『原作知識チート』と『異能力チート』で意図せず原作主人公の相棒になってしまう話 作:楓舞星
「ふははははは! なぜだ! 信じられん! 数多の制限が解除されている! 神の力も、完璧ではないが、一部は使える! しかも、私以外の神は、この世界に干渉できないようになっているではないか! いったい、どういう事か、さっぱりわからんが、この僥倖、決して逃しはせんぞ!! 食らい尽してやる! 第2~第9アルファまでという制限はあるらしいが、問題ない! 複数の最上位アルファ、その全てを食らい尽くせば! そうすれば、私は……超神になれる!!!」
「テメェ、勝手に俺達が守ってきたこの世界に来て好き勝手言ってんじゃねえよ。ぶち殺すぞこの害虫、ゴキブリ風情が」
センが口を開く。
「なんだ?貴様...存在値1253っ...ふふふふ、ははははっはっは。倭小も倭小!小童が舐めた口を聞きおって!参考までに教えてやろう、この私の存在値を教えてやろうーーー」
私が割り込む。
「8000万だろ?知ってるよ」
存在値8000万。私の存在値は3000なので、余裕で負けてる。さぁ、どうやって勝とうか。
「なんだ貴様...そ、存在値3000だと?なかなかやるではないか。基礎存在値だけで言ったら、私をはるかに超えている...どうだ?私の配下にならないか?」
「バーチャもかっこいいけど、うちのセンの方がカッコいいからやなこった」
そうして、殺し合いが始まった。
私とセンは、長年の試合の果てに、もはや阿吽の呼吸と言ってもいいほどに研ぎ澄まされた連携で、バーチャに攻撃を仕掛ける。だが、向こうは制限がかかっているとはいえ、神である。だったら、こっちも神になるしか方法はない。
私は『タイジするシガナイ運命』である『ボク』に応答をかける。お前の出番だぞ。仕事しろ。
【……え、ボクに丸投げ?】
(そうですけど何かぁぁ!?)
【無茶だぁぁぁ!!!】
__________
私はこの日の為に鍛え上げてきたグリムアーツを使い続ける。
「栄雅!」
「咲紅爛!」
私の全力の右ストレートや、ハイキック、全てを用いてバーチャと拮抗してゆく。
だが、
「たかが現世の一等賞ふぜいが、調子に乗るな!神の世界には、貴様らより弱い者など一人もいないぞ!ははははは!さあ、いつまで頭を上げている!ここは神の御前である。頭が高ぁああい!!」
いや、拮抗は出来ていない。明確に向こうの方が上だ。明確にというか、だって私ら...
「セン...大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。問題ない」
ワールドシンボルにぶち投げられたのだ。それが私とセンなんだよね。これが困ったもんでさー、こりゃあ、どう頑張っても勝てねえっすわ。
私はそう言いながらも、ニヤリと笑ってしまう。
「...なんで笑ってるんだ?」
「念気微笑の型だよ。覚えときな」
「ふざけてる場合じゃないんだが」
「さっきエルシャダった奴が何言ってんだ」
「そんなの知らねえよ。ただの病気だ。で、勝算はあるってことだよな?」
「ないよ。んなもん」
「じゃあなんで笑ってんのかねぇ...」
「セン、お前の可能性に賭けてるんだよ。覚醒してくれたら300円奢ったげる。遊園地に連れてってやるよ」
「大人が300円でいける遊園地とか事故が起こりそうだな...」
私とセンはそう言いながらも、共にワールドシンボルから飛び出て、バーチャに攻撃を仕掛ける。
「セン!この世界には神化という概念がある!」
「なんだよ!急に!」
「その神化にさえ到達できれば、お前はこんな奴程度には絶対負けない!勝つぞ、セン!」
「俺に命令するんじゃない!」
「仲が随分良さそうだな」
「あ、やっぱそう見えます?そうなんすよ。お目が高いですねぇ!!!栄雅!」
私はバーチャに向かってまたもや右ストレートを放つが、それはもう見切られている。
「捉えた!バーチャの運命を!」
私は全力で自身の能力を行使する。その様はさながら異能マンガ出身の如く。
「『タイジするシガナイ運命』!『イクスペクトカムトゥルーエンド』!『セ・ラ・ヴィ因果論』!」
「なんだと、グハッ!デバフを通すだと!?この存在値の差で!?」
「それじゃあないんだよなぁ!本命は!!セン、やっておしまい!!!」
私がそう言いながら見るのは、先ほど投げ飛ばされたセンの姿だ。私は未来視をしながら運命を眺めて、そして、固定した。それだけだが、効果は絶大だ。
「...ああ、今、俺の中で何かが爆裂的に燃え盛っている...これはムラハネ、お前の仕業か?」
「ああ、私がセンの可能性を引っ張って固定した。じゃあ、やっちゃおうか、主役さん」
「......違うな。俺は主役じゃねえ...もっと言うと、今の今まで、嘘を吐き続けた稀代の大嘘つきだ。だけど、だからこそ、叫べる何かを......持って...」
センのそのイかれたオーラにバーチャは慌ててセンに攻撃しようとするが...
「のんのんのん、ここで攻撃するのは良くないと思うなぁ、神・タ・マ?」
私はバーチャの動きを妨害する。
「ま、まずいぃぃぃ!」
「俺は、ヒーローじゃない。それでも叫び続ける勇気を...ぶっ壊れて、歪んで、腐って、それでも無くさなかった全てを...ここまで積み上げてきたモノを全て!最期の最後まで抗ってやる!」
音が聞こえる。それは、世にも珍しい神種の芽吹く音。
「ふふふ、ははははは...やはり、神種が芽吹いたか...随分と珍しい場面に遭遇した......しかし無駄だ。神になった者は、現世では大きな制限を受ける。私以外の全員が...貴様は神になったことで、むしろ...ガハッ!」
センの正しく神速となった拳がバーチャに突き刺さる。
「ば、バカな!な、何故!」
「...ほんとは、ダサェから言いたくねえけどなぁ...しゃーねえから叫んでやるよ!ヒーロー見参!!!」
「何故だ、何故神の力が使える...特別なのは私だけのはずだろう?し、しかし!今の貴様は所詮、なりたての神!まだ私の方が強い!真なる神の力を教えてやろう!」
バーチャも、覚醒間近の様だ。空で戦っている二人を見つめながら、私は『ボク』と会話する。
「どう?『ボク』。なんとかなりそう?」
【普通なら絶対無理だね。でも、『運命のアリア・ギアス』をビンビンに感じてる...これなら...】
「私も、絶死のアリア・ギアスを使おうか?」
【ああ、『私』の目的は確か、主役級になることだったね。それじゃあ、お願いできる?】
「私はまだ、やる気まんまんだからね。それじゃあ、『絶死のアリア・ギアス』よ。5分だけでいい。解放しろ」
私はそうして、神となる。だが、センエースの因子を持たないモノやバーチャの因子を持たないモノは、総じて現世では置物と化す。
だったら、私だって...
『イクスペクトカムトゥルーエンド』と、『ボク』である『タイジするシガナイ運命』、そして『セ・ラ・ヴィ因果論』、『私からアナタへの鎮魂曲です』を用いて...これまで戦闘してきたセンや、バーチャの因子を貰う...そして、『絶死のアリア・ギアス』で底上げされたそれらで...私は、現世でも少し自由になれる。
胸の前で手を合わせる。これが一番しっくりくることを知っているから。
『神化』
存在値10億。
「やあ、お待たせ」
「っ!ムラハネ、まさかお前もこれが使えるようになったのか?」
「まあ、ご覧の通りの姿だけどね」
私は、絶死により発動した、赤よりも紅いオーラを見せつける。
「何故だ!何故こんなにも神の力を使える奴が出てくるというのだ!そこは、私だけの特等席なはずだろぉ!!!」
バーチャはその様子を見て、嘆きをあげる。まあ、ここから先がある事を私は知っているから、驚きしないんだけどね。
そうして、バーチャは成った。超神。存在値800億。
「ひゃっはぁあああああ!!!!!」
「ヤバいね」
「ヤバいか?」
「激ヤバだよ」
「見ろ!センエース!ムラハネ!貴様らのおかげでとうとう成れたぞ!夢にまで見た神の果て!私こそが真なる神!神を超えた神!」
バーチャは己に陶酔しきっているようだった。
「俺はヤバいとは思わねえよ。この程度、日常茶飯事。そうだろう?」
「私も、知識上の慣れって奴かな?正直なところ余裕で欠伸かませちゃうね。たかが100倍ぐらいの差だろ?超えてやるよ」
「よし!後はお前に全部任せた!俺は寝る!」
「ふはははは!!!私にまだ勝てると思っているのかぁ?」
「最低でも、もう100倍は強く成って帰ってきな。100万倍にして返してやるよ」
「私の、実力を、か?」
そうして、戦闘は始まった。
センと私はまたもや連携を取りながら戦う。
「龍牙雷槍ランク29!」
「火炎龍ランク70!」
私の数値は普通に強大だ。そして、今の舞台は空をピュンピュン舞う大舞台。
私は未来視を持ってして、バーチャの動きを捌き切り、センがその間に削ってゆく。
「な、なんなんだお前らの、そのパワーは!!!」
「仲良しこよしパワーです⭐︎」
「んな訳ないだろぼけぇ!!俺はなあ、唾を吐きかけられても構わねえが、そういうのだけは大っ嫌いなんだよぉ!!」
「なんなんだあぁぁぁ!!!」
バーチャは成ったというのに、何から何まで私たちに翻弄されっぱなしである。
だがーーー
(未来視が外れた!マズイ!)
見えていたのは、私を攻撃するバーチャの姿。だが実際は、センを攻撃する。
「セン!危ない!!」
「くっ!」
「ふはははは!とうとう当てたぞ。お終いだぁぁ!!!」
私は私より数値の低いセンの身代わりとなり、バーチャの攻撃からセンを庇う。
「ムラハネっ!!!」
「私は大丈夫っ!」
「大丈夫じゃあ、ないだろうこのクソアマぁぁ!!!」
地面に投げ飛ばされた私はバーチャの引き起こした重力によって押しつぶされそうになるが、本格的に始動する前にセンが出てくる。
「油断してんじゃねえ!!」
「くっ!目障りなだけの害虫がぁ!!!」
「最初にゴキブリって言ったの、俺だよねぇ!!!!」
上では完全にパッションバトルが繰り広げられていた。私の時間も、あと少しだ。
「セン!!!後は任せた!!!」
(『ボク』も、もういいかい?)
【まあね。死んでも、特に不満はない。けど、アイツだけはやっちゃおう!】
(おっす!)
私は全力でバーチャにしがみつく。
「な、なんだ貴様ぁ!!!」
そうして、私はバーチャの背からセンに言った。
「センさん、死なないで...」
私は自身の能力を全て用いり、全力の自爆攻撃を行った。
_________
「ふ、ふぅ、驚かせやがって、あの女...」
バーチャはまだ余裕のある表情でそう言った。そうだろう。実際、この自爆を含めてもバーチャの体力は半分をギリ上回っている。
後は、センエースのみなのだ。
「あの女は死んだ!カケラも残っていない!どうだ?神に願いを乞うてみるか?」
バーチャは笑う。
それに対し、センは、
「...ははは、あいつ、最後まであんな調子で逝きやがった...」
「なんだ?」
「いや、お前にはわからねえか。まあとにかく、別に俺はアイツが死んだ所で正直なんとも思わねえよ」
センからしてみたら、ムラハネの存在は異端であった。方向性は違えど、自分と同じくらい臆病な所を見せる時もあれば、一貫して勇気を見せる時もあった。
そういう、なんというか、同族嫌悪の様なものをセンはムラハネに感じていた。
でも、という訳ではないのだけれど...
「俺と『わりと仲が良い』っていう長所だけはあったぜ」
アイツは言っていた。
『ヒーロー見参ってカッコよくね?』
『...そうか?』
だから、言ってやるよ。特別に。共に逝ってやるよ、格別に。
そして、紡ぐ。
「宣言!コスモゾーンよ!あんたに俺の全部をくれてやる!俺はまだまだ生きたりねぇ!バーチャを見て、その高みに憧れた!あの領域に生きたいと、心から思う!」
「そんな思いも、全部、全部、全部をくれてやる!だから俺を、本物にしてくれぇ!!!
『ヒーロー見参』!!!!」
「異次元砲!!!!!」
センの放った異次元砲はバーチャを跡形もなく消滅させる。
「ぎゃあああああ!!!あ、あり得ないだろぉぉぉ!!!そんな!!!そんな火力ぅぅ!!!」
残ったのは、灰と化したセン。
そうして、センは自らの命と引き換えに、バーチャを討伐したのだった。