カメラの前で、二人の天才による息を呑むような「芝居の激突」が終わりを迎えた。
完璧なプロファイリングによって圧倒的なヒロインとして覚醒した黒川あかねと、それに全力で応えた星野アクア。
モニター越しに見守っていたディレクターは震える手で涙を拭い、現場のスタッフたちも「これでこの番組は伝説になる」と確信して深い安堵の息を吐いていた。
カットの声がかかり、アクアは密かに肩の力を抜いた。
(……終わった。完璧だ)
あかねの炎上は完全に鎮火し、彼女自身も最高の形で立ち直った。
これで、すべて解決だ。あかねを守り抜き、そして何より、あの理不尽極まりない父親の「番組乱入による物理的制圧(ハーレム化)」という最悪の未来を回避できた。
アクアは額の汗を拭い、達成感とともにソファーに深く背中を預けた。
「はい、オッケー! 二人とも最高だったよ!」
ディレクターが興奮冷めやらぬ声でスタジオに響かせる。
だが、その直後、彼はインカムを押さえながら「え? マジで? 今から?」と困惑したような声を上げた。
「えー、出演者のみんなにサプライズなお知らせです! なんと急遽、今日からこのシェアハウスに新しい追加メンバーが合流することになりました!」
ピタリ、と。
アクアの心臓が、嫌な音を立てて止まった。
(追加、メンバー……?)
悪寒。背筋を駆け上がる、生物としての絶対的な危機感。
MEMちょたち他の共演者が「えーっ!? 誰誰!?」とはしゃぐ中、シェアハウスの玄関の扉が、勢いよくガチャリと開かれた。
「やぁやぁ!」
野太く、そして底抜けに明るい声が響き渡った。
「今日からここでシェアすることになった、神鬼マヤ、十八歳! 得意な事は、アクロバティック的な何かです! よろしくお願いしまーっす!」
ドタンッ! バタンッ! シュタッ!!
現れた大柄な男は、挨拶代わりとばかりに玄関ホールからリビングに向かって、完璧な連続バク転、高い打点のバク宙、そこからのピタリと静止した倒立、さらに流れるような動作で片足T字バランスをキメてみせた。
シェアハウスの空気が、完全に凍りついた。
筋肉でパツパツにはち切れそうになっている高校生のブレザー。
三十路を超えているはずなのに、異常なまでに整った若々しい顔立ち。
そして何より、世界中の誰もが知る、あの「ハリウッドの伝説」その人が、なぜか学生服を着て片足立ちで微笑んでいるのだ。
「…………は?」
MEMちょが、引き攣った笑顔のまま石化した。
他の共演者たちも、あまりの事態に脳の処理が追いつかず、幽霊でも見たかのように口をパクパクと開閉させている。
スタッフに至っては、伝説のスタアの突然の乱入に誰一人として「カット」をかけることができず、カメラを回し続けることしかできない。
その中で、アクアだけが、絶望のどん底で頭を抱え込んでいた。
(なんで来るんだよぉぉぉぉぉっ!!)
アクアは心の中で血の涙を流しながら絶叫した。
(俺、炎上おさめたじゃん! あかねを完璧に救ったじゃん! すっげぇ良い雰囲気で終わったじゃん! なんで来るんだよ! 俺、めちゃくちゃ頑張ったよ!?)
理不尽。圧倒的理不尽。
マヤは「自分でなんとかできないなら乱入する」と言っていたはずだ。アクアは完璧になんとかした。しかし、マヤの行動原理は常にアクアの斜め上を行く。「アクアが頑張ったから、ご褒美(?)として俺も盛り上げに行ってやるか」くらいの、とんでもなく大雑把な理由で本当に来てしまったのだ。
「えっと……みなさん、どうかしましたか?」
T字バランスを解き、マヤ(自称・十八歳)が爽やかな(しかし覇気が凄まじすぎる)笑顔で共演者たちを見回す。
誰も口を開けない。この番組のジャンルが「恋愛」から「筋肉と伝説」に書き換えられようとしている。
だが、その完全な沈黙を破ったのは、黒川あかねだった。
「あ、よろしくね」
覚醒状態にある天才女優は、微塵も動じていなかった。
彼女はソファーから立ち上がると、完璧なヒロインの微笑みを浮かべたまま、マヤの前に歩み寄り、スッと手を差し出した。
「追加メンバーなんだよね。えっと……マヤ君、でいいのかな?」
マヤ君。
その単語が発せられた瞬間、アクアは(あかねぇぇぇ!?)と目を剥き、MEMちょは(この子、メンタル強すぎない!?)と白目を剥いた。
マヤは一瞬だけ目を丸くしたが、すぐに面白そうに口角を上げた。
「はい、マヤって呼んでください。あかねさんですね? よろしくお願いします」
マヤは、あかねの小さな手を、大きな手で優しく握り返した。
世界的なアクションスターの圧倒的な覇気とオーラを前にしても、あかねは一歩も引かず、堂々と「同世代の共演者」としてのアドリブ芝居を成立させている。
先ほどの騒動でマヤの正体(アクアの父親)に気づき、さらに女優としての殻を完全に破った彼女にとって、これは『最高の共演相手とのエチュード(即興劇)』でしかなかった。
「すごいアクロバットだったね、マヤ君。運動神経、すっごく良さそう」
「ははっ、昔から身体を動かすのだけは得意でしてね」
「ふふっ、頼もしいな。これからよろしくね」
完璧なまでの、ラブコメディの始まりのワンシーン。
年齢差も、オーラの差も、あかねの異常なまでの適応力と演技力がすべて強引にねじ伏せ、「そういうリアリティショー」として成立させてしまっている。
「……お、おい。嘘だろ、あかねちゃん……ガチで受け入れてるのか……?」
アクアはソファーの端で、完全に蚊帳の外に追いやられていた。
先ほどまでバチバチに惹かれ合っていたはずの相方が、乱入してきた自分の父親(十八歳設定)と、恐ろしく自然な空気感で話し始めている。
「あ、あのさぁ……! マ、マヤ君、だよね……?」
ようやく再起動したMEMちょが、引き攣った笑顔で恐る恐る会話にカットインしてきた。
「あはは……すっごい筋肉だねー! なんか、ハリウッドの映画とかに出てきそうっていうか……ってか、ほんとに十八歳!? 貫禄やばくない!?」
「よく老けて見られるんですよ。でも、心はフレッシュな十代です」
爽やかにウインクを決めるマヤ。
その瞬間、MEMちょの顔がボンッと真っ赤に染まった。圧倒的な雄のフェロモンと、伝説のスタアの破壊力。ギャルキャラのYouTuberですら、一瞬で「ただの乙女」にされてしまう。
(……終わった)
アクアは、天井を仰ぎ見た。
自分が徹夜で奔走し、あかねと共に作り上げた感動的なドラマ。それは今、たった一人の規格外の男の乱入によって、跡形もなく粉砕されようとしていた。
「よし、それじゃあ今日からみんな、よろしくな! 飯食うぞ飯!」
マヤが豪快に笑いながら、シェアハウスのリビングの中心にどっかりと座り込む。
あかねが楽しそうにその隣に座り、MEMちょが顔を赤くしながらチラチラとマヤの筋肉を盗み見ている。
番組のジャンルが完全に崩壊し、神鬼マヤを中心とした『圧倒的強者のハーレムリアリティショー』が、今、カメラの前で強制的にスタートしたのだった。
「あかねさん、よろしくな」
あかねの手を離したマヤは、ふと視線を横へと滑らせた。
その赤い瞳がカチリと焦点を合わせたのは、信じられないものを見るような顔で棒立ちになっていた金髪の少女――MEMちょだった。
「……あ」
MEMちょが小さく喉を鳴らした瞬間、マヤは一切の迷いなく大股で間合いを詰めた。
高校生の制服を完璧に着こなし、纏う空気はどこまでもスマートで甘やかな、完璧なるスパダリのイケメンムーブ。
「君、すっごく可愛いね」
「ふぇっ!?」
至近距離から注がれる、世界を熱狂させた男の極上の微笑み。
それだけで致死量の色気だったが、マヤの猛攻は止まらない。彼はスッと長い指を伸ばし、MEMちょの頭についているトレードマークの小さなツノを、優しく指先でなぞった。
「そのヘアバンド、ナイスすぎじゃん。とっても似合ってるよ」
「あ、あぅ……あ、ありがとうございま……!?」
「俺たち、もうカップルでいいね?」
「は、はいぃぃぃっ!?」
爆弾のような言葉が、あまりにも自然に耳元へ落とされる。
MEMちょの脳の回路がバチバチと音を立てて焼き切れた。
そのすぐ後ろで、アクアは胃のあたりを強く押さえながら、血の気の引いた顔で天を仰いでいた。
(……父さん、公共の電波で何くどいてんの……!?)
叫び出したかった。今すぐその襟首を引っ掴んで「あんた妻子持ちの三十代だろ!」と怒鳴り散らしたかった。だが、カメラが回っている以上、それはマヤの正体と家庭の秘密をすべて世間に晒すことを意味する。何も言えない。アクアはただ、ギリッと奥歯を噛み締めてプルプルと震えるしかなかった。
アクアの葛藤などどこ吹く風で、マヤの動きはどこまでも滑らかだった。
彼はすっとMEMちょの細い腰に大きな手を回し、自分の方へと軽く引き寄せた。
「もうなんていうかさ、ビビッときちゃったんだよね。……君も、そうでしょ?」
「ひゃ、ひゃい……っ!」
「惹かれる時なんてさ。腰に手を回して、一瞬ってやつだよ」
耳朶をくすぐる低音の囁き。
ハリウッド仕込みの完璧なエスコートと甘い吐息に、MEMちょは頭から湯気を噴き出しそうなほど真っ赤になり、足の力が抜けてマヤの逞しい胸板に倒れ込みそうになっていた。
「名前、教えてくれる? ……俺はマヤだぜ」
トドメのウィンク。
完全無欠のイケメン転校生による、電光石火の公開ナンパ。
現場のスタッフは興奮で鼻血を出しそうになりながらカメラをパーンさせ、あかねは「すごい……! なんて完璧な空気の支配力……!」と目を輝かせてメモ帳を取り出しそうになっていた。
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*
```
その頃。
都内の一等地、強固な要塞である神鬼邸の広大なリビング。
壁一面を占める八十インチの特大モニターには、『今ガチ』の生配信映像が鮮明に映し出されていた。
「…………」
リビングの巨大なソファで、星野アイの動きがピタリと止まっていた。
手元に持っていたマグカップが、カタカタと小さく震えている。
「……聞いてないんだけど」
室内の気温が、一瞬で絶対零度まで急降下した。
アイの唇から、感情の抜け落ちた声がポツリと零れ落ちる。
画面の中では、夫であるはずの男が、十代の制服を着て、若い女の子の腰を抱き寄せ、「俺たちカップルでいいね?」などと甘い言葉を囁いていた。
「あ、あの……アイちゃん……?」
キッチンで夕食の後片付けをしていたミヤコが、リビングから漂ってくる凄まじい殺気に怯えて顔を出した。
だが、アイは画面から微動だにしない。
「聞いてない。あんなの、ぜーんぜん聞いてないよ、パパ……」
ニコリ、と。
アイの口元が笑みの形に歪んだが、その瞳からは一切の光が消え失せていた。
ドゴォォォンッ!!
突如、地下の防音扉を内側から蹴り破るような凄まじい破壊音が響き渡り、ルビーがリビングへと駆け上がってきた。
「ママッ! 今の見た!?」
息を荒らげるルビーの顔は、驚愕と、そして拭い去れない怒りに満ちていた。
彼女の両の瞳の奥で、星のハイライトが激しく明滅し――次の瞬間、父親から受け継いだ血が沸騰するように、燃え盛るような『深紅』へと発光した。
「パパのやつ……! 私たちを置いて、外で何やってるのよぉぉぉっ!!」
「そうだね、ルビー」
アイはマグカップをローテーブルにコトリと置いた。
その手には、いつの間にか車のキーが握られていた。
「ちょっと、スタジオまでお迎えに行ってこようか」
「うん! 絶対許さないんだから!!」
深紅の光を宿した二つの視線が、テレビ画面の中で格好をつけている赤髪の男へ、同時に突き刺さっていた。
「参ったな。俺の魅力も、あかねさんには通じないか。……お似合いだぜ、お二人さん」
マヤは楽しそうに口角を上げると、両手を軽く上げて降参のポーズを取った。
その言葉を聞いて、アクアは(親父、どこまで本気で遊んでんだよ……)と心の中でツッコミを入れつつ、腕に絡みつくあかねの確かな熱に息を呑んでいた。
先ほどまでの脆い少女ではない。マヤの覇気を真っ向から跳ね返すほどの、圧倒的なヒロインが隣に立っている。
「……ありがとう、あかね。僕も、君から目を離さないよ」
アクアの瞳もまた、静かな熱を帯びる。
二人の間に流れる、嘘偽りのない完璧な空気感。ディレクターがモニターの前で「神回だ……!」とガッツポーズをした、まさにその時だった。
「ところでさ」
マヤがふと、何気ない顔で首を傾げた。
「日本のこういう恋愛番組って、カップルが成立したら、カメラの前でキスとかすんの?」
「…………は?」
アクアの口から、間抜けな声が漏れた。
先ほどまで「アクアくんしか見ていない」と堂々と宣言し、完璧なヒロインのオーラを纏っていたあかねの動きも、ピタリとフリーズした。
「いや、向こう……アメリカとかじゃ、挨拶代わりに頬にキスくらい当たり前にするだろ? 俺もそういう環境が長かったからさ」
マヤは十八歳のイケメン転校生という設定を微塵も崩さないまま、ハリウッド仕込みのフランクな常識を平然と持ち出してきた。
「でも、せっかくカメラの前で『絶対に誰にも渡さない』なんて熱い宣言をしたんだ。挨拶の頬キスどころか、ガチのやつを見せてくれるんだろ? 視聴者もそれを期待してんじゃないの?」
「なっ……!?」
あかねの顔面が、ボッ! と音を立てて茹でダコのように真っ赤に染まった。
先ほどまでの天才女優としての完璧な空間支配はどこへやら。中身はただの生真面目でウブな女子高生である。彼女はアクアの腕にしがみついたまま、ぷるぷると小動物のように震え始めた。
「キ、キキキキ、キス……!? そ、それは、あの……番組の規定というか、お互いの合意が……!」
「お? なんだ、そこはウブなのか? いいねぇ、等身大のリアリティってやつだ」
マヤは面白そうにからかいの笑みを浮かべる。
そのすぐ横で、MEMちょが「マヤ君、ド直球すぎるぅぅ!」と両手で顔を覆いながらも、指の隙間から興味津々で二人の反応を覗き込んでいた。
「(このクソ親父……っ! まさか番組の撮れ高までコントロールしにかかってるのか……!?)」
アクアは内心で毒づきながら、必死に顔の表情筋を引き締めていた。
だが、隣で耳まで真っ赤にして俯いているあかねの体温が直に伝わってきて、どうにも冷静な思考が保てない。前世を含めても、こんな風に真っ直ぐな好意(芝居を含んでいるとはいえ、その根底にある熱量は本物だ)を向けられた経験など皆無に等しいのだ。
「ま、期待してるぜ、お二人さん。俺も特等席で見物させてもらうからよ」
マヤは爽やかにウインクを決めると、シェアハウスの冷蔵庫を勝手に開けてプロテインのボトルを取り出し、豪快に飲み始めた。
完全にこの空間の主導権を握っている。誰もこの自称十八歳の男に逆らうことはできない。
「……アクア、くん……」
「…………あかね」
カメラが容赦なく二人を映し出し続ける中。
アクアとあかねは、互いに顔を真っ赤にしながら、どうやってこの「キスのプレッシャー」という新たな試練(親父の無茶振り)を乗り越えるべきか、脳髄をフル回転させていくのだった。
神鬼マヤの乱入という、予測不能の特異な台風。
だがその結果として、黒川あかねは完璧なヒロインとして覚醒し、アクアとの関係性はこれ以上ないほど強固なものとして世間に放たれることとなった。
「僕は、あかねを大切にしてる」
アクアはあかねの肩を抱き寄せ、マヤの視線を真っ向から受け止めた。
眼鏡の奥の瞳には、逃げも誤魔化しもない、硬質で真っ直ぐな光が宿っていた。
「人前で軽々しくキスなんてできない。ここはアメリカじゃないからね」
きっぱりと言い放ったその声は、静まり返ったリビングの隅々まで、そして回っているカメラのマイクへ明瞭に届いた。
ただ恥ずかしがって逃げたのではない。相手を一人の女性として尊重し、見せ物にはしないという、男としての明確な境界線。先ほど地下室でマヤから叩き込まれた「女を大事にしろ」という教えに対する、アクアなりの実直な答えだった。
腕の中にいるあかねの身体から、ふっと強張りが消えた。
彼女は赤くなった顔をゆっくりと上げ、アクアの横顔を潤んだ瞳で見つめた。
「……ありがとう。大事にしてくれて」
作られた完璧なヒロインの微笑みではない。
十六歳の少女の、心の底から零れ落ちた純粋な感謝の笑みだった。
二人の間に流れる空気は、カメラの存在すら忘れさせるほど自然で、温かい熱を帯びていた。
「ひゃぁぁぁ……! なにそれ、アクアくん最高すぎない!?」
横で見ていたMEMちょが両手を頬に当て、悶絶するように身をよじらせる。
ディレクターもインカムを押さえながら、声にならない叫びを上げて激しく頷いていた。キスという派手な見せ場以上の、誠実で胸を打つ本物のドラマがそこに成立していた。
プロテインのボトルを手にしたマヤは、目を細めてアクアを見下ろした。
そして、赤い瞳を微かに細め、満足そうにニヤリと口角を吊り上げた。
「やるね~」
マヤは短く口笛を鳴らすと、ボトルのキャップをキュッと閉めた。
「安売りしない男か。嫌いじゃないぜ」
豪快に笑いながら、マヤはアクアの肩をバシッと力強く叩いた。
痛みに顔をしかめるアクアを他所に、マヤはくるりと踵を返し、シェアハウスのリビングを大股で横切っていく。
「さて、喉も潤ったし、腹も減ったな! 今日の晩飯の当番は誰だ? 俺も手伝ってやるよ!」
十八歳のイケメン転校生という設定を微塵も崩さぬまま、マヤはあっけらかんとキッチンへ向かっていった。
嵐のような緊張感が去り、リビングには柔らかな夕暮れの光が差し込んでいた。
「……ふぅ」
アクアは深く息を吐き出し、眼鏡の位置を指先で直した。
隣では、あかねがまだ少し熱の残る頬を手で扇ぎながら、アクアの袖をきゅっと小さく握りしめていた。