそもここは普通のゲームではないのだから、ベータ版との差異を考える意味もあるまい。
「よっこらせ」
思い切って、身体を起こしてみた。足だけで身体を支えた瞬間、酷い目眩に襲われる。だが、この程度で動けなくなるほど、俺は柔じゃない。幸いなことに、目眩はすぐに治まり、身体を自由に動かせるようになった。
「どうなっているんだ?」
よく見てみると、プレイヤーどころか、NPCすらも地面に倒れ込んでいる。さらに、BGMとして機能するはずのNPC楽団の演奏も聞こえてこない。
「……んああ?」
「起きたのか!?」
そうして、では大広場から出てみようかと考え始めたちょうどその時、何人かのプレイヤーとNPCが起き上がり始めた。
「ええと、お前は誰だ?」
「俺は“ディアベル”。あなたは?」
「俺は……ん?」
その男は、突然空を見上げると、俺の後ろの空に指を指した。
何かあったのかと、俺も後ろを向こうとしたその瞬間、微かに音が聞こえてきた。聞いたことがあって、そして
「ヘリか?」
「そうっぽいが……SAOに、ヘリなんていないよな?」
「ああ、そういうゲームじゃない。……はずだが」
二人で話している間にも、ヘリのものらしき音は徐々に大きくなっていった。そして、それから十数秒が経った頃、遂に俺の目が、空を悠々と飛ぶヘリコプターを捉えた。
「本当に、ヘリコプターが?」
「おいおい、遂にバグっちまったのかよ」
しかし、俺たちとは関係なしに、ヘリコプターは街の外周部を一周したかと思うと、今度は大きく旋回し、大広場に向かって進み始めた。
「何なんだ?あのヘリは」
「味方だよな!?」
「じゃなきゃ、街には入れないはずだが……」
そんな俺たちの会話を断ち切るかのような声が、突然耳に響いた。どこから聞こえたのかはよく分からなかったが、音源がヘリであろうことは簡単に予想できた。
「こちら、“時空連合”、国境なき軍隊。現在、治安防護法に基づく保安展開を実行中。それに伴い、現在武装している、全ての国家、企業、その他団体及び民間人の自主的な武装解除と申告を強く要請いたします」
「なんだ?時空連合?」
「どうなってるの?」
時空連合を名乗るヘリコプターによる謎の放送の途中で、多くのプレイヤーやNPCたちが意識を取り戻し始めた。しかし、その全員が状況を理解できていなかった。
何なら、NPCたちにいたっては、口をポカンと空に開けたかと思うと、次々と頭を抱えてうずくまり始めた。
「本当に、どうなってやがるんだ?」
「……まあ、多分敵ではないのだろう。彼らが何者なのかはまったく見当が付かないが」
―――――――――――――――――――――
「文化省から、武装調査部隊投入の許可要請が来ています」
「保護調査省からもです」
一方そのころ、捜査艦
「ええい、
「では、文化省には“許可できない”と伝えておきます」
「ああ、頼んだ。……しっかし、さっきからシェレリアの戦闘機も馬鹿みたいに飛んでるしで、煩いことこの上ないわ!」
「いや、そりゃ自国の領空に正体不明の浮島が出てきたら、気が気じゃないでしょうに」
「なら、正々堂々部隊をだな……」
「さて。シェレリア陸軍を“前線”に出したのは、いったいどこの政府なんでしょうねえ?」
「……ああ、分かってる分かってる」
【記録:時空連合文化省】
┣カズヒラ・ミラー
:なあ、スネーク。
┣ネイキッド・スネーク
:なんだ?
┣カズヒラ・ミラー
:文化省について知っているか?
┣ネイキッド・スネーク
:ああ、もちろんだ。
┣ネイキッド・スネーク
:文化省は、各地の文化や建物を調査する組織だろう。
┣カズヒラ・ミラー
:それに加えて、自然環境の保護なんかも担当しているな。
┣ネイキッド・スネーク
:ん?環境保護局は、文化省の所属だったのか?
┣カズヒラ・ミラー
:知らなかったのか?
┣ネイキッド・スネーク
:ああ。
┣カズヒラ・ミラー
:まったく……
┣カズヒラ・ミラー
:文化省は、文化・歴史的建造物・情報・自然環境を保護する組織だ。その上、それを安全に進めるための武装部隊も持っている。
┣ネイキッド・スネーク
:そういえば、最近やたらと植物を見ている兵士を見かけたが……
┣カズヒラ・ミラー
:おそらく、そいつは環境保護局の兵士だな。文化省戦闘部とは少し違う所属だ。
┣ネイキッド・スネーク
:そうなのか?
┣カズヒラ・ミラー
:ああ。
┣カズヒラ・ミラー
:とにかく、戦場じゃあまり会わないかもしれないが、知っておいて損はないぞ。
┣ネイキッド・スネーク
:そうだな。