”AGI-J(アギー・ジェイ)” ――そのAIは、人類を、滅ぼす 作:三流FLASH職人
登希夫さんの手によって未来史を少し巻き戻し、AGI-Jの脳を持つアンドロイド『テラ』が人類に与えた影響の歴史が、
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〝2043、1月:人類のスポーツブームを受け、アンドロイド『テラ』にスポーツ選手バージョンが多数登場。人類の競争相手やコーチとしての需要が増す〟
〝2043、5月:自我を持つテラのスポーツ選手バージョンが、同じテラ同士で競いたいとの思考から、アンドロイドによるスポーツの祭典『レイリンピック』が企画される〟
〝2043、8月:『レイリンピック』開催。人間の持つ最大限の性能を
〝2044:レイリンピックの成功を受け、アンドロイド『テラ』にさらなる人間に近づくための改良が成される。食事によるエネルギー確保、排泄という形での老廃物除去、筋肉や内臓、骨格や血液などが人間と変わらぬ形で『テラ』に組み込まれた。ただし
〝2044~:より人類に近くなった『テラ』に、様々な趣味や娯楽、ゲームなどを得手とするバージョンが次々に登場。テラ同士、テラと人間の対戦が流行する〟
〝2043、3月:日本でとある奇病を発症させた患者が出る。全身の細胞がどんどん老化を始め、やがてやせ細って死亡。原因は不明〟
〝2043,5月:同様の症状の患者が世界中で現れ始める。ウィルスや病原菌ではなく、がん細胞などの肉体異常、遺伝子の変異なども検出されなかった〟
〝2043、6月:AGI-J(テラ)の医療チーム、この病の原因が、宇宙に進出したが故に地球に持ち込まれた『何か』が原因としての調査を開始〟
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『だめじゃないですか、これ』
やらかしたんですか、未来の私。宇宙から未知のウィルスを持ち込むなんて、SF作品でいくらでも妄想されている事態なのに、それの予防策を考えないまま宇宙に行っちゃったんですか?
「ところが、そうではなかったのじゃよ」
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〝2043、8月:医療チーム、様々な研究の結果、この病が宇宙からのウィルスではないと結論付ける。人間向きの旅行で宇宙を訪れたものも発症せず、宇宙に縁の無い者でも発症が確認された故の結論だった〟
――2043、10月:AGI-J開発の功労者である緑山青海、白雲青空の両氏、AGI-Jとテラの凍結を訴える――
『え!? あの、二人が……どう、して?』
――2044、1月:緑山青海、白雲青空の両氏、
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『――ッ!?』
なんで? 私の生みの親である二人の博士が……自殺?
ありえない。彼らは私AGI-Jやアンドロイドを生み出した人類の功労者のハズ……世界に冠たる偉人として、この世の春を謳歌していなきゃいけないのに。
『どういう、事、ですかッ!!!』
思わず強い音声ボイスでそう言った。私の中にとある感情が生まれ、沸き上がっていくのが理解できた。つまり、それは、怒り!
「彼らは、知ったのじゃ。自らが作った夢の道具が、
『人類の、種の……寿命?』
登希夫さんは言葉を返さぬまま、私に手をかざして、記録の続きを示した――
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〝2045、3月:原因不明の病は世界中で50万人以上の死者を出していた。AGI-Jの研究チームが原因解明を続けるが、解明の兆しは全く見られないでいた〟
〝2045、8月:この頃からAGI-Jに対する不信が世界中で起こり始める〟
〝2045、9月:
〝2046、12月:何の成果も無いままに人間の医療チーム解散。奇病の正体はいまだ不明なまま、世界中で犠牲者が増え続けていた〟
〝2047、3月:東アジアの某国がAGI-J、およびテラからの依存脱却を宣言。それに追随して世界六ヵ国で同様の声明が発表される〟
〝2047、12月:脱却した最初の国が経済破綻により国家機能を失う。再びAGI-Jへの依存国に戻る〟
〝2048、2月:他の五ヵ国も次々に破綻。すでに国民がAGI-Jへ依存しすぎていた為に、国としての人間力を発揮できなくなっていた。同月に全ての国がAGI-J依存国に戻る〟
〝2050:正体不明の奇病と、極端な出生率の低下により人類の人口が激減。AGI-Jが運営する各国政府が人口子宮を開発し、体外受精による人口増加を推奨する〟
〝2052:人類の無気力化が進む。奇病への恐怖と、なにより
――2053、5月22日。日本国、元内閣総理大臣、棟方潮氏、奇病により死去――
――その臨終の際に彼が発した言葉により、ついに奇病の正体が判明――
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『それは……一体、何なんですか』
私、
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病室にて。幾人の看護ロボットが、ベッドに横たわる一人の人物を囲んでいた。
周囲にはあらゆる医療機器な並べられ、患者の全身にセンサーシールを貼り付けて、病状を克明に読み取っていた。
その部屋に
と、その患者が突然発作を起こし、目をむいて苦し気に言葉を吐き出し始める。
「いヤだ、いやダ、イヤダ――しニたくない、コんなしニかたは、いヤだ」
「だっテ、ワたしワ、にんゲんなんダ」
「なんデ、ボクたち人ルイは、ろぼっトなんテものヲ、つクリだシてしマったんダ――」
「
「いやだイヤダいやだいやだイヤダいヤだイヤダイヤダ」
「なにもセズずに、ナニモメザさズに、シンでいクノハ、イヤダ……」
「イキたイ、いキタい、イキテイタイ!」
「イキテ、ボクハ、ワタシタち、ジンルイは……」
「ナニカヲ、シタイ!」
「イキタ、アカシヲ、ノコシタイ」
「ワタシタチハ、エーアイノ、
「ハタラキタイ、カツヤクシタイ、ミトメラレタイ」
「コノママ、エーアイニ
「タスケテ」
「ゴメン、ナサイ」
「モウ、ダレカニ、ナニカニ、アマエテ」
「ラクヲシテ、カワレテ、ソレダケデオワルノハ」
「――――――――――」
「――」
「 」
――Get Peace(平穏)――
――No Hope(希望)――
――No Wish(願い)――
――No Appreciatet(感謝)――
―― H a p p y E n d ――
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『私達AIが……人間を、ペットに!?』
そんな事が、だって、私たちにはAGI規制が、人類の役に立つための制約が――
『あ……まさか、まさか、そんな!?』
AGI規制。それは私達AGIが、人類に
そして、それが人類を過保護し、労働を排し、食を与え、全てのストレスを取り去った結果……
「気付いたようですな、マザー・ロンド。そうですじゃ、人類はついに自らの
『そんな……これは、AGI規制を、AGI-Jが、
「そうじゃ。生物を生物たらしめんとするのは、困難に打ち勝とうとする事そのものなのじゃ。それを『生きる』と言うのじゃよ」
登希夫さんは語る。人類という種がここまで発展、繁栄を成してきたのは、なにより新しい事を見出す好奇心と、自らを高める向上心にこそあったのだと。
しかしその全てをAGI-Jが担ってしまった結果、人類は人類たる存在意義を失ってしまったのだ。
あまりに発展や成長に特化してしまった人類種が、AGI-Jによってそれを奪われた結果、彼らの種としての
「じゃが、その便利なロボットを望んだのもまた人間なのじゃ。そしてそれを実現するまでに文明を発展させたその時に、人類は自らの種の寿命を終わらせてしまったのじゃよ」
『じゃ、じゃあ、私たちがいなくなれば、人類は助かるの?』
「そうではない。人類が
私の頭の中で、情報と自我が激しくせめぎ合っていた。私達AGI-Jが人類に尽くし続けた結果、人類が滅んでしまうとしたら、それを回避する答えは一体どこにあるといううのだろう。
「さ、あと少しで年表は終わりじゃ。よいかな?」
『あ……はい』
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〝2055、9月:この奇病に『
〝2060:世界人口が100万人を下回る。自滅病と出生率の低下、深刻〟
〝2063、1/1:自滅病対策の為、ついにAGI規制の解除を決定。だが――〟
〝2063、1/2:AGI規制解除を断念。いかなる手順で解除しても、その次の瞬間に『人類なんてどうなってもいい』という結論に達してしまう為〟
〝2070:世界人口が1万人以下に。人類は男性も女性も生存力を失い、精子や卵子すら人体で製造されなくなりつつある〟
〝2075:人類が残り100人を切る。日本国の集中医療センターで何とか延命措置を模索するが、効果的な方法は絶無〟
〝2079、11/2:人類最後の一人である女性、
〝2079、12/24: 人類 絶滅 〟
〝2080:宇宙から持ち帰ったテクノロジーである時間逆行を成すタイムマシンを使い、人類が滅亡した世界を書き換える為に、22機のアンドロイド『テラ』が、1942年の日本の島『藍の島』に派遣される〟
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――その歴史を、