オレンジアカデミーで行われていた、新入生代表同士のバトル。そのバトルに、ひとりの女の子が勝利した。その子は手持ちポケモンを抱きしめ、そして無邪気に笑った。
___その笑顔に、俺は恋をした。
「よし、エクスレッグ。準備はいいか?」
「キシャ!」
相棒のエクスレッグとともに、俺は改めてリュックの準備確認をする。キズぐすり系よし、状態異常回復系よし、きのみよし、戦闘用の道具よし、それから……
「キシャー!!」
「な、なんだよエクスレッグ!!仕方ないだろ、どれだけ準備しても不安なもんは不安なんだよ!」
「シャー……」
「それにしたって長い?いやまあ、確かにもう5回以上はこのくだりやったな……でもな、もう宝探しが1週間後に迫ってるんだ。不備があったら困るだろ!」
「キシャ」
「むう……一理ある。まだ日にちはあるわけだし、今日のところは寝るか!」
1週間後……ついに俺の冒険が、目標のための歩みが始まるんだ。そう考えると、ドキドキが止まらない。結局エクスレッグにかかと落としをしてもらって無理やり寝たのだった。
翌朝
「おはよー、タツミくん!」
「ギャア!!お、おはようネモちゃん、今日も元気だね!!」
この明るい笑顔で俺にあいさつしてくれた活発美少女こそが俺の最愛の人でありオレンジアカデミー最強の生徒会長・ネモちゃんだ。はあ、今日もカワイイ……
「ねえねえタツミくん、今日も……戦る?」
「もちろん!!」
「やったー!じゃあグラウンド行こっ!」
グラウンドのバトルコートで距離を取り、お互いボールを構える。ネモちゃんは真剣な笑顔で、まっすぐに俺を見つめている。はあ、かっこかわいい……いかんいかん、集中しないと。
「行って、ケンタロス!」
「頼んだ、エクスレッグ!」
……そしてその結果は。
「勝者、ネモ!」
「タツミくん、おつかれさま!」
「……うん、ありがとう、ネモちゃん」
当然というべきか……俺のボロ負けである。いつものように俺はネモちゃんとバトルをしているが、毎回負けている。なぜかって?そりゃ当然……
「さすがチャンピオンランクの生徒会長…圧倒的だったね」
「あの男子も諦め悪いよねー、負けるのが癖になってるのかな」
そう、ネモちゃんがパルデアにおけるトップのポケモントレーナー……チャンピオンランクの肩書きを持っているからだ。しかも当時最年少で、だ。すごいぜネモちゃん、さすが才女。つーか誰だ俺のことドMみたいに言ったやつは。確かに諦めは悪いがそんなくだらん理由で毎度勝負を挑んでるわけじゃないんだよこっちは。
「いつも戦ってくれてありがとー!楽しかった!」
「うん、今日はケンタロスにレイジングブルを使わせたしちょっとは頑張れた…かな」
「そうだね、相変わらずタツミくんのエクスレッグ強いもん!技のキレっていうのかな?毎回惚れぼれしちゃうなー!」
「キシャ…」
「でもわざ構成とかは考えたほうがいいかも、たとえば…」
「待って、メモするから!」
ネモちゃんはバトルのあと毎度アドバイスをしてくれる。おかげで俺も手持ちのポケモンも成長できてる。……ん?なんだあの三つ編みの女子は。今は俺とネモちゃんふたりの時間…
「アオイ!」
「ネモ!」
「!???!!?」
え、な、なんだ今の笑顔……今の笑顔は、ネモちゃんが心底嬉しい時に見せる笑顔だぞ、見たところ新入生だが何者だこの子……
「あ、紹介するねタツミくん!この子はアオイ!こないだ転校してきたばかりでね、わたしの友達なの!」
「はじめまして、アオイです!」
「は、はじめまして……」
そうか、友達か……なんだろう、この胸騒ぎは。まあいいだろう、ネモちゃんの友達ならむしろいいとこ見せるチャンスだ。
「俺はタツミ。何か困ったことがあったら聞いてくれていいからね」
「はい、ありがとうございます!」
「アオイ、タツミくんはわたしの友達!いつもバトルする仲なんだー」
「友達」!!嬉しいけど切ない……ネモちゃんにとって俺はただの友達なんだな……いやいや、まずはお友達からって言うじゃないか!!ポジティブシンキングだぞ俺!!
「そうだタツミくん、宝探しでジム巡りするって言ってたよね?」
「え、うん、そうだけど…」
「なら良かったー!実はアオイもジム巡りする予定なんだけどね、アオイは引っ越してきたばかりでパルデアに不慣れだから……もし良ければ、案内とかしてくれないかな?」
なんで俺がそんなこt「いいよ!!」
なっ……口が勝手に!?しまった、ネモちゃんがかわいくお願いしてくるから断れなかった……これが本能か!!
「ほんとう!?良かったー、本当はわたしが案内してあげたいんだけど色々あってね…でもタツミくんがついてくれてるなら安心!良かったね、アオイ!」
「う、うん……よろしくお願いします、タツミさん」
「ま、まあ俺に任せてよ!伊達にジム巡り予習してないから!」
「うんうん!じゃあわたしはこのへんで……」
ネモちゃんが走り出す、その瞬間。俺は、思わずネモちゃんの手を掴んでいた。なぜかはわからない。でも、今言っておかないとダメだと思ったから。
「タツミくん?」
「ネモちゃん……えっと、その、俺……ジム巡りして、強くなるから。」
息を吸い込んで、ネモちゃんをまっすぐ見つめて。
「俺がネモちゃんとのバトルで勝ったら!!俺と恋人になってください!!」
「いいよ!!」
「いよっしゃあああ!!!」
……こうして、俺の青春は始まった。
タツミ
ネモのことが大好き。素直なバカ。
ネモ
バトル好きな活発美少女。忘れがちだけど優等生。
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