『原作知識チート』と『異能力チート』で意図せず原作主人公の相棒になってしまう話 作:楓舞星
戦いはまるで台風すらも両足を生やして逃げ出す怒涛の猛撃が続く戦闘。なのに、センは軽やかにステップを踏む。
「クトゥルフ・オメガバスティオン。今の俺には、お前の強さが、正しく理解できる。お前は強い。本当に強い」
「偉そうに、俺を批評するんじゃねぇ! まだ、完全に決まったわけじゃねぇ! 俺の想いは、まだ死んでねぇ!」
「ああ。だから殺してやる。全部、終わらせてやるよ。そして、背負ってやる」
「図に乗るな、へちゃむくれぇえええ!!」
だが、戦闘も長くは続かない。このままではセンが明確に勝つ。それを悟ったオメガは絶死のアリア・ギアスに手を染める。
「こいつを殺したら終わりでいい。だから……開け。俺の全部……っ」
「...綺麗な絶死だ。お前は美しい」
「気色悪い言い方するんじゃねぇ。つぅか不快だ。みっともなく泥臭く無様で惨めってのが俺のアイデンティティ。見栄えだけの言葉で、俺を穢すな」
その絶死で、オメガはセンに猛追し、実力の壁を破壊していく。
だが、センは...
「……俺はヒーローじゃない。それが事実。それが現実」
本当に、ただの事実確認を行なっていくような冷淡さで淡々と述べていく。だが、
「それでもなくさなかった勇気を」
「記憶も数値も全てなくして、しかし、それでも、なくさなかった想いを、すべて集めて、今日も俺は、とびっきりのウソをつくぜ」
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「――(――【【ヒーロー見参】】――)――」
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「ーーー真・究極超神化7。プライマルトランスフォーム『廃する太陰』レベルアウターゴッド/ルナティックレゾナンス。……これが、今の俺に出来る全部」
センはオメガに己の可能性を魅せつける。
成った...な。セン、お前は数値でも、私を超えた。
そうして、私のスペシャルが段々と少しづつ、共振し、共鳴していくのを感じる。
「完全なる共振と共鳴……『オメガ無矛盾のカオス』を超えたのか……」
「……超えられないと……思っていた……さすがに……そこだけは……」
オメガはそう言い、深呼吸をしてから、
「…………認めたくはない……けれど……ほんとうはイヤだけれど……ソレを見せつけられてしまえば……まあ、認めるしかないわなぁ……」
「……たくしたぞ。ーーー『虚空』と『混沌』の処理はお前に任せた」
そう言い、オメガは...
「ーーー龍閃崩拳ーーー」
「げふっ!」
地に沈んだ。
「……守ってくれよ……頼むから……」
「ーーーああ、長かったなぁーーー」
オメガはパンと弾けてなくなった。その、オメガがいた場所には粒子が出ていて、それらはセンの手元で鍵となった。
センは、ボソっと、
「……俺は……」
かみしめるように、
「……頑張った……」
そう言葉を紡いだ。
「おつかれさま」
「...ムラハネか。......お前は、こうなることをぜんぶ予期していたのか?」
「どうだろう?けど、本当に強く成ったねぇ」
「ぶっちゃけ、俺の視点だとお前はニャルとトントンで意味不明な存在なんだがなぁ......強さに関しては、まだまだ発展途上だ。これからも強くなるぜ。俺は」
「存在値は私、抜かれちゃったしなぁ...まあ、すぐに追い抜いてやるけど」
私は心にもないことをいう。だって、常人の私には、ここら辺が限界だろう。
【きっとまだいけるよ。『私』の存在は多分……とてつもないルーツを秘めて……】
私の正体?なんそれ。ただの田中系、転生者1号です。んで、2号が『ボク』。『ボク』はどうやら、図書館で変な知識を身につけたようだ。
【まあ、いつか話すよ】
「それじゃあ、帰還しよっか」
__________
私たちが帰還した先は、どこかおかしな空間だった。さて、これからどうしようか。
まあ、やるだけやってやろう。
天井にある無数のディスプレイには、ゼノリカがウムル・シャドーに蹂躙されている様が映っていた。
私達の目の前にいるのは、一人の男。
名は、
「私はアルテマ・ウムル。命の王を止めるだけに造られた虚な人形」
私は、『究極超神化7。トランスフォーム』をつかい、
センは『真・究極超神化7。プライマルトランスフォーム『廃する太陰』レベルアウターゴッド/ルナティックレゾナンス』を使う。
さて、どうなることやら...
戦闘が始まった。
______
「……300号のボケがぁ……そんな完全死にかけの平熱マンごときに……殺されるなよ……くそが、くそが……くそがぁ……」
センは、死に絶えたオメガと平熱マンをみて。
「……見事だった……」
そう呟いた。
「しかと見せてもらった……お前たちの覚悟……積み重ねてきた努力の結晶……見事だった……」
静かな涙を流しながら、センはボソボソと、想いを口にする。
「お前たちはすごかったよ……本当に……素晴らしかった……俺が、これだけ全力を出しても殺しきれていないアルテマ・ウムルのシャドーを……300体も殺してみせた……本音を言うと……俺の予想では、10体も殺しきれないだろうと思っていた」
「......そうだね。そのぐらいの実力差はあったと思うよ」
「……お前たちは、俺の誇りだ……愛している……」
「はっ!そんなことを言いながら、結局、守れなかったじゃないか!無様だな! センエース! 『あんな状態の平熱マン』に『シャドーを殺された私』も、たいがい無様だが、しかし、ゼノリカの全滅を、指くわえて見ているしかなかった貴様は、それ以上の無能だ!」
「そうだな……お前の言う通りだ……アルテマ・ウムル……」
「アルテマ・ウムル...やるねぇ。流石の私達でも、足止めされちゃうか」
今回は、私はセンに数値で負けていると言っても、そんな、致命的なほどの差はない。数値だけでみたら、センが二人いるようなもんだ。だが、今回私がいて負けた。その理由は決して手を抜いていたからではなく...
普通に、アルテマ・ウムルが原作以上に頑張ったから。そんだけ。
さすが、センエースエンジンが搭載されている体だ。危機的状況に対しての対応は格が違ったと言うべきか。
センは静かに言う。
「お前たちは、ゼノリカを守るために……つまりは、世界を守るために、必死になって、絶望と向き合い続けた。怖かっただろう。苦しかっただろう。そんな重たい痛みと向き合って、折れることなく、最後まで……死ぬまで……闘い続けたお前たちの覚悟に……俺は『俺の命』で寄り添いたい」
「ーーー200億3万年かけて『磨きぬいてきた俺の全部』をくれてやる。……『お行儀のいい反魂術を拒絶する』ってのは、まあ、ほんと、なかなか、すげぇ呪いだが、しかし、『死』も、しょせんは、状態異常の一つ。どんな状況であれ、『完全耐性』はありえねぇ。……アルテマウムル・シャドーに込められた呪いとやらを……俺の全部で圧殺してやる。つまりは……俺の命をゼノリカにささげる」
シューリが叫ぶ。センへ直訴しにいく。
「ふざけるなぁあああああ!ゼノリカなんて、あんなカスみたいな組織のために、あんたが死ぬなんて許さない!!というか、あんたが死んだら、誰が、そこにいる化け物を倒すんだ!言っておくが、あたしたちだけでは勝てないぞ!あたしたちを見殺しにする気かぁ!」
「主上様!それはなりません!」
「セン様!それだけは!」
アダムとミシャも、それに続いた。
「嘘つくなよ、シューリ。今のウムルは、俺とムラハネにボコられて死ぬ直前だ。お前とムラハネが詰めれば削り切れるさ」
「そいつだけの話じゃない! 『そいつの主とやら』はどうするつもりだ! 本物の絶望を超えられるのはあんただけ! あんたが死んだら終わりなの! わかってるでしょ!」
「シャドーとの闘いを見ていて確信した。ゼノリカならやれる。ゼノリカは、俺が思っていたよりも、ずっと大きな組織だった」
そう言いセンは、
「シューリ……お前が率いるゼノリカは、俺みたいな低能が率いるゼノリカよりも、もっと大きくなるだろう。俺がいなくても、お前らが残っていれば、どうにかなる」
「ふざけ――」
叫ぼうとするシューリの口を、センは魔法でふさいだ。アダムとミシャも同様にして、文句をいわさない体制を整える。ただし例外もおり...
「私にはしないんだ?」
「お前は、俺が死ぬことに文句なさそうだからな」
「まあそうだね。ゼノリカは私も大切に思っているし、君のことも大事に思っているけど、君がそうしてしまう人間なのは私にはわかりきっている。だったら、過不足はないさ。いってらっしゃい!セン!」
「......ありがとよ。シューリ達も、愛してる......」
センは一息ついて、
「とんでもなく無能で不出来な『恥ずかしい王』だったが……俺が王であるというのは事実だから……責任ぐらいはとらせてもらう。それだけだ」
「……俺が愛した輝き、すべてを包み込む光ーーーゼノリカよ。最後の命令だ」
「俺の命を喰らい……甦れ」
センがその場から溶けるように、光の粒子となった。
1秒後。光の粒子がなくなったと思えば、また結集し、人の形を成して……
「ぶはぁああっ!」
「あっ、おかえり」