『原作知識チート』と『異能力チート』で意図せず原作主人公の相棒になってしまう話 作:楓舞星
「遊びは無しだ。最初からフルスロットルで行くぞ! ――オメガ・トランスフォーム! モード・アウターゴッド/レベル1000!」
オメガの掛け声に、ルナは全力で応じる。私も、完全形態になったことで使えるようになったトランスフォームを実行する。
「トランスフォーム!!!なんか、私だけ詠唱が短えなぁ!」
「んなこと言うな!俺なんてすっぴんだぞ!」
「魔皇ドライブ起動。両腕リミッター、解除。カオスインフィニッター接続、ホロウユニバース‐システム発動。ナイトメア・ユニット、オープン。我が身を守れ、マキシマイズ・ドリームオーラ」
順調にオメガが積んでいっているのを見て、私は妨害しようと阻む。
「ーーーセンエース。覚悟の質量だけで言えば、お前が最強だ。しかし、勝敗は別だぞ。俺の全部を賭せば、お前を殺すことも不可能じゃない」
「俺に用件があるんだろ? だったら、殺すのはマズいんじゃないか?」
「何度も言わせるな。俺に殺されるようなカスに用はねぇーーーいくぞ、センエース。殺してやる」
オメガはセンに向かうが、私と先に衝突する。
「栄雅!」
「閃拳!」
私の右ストレートとオメガの閃拳が宙に色を塗る。ヤバい!コイツの閃拳、マジでセンと同じぐらい重い!だが、私も伊達にこのグリムアーツを鍛えちゃいない!
「こっちが本場の閃拳だぁ!!」
横からセンがガチンコの閃拳を放つ。
横腹を殴られたオメガは地上に埋もれる。
「「異次元砲!!」」
私たちは同時に異次元砲を放ち、奔流が共に舞う。
当たれば、かなりのダメージを負わせられるだろう。が、しかし、
「オメガバスティオン」
そのオメガの行動は、まさしく、奇跡を起こす技。
私も、ワンちゃん失敗しないかなぁとか、センが合わせようと多分内心言ってたからだとか言い訳つけて放ったが、普通に成功させてきやがった。
「なんだその技...異次元砲を...消した?」
オメガはセンに答えるように言う。
「当たったらウザそうだったから消した」
「オメガに異次元砲はガチで効かない。了解マスター」
オメガバスティオンとか言うガチチートやめてね。
「消したのは見たら分かる。どうやったかを聞いている」
「知らん。昔から、なんかできた」
「……」
「……『何億年単位で毎日、ずっと壁にぶつかり続けると、いつか、壁を抜けることもなくはない』みたいな話を聞いたことがないか?」
「トンネル効果だろ……それが?」
「つまりは、それだ」
「はぁ?」
「そんな露骨なハテナ顔をされても、俺にはもう、これ以上の説明は出来ない。ちなみに、さっきのは、あくまでも例であって、オメガバスティオンの正式な説明ってワケじゃねぇ。ぶっちゃけた話、マジで、俺もよくわかんねぇんだよ」
そう言いながら、
オメガは、自分の両手を見つめて、
「サッパリわかんねぇ……が、けれど、間違いなく、これが、俺の『可能性』。俺が背負ってきたものは、お前のソレと比べれば、きっと、ちっぽけで安っぽい。けれど……」
オメガは見つめる。自身のちっぽけな両手を、それでも、ギュと握りしめて、
「……絶対に譲れないもの……必死になって守ってきたもの……」
オーラが底上げされていく。質量が増していく。
「俺の『可能性』を超えろ、センエース。出来ないならーーー『託さない』ーーー」
「……」
無言のまま、
センは、ゆっくりと、
「すぅ……はぁ……」
呼吸を整えていく。魂が均一化されていく。心電図が冷静になる。
まっすぐに、まっすぐに、ブレないよう注意しながら、前を見る。
オメガを見る。
「……『託されたい』なんて思ったことは一度もないし、今だって、一ミリたりとも思っちゃいないが……」
そう前を置いてから、丁寧な一拍を置いて、
「……まあ、でも……」
そうつぶやくと、結論を述べるよりもはやく、自分の核に気合を入れる。
グンと深く、
シンと穏やかに、
「――『究極超神化6』――」
「それじゃあ私も、『究極超神化6』」
私も場のノリで『究極超神化6』を持ちいる。
「大きいな......しかし、究極超神化6か……なぜ、究極超神化7を使わない?」
「今のところ、その必要性を感じない」
「ふぅん……あ、そう」
オメガはつまんなそうにそう言うと、自身の可能性を私たちに見せつける。
「ーーールナティック・オメガ・トランスフォーム、モード-『センエース』ーーー」
完全に、『成った』オメガは言う。
「これが、お前の『可能性』をモチーフにした究極のトランスフォーム。モード-センエース。俺の切り札。ーーー今の俺が、間違いなく、俺史上最強」
「お前は、俺をバカにしたいのか、それとも、持ちあげたいのか。どっちなんだ?」
「その質問は重要か?」
「いや、スルーでいい」
「ならば、俺の質問に答えろ。ーーーこれならば、究極超神化7を使う必要性を感じるか?」
「……」
センは、ゆったりと、武を構えてから、
「軽くやってみてから、判断させてもらう」
「……ウザい野郎だ」
私も、場のノリとか言ったが、普通にこの会話が聞きたかったからやってるだけである。まあ、いかに究極超神化6がコスト重いって言っても、7よりは小さいから温存目的っていうのはあるんだけどね。
あ、そうだ。この先の戦いに私ってかなり不要なんだよね。原作の現場を見たいからって、主張しすぎたらそれはそれで原作が壊れてしまう。
私はそう思い、究極超神化6を解除する。
「ムラハネ?」
センの疑問の声に対して、私は手っ取り早い方法を『原作知識』とこれまでの経験からひっぱりだす。
「なんか、お前がアイツとは俺だけで戦ってやるんだって思ってそうな顔してる。任せたよ。主人公」
「......ありがとよ」
「中々気が利くことをしてくれるじゃないか、イレギュラー」
「どういたしましてー」
そうして、二人の戦いが始まった。
二人は言い合い、言い会って、言い遭う。
二人の罵詈雑言がこちらにまで届いてくる。
「オメガ、お前はストーカーっぽい顔をしている」
「センエース、お前はシリアルサイコっぽい顔をしている」
「オメガ、お前、根本的な視野が狭いだろ」
「センエース、お前、普通に頭悪いだろ」
「オメガ、お前、実はビビってるな」
「センエース、お前、童貞だな」
「……」
「……」
ここ、好きな場面なんだよねぇ...
私が感慨深そうに見ていると、オメガが覚醒する。
「ーーーコズミック・トランスフォーム、モード-月光の龍神オメガバスティオンーーー」
「くっ!!!」
センすらも、その大きさについ一瞬、慄いてしまうほどの覇気。
「虹気か……えげつないほど輝きが濃いな。コレまでに見てきた虹気とは、明らかに質が違う。オーラに補正をかけているだけではなく、命にも補正がかかっているように見える。まさに、月とスッポン」
「その表現を俺は好まない。月が美しいのは事実だが……『醜い相貌で生まれ、泥の中を這いずり回りながら、それでも懸命に生きている命』が、『月よりも明確に劣っている』とは考えたくない」
「小うるせぇ野郎だ……まあ、別に、その意見を否定する気はないが」
そう言い、両者は殴り合い、蹴飛ばしあい、殺し合う。
センが使う。最終形態を。
『究極超神化7』
そうやって、センもオメガと同じ土俵に立とうと必死になって喰らいつく。
「さほど時間は経っていないはずなのに、P型センキーに殺されかけた時よりも、はるかに強くなっているな。今のお前なら、ルナがなくとも、『イタズラな領域外の牢獄』をブチ破るくらいのことはできそうだ」
「……どうだろうな。そうなりたいと思いながら訓練を積んできたが」
「たった数日で……過剰なほど強くなるな、お前は」
「この世界にきてから遊んでいたワケじゃないし、そもそも、事前に積んできた下地がシッカリとしているからな」
なんの自慢にもならないが、私の存在値は現在のセンを普通に上回っている。と言うか、数値だけにこだわるのなら私がセンに負けた事は、バーチャ戦の、神化したあの一瞬しかない。
それでも、私はセンに勝てるとは思えない。当然である。だって、センは、『俺より強い程度の雑魚に、俺は負けない』のだから。
私もそう思っている。センを相手にする時、特にきっと、純センを相手にする時は、戦う前から、勝負は決まっているのだ。勿論、数多くの戦いでなんとか運良くジャンケンが上手くいき勝った事とかはある。けど、そんなのはなんの指標にならないほど、センは美しく、尊いのだ。
__________
「強さの理由...?」
「かわいい女子の前で、とことんカッコつけられる度胸があるからだよ」
「それだけで、いいだろ?」
「ああ、充分だ」
なんともフワフワした会話だが、やっている事は非常に凶暴である。
だが、この勝負にも良い加減決着がつきそうだ。
「俺だって、必死になって磨いてきた。だから、『通じない』とは思わない……が、決定打が足りない。お前の強さに……俺は一歩、たりていない...だが、俺も、体力と根性には自信がある。ここから、本気で粘れば……そうだな……100年くらいは生き延びることが出来るだろう。少なくとも、簡単にやられはしない」
オメガはそう言いながら、『反則』を使おうとする。
センは、ギラつく目で、
「おっと。まっすぐの殴り合いなら、正面から受け止めてやらないでもないが、無粋なチートを使うつもりだってんなら、容赦なく、徹底して、叩き潰す。それが出来る程度には鍛えてきたつもりだ」
オメガの一挙手一投足を監視する。だが、オメガはそれを気にしないように言う。
「お前は対策すると思っていたよ。だからな、お前が対策できない形で敷かせてもらった。万全の態勢を。決して抗えない絶望を」
「……それは、どういうーーー」
「ーーー至極単純な話。お前が『ここにくるよりも前の段階』で『カウンタータイプの禁止魔カード』を伏せておいた」
「……」
「発動条件が、かなり難しい類の禁止魔カードだったから、うまく決められるか、少し不安だったが……杞憂だった。現状、問題なく発動させることができる。ちなみに『今から止める』のは不可能だ。複雑な手順は一切必要ないからな。お前から、一切、注意をそらすことなく発動させられる」
「戦闘前から伏せておける禁止魔カード……さすがに、それは、酷すぎるだろ……どうあがいても、対処できねぇじゃねぇか」
「世の中、そう言うものだ」
「真理だっちゃな...」
「その前に、俺が伏せておいた『禁止魔カード』の名前を聞いてくれよ」
「……どうでもいいよ、チートの名前なんか」
「それを聞いてくれたら、発動条件と効果を教えてやる」
「……お前が伏せた禁止魔カードの名前は?」
「聞き方がなっていないな」
「よろしく、お願いしまぁぁぁす!!」
「そんなに知りたいなら教えてやろう」
「うっざ」
「俺が伏せておいた禁止魔カードの名前は、ーーー『セレナーデ』ーーー」
「発動条件は、センエースがクトゥルフ・オメガバスティオンを超える事。効果は、センエースの存在値を『1』にすることだ」
「なっ!」
センの神化が解けた。
「無敵宣言をかませるのが、お前ひとりだけだと、いつから錯覚していた? 俺だって、かつては『世界の主人公』を張ったことがある身。死ぬほど前提を積みまくれば、似たようなことを叫べる。というわけで、耳をかっぽじれ」
「俺より強い程度の雑魚に、俺は負けない」
「おいおいおい、ちょっとまて……マジで存在値がガタ落ちしているじゃないか……ウソだろ、おい」
センはどうしようもなく動揺していた。だが...
「...はぁ...出来れば、コイツのカタは俺がつけたかったんだけどな...」
そうセンは言い、
「ムラハネ!おめえの出番だ」
「ほいさぁ!!」
私は飛び出す。オメガも私の方に身体を傾ける。
「さて、では始めるか。正直に言おう。お前程度の強者が相手なら......本当に、私は、『俺より強い程度の雑魚に、俺は負けない』」
「ふーん、そう。それは戦ってみてからのお楽しみ」
『究極超神化7』
...さぁ、盛り上げていこうか!!
【ああ!ここでセンが負ける『運命』をビンビンに感じる!これならボクたちは、更に遠くに飛べる!】
そうして、私とオメガは衝突する。量子加速器に入れるよりも速く、精密に、緻密に、精細に、私たちは舞う。