ポケットモンスター、縮めてポケモン。
言わずと知れた大人気コンテンツだ。
そんな世界に転生した男が一人。
ここはホウエン地方。トウカの森を北に抜けた場所に位置する農園。
『…現在ホウエン地方西部には大型台風が接近しており、各地で…』
点けっぱなしのテレビからBGM代わりの報道が垂れ流される。
窓の外では雨音が強く、時折風が窓を揺らしていた。
「~~~♪」
フライパンを翻しヤゴの実の炒め物を作る男。
キルシ。20台ぐらいの青年であり、ポケモンの世界に転生した男である。
フラワーショップ サン・トウカの店主ロレーヌの息子でその日は留守番をしていた。
「よし、こんなもんだろ」
手際よく調理した炒め物を皿に盛り食卓に並べていく。後は出荷に出ていた母の帰りを待つだけだったが…
「ー!ーー!」
「グラエナ?」
キルシの手持ちであるグラエナの遠吠えに違和感を覚えた。木の実畑に見回りに出ていたグラエナは周りの野生ポケモンに比べてレベルが高く「吠える」で追い払うのが常だが、異常事態が起きた場合キルシを呼ぶように頼んでいた。
「この嵐だし変なのが迷い込んだか?」
キルシはエプロンを外し、雨合羽を羽織りつつ外に出る。
「うおっ風強!?グラエナは…あっちか?」
畑の奥。手持ちのグラエナとマッスグマを見つけたキルシはそちらに走り出した。
「どうした!?グラエナ!マッスグマ!…ん?」
二匹が相対する先を見ると、周りの樹木と比べひときわ大きな樹の下で青い体躯に深紅の翼を持つ竜がこちらを睨みつけている。
「ボーマンダ!?なんでこんなとこに!…ん?んん?」
ボーマンダは翼の下に人を雨から庇っているようだった。
やや褐色気味の肌、ボロボロな緑褐色のマントを身に着けた少女が寝ていた。
「…うそーん。なんでヒガナがここに…」
「Grrrrr…」
こちらを見て警戒するボーマンダ。よく見ると躰はあちこち傷ついており、ヒガナも擦り傷が目立っている。
察するに何かから逃げてきたように感じる。
「あー…とりあえず保護するか。」
立っていた場所からヒガナたちに近づくと
「GAAA!」
ボーマンダがこちらに向けて威嚇してくる。
キルシはなるべく落ち着いた声で
「ボーマンダ!俺たちに攻撃する意思はない!ご主人を保護したいだけだ!こんな雨風の中いたら最悪死ぬぞ!」
(マジで放置したら後味の悪いよなぁ。最悪ボーマンダを瀕死にして…。いや絶対あとで拗れるよなぁ…)
なんて物騒なことを考えるキルシ。一方でヒガナを見てから逡巡した後、こちらを見てボーマンダは翼を広げた。
「ありがとうボーマンダ。グラエナ!家のタオルを出してくれ!マッスグマは倉庫からオボンのみをいくつか持てるだけ持ってきて!」
「ガウ!」「グマ!」
キルシは合羽をヒガナに掛けながら二匹に指示を出し、抱える。
「…軽いな…」
ゲームの中でしか知らないが、彼女のしでかしたことを知っているキルシ。
複雑な感情を頭を振って意識の外に追い払い、自宅の方に向けて駆け出した。
何番煎じかわからないポケモン転生です。
一応他作者様の作品に被らないよう気を付けたつもりですが被っていたらすいません。
文章を投稿したのが初めてなのでご意見や感想などいただけると嬉しいです。