”AGI-J(アギー・ジェイ)” ――そのAIは、人類を、滅ぼす 作:三流FLASH職人
第三十二話 さぁ、未来を変えようよ
2041年、春。
「じゃあ、行ってきます。お父さんお母さん」
私、白雲明日《はくうんあした》は中学校を卒業した記念に、今日から3泊4日の予定で、お姉ちゃん分である
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
「島のみんなにもよろしくな」
父、
私の両親二人は自我を持つAI〝
そして、そのロンドが世に出てから、世界は急激に変化していった――
ロンドの初期改良型バージョン〝赤木ふたば〟をベースとして完成された超高性能の新アンドロイド〝テラ〟の登場により、いよいよアンドロイドとその頭脳のAGI-Jが
日本の内閣総理大臣に就任した棟方潮氏が唱えた「一人に一台テラを」の法律もそれを後押しし、今や日本はおろか世界中が経済、生産、医療、研究開発、単純労働に至るまでテラが請け負うようになり、人類はその恩恵を受けて、
加えてそのテラ達の働きはすさまじいものだった。人類の脳を遥かに上回るAGI-Jの情報処理能力に加え、新しい発想を自ら生み出すAGI特有の優秀さは、あらゆるジャンルにおいて人間の出る幕をほぼ無くし、歴史上に無かった急激な社会進化を成し遂げ続けていた。
テラが働き、社会を回す。そして人類はその恩恵を搾取する。
一昔前なら、そのテラが人類に反乱を起こす、なんていう発想もあっただろう。でもテラの頭脳のAGI-Jには「人類に害を及ぼさない」という強烈なAGI規制がかけられているだけでなく、自我のあるテラがそれをよく理解し自己納得していることにより、それは昔の創作の世界だけの話になっていた。
こうして、人類はテラによって、安寧と怠惰への未来を進んで行っているのである。
――――――――――――――――――――――――――――――
「明日、なにさっきからず~~っとブツブツ言ってんの?」
「え、あ! あはは……声に出てた? ちょっと社会の勉強で聞いたことを、ね」
徳島に到着し、藍の島行きの船に乗った所でコロン姉にそう突っ込まれた……うわー恥ずかしい。なんか誰かに解説入れてるみたいじゃない、これじゃあ(笑)。
ちなみにこの旅行、父さん母さんには秘密の事がある。この藍の島で私達二人は、とある人物に会って、
コロン姉は私と一つ違う所がある。それは父さんや母さんに聞かれたことに対してウソがつけないって事だ。そしてそれは
だから私の卒業旅行にこの計画をひそかに実行してもらったんだ。私達の目的、それは……
人類を、滅亡から、救う事。
――――――――――――――――――――――――――――――
やがて船が藍の島の船着き場に到着する。下船した私たちを出迎えたのは、それこそ私のような子供じゃ相手にもされないような大人物たち。
元、内閣総理大臣、棟方潮氏。
塚亜エレクトロニクスの
佐那研究所名誉顧問、
東京、AIみらい記念博物館での任期を終え、メンテナンス中であるはずの最初のアンドロイド、
アメリカ航空宇宙局(NASA)を基盤として発足された世界合同宇宙開発研『World Space Research Institute』通称『WSRI』のスポークスマン、ダイスケ・フジオカこと大介兄ちゃん。
塚亜エレクトロニクスに就職後、その才能と出自も利用してCEOの秘書にまでなっているさや姉こと宮本さやか。
その二人と同じく、人類滅亡を変える為に未来からやって来たアンドロイド〝テラ〟であるコロン姉。
最後に、定められた未来で、滅亡する人類の最後の一人になるはずの私、
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
事実を知る者、知らない者。未来を知る者、知らぬ者。
そして、人間と人間以外のロボット。AGI-Jを頭脳に持つ、ロンドやテラたち。
――さぁ、ここから始まるんだ。人類滅亡を阻止するための、私たちの戦いが――